本剤は、緊急時に十分対応できる医療施設において、造血器悪性腫瘍の治療に対して十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分に説明し、同意を得てから投与を開始すること。
本剤の投与により、ウェルニッケ脳症を含む重篤な脳症が発現し、死亡に至った症例が報告されている。本剤投与中及び必要に応じて本剤投与前にビタミンB
1製剤の投与を行うこと。神経内科医との連携の下、神経学的症状を含む患者の状態を注意深く観察し、異常が認められた場合には、本剤の投与中止等の適切な対応を行うこと。[7.3、8.1、11.1.1参照]
本剤の投与により、敗血症等の重篤な感染症の発現が報告されていることから、十分な観察を行うなど感染症の発症に注意すること。[8.2、9.1.1-9.1.3、11.1.2参照]
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
骨髄線維症
通常、成人にはフェドラチニブとして1回400mgを1日1回経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。
ビタミンB
1(チアミン)の欠乏によりウェルニッケ脳症があらわれることがあるので、本剤の投与にあたっては、以下の事項に注意すること。[1.2、7.3、11.1.1参照]
本剤の投与開始前にビタミンB
1濃度を測定すること。ビタミンB
1の減少が認められる患者に対してはビタミンB
1補充を行い、ビタミンB
1濃度が回復するまで本剤投与を開始しないこと。
本剤投与中はビタミンB
1経口剤の投与を行い、ビタミンB
1欠乏症の症状又は徴候が認められる場合など、必要に応じてビタミンB
1濃度の測定を行うこと。
嘔吐、下痢等からビタミンB
1欠乏を含む低栄養状態等の悪化を引き起こす可能性があるため、制吐剤又は止瀉剤の予防投与を検討すること。
神経内科医との連携の下、神経学的症状を含む患者の状態を注意深く観察すること。
免疫抑制作用により、細菌、真菌、ウイルス又は原虫による感染症や日和見感染が発現又は悪化することがある。肝炎ウイルス、結核等が再活性化するおそれがあるので、本剤投与に先立って肝炎ウイルス、結核等の感染の有無を確認し、本剤の投与開始前に適切な処置の実施を考慮すること。本剤投与中は感染症の発現又は増悪に十分注意すること。[1.3、9.1.1-9.1.3、11.1.2参照]
骨髄抑制があらわれることがあるので、本剤の投与開始前及び投与中は定期的に血液検査(血球数算定、白血球分画等)を行い、患者の状態を十分に観察すること。[11.1.3参照]
肝機能障害があらわれることがあるので、本剤の投与開始前及び投与中は定期的に肝機能検査を行うこと。[11.1.5参照]
ぶどう膜炎があらわれることがあるので、眼の異常の有無を定期的に確認すること。また、眼の異常が認められた場合には、速やかに医療機関を受診するよう患者を指導すること。[11.1.7参照]
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 結核の既感染者(特に結核の既往歴のある患者及び胸部レントゲン上結核治癒所見のある患者)
結核を活動化させるおそれがある。[1.3、8.2、11.1.2参照]
9.1.2 感染症(敗血症、肺炎、ウイルス感染等)を合併している患者
免疫抑制作用により病態を悪化させるおそれがある。[1.3、8.2、11.1.2参照]
9.1.3 B型肝炎ウイルスキャリアの患者又は既往感染者(HBs抗原陰性、かつHBc抗体又はHBs抗体陽性)
B型肝炎ウイルスの再活性化による肝炎があらわれるおそれがある。[1.3、8.2、11.1.2参照]
9.2 腎機能障害患者
9.2.1 重度の腎機能障害のある患者(CLcr 15mL/min以上30mL/min未満)
本剤の開始用量を減量するとともに、患者の状態をより慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること。本剤の血中濃度が上昇し、副作用が強くあらわれるおそれがある。[7.4、16.6.1参照]
9.2.2 中等度の腎機能障害のある患者(CLcr 30mL/min以上60mL/min未満)
患者の状態をより慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること。本剤の血中濃度が上昇し、副作用が強くあらわれるおそれがある。[16.6.1参照]
9.3 肝機能障害患者
9.3.1 重度の肝機能障害のある患者(Child-Pugh分類C)
患者の状態をより慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること。本剤の血中濃度が上昇し、副作用が強くあらわれるおそれがある。[16.6.2参照]
9.4 生殖能を有する者
妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後1ヵ月間において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること。[9.5参照]
9.5 妊婦
妊娠又は妊娠している可能性のある女性には投与しないことが望ましい。動物実験(ラット)で、臨床曝露量の約0.08倍に相当する投与量で、胚・胎児毒性(着床後胚損失率の増加、胎児体重の低値、骨格変異の発現頻度増加)が認められている。[9.4参照]
9.6 授乳婦
授乳しないことが望ましい。本剤が乳汁に移行する可能性があり、乳児が乳汁を介して本剤を摂取した場合、乳児に重篤な副作用が発現するおそれがある。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
14.1 薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
15.1 臨床使用に基づく情報
心血管系事象のリスク因子を有する関節リウマチ患者を対象としたJAK阻害剤トファシチニブクエン酸塩の海外臨床試験の結果、主要評価項目である主要な心血管系事象(Major Adverse Cardiovascular Events:MACE)及び悪性腫瘍(非黒色腫皮膚癌を除く)の発現率について、TNF阻害剤群に対するハザード比(95%信頼区間)はそれぞれ1.33(0.91,1.94)及び1.48(1.04,2.09)であり、95%信頼区間上限は予め設定していた非劣性マージン1.8を超え、TNF阻害剤群に対する非劣性が検証されなかったことが報告されている。
15.2 非臨床試験に基づく情報
