本剤又は他のキサンチン系薬剤に対し重篤な副作用の既往歴のある患者
12時間以内にアデノシン(アデノスキャン)を使用する患者[10.1参照]
○気管支喘息
○喘息性(様)気管支炎
○慢性気管支炎
○肺気腫
<テオフィリン徐放カプセル100mg「サンド」>
通常、テオフィリンとして、成人1回200mg(本剤2カプセル)を、小児1回100〜200mg(本剤1〜2カプセル)を、1日2回、朝及び就寝前に経口投与する。
また、気管支喘息については、テオフィリンとして成人1回400mg(本剤4カプセル)を、1日1回就寝前に経口投与することもできる。
なお、年齢、症状に応じ適宜増減する。
テオフィリンによる副作用の発現は、テオフィリン血中濃度の上昇に起因する場合が多いことから、血中濃度のモニタリングを適切に行い、患者個々人に適した投与計画を設定することが望ましい。
小児、特に乳幼児に投与する場合には、保護者等に対し、発熱時には一時減量あるいは中止するなどの対応を、あらかじめ指導しておくことが望ましい。[9.7.1参照]
小児では一般に自覚症状を訴える能力が劣るので、本剤の投与に際しては、保護者等に対し、患児の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には速やかに主治医に連絡するなどの適切な対応をするように注意を与えること。[9.7.1参照]
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 てんかんの患者
中枢刺激作用によって発作を起こすことがある。
9.1.2 甲状腺機能亢進症の患者
甲状腺機能亢進に伴う代謝亢進、カテコールアミンの作用を増強することがある。
9.1.3 うっ血性心不全の患者
血中濃度測定等の結果により減量すること。テオフィリンクリアランスが低下し、テオフィリン血中濃度が上昇することがある。
9.2 腎機能障害患者
9.2.1 急性腎炎の患者
腎臓に対する負荷を高め、尿蛋白が増加するおそれがある。
9.3 肝機能障害患者
血中濃度測定等の結果により減量すること。テオフィリンクリアランスが低下し、テオフィリン血中濃度が上昇することがある。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物実験(マウス、ラット、ウサギ)で催奇形作用等の生殖毒性が報告されている。また、ヒトで胎盤を通過して胎児に移行し、新生児に嘔吐、神経過敏等の症状があらわれることがある。[16.3.4参照]
9.6 授乳婦
本剤投与中は授乳しないことが望ましい。ヒト母乳中に移行し、乳児に神経過敏を起こすことがある。[16.3.5参照]
9.7 小児等
テオフィリン血中濃度のモニタリングを行うなど、学会のガイドライン等の最新の情報も参考に、慎重に投与すること。特に次の小児にはより慎重に投与すること。成人に比べて痙攣を惹起しやすく、また、テオフィリンクリアランスが変動しやすい。[7.2、8.2、8.3参照]
・てんかん及び痙攣の既往歴のある小児
痙攣を誘発することがある。
・発熱している小児
テオフィリン血中濃度の上昇や痙攣等の症状があらわれることがある。
・6ヵ月未満の乳児
6ヵ月未満の乳児ではテオフィリンクリアランスが低く、テオフィリン血中濃度が上昇することがある。乳児期にはテオフィリンクリアランスが一定していない。
低出生体重児、新生児を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
副作用の発現に注意し、慎重に投与すること。高齢者では、非高齢者に比べ最高血中濃度の上昇及びAUCの増加が認められたとの報告がある。
13.1 症状
テオフィリン血中濃度が高値になると、血中濃度の上昇に伴い、消化器症状(特に悪心、嘔吐)や精神神経症状(頭痛、不眠、不安、興奮、痙攣、せん妄、意識障害、昏睡等)、心・血管症状(頻脈、心室頻拍、心房細動、血圧低下等)、低カリウム血症その他の電解質異常、呼吸促進、横紋筋融解症等の中毒症状が発現しやすくなる。なお、軽微な症状から順次発現することなしに重篤な症状が発現することがある。[10.2参照]
13.2 処置
血液透析は血中のテオフィリンを効率的に除去するとの報告がある。なお、テオフィリン血中濃度が低下しても、組織に分布したテオフィリンにより血中濃度が再度上昇することがある。
14.1 薬剤交付時の注意
本剤は徐放性製剤なので、かまずに服用するよう指導すること。
水とともに経口投与するよう指導すること。
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
14.1.4 製剤残渣
糞便中に、まれに本剤由来の白色物質がみられることがある。
本剤は主として肝代謝酵素CYP1A2で代謝される。[16.4参照]
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
