本剤の投与は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例についてのみ実施すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。
週1回投与を30分間点滴静注により行うこと。外国の臨床試験において、週2回以上あるいは1回の点滴を60分以上かけて行うと、副作用が増強した例が報告されている。
「2.禁忌」、「9.特定の背景を有する患者に関する注意」の項を参照して適応患者の選択に十分注意すること。
高度な骨髄抑制のある患者には投与しないこと。骨髄抑制は用量規制因子であり、感染症又は出血を伴い、重篤化する可能性がある。骨髄抑制に起因したと考えられる死亡例が報告されている。[2.1、2.4、11.1.1参照]
胸部単純X線写真で明らかで、かつ臨床症状のある間質性肺炎又は肺線維症のある患者には投与しないこと。間質性肺炎に起因したと考えられる死亡例が報告されている。[2.2、11.1.2参照]
放射線増感作用を期待する胸部への放射線療法との同時併用は避けること。外国の臨床試験において、本剤と胸部への根治的放射線療法との併用により、重篤な食道炎、肺臓炎が発現し、死亡に至った例が報告されている。[2.3、10.1参照]
投与に際しては臨床症状を十分に観察し、頻回に臨床検査(血液学的検査、肝機能検査、腎機能検査等)を、また、定期的に胸部X線検査等を行い、異常が認められた場合には適切な処置を行うとともに、投与継続の可否について慎重に検討すること。[8.2、9.2、9.3.1、11.1.9、11.1.10、11.1.12参照]
高度な骨髄抑制のある患者[骨髄抑制が増悪し、致命的となることがある。][1.4、2.4、11.1.1参照]
胸部単純X線写真で明らかで、かつ臨床症状のある間質性肺炎又は肺線維症のある患者[症状が増悪し、致命的となることがある。][1.5、11.1.2参照]
胸部への放射線療法を施行している患者[1.6、10.1参照]
重症感染症を合併している患者[感染症が増悪し、致命的となることがある。][1.4、2.1、11.1.1参照]
本剤の成分に対し重篤な過敏症の既往歴のある患者
妊婦又は妊娠している可能性のある女性[9.5参照]
○非小細胞肺癌
○膵癌
○胆道癌
○尿路上皮癌
○手術不能又は再発乳癌
○がん化学療法後に増悪した卵巣癌
○再発又は難治性の悪性リンパ腫
<膵癌、胆道癌、尿路上皮癌、がん化学療法後に増悪した卵巣癌、再発又は難治性の悪性リンパ腫>
通常、成人にはゲムシタビンとして1回1000mg/m2を30分かけて点滴静注し、週1回投与を3週連続し、4週目は休薬する。これを1コースとして投与を繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量する。
<非小細胞肺癌>
通常、成人にはゲムシタビンとして1回1000mg/m2を30分かけて点滴静注し、週1回投与を3週連続し、4週目は休薬する。これを1コースとして投与を繰り返す。シスプラチンと併用する場合は、ゲムシタビンとして1回1250mg/m2を30分かけて点滴静注し、週1回投与を2週連続し、3週目は休薬を1コースとすることもできる。なお、患者の状態により適宜減量する。
<手術不能又は再発乳癌>
通常、成人にはゲムシタビンとして1回1250mg/m2を30分かけて点滴静注し、週1回投与を2週連続し、3週目は休薬する。これを1コースとして投与を繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量する。
<効能共通>
腫瘍の明らかな増大、新病変の出現等、病態の進行が認められた場合には投与を中止し、他の適切な治療法に切り替えること。
骨髄抑制、間質性肺炎等の重篤な副作用が起こることがあり、ときに致命的な経過をたどることがあるので、投与に際しては臨床症状を十分に観察し、頻回に臨床検査(血液学的検査、肝機能検査、腎機能検査等)を、また、定期的に胸部X線検査を行うこと。[1.7、8.2.1、8.2.2、8.3、9.1.1、9.1.2、9.2、9.3.1、11.1.1、11.1.2、11.1.9、11.1.10、11.1.12参照]
8.2.1 骨髄抑制
本剤の投与にあたっては、白血球数及び血小板数の変動に十分留意し、投与当日の白血球数が2000/μL未満又は血小板数が7万/μL未満であれば、骨髄機能が回復するまで投与を延期すること。また、前治療により、骨髄機能が低下している患者では、骨髄抑制が強くあらわれることがあるので、これらの患者では投与量を適宜減量し、臨床検査値に十分注意すること。本剤を週1回3週連続投与した場合、白血球数及び好中球数の最低値は投与開始平均約2〜3週間後にあらわれ、最低値発現日から約1週間で回復する。[8.2、8.3、9.1.1、11.1.1参照]
8.2.2 間質性肺炎等の肺毒性