イヌの28日間反復投与毒性試験において、臨床曝露量を下回る用量から精巣上体・精巣の無精子症・乏精子症、精細管変性が認められた。
本剤は、主にCYP3Aで代謝され、一部はCYP2C19によっても代謝される。また、本剤はCYP3A、CYP2C19、CYP2D6、OCT2、MATE1及びMATE2-Kに対して阻害作用を示す。
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
強いCYP3A阻害剤リトナビル、イトラコナゾール、クラリスロマイシン等[7.5、16.7.1参照] | 本剤の副作用が増強されるおそれがあるので、これらの薬剤との併用は可能な限り避け、強いCYP3A阻害作用のない薬剤への代替を考慮すること。やむを得ず併用する場合には、本剤を減量するとともに、患者の状態を慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること。 | これらの薬剤がCYP3Aを阻害することにより、本剤の血中濃度が上昇する可能性がある。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
中程度のCYP3Aかつ強いCYP2C19阻害剤フルコナゾール[16.7.2参照] | 本剤の副作用が増強されるおそれがあるので、患者の状態を慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること。 | フルコナゾールがCYP3A及びCYP2C19を同時に阻害することにより、本剤の血中濃度が上昇する可能性がある。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
強い又は中程度のCYP3A誘導剤リファンピシン、フェニトイン、カルバマゼピン等[16.7.3、16.7.4参照] | 本剤の有効性が減弱するおそれがあるので、CYP3A誘導作用のない薬剤への代替を考慮すること。 | これらの薬剤がCYP3Aを誘導することにより、本剤の血中濃度が低下する可能性がある。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
CYP3Aの基質となる薬剤ミダゾラム、フェンタニル、トリアゾラム等[16.7.5参照] | これらの薬剤の副作用が増強されるおそれがあるので、患者の状態を慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること。 | 本剤がCYP3Aを阻害することにより、これらの薬剤の血中濃度が上昇する可能性がある。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
CYP2C19の基質となる薬剤オメプラゾール、ランソプラゾール、ジアゼパム等[16.7.5参照] | これらの薬剤の副作用が増強されるおそれがあるので、患者の状態を慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること。 | 本剤がCYP2C19を阻害することにより、これらの薬剤の血中濃度が上昇する可能性がある。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
CYP2D6の基質となる薬剤メトプロロール、アミトリプチリン、ペルフェナジン等[16.7.5参照] | これらの薬剤の副作用が増強されるおそれがあるので、患者の状態を慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること。 | 本剤がCYP2D6を阻害することにより、これらの薬剤の血中濃度が上昇する可能性がある。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
OCT2、MATE1及びMATE2-Kの基質となる薬剤メトホルミン、プロカインアミド等[16.7.6参照] | これらの薬剤の副作用が増強されるおそれがあるので、患者の状態を慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること。 | 本剤がOCT2、MATE1及びMATE2-Kを阻害することにより、これらの薬剤の腎クリアランスが低下する可能性がある。 |
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 脳症(ウェルニッケ脳症含む)(0.5%)
ビタミンB
1欠乏によりウェルニッケ脳症を含む脳症があらわれることがある。本剤投与中及び投与終了後は患者の状態を十分に観察し、運動失調、眼球運動障害(眼振、複視等)、傾眠、錯乱、記憶障害等の脳症を疑う症状が認められた場合には休薬し、ビタミンB
1製剤の静脈内又は筋肉内投与等の適切な処置を行うこと。また、神経内科医との連携の下、頭部MRI検査等を実施するとともに、本剤の投与中止等の適切な対応を行うこと。[1.2、7.3、8.1参照]
11.1.2 感染症
肺炎(1.8%)、敗血症(頻度不明)等の重篤な感染症の発現が報告されている。本剤投与中及び投与終了後は患者の状態を十分に観察すること。[1.3、8.2、9.1.1-9.1.3参照]
11.1.3 骨髄抑制
貧血(36.2%)、血小板減少(20.8%)、好中球減少(5.4%)があらわれることがある。[8.3参照]
11.1.4 出血
血栓性血小板減少性紫斑病(0.5%)、上部消化管出血(0.5%)等があらわれることがある。
11.1.5 肝機能障害
AST(3.6%)、ALT(7.2%)増加を伴う肝機能障害があらわれることがある。[8.4参照]
(頻度不明)
(0.9%)[8.5参照]
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
5%以上 | 5%未満 | 頻度不明 | |
胃腸 | 下痢(52.0%)、悪心(50.2%)、嘔吐(35.7%)、腹痛、便秘 | 膵炎、消化不良、上腹部痛 | |
神経系 | 頭痛 | 浮動性めまい、味覚不全 | |
皮膚 | そう痒症 | ||
代謝 | リパーゼ増加 | アミラーゼ増加、高カリウム血症 | |
腎 | 血中クレアチニン増加 | 排尿困難 | |
筋・骨格系 | 筋痙縮、骨痛、四肢痛 | ||
呼吸器 | 呼吸困難 | ||
感染症 | 尿路感染 | ||
血管 | 高血圧 | ||
その他 | 疲労 | 体重増加、無力症 |
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