本剤は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に本剤の有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。
2.1 本剤の成分に対し重篤な過敏症の既往歴のある患者
2.2 妊婦又は妊娠している可能性のある女性[9.5参照]
○根治切除不能又は転移性の腎細胞癌
○切除不能な肝細胞癌
○根治切除不能な甲状腺癌
通常、成人にはソラフェニブとして1回400mgを1日2回経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。
<効能共通>
8.1 手足症候群、はく脱性皮膚炎、中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、多形紅斑、ケラトアカントーマ、皮膚有棘細胞癌があらわれることがあるので、必要に応じて皮膚科を受診するよう、患者に指導すること。[7.4、7.5、11.1.1-11.1.3参照]
8.2 肝機能障害、黄疸、肝不全があらわれることがあるので、本剤投与中は定期的に肝機能検査を行い、患者の状態を十分に観察すること。
なお、主に肝細胞癌又は肝硬変のある患者において肝性脳症が報告されているので、これらの患者に投与する際は、血中アンモニア値等の検査を行うとともに、意識障害等の臨床症状を十分に観察すること。[11.1.5参照]
8.3 急性肺障害、間質性肺炎があらわれることがあるので、呼吸困難、発熱、咳嗽等の臨床症状を十分に観察すること。また、呼吸困難、発熱、咳嗽等の症状があらわれた場合には速やかに連絡するよう患者に説明すること。[11.1.6参照]
8.4 血圧の上昇が認められることがあるので、本剤投与中は定期的に血圧測定を行うことが望ましい。高血圧クリーゼがあらわれることがあるので、血圧の推移等に十分注意しながら投与すること。高血圧があらわれた場合には、降圧剤の投与など適切な処置を行うこと。重症、持続性あるいは通常の降圧治療でコントロールできない高血圧があらわれた場合には、投与の中止を考慮すること。[9.1.1、11.1.7参照]
8.5 白血球減少、好中球減少、リンパ球減少、血小板減少、貧血があらわれることがあるので、定期的に白血球分画を含む血液学的検査を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。[7.4、7.5、11.1.13参照]
8.6 血清アミラーゼや血清リパーゼの上昇があらわれることがあるので、本剤投与中は定期的に膵酵素を含む血液検査を行うこと。[11.1.14参照]
8.7 創傷治癒を遅らせる可能性があるので、手術時は投与を中断することが望ましい。手術後の投与再開は患者の状態に応じて判断すること。
8.8 腫瘍崩壊症候群があらわれることがあるので、血清中電解質濃度及び腎機能検査を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。[11.1.22参照]
<根治切除不能な甲状腺癌>
8.9 定期的に血清カルシウム濃度を測定すること。
8.10 定期的に甲状腺刺激ホルモン濃度を測定すること。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 高血圧症の患者
高血圧が悪化するおそれがある。[8.4、11.1.7参照]
9.1.2 血栓塞栓症の既往のある患者
心筋虚血、心筋梗塞などがあらわれるおそれがある。[11.1.9参照]
9.1.3 脳転移のある患者
脳出血があらわれるおそれがある。
9.3 肝機能障害患者
9.3.1 重度の肝機能障害(Child-Pugh分類C)のある患者
臨床試験で除外されている。[16.6.2参照]
9.4 生殖能を有する者
妊娠可能な女性に対しては、投与中及び投与中止後少なくとも2週間は有効な避妊を行うよう指導すること。[9.5参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。動物実験(ラット、ウサギ)でヒトの臨床用量を下回る用量で胚・胎児毒性及び催奇形作用が報告されている
9.6 授乳婦
授乳しないことが望ましい。動物実験(ラット、経口投与)で乳汁中へ移行することが報告されている。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。動物実験で成長段階の若齢イヌに骨及び歯への影響が報告されている
9.8 高齢者
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に高齢者では生理機能が低下していることが多い。
14.1 薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
