スピリーバ

長時間作用性吸入気管支拡張剤

4.16327(1件) 薬の評価を見る
リスト同薬効薬剤
一般名 チオトロピウム臭化物水和物
製造/販売 日本ベーリンガーインゲルハイム
剤形/規格
  • スピリーバ2.5μ...

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禁忌

  • 閉塞隅角緑内障の患者[眼内圧を高め、症状を悪化させるおそれがある。]

  • 前立腺肥大等による排尿障害のある患者[更に尿を出にくくすることがある。]

  • アトロピン及びその類縁物質あるいは本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある患者

効能・効果

  • 下記疾患の気道閉塞性障害に基づく諸症状の緩解

    • 慢性閉塞性肺疾患(慢性気管支炎、肺気腫)、気管支喘息(重症持続型の患者に限る)

用法・容量

  • 通常、成人には1回2吸入(チオトロピウムとして5μg)を1日1回吸入投与する。

注意事項

重要な基本的注意

  • 本剤は慢性閉塞性肺疾患及び気管支喘息の急性症状の治療を目的としていない。慢性閉塞性肺疾患及び気管支喘息に基づく症状を安定させるためには、本剤を継続して投与する必要がある。ただし、用法・用量どおり正しく使用しても効果が認められない場合には、本剤が適当ではないと考えられるので、漫然と投与を継続せず中止すること。

  • 急性症状を緩和するためには、短時間作用性吸入β

    2

    刺激薬等の他の適切な薬剤を使用するよう患者に注意を与えること。


    また、その薬剤の使用量が増加したり、効果が十分でなくなってきた場合には、喘息の管理が十分でないことが考えられるので、可及的速やかに医療機関を受診し治療を受けるよう患者に注意を与えると共に、そのような状態がみられた場合には、生命を脅かす可能性があるので、吸入ステロイド剤等の増量等の抗炎症療法の強化を行うこと。

  • 気管支喘息治療の基本は、吸入ステロイド剤等の抗炎症剤であり、本剤は抗炎症剤ではないため、患者が本剤の使用により症状改善を感じた場合であっても、医師の指示なく吸入ステロイド剤等を減量又は中止し、本剤を単独で用いることのないよう、患者に注意を与えること。

  • 本剤の吸入後、即時型過敏症(血管浮腫を含む)が発現することがあるので、異常が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。

  • 吸入薬の場合、薬剤の吸入により気管支痙攣が誘発される可能性があるので、異常が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。

  • 本剤の投与時に、本剤が眼に入らないように患者に注意を与えること。また、結膜の充血及び角膜浮腫に伴う赤色眼とともに眼痛、眼の不快感、霧視、視覚暈輪あるいは虹輪が発現した場合、急性閉塞隅角緑内障の徴候の可能性がある。これらの症状が発現した場合には、可及的速やかに医療機関を受診するように患者に注意を与えること。

  • 腎機能が低下している高齢者に対して本剤を投与する場合には、治療上の有益性と危険性を勘案して慎重に投与し、有害事象の発現に注意すること。[「慎重投与」、「高齢者への投与」、「薬物動態」の項参照]

慎重投与

  • 心不全、心房細動、期外収縮の患者、又はそれらの既往歴のある患者[心不全、心房細動、期外収縮が発現することがある。「重大な副作用」の項参照]

  • 腎機能が高度あるいは中等度低下している患者(クレアチニンクリアランス値が50mL/min以下の患者)[本剤は腎排泄型であり、腎機能低下患者では血中濃度の上昇がみられる。「薬物動態」の項参照]

  • 前立腺肥大のある患者[排尿障害が発現するおそれがある。]

過量投与

  • 本剤を高用量投与した場合、抗コリン作動性の徴候及び症状が発現する可能性がある。健康成人(海外)に本剤10、20及び40μgを1日1回、14日間吸入投与したとき、用量依存的に口内、咽喉及び鼻粘膜の乾燥がみられ、40μg群で7日目以降に唾液分泌の顕著な減少がみられた。
    本剤の経口投与後の生物学的利用率は低いので、経口摂取による急性中毒の発現の可能性は低いと考えられる。

