本剤又は他のキサンチン系薬剤に対し重篤な副作用の既往歴のある患者
早産・低出生体重児における原発性無呼吸(未熟児無呼吸発作)
テオフィリンとして、初回投与量を4〜6mg/kg(本剤1〜1.5mL/kg)、維持投与量2〜6mg/kg/日(本剤0.5〜1.5mL/kg/日)を1日2〜3回に分けて、経口投与する。
なお、臨床症状、血中濃度に応じて適宜増減する。
テオフィリンによる副作用の発現はテオフィリン血中濃度の上昇に起因する場合が多いため、以下の場合についてテオフィリン血中濃度を測定することが望ましい。投与にあたっては副作用の発現に注意しながら慎重に投与し、副作用が発現した場合には減量又は投与を中止する。
副作用が発現した場合
投与量を変更する場合もしくは変更した場合
慎重投与に該当する患者に投与する場合(「慎重投与」の項参照)
早産・低出生体重児はクリアランスが児によって大きく異なる。また同一の児でも生後日数とともにクリアランスが変動することから、臨床症状に応じて投与量を調節することが望ましい。
重篤な心筋障害等のある患者〔心筋刺激作用を有するため症状を悪化させることがある。〕
痙攣の既往歴のある患者〔痙攣を誘発することがある。〕
急性腎炎の患者〔腎臓に対する負荷を高め、尿蛋白が増加するおそれがある。〕
腎障害のある患者〔テオフィリンクリアランスが低下し、テオフィリン血中濃度が上昇することがあるので、血中濃度測定等の結果により減量すること。〕
うっ血性心不全の患者〔テオフィリンクリアランスが低下し、テオフィリン血中濃度が上昇することがあるので、血中濃度測定等の結果により減量すること。〕
肝障害のある患者〔テオフィリンクリアランスが低下し、テオフィリン血中濃度が上昇することがあるので、血中濃度測定等の結果により減量すること。〕
発熱している患者〔テオフィリン血中濃度の上昇や痙攣等の症状があらわれることがある。〕
キサンチン系薬剤を投与されていた母体から生まれた患者〔テオフィリンは胎盤を通過することから、血中濃度測定等の結果により減量すること。「薬物動態」の項参照〕
キサンチン系薬剤を投与されている授乳婦から授乳されている患者〔テオフィリンは乳汁に移行することから、血中濃度測定等の結果により減量すること。「薬物動態」の項参照〕
症状
早産・低出生体重児においては、テオフィリン血中濃度が高値になると、血中濃度の上昇に伴い、消化器症状(嘔吐、下痢)や精神神経症状(興奮、痙攣、昏睡、振戦)、心・血管症状(頻脈、心室頻拍、血圧低下、心不全)、低カリウム血症、低ナトリウム血症、高血糖、呼吸促進等の中毒症状が発現しやすくなる。
一方、小児・成人においては、消化器症状(特に悪心、嘔吐)や精神神経症状(頭痛、不眠、不安、興奮、痙攣、せん妄、意識障害、昏睡等)、心・血管症状(頻脈、心室頻拍、心房細動、血圧低下等)、低カリウム血症、その他の電解質異常、呼吸促進、横紋筋融解症等の中毒症状が発現しやすくなる。
なお、軽微な症状から順次発現することなしに重篤な症状が発現することがある。
処置
過量投与時の処置には、テオフィリンを除去する方法と、出現している中毒症状に対する対症療法がある。消化管内に残存するテオフィリンの除去として、胃洗浄、活性炭の経口投与等があり、血中テオフィリンの除去として活性炭を吸着剤とした血液灌流、血液透析、交換輸血等がある。
なお、テオフィリン血中濃度が低下しても、組織に分布したテオフィリンにより血中濃度が再度上昇することがある。
痙攣の発現がある場合
気道を確保し、酸素を供給しながら、必要に応じて抗痙攣薬等(ジアゼパム静注等)の処置を行う。
不整脈の発現がある場合
不整脈治療として、抗不整脈薬の投与等適切な処置を行う。
保存時
開封後はできるだけ速やかに使用する。一部を使用した残液は、細菌汚染のおそれがあるので使用しないこと。(本剤は保存剤を含有していない。)
投与経路
経口用であるため血管内に投与しないこと。
投与時
アミノフィリン水和物の静脈内投与から本剤に切り換える場合は、投与量を変更する必要はない。(アミノフィリン水和物はテオフィリンを80%含有するが、早産・低出生体重児にテオフィリンを経口投与したときの生物学的利用率は80%程度であると報告されている。)
過量投与を避けるため、予め余分な薬液を排出後、投与することが望ましい。
本剤は冷所で保存した場合、過飽和となるため、結晶を析出することがある。析出した場合は温める等の操作を行い、溶解させた後に使用すること。
シリンジが破損するおそれがあるため、強い衝撃を避けること。
ブリスター包装内は滅菌されているので使用直前まで開封しないこと。また、開封後は速やかに使用すること。
開封後の使用は1回限りとし、使用済みシリンジは速やかに廃棄し、再使用しないこと。
ブリスター包装の内側に水滴が付着しているものや薬液の漏出があるものは使用しないこと。
注射筒が破損又は薬液が変色しているものは使用しないこと。
キャップ(ゴム栓)が破損又は外れているものは使用しないこと。
早産・低出生体重児では、小児・成人と比較してテオフィリンは未変化体のまま腎から排泄される割合が高く、テオフィリンクリアランスに関与する代謝の割合は低い。(「薬物動態」の項参照)薬物代謝酵素に影響を与える薬剤との併用においては、小児・成人と比較してテオフィリン血中濃度への影響は少ないと考えられる。