15.2 非臨床試験に基づく情報
反復投与毒性試験の病理組織学的検査で、ラット及びイヌにおいて精細管変性及び精巣上体の精子減少等、ラットにおいて黄体の中心壊死、卵胞の成熟抑制等が認められており、生殖機能及び受胎能に障害を及ぼす可能性が示唆されている
<PTP包装>
アルミ袋の開封後は吸湿により製剤の溶出性が低下することがあるので、湿気を避けて保存すること。
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| イリノテカン | イリノテカン及びその活性代謝物であるSN-38のAUCがそれぞれ26〜42%及び67〜120%増加するとの報告がある。 | 本剤はUGT1A1によるグルクロン酸抱合を阻害することにより、SN-38の代謝を阻害し、血中濃度を上昇させる可能性がある。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| ドキソルビシン | ドキソルビシンのAUCが21%増加したとの報告がある。 | 機序不明 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| CYP3A4誘導薬(リファンピシン、フェノバルビタール、フェニトイン、カルバマゼピン、デキサメタゾン等)及びセイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)含有食品 | リファンピシンとの併用により本剤のAUCが37%減少したとの報告がある。CYP3A4誘導薬等の併用により本剤の血漿中濃度が低下する可能性がある。 | In vitro試験において、本剤はCYP3A4によって代謝されることが示唆されている。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| ワルファリン[16.7.1参照] | ワルファリンを併用した症例において、出血又はプロトロンビン時間の延長(INR値の上昇)の報告がある。本剤とワルファリンを併用する場合には、定期的にプロトロンビン時間又はINRのモニタリングを行うこと。 | 機序不明 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| ドセタキセル | ドセタキセルのAUCが36〜80%増加したとの報告がある。 | 機序不明 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| パクリタキセル/カルボプラチン | パクリタキセル及びカルボプラチンとの併用により本剤のAUCが47%増加し、パクリタキセル及びその活性代謝物である6-OHパクリタキセルのAUCがそれぞれ29%及び50%増加したとの報告がある。 | 機序不明 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| カペシタビン | カペシタビン及びその活性代謝物であるフルオロウラシルのAUCがそれぞれ50%及び52%増加したとの報告がある。 | 機序不明 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| フラジオマイシン(経口剤:国内未発売)[16.7.2参照] | フラジオマイシンとの併用により本剤のAUCが54%低下したとの報告がある。抗生物質との併用により本剤の血漿中濃度が低下する可能性がある。 | フラジオマイシンの腸内細菌叢への影響により、本剤の腸肝循環が抑制される。 |
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 手足症候群(46.7%)、はく脱性皮膚炎(頻度不明)
皮膚症状があらわれた場合には対症療法、減量、休薬又は投与の中止を考慮すること。[7.4、7.5、8.1参照]
11.1.2 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)(頻度不明)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(頻度不明)、多形紅斑(1.4%)[8.1参照]
11.1.3 ケラトアカントーマ(0.6%)、皮膚有棘細胞癌(0.6%)[8.1参照]
11.1.4 出血(消化管出血、気道出血、脳出血、口腔内出血、鼻出血、爪床出血、血腫、腫瘍出血)(7.5%)
死亡に至る例が報告されている。重篤な出血が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
11.1.5 劇症肝炎(頻度不明)、肝機能障害・黄疸(0.8%)、肝不全(頻度不明)、肝性脳症(頻度不明)
