1.1 本剤投与により下記の副作用等が発現するおそれがあるので、蘇生処置ができる準備をしておくこと。負荷試験中(本剤投与開始から心筋シンチグラフィ施行終了時まで)は血圧及び心電図の継続した監視を行い、注意深く患者を観察すること。また、検査の継続が困難と判断した場合には検査を中断し、本剤投与中であれば直ちに投与を中止すること。
1.1.1 致死的心停止、心室頻拍、心室細動、非致死性心筋梗塞を発現することがある。特に不安定狭心症患者では、その危険性が増大するおそれがあるので、薬物治療によっても安定化しない不安定狭心症の患者には投与しないこと。[2.1、9.1.1参照]
1.1.2 房室ブロックが発現することがある。特に房室ブロックを有している患者では、症状が増悪するおそれがある。[2.2、9.1.3参照]
1.1.3 過度の血圧低下を起こすことがある。特に交感神経機能異常、狭窄性心臓弁疾患、心膜炎や心膜滲出、脳血流不全を伴う狭窄性頸動脈疾患、未処置の循環血液量減少等の患者では症状が増悪するおそれがある。[9.1.5参照]
1.1.4 呼吸困難が発現することがある。特に慢性閉塞性肺疾患(肺気腫、慢性気管支炎等)のある患者ではその危険性が増大するおそれがあり、負荷試験後の回復期間も含め、注意深く観察すること。[9.1.6参照]
1.2 喘息等の気管支攣縮性肺疾患のある患者、その既往のある患者あるいはその疑いのある患者に本剤が投与された場合、呼吸停止を含む重篤な呼吸障害を発症することがあるので、これらの疾患に関する病歴調査を必ず行い、疑わしい場合は本剤を投与しないこと。[2.7参照]
2.1 薬物治療によっても安定化しない不安定狭心症の患者[刺激伝導抑制作用及び陰性変力作用が増強され、症状が増悪するおそれがある。][1.1.1、9.1.1参照]
2.2 II度又はIII度房室ブロックのある患者(人工ペースメーカーが装着されている患者を除く)[症状が増悪するおそれがある。][1.1.2参照]
2.3 洞不全症候群又は症候性の著しい洞性徐脈のある患者(人工ペースメーカーが装着されている患者を除く)[刺激伝導抑制作用により、症状が増悪するおそれがある。]
2.4 QT延長症候群の患者[刺激伝導抑制作用により、徐脈が発現した場合、Torsade de pointesを惹起させるおそれがある。]
2.5 高度な低血圧のある患者[末梢血管拡張作用により、症状が増悪するおそれがある。]
2.6 代償不全状態にある心不全の患者[陰性変力作用により心不全の急性増悪を来すおそれがある。]
2.7 喘息等の気管支攣縮性肺疾患のある患者、その既往のある患者あるいはその疑いのある患者[呼吸停止を含む重篤な呼吸障害を発症することがある][1.2参照]
2.8 アデノシンに対し過敏症の既往歴のある患者
2.9 ジピリダモール、メチルキサンチン類(無水カフェイン・カフェイン水和物、テオフィリン、アミノフィリン水和物)を投与中又はカフェインを含む飲食物を摂取した患者[8.6、10.1参照]
十分に運動負荷をかけられない患者において心筋血流シンチグラフィによる心臓疾患の診断を行う場合の負荷誘導
1分間当たりアデノシンとして120μg/kgを6分間持続静脈内投与する(アデノシン総投与量0.72mg/kg)。
8.1 本剤投与前に患者の病歴を確認し、薬剤負荷心筋シンチグラフィの実施可否について判断するとともに、検査実施中に何らかの異常を認めた場合には速やかに訴えるように患者に指導すること。
8.2 本剤投与開始から心筋シンチグラフィ施行終了時まで、血圧、心拍数、心電図及び自他覚所見等の観察を注意深く行うこと。また、負荷を行う検査室には除細動器を含めた救急備品を準備すること。[11.1.1-11.1.6参照]
8.3 胸痛、房室ブロック、不整脈等が出現し、検査の継続が困難と判断した場合には検査を中断し、本剤投与中であれば直ちに投与を中止すること。必要に応じてアミノフィリン水和物静脈内投与、硝酸剤舌下投与等の処置を行うこと。[11.1.3参照]
8.4 本剤の末梢血管拡張作用により過度の血圧低下を発現することがあるので、検査の継続が困難と判断した場合には検査を中断し、本剤投与中であれば直ちに投与を中止すること。承認前の国内臨床試験では収縮期血圧80mmHg未満の患者は対象から除外とした。また、国内臨床試験で120μg/kg/minを投与された症例のうち36.3%(120/331例)で20mmHg以上の収縮期血圧の低下を認めた。[11.1.2参照]
8.5 本剤投与により血圧(収縮期及び拡張期)が上昇することがあるので、本剤投与開始から投与終了まで注意深く血圧を監視すること。
8.6 患者にはコーヒー、紅茶、日本茶、コーラ、チョコレート等カフェインを含む飲食物は検査の12時間前から摂取しないよう指示すること。また、検査の2時間前から食事や喫煙をやめるように指示すること。[2.9、10.1参照]
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 不安定狭心症の患者(薬物治療によっても安定化しない不安定狭心症の患者は除く)[1.1.1、2.1参照]
9.1.2 心筋梗塞急性期の患者
本剤の刺激伝導抑制作用及び陰性変力作用により、症状の悪化又は不整脈を発現するおそれがある。
9.1.3 I度房室ブロックや脚ブロックのある患者
伝導障害をさらに悪化させるおそれがある。[1.1.2参照]
9.1.4 心房細動や心房粗動のある患者及び副伝導路のある患者
状態が増悪するおそれがある。
9.1.5 交感神経機能異常、狭窄性心臓弁疾患、心膜炎や心膜滲出、脳血流不全を伴う狭窄性頸動脈疾患、未処置の循環血液量減少の患者