アデノシン(アデノスキャン)[2.2参照] | 本剤によりアデノシンによる冠血流速度の増加及び冠血管抵抗の減少を抑制し、虚血診断に影響を及ぼすことがある。アデノシン(アデノスキャン)を投与する場合は12時間以上の間隔をあけること。 | 本剤はアデノシン受容体に拮抗するため、アデノシンの作用を減弱させる。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
他のキサンチン系薬剤(アミノフィリン水和物、ジプロフィリン、カフェイン等)中枢神経興奮薬(エフェドリン塩酸塩、マオウ等)[13.1参照] | 過度の中枢神経刺激作用があらわれることがある。副作用の発現に注意し、異常が認められた場合には減量又は投与を中止するなど適切な処置を行うこと。 | 併用により中枢神経刺激作用が増強される。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
交感神経刺激剤(β刺激剤)(イソプレナリン塩酸塩、クレンブテロール塩酸塩、ツロブテロール塩酸塩、テルブタリン硫酸塩、プロカテロール塩酸塩水和物等) | 低カリウム血症、心・血管症状(頻脈、不整脈等)等のβ刺激剤の副作用症状を増強させることがある。副作用の発現に注意し、異常が認められた場合には減量又は投与を中止するなど適切な処置を行うこと。 | 心刺激作用をともに有しており、β刺激剤の作用を増強するためと考えられる。低カリウム血症の増強についての機序は不明である。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
ハロタン | 不整脈等の副作用が増強することがある。また、連続併用によりテオフィリン血中濃度が上昇することがある。副作用の発現に注意し、異常が認められた場合には減量又は投与を中止するなど適切な処置を行うこと。 | テオフィリンとハロタンの心臓に対する作用の相加又は相乗効果と考えられる。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
ケタミン塩酸塩 | 痙攣があらわれることがある。痙攣の発現に注意し、異常が認められた場合には抗痙攣剤の投与など適切な処置を行うこと。 | 痙攣閾値が低下するためと考えられる。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
シメチジンメキシレチン塩酸塩プロパフェノン塩酸塩アミオダロン塩酸塩ピペミド酸水和物シプロフロキサシンノルフロキサシントスフロキサシントシル酸塩水和物パズフロキサシンメシル酸塩プルリフロキサシンエリスロマイシンクラリスロマイシンロキシスロマイシンチクロピジン塩酸塩ベラパミル塩酸塩ジルチアゼム塩酸塩フルボキサミンマレイン酸塩フルコナゾールジスルフィラムデフェラシロクス[13.1参照] | テオフィリンの中毒症状があらわれることがある。副作用の発現に注意し、異常が認められた場合には減量又は投与を中止するなど適切な処置を行うこと。 | 肝代謝酵素が阻害され、テオフィリンクリアランスが低下するため、テオフィリン血中濃度が上昇すると考えられる。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
アシクロビルバラシクロビル塩酸塩インターフェロンイプリフラボンシクロスポリンアロプリノール[13.1参照] | テオフィリンの中毒症状があらわれることがある。副作用の発現に注意し、異常が認められた場合には減量又は投与を中止するなど適切な処置を行うこと。 | テオフィリン血中濃度の上昇によると考えられる。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
リファンピシンフェノバルビタールランソプラゾールリトナビル | テオフィリンの効果が減弱することがある。テオフィリン血中濃度が低下することがあるので、適切な処置を行うこと。 | 肝代謝酵素の誘導によりテオフィリンクリアランスが上昇するため、テオフィリン血中濃度が低下すると考えられる。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
フェニトインカルバマゼピン | テオフィリン及び相手薬の効果が減弱することがある。テオフィリン血中濃度が低下することがあるので、適切な処置を行うこと。また、相手薬の効果減弱や血中濃度の低下に注意すること。 | 肝代謝酵素の誘導によりテオフィリンクリアランスが上昇するため、テオフィリン血中濃度が低下すると考えられる。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
ジピリダモール | ジピリダモールの作用を減弱させることがある。 | アデノシン拮抗作用による。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
