閉塞隅角緑内障の患者[眼内圧を高め、症状を悪化させるおそれがある。]
前立腺肥大等による排尿障害のある患者[更に尿を出にくくすることがある。]
アトロピン及びその類縁物質あるいは本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある患者
慢性閉塞性肺疾患(慢性気管支炎、肺気腫)の気道閉塞性障害に基づく諸症状の緩解(長時間作用性吸入抗コリン剤及び長時間作用性吸入β
2刺激剤の併用が必要な場合)
通常、成人には1回2吸入(チオトロピウムとして5μg及びオロダテロールとして5μg)を1日1回吸入投与する。
本剤はCOPDの急性増悪の治療を目的としていない。COPDに基づく症状を安定させるためには、本剤を継続して投与する必要がある。ただし、用法・用量どおり正しく使用しても効果が認められない場合には、本剤が適当ではないと考えられるので、漫然と投与を継続せず中止すること。
本剤は気管支喘息治療を目的とした薬剤ではないため、気管支喘息治療の目的には使用しないこと。なお、気管支喘息を合併した慢性閉塞性肺疾患患者に投与する場合には、気管支喘息の治療が適切に行われるよう注意すること。
本剤を他の長時間作用性抗コリン薬、長時間作用性β
2刺激薬又はこれらを含む配合剤と同時に使用しないこと。本剤の投与中に短時間作用性吸入β
2刺激薬を使用する場合は、急性の気管支痙攣等、急性呼吸器症状の緩和のみに使用するよう患者に注意を与えること。[「その他の注意」の項参照]
本剤の吸入後、即時型過敏症(血管浮腫を含む)が発現することがあるので、異常が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
吸入薬の場合、薬剤の吸入により気管支痙攣が誘発される可能性があるので、異常が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
本剤の投与時に、本剤が眼に入らないように患者に注意を与えること。また、結膜の充血及び角膜浮腫に伴う赤色眼とともに眼痛、眼の不快感、霧視、視覚暈輪あるいは虹輪が発現した場合、急性閉塞隅角緑内障の徴候の可能性がある。これらの症状が発現した場合には、可及的速やかに医療機関を受診するように患者に注意を与えること。
腎機能が低下している高齢者に対して本剤を投与する場合には、治療上の有益性と危険性を勘案して慎重に投与し、有害事象の発現に注意すること。[「慎重投与」、「高齢者への投与」、「薬物動態」の項参照]
過度に使用を続けた場合、不整脈、場合により心停止を起こすおそれがあるので、使用が過度にならないよう注意すること。
心不全、心房細動、期外収縮の患者、又はそれらの既往歴のある患者[心不全、心房細動、期外収縮が発現することがある。「重大な副作用」の項参照]
心血管障害(冠不全、不整脈、肥大型閉塞性心筋症)のある患者[交感神経刺激作用により症状を悪化させるおそれがある。また、QT延長があらわれるおそれがある。]
高血圧の患者[血圧を上昇させるおそれがある。]
腎機能が高度あるいは中等度低下している患者(クレアチニンクリアランス値が50mL/min以下の患者)[チオトロピウムは腎排泄型であり、腎機能低下患者では血中濃度の上昇がみられる。「薬物動態」の項参照]
痙攣性疾患のある患者[痙攣の症状を悪化させるおそれがある。]
糖尿病の患者[高用量のβ
2刺激薬を投与すると、血糖値が上昇するおそれがある。]
甲状腺機能亢進症の患者[甲状腺機能亢進症の症状を悪化させるおそれがある。]
前立腺肥大のある患者[排尿障害が発現するおそれがある。]
徴候及び症状
本剤を高用量投与した場合、抗コリン作動薬の徴候及び症状(口渇、動悸、排尿困難等)並びにβ
2刺激薬の徴候及び症状(心筋虚血、高血圧、低血圧、頻脈、不整脈、頭痛、振戦、口渇、筋痙攣、悪心、疲労、倦怠、低カリウム血症、高血糖、代謝性アシドーシス等)が発現する可能性がある。
健康成人(海外)にチオトロピウム10、20及び40μgを1日1回、14日間吸入投与したとき、用量依存的に口内、咽喉及び鼻粘膜の乾燥がみられ、40μg群で7日目以降に唾液分泌の顕著な減少がみられた。
健康成人(海外)にオロダテロール(10、20、30、50μg)を単回吸入投与したとき、20μg以上で用量依存的にQT間隔延長がみられた。[「薬物動態」の項参照]
健康成人(海外)にチオトロピウム+オロダテロール5μg/2μg、5μg/10μg、及び10μg/40μg
注)を1日1回、14日間吸入投与したとき、検討した最高投与量(10μg/40μg)では、β
2刺激薬又は抗コリン薬の薬理学的作用による症状と考えられる有害事象(頭痛、落ち着きのなさ、口内乾燥)が認められた。
注)本剤の承認された用法・用量は、1回2吸入(チオトロピウムとして5μg及びオロダテロールとして5μg)を1日1回投与である。
処置
本剤の投与を中止し、支持療法、対症療法を行うこと。また、症状が重篤な場合には入院させること。心選択性β遮断剤を使用する際は、気管支痙攣を誘発する可能性があるため、使用にあたっては十分に注意すること。
本剤を患者に交付する際には、正しい使用方法を必ず交付前に説明すること。