小児・成人で報告されている他のキサンチン系薬剤の相互作用を以下に示すので、これら薬剤の併用にも注意すること。
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| 他のキサンチン系薬剤アミノフィリン水和物コリンテオフィリンジプロフィリンカフェイン水和物等中枢神経興奮薬エフェドリン塩酸塩マオウ等 | 過度の中枢神経刺激作用があらわれることがある。(「過量投与」の項参照)副作用の発現に注意し、異常が認められた場合には減量又は投与を中止するなど適切な処置を行うこと。 | 併用により中枢神経刺激作用が増強される。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| 交感神経刺激剤(β刺激剤)イソプレナリン塩酸塩クレンブテロール塩酸塩ツロブテロール塩酸塩テルブタリン硫酸塩プロカテロール塩酸塩水和物等 | 低カリウム血症、心・血管症状(頻脈、不整脈等)等のβ刺激剤の副作用症状を増強させることがある。副作用の発現に注意し、異常が認められた場合には減量又は投与を中止するなど適切な処置を行うこと。 | 心刺激作用をともに有しており、β刺激剤の作用を増強するためと考えられる。低カリウム血症の増強についての機序は不明である。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| ハロタン | 不整脈等の副作用が増強することがある。また、連続併用によりテオフィリン血中濃度が上昇することがある。副作用の発現に注意し、異常が認められた場合には減量又は投与を中止するなど適切な処置を行うこと。 | テオフィリンとハロタンの心臓に対する作用の相加又は相乗効果と考えられる。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| ケタミン塩酸塩 | 痙攣があらわれることがある。痙攣の発現に注意し、異常が認められた場合には抗痙攣剤の投与など適切な処置を行うこと。 | 痙攣閾値が低下するためと考えられる。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| シメチジンメキシレチン塩酸塩プロパフェノン塩酸塩アミオダロン塩酸塩エノキサシン水和物ピペミド酸水和物塩酸シプロフロキサシンノルフロキサシントスフロキサシントシル酸塩水和物パズフロキサシンメシル酸塩プルリフロキサシンエリスロマイシンクラリスロマイシンロキシスロマイシンチアベンダゾールチクロピジン塩酸塩ベラパミル塩酸塩ジルチアゼム塩酸塩フルボキサミンマレイン酸塩フルコナゾールジスルフィラムデフェラシロクス | テオフィリンの中毒症状があらわれることがある。(「過量投与」の項参照)副作用の発現に注意し、異常が認められた場合には減量又は投与を中止するなど適切な処置を行うこと。 | 肝薬物代謝酵素が阻害され、テオフィリンクリアランスが低下するため、テオフィリン血中濃度が上昇すると考えられる。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| アシクロビルバラシクロビル塩酸塩インターフェロンイプリフラボンシクロスポリンアロプリノール | テオフィリンの中毒症状があらわれることがある。(「過量投与」の項参照)副作用の発現に注意し、異常が認められた場合には減量又は投与を中止するなど適切な処置を行うこと。 | テオフィリン血中濃度の上昇によると考えられる。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| ザフィルルカスト | テオフィリンの中毒症状があらわれることがある。(「過量投与」の項参照)副作用の発現に注意し、異常が認められた場合には減量又は投与を中止するなど適切な処置を行うこと。また、ザフィルルカストの血中濃度を低下させることがある。 | 肝薬物代謝酵素が阻害され、テオフィリンクリアランスが低下するため、テオフィリン血中濃度が上昇すると考えられる。ザフィルルカストの血中濃度低下についての機序は不明である。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| リファンピシンフェノバルビタールランソプラゾールリトナビル | テオフィリンの効果が減弱することがある。テオフィリン血中濃度が低下することがあるので、適切な処置を行うこと。 | 肝薬物代謝酵素の誘導によりテオフィリンクリアランスが上昇するため、テオフィリン血中濃度が低下すると考えられる。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| フェニトインカルバマゼピン | テオフィリン及び相手薬の効果が減弱することがある。テオフィリン血中濃度が低下することがあるので、適切な処置を行うこと。また、相手薬の効果減弱や血中濃度の低下に注意すること。 | 肝薬物代謝酵素の誘導によりテオフィリンクリアランスが上昇するため、テオフィリン血中濃度が低下すると考えられる。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| ジピリダモール | ジピリダモールの作用を減弱させることがある。 | アデノシン拮抗作用による。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| ラマトロバン | ラマトロバンの血中濃度が上昇することがある。 | ラマトロバンの血中濃度上昇についての機序は不明である。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| リルゾール | リルゾールの作用を増強(副作用発現)するおそれがある。 | in vitro試験でリルゾールの代謝を阻害することが示唆されている。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| タバコ | 禁煙(禁煙補助剤であるニコチン製剤使用時を含む)によりテオフィリンの中毒症状があらわれることがある。(「過量投与」の項参照)副作用の発現に注意し、異常が認められた場合には減量又は投与を中止するなど適切な処置を行うこと。 | 喫煙により肝薬物代謝酵素が誘導され、テオフィリンクリアランスが上昇し、テオフィリン血中濃度が低下すると考えられる。また、禁煙により血中濃度が上昇すると考えられる。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| セイヨウオトギリソウ(St.John's Wort、セント・ジョーンズ・ワート)含有食品 | 本剤の代謝が促進され血中濃度が低下するおそれがあるので、本剤投与時はセイヨウオトギリソウ含有食品を摂取しないよう注意すること。 | セイヨウオトギリソウにより誘導された肝薬物代謝酵素が本剤の代謝を促進し、クリアランスを上昇させるためと考えられている。 |
使用実態下における安全性及び有効性に関する調査(調査期間:2006年10月17日〜2009年3月31日)において、安全性解析対象症例205症例中、9例(4.4%)に10件の副作用が認められた。その内訳は、腹部膨満5件(2.4%)、嘔吐1件(0.5%)、高ビリルビン血症1件(0.5%)、頻脈1件(0.5%)、代謝性アシドーシス1件(0.5%)、血中ビリルビン増加1件(0.5%)であった。
国内外で早産・低出生体重児の原発性無呼吸にキサンチン系薬剤を投与した症例で、文献上、以下の有害事象が報告されているが、因果関係については明らかになっていない。以下のような副作用があらわれた場合には症状に応じて使用を中止するなど適切な処置を行うこと。
壊死性腸炎、痙攣、高血糖、脳室内出血、未熟児網膜症、動脈管開存症、心機能不全、低ナトリウム血症、興奮、頻脈、嘔吐、腹部膨満、コーヒー残渣様物質、尿蛋白、尿糖、慢性肺疾患、気胸・間質性肺気腫、低カルシウム血症
以下の副作用は、他のキサンチン系薬剤で報告されており、早産・低出生体重児でも発現する可能性がある。
ショック、アナフィラキシーショック(蕁麻疹、蒼白、発汗、血圧低下、呼吸困難等)があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
痙攣又はせん妄、昏睡等の意識障害があらわれることがあるので、抗痙攣剤の投与等適切な処置を行うこと。
痙攣、意識障害等に引き続き急性脳症に至ることがあるので、このような症状があらわれた場合には投与を中止し、抗痙攣剤の投与等適切な処置を行うこと。
横紋筋融解症があらわれることがあるので、脱力感、筋肉痛、CK(CPK)上昇等に注意し、このような症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うとともに横紋筋融解症による急性腎不全の発症に注意すること。
潰瘍等による消化管出血(吐血、下血等)があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
赤芽球癆があらわれることがあるので、貧血があらわれた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
肝機能障害(AST(GOT)、ALT(GPT)の上昇等)、黄疸があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
頻呼吸、高血糖症があらわれることがある。
| 頻度不明 | |
| 過敏症 | 発疹、 |
| 精神神経系 | 頭痛、不眠、神経過敏(興奮、不機嫌、いらいら感)、不安、めまい、耳鳴、振戦、しびれ、不随意運動、筋緊張亢進 |
| 循環器 | 顔面潮紅、動悸、頻脈、顔面蒼白、不整脈(心室性期外収縮等) |
| 消化器 | 悪心、嘔吐、食欲不振、腹痛、下痢、腹部膨満感、消化不良(胸やけ等)、しゃっくり |
| 泌尿器 | 蛋白尿、頻尿 |
| 代謝異常 | 血清尿酸値上昇、CK(CPK)の上昇 |
| 肝臓 | AST(GOT)、ALT(GPT)、Al-P、LDH、γ-GTPの上昇 |
| 血液 | 貧血、好酸球増多 |
| その他 | むくみ、倦怠感、関節痛、四肢痛、胸痛、発汗、低カリウム血症、鼻出血、しびれ(口、舌周囲) |
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