過度の血圧低下を来すおそれがある。[1.1.3参照]
9.1.6 慢性閉塞性肺疾患(肺気腫、慢性気管支炎等)の患者[1.1.4参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、本剤の負荷心筋シンチグラフィによる診断の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
本剤投与開始から心筋シンチグラフィ施行終了時まで注意深く心電図及び血圧を監視すること。海外において加齢とともに房室ブロック、血圧低下、不整脈、ST-T変化の発現率が漸増することが報告されている。
13.1 症状
アデノシンの半減期は10秒未満であることから、本剤の投与を終了あるいは中止すれば速やかに回復することが考えられるが、本邦及び米国において、僅かながら遅延性あるいは持続性の症状発現も認められている。
13.2 処置
アデノシン受容体拮抗作用のあるアミノフィリン水和物を静脈内投与する。
14.1 薬剤調製時の注意
14.1.1 本剤は注射用液剤としてバイアルに充填されており、原液のまま使用すること。
14.2 薬剤投与時の注意
14.2.1 薬剤負荷開始とともに本剤が確実に静脈内に注入されるように、予め本剤を投与経路(チューブ内)に充填しておくこと。
14.2.2 体重あたりの投与速度換算表は次のとおりである。
| 体重(kg) | 投与速度(mL/min) |
| 40 | 1.6 |
| 50 | 2.0 |
| 60 | 2.4 |
| 70 | 2.8 |
| 80 | 3.2 |
低温下(0℃付近)では結晶が析出することがあるので、このような場合には体温付近まで加温し、溶解した後に使用すること。
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| ジピリダモールペルサンチン[2.9参照] | 完全房室ブロック、心停止等が発現することがある。ジピリダモールの投与を受けた患者に本剤を投与する場合には少なくとも12時間の間隔をおくこと。もし完全房室ブロック、心停止等の症状が現れた場合は本剤の投与を中止すること。 | ジピリダモールは体内でのアデノシンの血球、血管内皮や各臓器での取り込みを抑制し、血中アデノシン濃度を増大させることによりアデノシンの作用を増強する。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| メチルキサンチン類無水カフェイン・カフェイン水和物テオフィリン(テオドール)アミノフィリン水和物(ネオフィリン)カフェインを含む飲食物コーヒー、紅茶、日本茶、コーラ、チョコレート等[2.9、8.6参照] | メチルキサンチン類によりアデノシンによる冠血流速度の増加及び冠血管抵抗の減少を抑制し、虚血診断に影響を及ぼすことがある。本剤を投与する場合は12時間以上の間隔をあけること。 | メチルキサンチン類はアデノシン受容体に拮抗するため、アデノシンの作用を減弱させる。 |
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 心停止(頻度不明)、心室頻拍(頻度不明)、心室細動(頻度不明)、心筋梗塞(頻度不明)[8.2参照]
11.1.2 過度の血圧低下(0.5%)[8.2、8.4参照]
11.1.3 洞房ブロック(頻度不明)、完全房室ブロック(頻度不明)
必要に応じてアミノフィリン水和物静脈内投与を行うこと。[8.2、8.3参照]
11.1.4 呼吸障害(頻度不明)
呼吸停止に至る重篤な呼吸障害が認められることがある。重篤な呼吸障害が発現した場合は直ちに本剤の投与を中止すること。[8.2参照]
11.1.5 肺浮腫(頻度不明)
重篤な肺浮腫が発現した場合は直ちに本剤の投与を中止すること。[8.2参照]
11.1.6 脳血管障害(頻度不明)
脳血管障害の発現が疑われた場合は、直ちに本剤の投与を中止すること。[8.2参照]
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
| 5%以上 | 0.5〜5%未満 | 0.5%未満 | 頻度不明 | |
| 循環器 | 胸痛・胸部不快感・心窩部不快感(36.9%)、血圧低下、ST-T変化、房室ブロック | 胸部・心窩部圧迫感、頻脈、心室性期外収縮、上室性期外収縮、動悸、血圧上昇、QT延長 | 洞停止、心房細動、洞房ブロック、脚ブロック、冠動脈攣縮、徐脈、QRS幅拡大 | |
| 呼吸器 | 息切れ・呼吸困難 | 頻呼吸 | 鼻炎、気管支痙攣、咳 | |
| 過敏症 | 皮疹 | 紅斑 | ||
| 精神神経系 | めまい、あくび | 不安・神経過敏、異常感覚、振戦、傾眠、意識消失 | ||
| 消化器 | 口渇、腹痛、腹部不快感、嘔気・嘔吐 | 歯痛 | 嚥下困難、胃腸不快感 | |
| 血液 | 赤血球減少、血小板減少、ヘモグロビン減少、ヘマトクリット値低下 | 白血球増加、白血球減少、血小板増加 | ||
| 肝臓 | ALT上昇 | ALP上昇、総ビリルビン上昇 | ||
| 腎臓 | BUN上昇、クレアチニン上昇 | |||
| 全身 | 熱感(16.7%)、頭痛・頭重感 | 潮紅、喉・首・顎の不快感、倦怠感、異常感 | 背部痛、発汗・冷汗 | 無力症、背部不快感、上肢不快感、下肢不快感、気分不良 |
| その他 | 眼のかすみ、鼻腔・口内異常感覚、総コレステロール上昇、総コレステロール減少、CK上昇 | 弱視、眼痛、耳痛、味覚倒錯 |
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