本剤と短時間作用型抗コリン性気管支拡張剤(イプラトロピウム臭化物水和物、オキシトロピウム臭化物等)との併用に関しては、臨床試験成績はなく、併用による有効性及び安全性は確立していないことから、併用は推奨できない。
患者には専用の吸入用器具レスピマット及び使用説明書を渡し、使用方法を指導すること。
本剤は冷凍しないこと。
地方自治体により定められた廃棄処理方法に従うこと。
オロダテロールは主にグルクロン酸抱合及びO-脱メチル化により代謝される。
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
QT間隔延長を起こすことが知られている薬剤MAO阻害剤三環系抗うつ剤等 | QT間隔が延長され心室性不整脈等のリスクが増大するおそれがある。 | いずれもQT間隔を延長させる可能性がある。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
交感神経刺激剤 | オロダテロールの交感神経刺激作用が増強され、心拍数増加、血圧上昇等がみられるおそれがある。 | 交感神経刺激剤との併用により、アドレナリン作動性神経刺激が増大する可能性がある。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
キサンチン誘導体ステロイド剤非カリウム保持性利尿剤 | 低カリウム血症による心血管事象を起こすおそれがあるため、血清カリウム値に注意すること。 | キサンチン誘導体はアドレナリン作動性神経刺激を増大させるため、血清カリウム値の低下が増強する可能性がある。ステロイド剤及びこれらの利尿剤は尿細管でのカリウム排泄促進作用があるため、血清カリウム値の低下が増強する可能性がある。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
β遮断剤 | オロダテロールの作用が減弱するおそれがある。やむを得ず併用する場合には、心選択性β遮断剤が望ましいが、注意すること。 | β遮断剤との併用により、オロダテロールの作用が拮抗される可能性がある。 |
COPD患者を対象として、本剤を52週間投与した第III相国際共同試験及び国内長期投与試験にて、1070例(日本人120例を含む)中76例(7.1%)に副作用が認められ、主な副作用は口渇14例(1.3%)であった。(承認時)
心不全、心房細動、期外収縮
心不全(頻度不明注))、心房細動(1%未満)、期外収縮(1%未満)が発現することがあるので、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。[「慎重投与」の項参照]
イレウス(頻度不明 注) )
イレウスが発現することがあるので、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
閉塞隅角緑内障(頻度不明 注) )
閉塞隅角緑内障を誘発することがあるので、視力低下、眼痛、頭痛、眼の充血等があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
アナフィラキシー(頻度不明 注) )
アナフィラキシー(蕁麻疹、血管浮腫、呼吸困難等)が発現することがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
注)チオトロピウム、オロダテロール単剤でのみ認められた事象は頻度不明とした。
以下のような副作用が現れた場合には、症状に応じて適切な処置を行うこと。
1%以上注1) | 1%未満注1) | 頻度不明注2) | |
眼 | 霧視 | 眼圧上昇 | |
皮膚 |
|
発疹、皮膚感染、皮膚潰瘍、皮膚乾燥 | |
中枢神経系 | 浮動性めまい、不眠 | ||
感覚器 | 味覚倒錯 | 嗅覚錯誤 | |
消化器 | 口渇(1.3%) | 便秘 | 消化不良、口内炎、舌炎、嚥下障害、胃食道逆流性疾患、歯肉炎 |
代謝 | 高尿酸血症 | 脱水 | |
循環器 | 動悸、頻脈、上室性頻脈、高血圧 | ||
血液 | 好酸球増多、白血球減少 | ||
呼吸器 | 発声障害、咳嗽、鼻出血、咽頭炎、鼻咽頭炎、喉頭炎、中咽頭カンジダ症、咽喉刺激感、呼吸困難 | 喘鳴、副鼻腔炎、気管支痙攣 | |
泌尿器 | 排尿障害、尿閉 | 血尿、夜間頻尿、クレアチニン上昇、腎機能異常、尿路感染 | |
筋骨格系 | 関節痛、背部痛 | 関節腫脹 | |
一般的全身障害 | 過敏症(血管浮腫を含む) |
注1)第III相国際共同試験及び国内長期投与試験において外国又は国内で認められた事象
注2)チオトロピウム又はオロダテロール単剤でのみ認められた事象は頻度不明とした。
スピオルトレスピマット28吸入 4176.4円/キット
m3.comにご登録済の方
薬剤名検索
薬剤情報提供:一般財団法人日本医薬情報センター 剤形写真提供:株式会社薬事日報社
・薬剤情報・剤形写真は月一回更新しておりますが、ご覧いただいた時点で最新情報ではない可能性がございます。 最新情報は、各製薬会社のWebサイトなどでご確認ください。
・投稿内容の中に適応外、承認用法・用量外の記載等が含まれる場合がありますが、エムスリー、製薬会社が推奨するものではありません。