本剤は、緊急時に十分対応できる医療施設において、造血器悪性腫瘍の治療に対して十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分に説明し、同意を得てから投与を開始すること。
重度のサイトカイン放出症候群があらわれることがあるので、特に治療初期は入院管理等の適切な体制下で本剤の投与を行うこと。また、サイトカイン放出症候群に対する前投与薬の投与等の予防的措置を行うとともに、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、製造販売業者が提供するサイトカイン放出症候群管理ガイダンス等に従い、適切な処置を行うこと。[7.2、8.1、11.1.1参照]
重度の神経学的事象(免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群含む)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、製造販売業者が提供する免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群管理ガイダンス等に従い、適切な処置を行うこと。[8.2、8.3、11.1.2参照]
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
再発又は難治性の多発性骨髄腫(標準的な治療が困難な場合に限る)
通常、成人にはトアルクエタマブ(遺伝子組換え)として、以下のA法又はB法で投与する。
A法
漸増期は、1日目に0.01mg/kg、その後は2〜4日の間隔で0.06mg/kg、0.4mg/kgの順に皮下投与する。その後の継続投与期は、0.4mg/kgを1週間間隔で皮下投与する。
B法
漸増期は、1日目に0.01mg/kg、その後は2〜4日の間隔で0.06mg/kg、0.4mg/kg、0.8mg/kgの順に皮下投与する。その後の継続投与期は、0.8mg/kgを2週間間隔で皮下投与する。
サイトカイン放出症候群があらわれることがあるので、本剤の投与にあたっては、以下の事項に注意すること。[1.2、7.2、11.1.1参照]
サイトカイン放出症候群は投与初期に多く認められることから、少なくとも漸増期(初回の治療用量を含む)の各投与後48時間は必ず入院管理とし、漸増期の各投与48時間経過後、及び継続投与期(2回目の治療用量以降の投与時)についても患者の状態に応じて入院管理を検討すること。
サイトカイン放出症候群に対する前投与薬の投与等の予防的措置を行うこと。
本剤の投与中は、発熱、悪寒、低血圧、頻脈、低酸素症、頭痛、肝酵素上昇(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ及びアラニンアミノトランスフェラーゼ増加)等について、観察を十分に行うこと。
サイトカイン放出症候群が疑われる症状があらわれた場合には、速やかに医療機関を受診するよう患者を指導すること。
緊急時に備えてトシリズマブ(遺伝子組換え)を速やかに使用できるように準備しておくこと。
神経学的事象(免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群含む)があらわれることがあるので、本剤の投与にあたっては、以下の事項に注意すること。[1.3、11.1.2参照]
本剤の投与中は、失語症、意識レベルの変化、認知能力の障害、筋力低下、痙攣発作、脳浮腫等について、観察を十分に行うこと。
免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群が疑われる症状があらわれた場合には、速やかに医療機関を受診するよう患者を指導すること。
免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群があらわれた場合、次回の本剤投与後48時間は入院管理を検討すること。
神経学的事象(免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群含む)として錯乱状態、意識レベルの低下、痙攣発作等があらわれるおそれがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には十分注意させること。特に、漸増期(初回の治療用量を含む)の各投与後48時間まで及び神経学的症状があらわれている間は、自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。[1.3、11.1.2参照]
運動失調があらわれることがあるので、小脳症状(測定障害、歩行障害及び構語障害等)を含む神経学的な徴候又は症状の発現、若しくは既存の神経学的な徴候又は症状の変化について、観察を十分に行うこと。[11.1.3参照]
感染症(日和見感染症を含む)が発現又は悪化することがあるので、本剤投与前に適切な予防措置を考慮すること。本剤投与中は感染症の発現又は悪化に十分に注意すること。[11.1.4参照]
血球減少があらわれることがあるので、本剤投与開始前及び本剤投与中は定期的に血液検査を行い、患者の状態を十分に観察すること。[11.1.5参照]
9.4 生殖能を有する者
妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後3カ月間において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること。[9.5参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないことが望ましい。本剤を用いた生殖発生毒性試験は実施されていない。ヒトIgG抗体に胎盤通過性があることが知られており、本剤の作用機序から、本剤の妊娠中の曝露により、サイトカイン放出に関連する二次的な炎症作用等、胎児に有害な影響を及ぼす可能性がある。[9.4参照]
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。本剤のヒト乳汁中への移行に関するデータはないが、ヒトIgGは母乳中に移行することが知られている。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