劇症肝炎、AST、ALTの上昇を伴う肝機能障害、黄疸、肝不全、肝性脳症があらわれることがある。[8.2参照]
11.1.6 急性肺障害、間質性肺炎(いずれも頻度不明)
異常が認められた場合には速やかに胸部X線検査等を実施すること。急性肺障害、間質性肺炎が疑われた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。[8.3参照]
11.1.7 高血圧クリーゼ(頻度不明)[8.4、9.1.1参照]
11.1.8 可逆性後白質脳症症候群(頻度不明)
可逆性後白質脳症症候群が疑われた場合は、本剤の投与を中止し、血圧のコントロール、抗痙攣薬の投与等の適切な処置を行うこと。
11.1.9 心筋虚血・心筋梗塞(1.1%)
死亡に至る例が報告されている。[9.1.2参照]
11.1.10 うっ血性心不全(0.3%)
死亡に至る例が報告されている。
11.1.11 消化管穿孔(頻度不明)、消化管潰瘍(0.3%)
消化管穿孔により死亡に至る例が報告されている。
11.1.12 出血性腸炎、虚血性腸炎(いずれも頻度不明)
出血性腸炎、虚血性腸炎等の重篤な腸炎があらわれることがある。激しい腹痛・下痢・血便等の症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
11.1.13 白血球減少(1.5%)、好中球減少(1.2%)、リンパ球減少(1.8%)、血小板減少(2.1%)、貧血(3.4%)
感染症、出血傾向等の発現に留意すること。[7.4、7.5、8.5参照]
11.1.14 膵炎(0.3%)
腹痛等の膵炎を示唆する症状が認められた場合や膵酵素上昇が持続する場合には、本剤を休薬又は投与中止し、適切な処置を行うこと。[8.6参照]
11.1.15 腎不全(頻度不明)
11.1.16 ネフローゼ症候群(頻度不明)、タンパク尿(1.8%)
11.1.17 低ナトリウム血症(0.6%)
意識障害、全身倦怠感、嘔吐等を伴う低ナトリウム血症があらわれることがある。
11.1.18 ショック、アナフィラキシー(いずれも頻度不明)
呼吸困難、血管浮腫、発疹、血圧低下等があらわれることがある。
11.1.19 横紋筋融解症(頻度不明)
筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇等が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。また、横紋筋融解症による急性腎障害の発症に注意すること。
11.1.20 低カルシウム血症(2.8%)
異常が認められた場合には、血清カルシウム濃度を確認し、カルシウム剤やビタミンD製剤の投与等の適切な処置を行うこと。
11.1.21 動脈解離(頻度不明)
大動脈解離を含む動脈解離があらわれることがある
11.1.22 腫瘍崩壊症候群(頻度不明)
異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置(生理食塩液、高尿酸血症治療剤等の投与、透析等)を行うとともに、症状が回復するまで患者の状態を十分に観察すること。[8.8参照]
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
| 10%以上 | 1〜10%未満 | 0.1〜1%未満 | 頻度不明 | |
| 過敏症 | 過敏性反応(皮膚反応及びじん麻疹を含む) | |||
| 血液 | プロトロンビン時間延長、INR上昇 | |||
| 皮膚 | 脱毛、発疹・皮膚落屑、そう痒 | 皮膚乾燥、潮紅、ざ瘡 | 白血球破砕性血管炎、紅斑、過角化、湿疹 | |
| 精神神経系 | 末梢感覚神経障害、浮動性めまい | うつ、耳鳴 | ||
| 筋・骨格系 | 関節痛、筋痛 | 筋痙縮 | ||
| 呼吸器 | 嗄声 | 鼻漏 | ||
| 循環器 | 高血圧 | QT延長 | ||
| 消化器 | 下痢、リパーゼ上昇、口内炎(口内乾燥及び舌痛を含む)、食欲不振、悪心 | アミラーゼ上昇、便秘、嘔吐、消化不良、嚥下障害 | 胃炎 | 胃食道逆流性疾患 |
| 肝臓 | ALT上昇、AST上昇、Al-P上昇、ビリルビン上昇 | 胆のう炎 | 胆管炎、LDH上昇 | |
| その他 | 疼痛(口内疼痛、腹痛、骨痛、頭痛及びがん疼痛を含む)、疲労、体重減少 | 発熱、感染、浮腫、味覚異常、粘膜の炎症、低リン酸血症、低カリウム血症、インフルエンザ様症状、無力症、脱水 | 甲状腺機能低下、甲状腺機能亢進、高カリウム血症、勃起不全、女性化乳房 | 放射線照射リコール反応、毛包炎 |
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効果の強さ
投稿日: 2015/01/07 参考率: 97%(84人/87人)
内科/50代/処方経験あり