重篤な肝障害のある患者〔肝障害が悪化するおそれがある。〕
<適応菌種>
本剤に感性の結核菌
<適応症>
肺結核及びその他の結核症
通常成人は,イソニアジドとして1日量200〜500mg(4〜10mg/kg)を1〜3回に分けて,毎日または週2日経口投与する。
必要な場合には,1日量成人は1gまで,13才未満は20mg/kgまで増量してもよい。
年齢,症状により適宜増減する。なお,他の抗結核薬と併用することが望ましい。
他の抗結核薬との併用により,重篤な肝障害があらわれることがあるので,併用する場合は定期的に肝機能検査を行うこと(「相互作用」,「重大な副作用」の項参照)。
肝障害又はその既往歴,あるいはその疑いのある患者〔肝障害が悪化または再発するおそれがある。〕
腎障害またはその疑いのある患者〔本剤の血中濃度が上昇し,末梢神経炎等の副作用が生じやすくなる。〕
精神障害の既往歴のある患者〔精神障害が再発するおそれがある。〕
アルコール中毒のある患者〔肝障害,精神障害が起こるおそれがある。〕
てんかん等の痙攣性疾患またはこれらの既往歴のある患者〔痙攣を起こすことがあるので,やむを得ず投与する必要がある場合には観察を十分に行うこと。〕
薬物過敏症の患者
血液障害,出血傾向のある患者〔これらの症状が悪化するおそれがある。〕
症状
中毒時の症状としては痙攣,昏睡,代謝性アシドーシス,高血糖があらわれることがある。
処置
痙攣の抑制にはジアゼパムを,代謝性アシドーシスには炭酸水素ナトリウムを静脈内注射する。
イソニアジドの服用量と同量のピリドキシンを静脈内注射する。
気道を確保し,十分な呼吸を確保する。
重症の場合,血液灌流(DHP)を行うことが望ましい。
マウスによる実験〔例:飼料中0.01〜0.25%混入(約15mg〜375mg/kg体重)7ヶ月間経口投与〕で肺腫瘍の発生が報告されている。しかし,ラット及びハムスターによる実験では腫瘍誘発作用は報告されていない。また,ヒトにおいては腫瘍発生との関連性は認められなかったとする疫学的調査結果が報告されている。
配合変化
糖類,アルデヒド基かケトン基を含む薬物,ヨウ素,第二鉄塩と配合変化する。
炭酸水素ナトリウム,乾燥水酸化アルミニウムゲル,ビタミンB1,アスコルビン酸,酸化マグネシウム,グルコン酸鉄により着色する。
グリセリン酸カルシウム,ジアスターゼにより湿潤する。
乳糖と混合すると黄色を呈する。
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| 他の抗結核薬(リファンピシン等) | 重篤な肝障害があらわれることがある。定期的に肝機能検査を行うこと。 | リファンピシンの肝薬物代謝酵素誘導作用により,本剤の代謝が促進され,肝毒性を有する代謝物の産生が増加すると考えられている。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| クマリン系抗凝固薬(ワルファリン) | ワルファリンの作用を増強し,プロトロンビン時間の延長が認められることがある。 | 本剤がワルファリンの肝薬物代謝を阻害し,血中濃度が上昇すると考えられている。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| 抗てんかん薬(フェニトイン,カルバマゼピン等) | これらの作用を増強し,中毒症状が発現することがある。また,カルバマゼピンでは本剤の肝毒性が増強されることがある。 | 本剤が抗てんかん薬の肝薬物代謝を阻害し,血中濃度が上昇する。また,カルバマゼピンが肝毒性を有する本剤の代謝物の産生を促進すると考えられている。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| 経口糖尿病用薬(トルブタミド等),インスリン | これらの血糖降下作用を減弱または増強することがある。血糖値の観察を十分に行うこと。 | 血糖降下作用の減弱については,本剤が炭水化物代謝を阻害し,血中ブドウ糖濃度上昇および糖耐性障害を引き起こすと考えられている。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| ジスルフィラム | 協調困難,情緒障害等があらわれることがある。 | 本剤とジスルフィラムがそれぞれカテコールアミン代謝酵素を阻害すると考えられている。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| サイクロセリン | めまい,眠気等の中枢神経系の副作用を増強するとの報告がある。 | 機序は不明である。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| シクロスポリン | シクロスポリンの作用が減弱することがある。 | 本剤の肝薬物代謝酵素誘導作用により,シクロスポリンの代謝を促進し,血中濃度を低下させると考えられている。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| イトラコナゾール | イトラコナゾールの作用が減弱するおそれがある。 | 機序は明らかでないが,本剤の肝薬物代謝酵素誘導作用により,イトラコナゾールの代謝を促進し,血中濃度を低下させると考えられている。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| 血圧降下薬,交感神経興奮薬,副交感神経抑制薬,三環系抗うつ薬 | これらの作用を増強するおそれがある。 | 機序は明らかではないが,MAO阻害に関連していると考えられている。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| レボドパ | レボドパの作用が減弱するおそれがある。 | 機序は明らかではないが,本剤によりドパ脱炭酸酵素が阻害されると考えられている。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| 水酸化アルミニウム含有の制酸剤 | 本剤の効果が減弱されるおそれがある。この作用は薬剤の服用時間をずらすことにより,弱まるとの報告がある。 | これらの薬剤とキレートを形成または,吸着し,本剤の吸収が低下すると考えられている。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| 塩酸ペチジン | 呼吸抑制,低血圧,昏睡,痙攣等があらわれるおそれがある。併用する場合には,定期的に臨床症状を観察し,用量に注意する。 | 神経系のセロトニンの取り込みを阻害する塩酸ペチジンとMAO阻害作用をもつ本剤との併用により,中枢神経のセロトニンが蓄積すると考えられている。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| ヒスチジンを多く含有する魚(マグロ等) | 頭痛,紅斑,嘔吐,そう痒等のヒスタミン中毒をおこすことがある。 | 本剤のヒスタミン代謝阻害作用により,体内にヒスタミンが蓄積すると考えられている。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| チラミンを多く含有する食物(チーズ等) | 血圧上昇,動悸を起こすことがある。 | 本剤のMAO阻害作用により,チラミンは不活性化されず,アドレナリン作動性神経終末部において蓄積されているカテコールアミンの遊離を促進すると考えられている。 |
本剤は使用成績調査等の副作用発現頻度が明確となる調査を実施していない。
(頻度不明)
下記の重大な副作用があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
劇症肝炎等の重篤な肝障害
定期的に肝機能検査を行うこと。
中毒性表皮壊死
SLE様症状
(症状:発熱,紅斑,筋肉痛,関節痛,リンパ節腫脹,胸部痛等)
(処置方法:副腎皮質ホルモン剤投与等)
間質性肺炎
(症状:発熱,咳嗽,呼吸困難,胸部X線異常,好酸球増多等)
(処置方法:副腎皮質ホルモン剤投与等)
腎不全,間質性腎炎,ネフローゼ症候群
(症状:発熱,皮疹,乏尿,浮腫,蛋白尿,腎機能検査値異常等)
無顆粒球症,血小板減少
痙攣
視神経炎,視神経萎縮
(症状:視力低下,中心暗点等)
(処置方法:ビタミンB6投与等)
末梢神経炎
(症状:四肢の異常感覚,しびれ感,知覚障害,腱反射低下,筋力低下,筋萎縮等)
(処置方法:ビタミンB6投与等)
下記の副作用があらわれることがあるので,異常が認められた場合には必要に応じ中止するなど適切な処置を行うこと。
| 0.1〜5%未満 | 0.1%未満 | 頻度不明 | |
| 肝臓 | AST(GOT)上昇,ALT(GPT)上昇等, | 黄疸 | |
| 過敏症 注) | 発熱,発疹等 | ||
| 血液 | 出血傾向 | 貧血,赤芽球癆,白血球減少,好酸球増多等 | |
| 精神神経系 | 頭痛,めまい,倦怠感等 | 精神障害 | |
| 中枢神経系 | 小脳障害 | ||
| 消化器 | 食欲不振,悪心,嘔吐,胃部膨満感,腹痛,便秘等 | ||
| 内分泌 | 女性化乳房,乳汁分泌,月経障害,インポテンス | ||
| その他 | 関節痛 |
注)再投与が必要な場合には減感作を行うこと。
イソニアジド「三恵」 9.2円/g
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