本剤は,ウイルス性肝疾患の治療に十分な知識・経験を持つ医師のもとで,本剤の投与が適切と判断される患者に対してのみ投与すること。
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
次の薬剤を使用中の患者
リファンピシン,リファブチン,フェニトイン,ホスフェニトインナトリウム水和物,カルバマゼピン,フェノバルビタール,デキサメタゾン全身投与,セイヨウオトギリソウ(St.John's Wort,セント・ジョーンズ・ワート)含有食品(「相互作用」の項参照)
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人[動物実験で胚・胎児致死作用及び催奇形性作用等が報告されている。](「妊婦,産婦,授乳婦等への投与」の項参照)
セログループ1(ジェノタイプ1)のC型慢性肝炎又はC型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善
通常,成人にはダクラタスビルとして1回60mgを1日1回経口投与する。
本剤はアスナプレビルと併用し,投与期間は24週間とする。
本剤は,アスナプレビルと併用するため,アスナプレビルの添付文書に記載されている,警告,禁忌,併用禁忌,重要な基本的注意,重大な副作用等の「使用上の注意」を必ず確認すること。
肝機能障害,肝予備能低下があらわれ,肝不全に至ることがあるので,投与開始12週目までは少なくとも2週ごと,それ以降は4週ごとに肝機能検査を行うこと。肝機能の悪化が認められた場合には,より頻回に検査を行い,投与を中止するなど適切な処置を行うこと。また,肝酵素上昇の有無にかかわらず,黄疸,腹水,肝性脳症等を伴う肝不全があらわれることがあるので,患者の状態を十分に観察し,異常が認められた場合には,投与を中止するなど適切な処置を行うこと。(「重大な副作用」の項参照)
本剤は,動物実験で胚・胎児致死作用及び催奇形性作用等が報告
されており,胎児等への影響が疑われるので,妊娠する可能性のある婦人への投与に際しては,次の点に留意すること。
本剤の投与に際しては,妊娠検査を行い,妊娠していないことを確認すること。
患者には,本剤が胎児等に悪影響を及ぼす可能性があることを十分に説明し理解させ,本剤投与中及び投与終了後5週間は適切な避妊を徹底するよう指導すること。(「妊婦,産婦,授乳婦等への投与」の項参照)
なお,本剤と併用するアスナプレビルは,エチニルエストラジオール含有製剤(経口避妊薬)の血中濃度を低下させるおそれがある。
本剤投与中に妊娠が確認された場合又は疑われた場合には,直ちに投与を中止すること。
B型肝炎ウイルス感染の患者又は既往感染者(HBs抗原陰性,かつHBc抗体又はHBs抗体陽性)において,C型肝炎直接型抗ウイルス薬を投与開始後,C型肝炎ウイルス量が低下する一方B型肝炎ウイルスの再活性化が報告されている。本剤投与に先立って,B型肝炎ウイルス感染の有無を確認すること。B型肝炎ウイルス感染の患者又は既往感染者に本剤を投与する場合は,HBV DNA量等のB型肝炎ウイルスマーカーのモニタリングを行うなど,B型肝炎ウイルスの再活性化の徴候や症状の発現に注意すること。
急性腎障害等の腎機能障害があらわれることがあるので,定期的に腎機能検査を行うなど,観察を十分に行うこと。(「重大な副作用」の項参照)
B型肝炎ウイルス感染の患者又は既往感染者[再活性化するおそれがある。](「重要な基本的注意」の項参照)
本剤の過量投与に対する解毒剤はない。過量投与時の処置には,バイタルサインのモニタリングや臨床症状の観察等の一般的な支持療法を行う。本剤は分子量が大きく血漿蛋白結合率が高いため,透析は本剤の血中濃度減少に有効ではない。
薬剤交付時
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。[PTPシートの誤飲により,硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し,更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている。]
本剤及びアスナプレビルの併用療法において,ジェノタイプ1aのC型慢性肝炎患者に対する有効性は確立していない。
なお,海外で実施された臨床試験において,ジェノタイプ1(1a及び1b)のC型慢性肝炎患者のうち,過去のペグインターフェロン アルファ及びリバビリンとの併用療法で無効となった患者(null responder)を対象として,本剤及びアスナプレビルを24週間併用投与したとき,投与終了24週後のHCV RNA陰性化の割合は36.4%(4/11例)であり,そのうちジェノタイプ1aの患者では22.2%(2/9例)であった。
本剤は,CYP3A4及びP糖蛋白(P-gp)の基質である。また,P-gp,有機アニオントランスポーター(OATP)1B1,1B3及び乳癌耐性蛋白(BCRP)の阻害作用を有する。(「薬物動態」の項参照)
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
リファンピシン(リファジン)リファブチン(ミコブティン)フェニトイン(アレビアチン)ホスフェニトインナトリウム水和物(ホストイン)カルバマゼピン(テグレトール)フェノバルビタール(フェノバール)デキサメタゾン全身投与(デカドロン)セイヨウオトギリソウ(St.John's Wort,セント・ジョーンズ・ワート)含有食品 | 本剤の血中濃度が低下し,治療効果を減弱させるおそれがある。(「薬物動態」の項参照) | これらの薬剤の強力なCYP3A4の誘導作用により,本剤の代謝が促進される。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
アゾール系抗真菌剤ケトコナゾールイトラコナゾール等 | 本剤の血中濃度が上昇する。(「薬物動態」の項参照) | これらの薬剤の強力なCYP3A4の阻害作用により,本剤の代謝が阻害される。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
