B型慢性肝炎を合併している患者では,本剤の投与中止により,B型慢性肝炎が再燃するおそれがあるので,本剤の投与を中断する場合には十分注意すること。特に非代償性の場合,重症化するおそれがあるので注意すること。[9.1.1参照]
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
通常,成人には1回1錠(エムトリシタビンとして200mg及びテノホビル ジソプロキシルフマル酸塩として300mgを含有)を1日1回経口投与する。なお,投与に際しては必ず他の抗HIV薬と併用すること。
<効能共通>
8.1 本剤投与前にクレアチニンクリアランス,尿糖及び尿蛋白の検査を実施すること。また,本剤投与後も定期的な検査等により患者の状態を注意深く観察すること。[7.3,9.2.1,10.2,11.1.1,16.6.1参照]
8.2 テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩を含む多剤併用療法を長期間行った患者において,骨粗鬆症が現れ,大腿骨頚部等の骨折を起こした症例が報告されている。長期投与時には定期的に骨密度検査を行う等骨密度減少に注意し,異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。なお,テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩の試験において,144週間の投与により腰椎と大腿骨頚部の骨密度の減少が見られている。骨密度の減少した患者の大部分は,投与開始後24〜48週目にかけて発現し,以降は144週目まで持続していた。
8.3 アジア系人種におけるエムトリシタビン製剤の薬物動態は十分検討されていないが,少数例の健康成人及びB型慢性肝炎のアジア系人種において,Cmaxの上昇を示唆する成績が得られているので,HBV感染症合併患者を含め,副作用の発現に注意すること。
8.4 エムトリシタビン製剤の臨床試験において皮膚変色が発現し,その発現頻度は有色人種で高いことが示唆されている。その原因は現在のところ不明である。
<治療>
8.5 本剤の使用に際しては,国内外のガイドライン等の最新の情報を参考に,患者又はそれに代わる適切な者に次の事項についてよく説明し同意を得た後,使用すること。
8.5.1 本剤はHIV感染症の根治療法薬ではないことから,日和見感染症を含むHIV感染症の進展に伴う疾病を発症し続ける可能性があるので,本剤投与開始後の身体状況の変化についてはすべて担当医に報告すること。
8.5.2 本剤の長期投与による影響については現在のところ不明であること。
8.6 本剤を含む抗HIV薬の多剤併用療法を行った患者で,免疫再構築炎症反応症候群が報告されている。投与開始後,免疫機能が回復し,症候性のみならず無症候性日和見感染(マイコバクテリウムアビウムコンプレックス,サイトメガロウイルス,ニューモシスチス等によるもの)等に対する炎症反応が発現することがある。また,免疫機能の回復に伴い自己免疫疾患(甲状腺機能亢進症,多発性筋炎,ギラン・バレー症候群,ブドウ膜炎等)が発現するとの報告があるので,これらの症状を評価し,必要時には適切な治療を考慮すること。
<曝露前予防>
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 B型肝炎ウイルス感染を合併している患者
本剤の投与を中断する場合には十分注意すること。B型慢性肝炎を合併している患者では,本剤の投与中止により,B型慢性肝炎が再燃するおそれがある。特に非代償性の場合,重症化するおそれがある。[1.参照]
9.1.2 腎機能障害のリスクを有する患者
血清リンの検査を実施すること。
9.2 腎機能障害患者
9.2.1 中等度及び重度の腎機能障害のある患者
エムトリシタビン及びテノホビルの血中濃度が上昇する。[7.
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には,治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物試験(サル)においてテノホビルの胎児への移行が報告されている
9.6 授乳婦
授乳を避けさせること。エムトリシタビン及びテノホビルのヒト乳汁への移行が報告されており
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
患者の肝,腎及び心機能の低下,合併症,併用薬等を十分に考慮すること。
13.1 処置
エムトリシタビン及びテノホビルは血液透析により一部除去される。[16.6.1参照]
15.2 非臨床試験に基づく情報
15.2.1 テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩のマウスを用いたがん原性試験(2年間)において,臨床用量におけるヒトの全身曝露量の16倍で雌に肝細胞腺腫が高頻度に発現したとの報告がある。
開栓後は,湿気を避けて保存すること。
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| ジダノシン[16.7.2参照] | ジダノシンによる有害事象を増強するおそれがあるので,ジダノシンの減量を考慮すること。 | テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩製剤とジダノシン製剤の併用により,ジダノシンのAUC及びCmaxが上昇する。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| アタザナビル硫酸塩[16.7.2参照] | アタザナビルの治療効果が減弱するおそれがあるので,本剤とアタザナビル硫酸塩を併用する場合には,本剤とアタザナビル300mgをリトナビル100mgとともに投与することが望ましい。また,本剤による有害事象を増強するおそれがある。 | テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩製剤とアタザナビル硫酸塩製剤の併用により,アタザナビルのAUCが25%,Cmaxが21%,Cminが40%低下し,テノホビルのAUCが24%,Cmaxが14%,Cminが22%上昇する。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| ロピナビル・リトナビル[16.7.2参照] | 本剤による有害事象を増強するおそれがある。 | テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩製剤とロピナビル・リトナビル製剤の併用により,テノホビルのAUCが32%,Cminが51%上昇する。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| アシクロビル,バラシクロビル,ガンシクロビル,バルガンシクロビル等 | これらの薬剤又は本剤による有害事象を増強するおそれがある。 | 尿細管への能動輸送により排泄される薬剤と併用する場合,排泄経路の競合により排泄が遅延し,これらの薬剤,エムトリシタビン又はテノホビルの血中濃度が上昇するおそれがある。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| ダルナビル+リトナビル[16.7.2参照] | 本剤による有害事象を増強するおそれがある。 | テノホビルのAUC,Cmax及びCminが上昇する。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| レジパスビル・ソホスブビル[16.7.2参照] | 本剤による有害事象を増強するおそれがある。 | テノホビルのAUC,Cmax及びCminが上昇する。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| 腎毒性を有する薬剤[7.3,8.1,9.2.1,11.1.1,16.6.1参照] | 併用は避けることが望ましい。 | 腎毒性を有する薬剤は腎機能障害の危険因子となる。 |
次の副作用が現れることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 腎不全又は重度の腎機能障害(0.3%)
腎機能不全,腎不全,急性腎障害,近位腎尿細管機能障害,ファンコニー症候群,急性腎尿細管壊死,腎性尿崩症又は腎炎等の重度の腎機能障害が現れることがあるので,臨床検査値に異常が認められた場合には,投与を中止する等,適切な処置を行うこと。特に腎機能障害の既往がある患者や腎毒性のある薬剤が投与されている患者では注意すること。[7.3,8.1,9.2.1,10.2,16.6.1参照]
11.1.2 膵炎(0.1%)
血中アミラーゼ,リパーゼ,血中トリグリセリド等の検査値の上昇がみられた場合には,投与を中止する等,適切な処置を行うこと。
11.1.3 乳酸アシドーシス及び脂肪沈着による重度の肝腫大(脂肪肝)(頻度不明)
乳酸アシドーシス又は肝細胞毒性が疑われる臨床症状又は検査値異常(アミノトランスフェラーゼの急激な上昇等)が認められた場合には,本剤の投与を一時中止すること。特に肝疾患の危険因子を有する患者においては注意すること。本剤を含む核酸系逆転写酵素阻害薬の単独投与又はこれらの併用療法により,重篤な乳酸アシドーシス及び脂肪沈着による重度の肝腫大(脂肪肝)が,女性に多く報告されている。
次の副作用が現れることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
| 2%以上 | 2%未満 | 頻度不明注1) | |
| 代謝及び栄養障害 | 食欲不振,食欲亢進,食欲減退 | 高脂血症,体脂肪の再分布/蓄積,体重減少,高コレステロール血症,高血糖,低リン酸血症,低カリウム血症,高尿酸血症,糖尿病 | |
| 精神障害 | うつ病,神経過敏,不安,リビドー減退,睡眠障害,感情不安定 | ||
| 神経系障害 | 頭痛(2.7%) | 浮動性めまい,不眠症,傾眠 | 錯感覚,異常な夢,ニューロパチー,末梢性ニューロパチー,前庭障害,思考異常,味覚異常,振戦 |
| 呼吸器,胸郭及び縦隔障害 | 気管支炎,鼻炎,呼吸困難,咽頭炎 | ||
| 胃腸障害 | 悪心(10.9%),下痢(7.0%) | 嘔吐,鼓腸,腹部膨満,口内乾燥,腹痛,上腹部痛 | 消化不良,便秘,胃炎,胃腸障害,口臭,アフタ性潰瘍,おくび |
| 肝胆道系障害 | 脂肪肝,肝炎,肝機能異常 | ||
| 皮膚及び皮下組織障害 | 皮膚色素過剰(2.3%) | 発疹 | そう痒症,皮膚変色,多汗症,皮膚乾燥,脱毛症,湿疹,ざ瘡,脂漏,帯状疱疹,単純ヘルペス,皮膚良性新生物 |
| 筋骨格系及び結合組織障害 | 筋肉痛,関節痛,骨障害,背部痛,側腹部痛,筋痙攣,骨軟化症,ミオパチー,骨粗鬆症 | ||
| 一般・全身障害及び投与部位の状態 | 疲労(3.1%) | 発熱,ほてり | 無力症,疼痛,倦怠感,悪寒,胸痛,末梢性浮腫 |
| 臨床検査注2) | 血中アミラーゼ増加(7.5%),CK増加(7.1%),血中トリグリセリド増加(4.3%),AST増加(2.8%),好中球数減少(2.8%),ALT増加(2.0%),血尿(2.0%) | Al-P増加,血中ブドウ糖増加,尿糖 | リパーゼ増加,血中ビリルビン増加,血中リン減少,血小板数減少,蛋白尿,血中クレアチニン増加,γ-GTP増加 |
| その他 | 白血球減少症,血管拡張,感染,頻尿,インフルエンザ症候群,視覚異常,多尿,アレルギー反応,高血圧 |
注1)エムトリシタビン製剤又はテノホビル ジソプロキシルフマル酸塩製剤の臨床試験,市販後の調査及び自発報告等で報告された副作用を示した。
注2)エムトリシタビン製剤とテノホビル ジソプロキシルフマル酸塩製剤の併用による比較試験で発現したグレード3及び4(NIAID DAIDSの重症度分類)の臨床検査値異常を示した。
ツルバダ配合錠 2442.4円/錠
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