ラマトロバン | ラマトロバンの血中濃度が上昇することがある。 | ラマトロバンの血中濃度上昇についての機序は不明である。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
リルゾール | リルゾールの作用を増強(副作用発現)するおそれがある。 | in vitro試験でリルゾールの代謝を阻害することが示唆されている。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
タバコ[13.1参照] | 禁煙(禁煙補助剤であるニコチン製剤使用時を含む)によりテオフィリンの中毒症状があらわれることがある。副作用の発現に注意し、異常が認められた場合には減量又は投与を中止するなど適切な処置を行うこと。 | 喫煙により肝代謝酵素が誘導され、テオフィリンクリアランスが上昇し、テオフィリン血中濃度が低下すると考えられる。また、禁煙により血中濃度が上昇すると考えられる。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
セイヨウオトギリソウ(St.John's Wort、セント・ジョーンズ・ワート)含有食品 | 本剤の代謝が促進され血中濃度が低下するおそれがあるので、本剤投与時はセイヨウオトギリソウ含有食品を摂取しないよう注意すること。 | セイヨウオトギリソウにより誘導された肝代謝酵素が本剤の代謝を促進し、クリアランスを上昇させるためと考えられている。 |
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。なお、副作用の発現に伴い本剤を減量又は投与を中止した場合には、テオフィリン血中濃度を測定することが望ましい。
11.1.1 痙攣、意識障害(いずれも頻度不明)
痙攣又はせん妄、昏睡等の意識障害があらわれることがあるので、抗痙攣剤の投与等適切な処置を行うこと。
11.1.2 急性脳症(頻度不明)
痙攣、意識障害等に引き続き急性脳症に至ることがあるので、このような症状があらわれた場合には投与を中止し、抗痙攣剤の投与等適切な処置を行うこと。
11.1.3 横紋筋融解症(頻度不明)
脱力感、筋肉痛、CK上昇等に注意し、このような症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うとともに横紋筋融解症による急性腎障害の発症に注意すること。
11.1.4 消化管出血(頻度不明)
潰瘍等による消化管出血(吐血、下血等)があらわれることがある。
11.1.5 赤芽球癆(頻度不明)
貧血があらわれた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.6 アナフィラキシーショック(頻度不明)
アナフィラキシーショック(蕁麻疹、蒼白、発汗、血圧低下、呼吸困難等)があらわれることがある。
11.1.7 肝機能障害、黄疸(いずれも頻度不明)
肝機能障害(AST、ALTの上昇等)、黄疸があらわれることがある。
(いずれも頻度不明)
注)発現頻度は、製造販売後調査の結果を含む。
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。なお、副作用の発現に伴い本剤を減量又は投与を中止した場合には、テオフィリン血中濃度を測定することが望ましい。
0.1〜5%未満 | 0.1%未満 | 頻度不明 | |
過敏症 | そう痒感、発疹 | 蕁麻疹、固定薬疹、紅斑(多形滲出性紅斑等) | |
精神神経系 | 頭痛、不眠、めまい、振戦 | しびれ、不随意運動、筋緊張亢進 | 神経過敏(興奮、不機嫌、いらいら感)、不安、耳鳴 |
循環器 | 動悸、不整脈(心室性期外収縮等) | 頻脈、顔面潮紅、顔面蒼白 | |
消化器 | 悪心、嘔吐、食欲不振、腹痛、腹部膨満感、下痢、消化不良(胸やけ等) | しゃっくり | |
泌尿器 | 蛋白尿 | 頻尿 | |
代謝異常 | 血清尿酸値上昇、CK上昇 | ||
肝臓 | ALT、ALP、LDHの上昇 | ASTの上昇 | γ-GTPの上昇 |
血液 | 貧血 | 好酸球増多 | |
その他 | 倦怠感、むくみ、胸痛 | 関節痛、四肢痛、発汗、低カリウム血症、鼻出血、しびれ(口、舌周囲) |
注)発現頻度は、製造販売後調査の結果を含む。
テオフィリン徐放カプセル100mg「サンド」 7.5円/カプセル
テオフィリン徐放カプセル200mg「サンド」 12円/カプセル
m3.comにご登録済の方
薬剤名検索
薬剤情報提供:一般財団法人日本医薬情報センター 剤形写真提供:株式会社薬事日報社
・薬剤情報・剤形写真は月一回更新しておりますが、ご覧いただいた時点で最新情報ではない可能性がございます。 最新情報は、各製薬会社のWebサイトなどでご確認ください。
・投稿内容の中に適応外、承認用法・用量外の記載等が含まれる場合がありますが、エムスリー、製薬会社が推奨するものではありません。