HIVプロテアーゼ阻害剤アタザナビル/リトナビル等 | 本剤の血中濃度が上昇する。(「薬物動態」の項参照) | これらの薬剤の強力なCYP3A4の阻害作用により,本剤の代謝が阻害される。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
コビシスタットを含有する製剤 | 本剤の血中濃度が上昇する。(「薬物動態」の項参照) | これらの薬剤の強力なCYP3A4の阻害作用により,本剤の代謝が阻害される。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
クラリスロマイシン | 本剤の血中濃度が上昇する。(「薬物動態」の項参照) | これらの薬剤の強力なCYP3A4の阻害作用により,本剤の代謝が阻害される。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
テラプレビル | 本剤の血中濃度が上昇する。(「薬物動態」の項参照) | これらの薬剤の強力なCYP3A4の阻害作用により,本剤の代謝が阻害される。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
エファビレンツ | 本剤の血中濃度が低下し,治療効果を減弱させるおそれがある。(「薬物動態」の項参照) | エファビレンツの中程度のCYP3A4の誘導作用により,本剤の代謝が促進される。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
ジゴキシン | ジゴキシンの血中濃度が上昇する。(「薬物動態」の項参照)ジゴキシンを併用する場合には,ジゴキシンの血中濃度をモニタリングし,投与量を調節すること。 | 本剤のP-gp阻害作用により,ジゴキシンのバイオアベイラビリティが増加する。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
ロスバスタチン | ロスバスタチンの血中濃度が上昇する。(「薬物動態」の項参照) | 本剤は,OATP1B1及び1B3を介したロスバスタチンの肝臓への取り込みを阻害する。また,本剤のBCRP阻害作用により,ロスバスタチンの肝臓及び腸からの排出を阻害する。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
アトルバスタチンフルバスタチンシンバスタチンピタバスタチンプラバスタチン | これらの薬剤の血中濃度が上昇する。 | 本剤は,OATP1B1及び1B3を介したこれらの薬剤の肝臓への取り込みを阻害する。 |
本剤及びアスナプレビルを併用した国内臨床試験において,396例中241例(60.9%)に副作用が認められた。主な副作用は,ALT(GPT)増加69例(17.4%),AST(GOT)増加57例(14.4%),頭痛45例(11.4%),発熱40例(10.1%)等であった。(効能追加承認時)
本剤及びアスナプレビルの併用で認められた副作用は,以下のとおりである。
肝機能障害,肝不全
ALT(GPT)増加(8.6%
注1)),AST(GOT)増加(5.6%
注1)),血中ビリルビン増加(0.5%
注2)),プロトロンビン時間延長,アルブミン低下等があらわれ,黄疸,腹水,肝性脳症等を伴う肝不全に至ることがある。投与開始12週目までは少なくとも2週ごと,それ以降は4週ごとに肝機能検査を行うこと。肝機能の悪化が認められた場合には,より頻回に検査を行い,投与を中止するなど適切な処置を行うこと。ALT(GPT)が基準値上限10倍以上に上昇した場合には,直ちに投与を中止し,再投与しないこと。(「重要な基本的注意」の項参照)
注1)基準値上限5倍超
注2)基準値上限2.5倍超
多形紅斑(頻度不明)
多形紅斑があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には,投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
血小板減少(頻度不明)
血小板減少があらわれることがあるので,定期的に血液検査を行うなど観察を十分に行い,異常が認められた場合には,投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
間質性肺炎(頻度不明)
間質性肺炎があらわれることがあるので,咳嗽,呼吸困難,発熱,肺音の異常(捻髪音)等が認められた場合には,胸部X線,胸部CT,血清マーカー等の検査を実施すること。間質性肺炎が疑われた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
腎機能障害(頻度不明)
急性腎障害等の腎機能障害があらわれることがあるので,異常が認められた場合には,投与を中止するなど適切な処置を行うこと。(「重要な基本的注意」の項参照
発現頻度は,本剤及びアスナプレビルを併用した国内臨床試験の成績に基づき算出した。自発報告において認められた副作用は,頻度不明とした。
次のような副作用があらわれた場合には,症状に応じて適切な処置を行うこと。
5%以上又は頻度不明 | 5%未満 | |
皮膚 | 発疹,そう痒症,脱毛症 | |
血液 | 好酸球増加症(7.1%) | 貧血 |
全身症状 | 発熱(10.1%),倦怠感(6.1%) | 疲労,悪寒 |
精神・神経系 | 頭痛(11.4%) | 不眠症 |
消化器 | 下痢(5.8%),悪心(5.6%) | 食欲減退,腹部不快感,便秘,上腹部痛,口内炎,腹部膨満,嘔吐 |
肝臓 | ALT(GPT)増加(17.4%),AST(GOT)増加(14.4%),胆のう炎 | 血中ビリルビン増加,γ-GTP増加,血中ALP増加 |
循環器 | 高血圧 | |
筋・骨格系 | 関節痛,筋骨格硬直 | |
呼吸器 | 鼻咽頭炎,口腔咽頭痛 | |
その他 | リパーゼ増加,血中アルブミン減少,血中リン減少 |
発現頻度は,本剤及びアスナプレビルを併用した国内臨床試験の成績に基づき算出した。自発報告において認められた副作用は,頻度不明とした。
ダクルインザ錠60mg 8025.5円/錠
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副作用の頻度
投稿日: 2015/02/27 参考率: 100%(6人/6人)
内科/60代/処方経験あり