本剤の投与にあたっては、臨床症状(呼吸状態、咳及び発熱等の有無)を十分に観察し、定期的に胸部X線検査を行うこと。また、必要に応じて胸部CT検査、動脈血酸素分圧(PaO
2)、肺胞気動脈血酸素分圧較差(A-aDO
2)、肺拡散能力(DLco)などの検査を行うこと。[8.2、9.1.2、11.1.2参照]
感染症の発現又は増悪に十分注意すること。[8.2、8.2.1、9.1.1、11.1.1参照]
本剤投与時に傾眠が認められることがあるので、このような症状が発現しないことが確認されるまで、自動車の運転等は行わないように注意すること。
<卵巣癌、悪性リンパ腫>
関連文献(「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議 公知申請への該当性に係る報告書:ゲムシタビン塩酸塩(卵巣癌)」、「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議 公知申請への該当性に係る報告書:ゲムシタビン塩酸塩(再発・難治性悪性リンパ腫)」等)を熟読すること。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
[8.2、8.2.1、8.3、11.1.1参照]
9.1.2 間質性肺炎又は肺線維症の既往歴のある患者
間質性肺炎等の重篤な肺毒性を起こすことがある。[8.2、8.2.2、11.1.2参照]
9.1.3 心筋梗塞の既往のある患者
心筋梗塞がみられることがある。[11.1.4参照]
9.2 腎機能障害患者
副作用があらわれやすくなることがある。[1.7、8.2参照]
9.3 肝機能障害患者
9.3.1 肝障害(肝転移、肝炎、肝硬変等)、アルコール依存症の既往又は合併のある患者
肝機能の悪化を引き起こすことがある。[1.7、8.2、11.1.12参照]
9.4 生殖能を有する者
生殖可能な年齢の患者に投与する必要がある場合には生殖器に対する影響を考慮すること。動物実験(マウス、ウサギ)において、生殖毒性(先天性異常、胚胎発育、妊娠経過、周産期発育あるいは生後発育に対する影響等)が報告されている。
パートナーが妊娠する可能性のある男性には、本剤投与中及び本剤投与終了後一定期間は適切な避妊を行うよう指導すること。[15.2参照]
妊娠可能な女性には、本剤投与中及び本剤投与終了後一定期間は適切な避妊を行うよう指導すること。[9.5参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。動物実験(マウス、ウサギ)で催奇形作用及び胎児致死作用が報告されている。[2.6、9.4.3参照]
9.6 授乳婦
授乳を避けさせること。動物実験(ラット)で乳汁中への移行が報告されている。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
骨髄抑制等の副作用の発現に注意し、慎重に投与すること。腎機能、肝機能等の生理機能が低下していることが多いため、高い血中濃度が持続するおそれがある。
14.1 薬剤調製時の注意
本剤の200mgバイアルは5mL以上、1gバイアルは25mL以上の生理食塩液に溶解して用いること。
溶解後は速やかに投与すること。溶液を冷蔵庫に保存すると結晶が析出することがあるので、保存する場合でも室温(15〜30℃)で保存し、24時間以内に使用すること。溶解した残液は使用しないこと。
皮膚に薬液が付着した場合は直ちに石けんでよく洗浄し、粘膜に付着した場合は直ちに多量の流水でよく洗い流すこと。
15.2 非臨床試験に基づく情報
変異原性試験のうち、マウスリンフォーマ細胞を用いた
遺伝子突然変異試験及びマウスを用いた小核試験において、いずれも陽性の結果が報告されている。[9.4.2参照]
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
胸部放射線照射[1.6、2.3参照] | 外国の臨床試験で本剤(1000mg/m2/日を週1回放射線照射前に投与)と胸部への根治的放射線療法(2Gy/日を週5回)を6週連続して併用した場合に、重篤な食道炎、肺臓炎が発現し、死亡に至った例が報告されている。放射線照射を併用した場合の本剤の至適用量は確立されていないので、放射線増感作用を期待する胸部への放射線療法との同時併用は避けること。 | 基礎試験で本剤は濃度依存的に放射線照射の効果を増強し、本剤による放射線感受性増加が認められている。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
腹部放射線照射 | 腹部放射線療法(体外照射)と同時併用する場合、重篤となる局所の合併症が発現することがある。なお、術中放射線照射と併用した際の本剤の安全性は確認されていない。 | 基礎試験で本剤は濃度依存的に放射線照射の効果を増強し、本剤による放射線感受性増加が認められている。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