適用上の注意

  • 本剤を処方する医師は以下の内容について正しく理解した上で、本剤を患者に交付する際には、正しい使用方法を必ず交付前に説明すること。

    • 吸入用器具レスピマットの各部の名称

    • カートリッジの挿入方法

      吸入用器具レスピマットを使用する時は、以下の1)〜7)を行う。

      • 1)緑のキャップを閉じた状態で、安全止めを押しながら、透明ケースをはずす。

      • 2)カートリッジ上部の緑色の部分を吸入用器具に挿入する。

      • 3)カートリッジを固い平面の上でしっかり押し込んで、カチッと音がするまで確実に挿入する。

        • カートリッジと吸入用器具は同一の高さにはならない。カートリッジを挿入した後も、横から見た時に、カートリッジの底の銀色の部分は見える状態である。

        • 一度挿入したカートリッジは抜かないこと。

      • 4)1)ではずした透明ケースを装着する。

        • 一度装着した透明ケースは取り外さないこと。

    • 「スピリーバ2.5μgレスピマット60吸入」を初めて吸入する前に必要な準備

      • 5)緑のキャップを閉じた状態で上向きにして持ち、透明ケースを矢印の方向にカチッと音がするまで回転させる。

      • 6)緑のキャップを完全に開ける。

      • 7)下に向け、噴霧ボタンを押す。

        • ミスト(霧)が見えるまで5)〜7)を繰り返す。ミスト(霧)が見えてから5)〜7)の操作をさらに3回繰り返し、噴霧が確実に行われることを確認する。

        • これで「スピリーバ2.5μgレスピマット60吸入」は吸入可能になる。
        • これらの準備段階における噴霧は、「スピリーバ2.5μgレスピマット60吸入」の利用可能な回数には含まれない。使用前の準備完了後、30回分の吸入投与(計60噴霧)が可能である。

    • 「スピリーバ2.5μgレスピマット60吸入」の吸入方法

      • 吸入用器具レスピマットの緑のキャップを上向きにして持ち、透明ケースを矢印の方向にカチッと音がするまで回転させる。この際、誤って噴霧ボタンを押さないように、緑のキャップは閉じた状態にしておく。

      • 緑のキャップを完全に開き、息をゆっくり、最後まで吐き出す。マウスピースをしっかりと口にくわえる(この際、通気孔をふさがないようにすること)。「スピリーバ2.5μgレスピマット60吸入」を、咽喉部へ真直ぐ向ける。


        吸入時に本剤が眼に入らないように注意すること。


        息を口からゆっくりと深く吸いながら、噴霧ボタンを押し、できるだけゆっくり肺いっぱいに息を吸い込み、10秒を目安に苦しくならない程度の間息を止める。

      • 1回分の薬剤を吸入するため、1.と2.を繰り返す。


        吸入は1日1回(2吸入)行う。


        次に吸入用器具レスピマットを使用するまでの間、緑のキャップは閉じておく。


        吸入用器具レスピマットを7日間以上使用しなかった場合は、下に向けて1回噴霧した後に使用すること。


        また、21日間以上使用しなかった場合は、ミスト(霧)が見えるまで5)〜7)の吸入前に必要な準備操作を行った後、さらにミスト(霧)が見えてから5)〜7)の操作を3回繰り返した後に使用すること。
    • 「スピリーバ2.5μgレスピマット60吸入」の終了時期

      • 「スピリーバ2.5μgレスピマット60吸入」は30回分の吸入投与(計60噴霧)が可能である。目盛りはおおよその残りの回数を示す。

      • 目盛りの針が赤い領域に入ったら、残りは約7回分(14回噴霧)であり、新しい「スピリーバ2.5μgレスピマット60吸入」の処方が必要である。

      • 目盛りの針が赤い領域の端になると「スピリーバ2.5μgレスピマット60吸入」は自動的にロックがかかって、透明ケースを回転させることができなくなる。

      • また、「スピリーバ2.5μgレスピマット60吸入」の使用開始から3カ月以上経過した場合は、薬剤が残っていたとしても使用しないこと。

    • 吸入用器具レスピマットの手入れ

      • 少なくとも週1回はマウスピースとその内側の金属部分を湿らせた布またはティッシュペーパーで拭く。

      • マウスピースの内側の金属部分は変色することがあるが、吸入用器具レスピマットの性能には影響はない。

      • また、必要に応じ、吸入用器具レスピマットの外側を湿った布で拭く。

その他の注意

  • 本剤と短時間作用型抗コリン性気管支拡張剤(イプラトロピウム臭化物水和物、オキシトロピウム臭化物等)との併用に関しては、臨床試験成績はなく、併用による有効性及び安全性は確立していないことから、併用は推奨できない。