14.1 薬剤調製時の注意
本剤は規格により有効成分濃度が異なる。本剤皮下注3mgは、漸増用量1(0.01mg/kg)及び漸増用量2(0.06mg/kg)の投与のみに、本剤皮下注40mgは、漸増用量3(0.4mg/kg)及び治療用量(0.4mg/kg及び0.8mg/kg)の投与のみに使用すること。濃度の異なるバイアルを混ぜて使用しないこと。
本剤は希釈が不要であり、調製済みの注射液である。
本剤の投与には、ポリプロピレン又はポリカーボネートのシリンジと、ステンレス鋼製の注射針を用いること。
本剤は、無菌環境下において操作すること。
本剤を冷蔵庫から取り出し、15分以上放置し、15〜30℃に戻す。他の方法で温めないこと。
バイアルを約10秒間静かに回して混ぜる。振盪しないこと。
薬液入りシリンジを直ちに使用しない場合は、2〜8℃で最長24時間まで、その後15〜30℃で最長24時間まで保存できる。2〜8℃で24時間を超えて保管した場合、又は15〜30℃で24時間を超えて保管した場合は廃棄すること。
14.2 薬剤投与時の注意
投与前に、本剤に粒子や変色がないか目視により確認する。不透明粒子や変色又は異物が認められた場合は使用しないこと。
腹部又は大腿部などの皮下に本剤を注射する。複数回の注射が必要な場合、同一部位への反復注射は行わないこと。
皮膚の発赤、挫傷、圧痛、硬結又は瘢痕がある部位には注射しないこと。
未使用残液については適切に廃棄すること。
15.1 臨床使用に基づく情報
国際共同第I/II相試験(MMY1001試験)第II相パートのコホートA、B、C及び日本人コホートにおいて、124/323例(38.4%)に抗トアルクエタマブ抗体が認められ、60/323例(18.6%)に抗トアルクエタマブ中和抗体が認められた。本剤投与期間中に本剤の血清中濃度が定量下限未満となった中和抗体陽性例が2例認められた。
外箱開封後は遮光して保存すること。
凍結させないこと。
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
治療域の狭いCYP基質ワルファリン、シクロスポリン、タクロリムス等[16.7.1参照] | これらの薬剤の副作用が増強されるおそれがあるので、本剤の投与開始から初回の治療用量投与の14日後まで、並びにサイトカイン放出症候群発現時及び発現後一定期間は、患者の状態を慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること。 | 本剤の投与によりサイトカインが放出され、CYPが抑制されることにより、これらの薬剤の血中濃度が上昇する可能性がある。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
生ワクチン又は弱毒生ワクチン | 接種した生ワクチンの原病に基づく症状が発現した場合には適切な処置を行う。 | 本剤のBリンパ球傷害作用により発病するおそれがある。 |
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 サイトカイン放出症候群(76.1%)
異常が認められた場合には、製造販売業者が提供するサイトカイン放出症候群管理ガイダンス等に従い、本剤の投与中止、副腎皮質ホルモン剤、トシリズマブ(遺伝子組換え)の投与等の適切な処置を行うこと。[1.2、7.2、8.1参照]
11.1.2 神経学的事象(免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群含む)
免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群(8.6%)、頭痛(8.6%)、感覚ニューロパチー(7.0%)、浮動性めまい(3.7%)、脳症(3.3%)、錯乱状態(0.3%)、痙攣発作(頻度不明)、失神(頻度不明)等の神経学的事象があらわれることがある。異常が認められた場合には、製造販売業者が提供する免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群管理ガイダンス等に従い、本剤の投与中止、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。[1.3、8.2、8.3参照]
11.1.3 運動失調(2.0%)
異常が認められた場合には、本剤を休薬し、神経学的評価を実施するとともに、適切な処置を行うこと。[8.4参照]
11.1.4 感染症
上気道感染(12.3%)、肺炎(4.3%)、敗血症(1.7%)、尿路感染(0.7%)等があらわれることがある。[8.5参照]
11.1.5 血球減少
好中球減少症(25.2%)、貧血(24.9%)、リンパ球減少症(21.9%)、血小板減少症(20.9%)、白血球減少症(13.0%)、発熱性好中球減少症(頻度不明)等があらわれることがある。[8.6参照]
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
30%以上 | 10%以上30%未満 | 10%未満 | |
免疫系障害 | 低γグロブリン血症 | ||
代謝及び栄養障害 | 食欲減退 | 低カリウム血症、低リン血症、低マグネシウム血症 | |
神経系障害 | 味覚不全(71.1%) | ||
呼吸器、胸郭及び縦隔障害 | 咳嗽、呼吸困難 | ||
胃腸障害 | 口内乾燥、嚥下障害、口内炎、悪心 | 下痢、口腔内痛、嘔吐、便秘、腹痛 | |
皮膚及び皮下組織障害 | 爪の障害(55.5%)、皮膚障害(41.5%)、発疹 | そう痒症 | |
筋骨格系及び結合組織障害 | 筋骨格痛 | ||
一般・全身障害及び投与部位の状態 | 疲労 | 乾燥症、発熱、注射部位反応 | 疼痛、浮腫 |
臨床検査 | 体重減少 | トランスアミナーゼ上昇、γ−グルタミルトランスフェラーゼ増加 |
タービー皮下注3mg
タービー皮下注40mg
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