他の抗悪性腫瘍剤アルキル化剤代謝拮抗剤抗生物質アルカロイド等 | 骨髄抑制が増強されることがある。 | 両剤とも骨髄抑制を有している。 |
次の副作用注3)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 骨髄抑制
白血球減少(72.6%、ただし、2000/μL未満の減少は17.5%)、好中球減少(69.2%、ただし、1000/μL未満の減少は32.1%)、血小板減少(41.4%、ただし、5万/μL未満の減少は4.2%)、貧血[ヘモグロビン減少(66.5%、ただし、8.0g/dL未満の減少は13.1%)、赤血球減少(52.6%)]等があらわれることがある。なお、高度な白血球減少に起因したと考えられる敗血症による死亡例が報告されている。[1.4、2.1、2.4、8.2、8.2.1、8.3、9.1.1参照]
11.1.2 間質性肺炎(1.0%)
間質性肺炎の発症あるいは急性増悪が疑われた場合には、直ちに本剤による治療を中止し、ステロイド治療等の適切な処置を行うこと。間質性肺炎に起因したと考えられる死亡例が報告されている。[1.5、2.2、8.2、8.2.2、9.1.2参照]
11.1.3 アナフィラキシー(0.2%)
呼吸困難、血圧低下、発疹等の症状があらわれることがある。
(0.2%)[9.1.3参照]
(頻度不明)
(頻度不明)
(頻度不明)
(頻度不明)
(頻度不明)[1.7、8.2、11.1.10参照]
11.1.10 溶血性尿毒症症候群(0.2%)
血小板減少、ビリルビン上昇、クレアチニン上昇、BUN上昇、LDH上昇を伴う急速なヘモグロビン減少等の微小血管症性溶血性貧血の兆候が認められた場合には、投与を中止すること。腎不全は投与中止によっても不可逆的であり、透析療法が必要となることもある。[1.7、8.2、11.1.9参照]
11.1.11 重度の皮膚障害(頻度不明)
中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、紅斑、水疱、落屑等の重度の皮膚障害があらわれることがある。
11.1.12 肝機能障害、黄疸(頻度不明)
AST、ALT、Al-Pの上昇等の重篤な肝機能障害、黄疸があらわれることがある。[1.7、8.2、9.3.1参照]
11.1.13 白質脳症(可逆性後白質脳症症候群を含む)(頻度不明)
高血圧、痙攣、頭痛、視覚異常、意識障害等の症状が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
注3)国内の本剤単独投与の臨床試験において認められた副作用の発現頻度を記載した。
次の副作用注3)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
10%以上 | 1〜10%未満 | 1%未満 | 頻度不明 | |
循環器 | 頻脈、血圧上昇 | 血圧低下、狭心痛、動悸、心室性期外収縮、発作性上室頻拍、心電図異常(ST上昇) | ||
呼吸器 | 呼吸困難、高炭酸ガス血症注1)、低酸素血、咳嗽 | PIE(肺好酸球浸潤)症候群、喘鳴、喀痰、息切れ | ||
腎臓 | 総蛋白低下、電解質異常、アルブミン低下 | BUN上昇、蛋白尿、血尿、クレアチニン上昇 | 乏尿 | |
消化器 | 食欲不振、悪心・嘔吐 | 下痢、便秘、口内炎、胃部不快感 | 歯肉炎 | |
肝臓 | AST上昇、ALT上昇、LDH上昇、Al-P上昇 | ビリルビン上昇、A/G比低下、γ-GTP上昇、ウロビリン尿 | ||
精神神経系 | 頭痛、めまい、不眠、知覚異常注2) | 嗜眠、しびれ | ||
皮膚 | 発疹 | 脱毛注2)、そう痒感 | 蕁麻疹 | |
注射部位 | 注射部位反応(静脈炎、疼痛、紅斑) | |||
血管障害 | 末梢性血管炎注2) | 末梢性壊疽 | ||
その他 | 疲労感、発熱、血小板増加 | 体重減少、尿糖陽性、好酸球増多、関節痛注2)、悪寒、味覚異常注2)、鼻出血、倦怠感注2)、浮腫、CRP上昇、体重増加、疼痛注2)、ほてり、胸部不快感 | 眼底出血、体温低下、耳鳴り、眼脂、無力症、顔面浮腫 | インフルエンザ様症状(倦怠感、無力症、発熱、頭痛、悪寒、筋痛、発汗、鼻炎等)、放射線照射リコール反応 |
注1)膵癌の臨床試験11例における発現頻度である。
注2)国内における本剤とパクリタキセルとの併用投与の臨床試験においては30%以上の頻度で認められている。
注3)国内の本剤単独投与の臨床試験において認められた副作用の発現頻度を記載した。
ゲムシタビン点滴静注用200mg「タカタ」
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