取扱上の注意

  • 患者には専用の吸入用器具レスピマット及び使用説明書を渡し、使用方法を指導すること。

  • 本剤は冷凍しないこと。

  • 地方自治体により定められた廃棄処理方法にしたがうこと。

相互作用

副作用

副作用発現状況の概要

  • 国内第II相臨床試験が慢性閉塞性肺疾患患者157例を対象に実施され、このうち、147例に本剤5μgが投与された。147例中、副作用が報告された症例は4例(2.72%)で、口渇は1例(0.68%)であった。

  • 海外で実施されたプラセボあるいは実薬を対照とした比較試験において849例の慢性閉塞性肺疾患患者に本剤5μgが投与された。主な副作用は、口渇であった。試験の投与期間は異なるが、全体の集計では、口渇の頻度は6.01%(51例)であった(承認時)。

  • 第III相国際共同試験が中等症持続型喘息患者2,100例(日本人240例を含む)を対象に実施され、本剤5μg投与群517例中38例(7.35%)に副作用が認められ、主な副作用は口渇7例(1.35%)等であった。日本人患者では、本剤5μg投与群62例中6例(9.68%)に副作用が認められ、主な副作用は浮動性めまい、嗄声及び動悸が各2例(3.23%)等であった。

  • 第III相国際共同試験が重症持続型喘息患者912例(日本人65例を含む)を対象に実施され、本剤5μg投与群456例中26例(5.70%)に副作用が認められ、主な副作用は喘息7例(1.54%)等であった。日本人患者では、36例中5例(13.89%)に副作用が認められ、主な副作用は口渇2例(5.56%)等であった。

  • 国内長期投与試験が中等症〜重症持続型喘息患者285例を対象に実施され、本剤5μg投与群114例中10例(8.77%)に副作用が認められ、主な副作用は喘息、嗄声及び口渇各2例(1.75%)等であった(承認時)。

重大な副作用及び副作用用語

重大な副作用

  • 心不全、心房細動、期外収縮

    心不全(頻度不明注))、心房細動(頻度不明注))、期外収縮(1%未満)が発現することがあるので、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。[「慎重投与」の項参照]

  • イレウス

    イレウス(頻度不明注))が発現することがあるので、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

  • 閉塞隅角緑内障(頻度不明)

    閉塞隅角緑内障を誘発することがあるので、視力低下、眼痛、頭痛、眼の充血等があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

  • アナフィラキシー(頻度不明)

    アナフィラキシー(蕁麻疹、血管浮腫、呼吸困難等)が発現することがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

  • 注)チオトロピウム粉末吸入剤の投与による事象、または本剤の海外のみでみられた事象を頻度不明とした。

その他の副作用

  • 以下のような副作用が現れた場合には、症状に応じて適切な処置を行うこと。

1%以上 1%未満 頻度不明注)
霧視、眼圧上昇
皮膚 発疹、そう 脱毛、蕁麻疹
中枢神経系 浮動性めまい 不眠
感覚器 味覚倒錯、嗅覚錯誤
消化器 口渇(2.23%) 便秘、消化不良、口内炎、舌炎
代謝 高尿酸血症
循環器 動悸 頻脈、上室性頻脈
血液 好酸球増多、白血球減少
呼吸器 嗄声(1.11%) 咽喉刺激感 咳嗽、呼吸困難、喘鳴、鼻出血、咽頭炎
泌尿器 血尿、排尿障害、夜間頻尿、クレアチニン上昇、腎機能異常、尿閉
一般的全身障害 過敏症(血管浮腫を含む)
  • 注)チオトロピウム粉末吸入剤の投与による事象、または本剤の海外のみでみられた事象を頻度不明とした。

薬価

スピリーバ2.5μgレスピマット60吸入 6879.1円/キット

評価サマリー

もっとも参考になった評価コメント

副作用の頻度

投稿日: 2015/03/11 参考率: 100%(74人/74人)

50代/調剤経験あり

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