本剤の投与終了後、ウイルス再増殖に伴い、肝機能の悪化もしくは肝炎の重症化が認められることがある。そのため、本剤の投与を終了する場合には、投与終了後少なくとも4ヵ月間は原則として2週間ごとに患者の臨床症状と臨床検査値(HBV-DNA、ALT及び必要に応じ総ビリルビン)を観察し、その後も観察を続けること。
特に、免疫応答の強い患者(黄疸の既往のある患者、重度の急性増悪の既往のある患者、等)あるいは非代償性肝疾患の患者(組織学的に進展し、肝予備能が少ない患者を含む)では、投与終了後に肝炎が重症化することがあり、投与終了後の経過観察をより慎重に行う必要がある。この様な患者では本剤の投与終了が困難となり、長期にわたる治療が必要になる場合がある。[8.3、8.5、9.3.2参照]
本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある患者
B型肝炎ウイルスの増殖を伴い肝機能の異常が確認されたB型慢性肝疾患におけるB型肝炎ウイルスの増殖抑制
通常、成人にはアデホビル ピボキシルとして、1回10mgを1日1回経口投与する。
8.1 本剤の投与中は血清クレアチニン等の腎機能検査値の測定を行うなど、腎機能障害の発現に注意すること。[7.2、9.2、11.1.1、11.1.2、16.6.1参照]
8.2 ファンコニー症候群を含む腎尿細管障害による低リン血症から骨軟化症があらわれ、骨折することがあるので、本剤の投与開始前及び投与中は、血清リン、アルカリフォスファターゼ等を測定し、それらの変動を定期的に観察すること。[11.1.1、11.1.2参照]
8.3 本剤によるB型慢性肝疾患の治療は、投与中のみでなく投与終了後も十分な経過観察が必要であり、経過に応じて適切な処置が必要なため、B型慢性肝疾患の治療に十分な知識と経験を持つ医師のもとで使用すること。[1.、8.5、9.3.2参照]
8.4 本剤による治療により他者へのHBV感染が避けられることは証明されていない旨を患者に説明すること。
8.5 本剤は、投与中止により肝機能の悪化もしくは肝炎の重症化を起こすことがある。本内容を患者に説明し、患者が自己の判断で投与を中止しない様に十分指導すること。[1.、8.3、9.3.2参照]
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 HIV重複感染患者
本剤を投与開始するにあたっては、抗HIV薬の治療によりHIV RNAがコントロールされていることを確認すること。本剤のHIVに対する有効性は示されていない。また、抗HIV薬による治療を開始していないHIV重複感染患者において、抗HIV薬を投与せずにB型肝炎に対し本剤を投与した場合、HIVの変異があらわれる可能性がある。
HIVに重複感染している患者に対し、本剤及びラミブジン(300mg/日)を併用投与した使用経験は限られている
9.2 腎機能障害患者
投与間隔を調節すること。本剤はアデホビルとして主に腎排泄されるため、高い血中濃度が持続し、腎機能障害が増悪する可能性がある。[7.3、8.1、11.1.1、11.1.2、16.6.1参照]
9.3 肝機能障害患者
9.3.1 重度の肝疾患患者、B型肝硬変患者
投与初期に肝機能検査値の測定を行う等十分注意すること。
9.3.2 免疫応答の強い患者あるいは非代償性肝疾患の患者
免疫応答の強い患者(黄疸の既往のある患者、重度の急性増悪の既往のある患者、等)あるいは非代償性肝疾患の患者(組織学的に進展し、肝予備能が少ない患者を含む)では、投与終了後の経過観察をより慎重に行う必要がある。投与終了後に肝炎が重症化することがある。また、この様な患者では本剤の投与終了が困難となり、長期にわたる治療が必要になる場合がある。非代償性肝硬変患者を対象とした本剤単独投与での有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。[1.、5.2、8.3、8.5、17.1.6参照]
9.4 生殖能を有する者
妊娠可能な女性に対して本剤投与中及び本剤投与後一定期間は避妊するよう指導すること。[9.5参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物実験(ラット)においてアデホビルの静脈内投与時に、早期吸収胚数の増加及び催奇形性が認められた。[9.4参照]
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。本剤は、主として腎臓から排泄されるが、高齢者では腎機能が低下していることが多いため、高い血中濃度が持続するおそれがある。[16.5、16.6.1参照]
13.1 症状
推奨用量の25〜50倍量(250mg/日、500mg/日)をHIV感染症患者に対して14日間投与したところ、軽微から中等度の胃腸症状が認められた
13.2 処置
本剤は血液透析により除去することができ、血液透析クリアランス(体重補正値の中央値)は104mL/hr/kgである。
15.1 臨床使用に基づく情報
血中の遊離型カルニチンは、本剤の代謝物であるピバリン酸と抱合体を形成し腎排泄されるため、カルニチン欠乏症の患者では血中カルニチン濃度が低下する可能性がある。
15.2 非臨床試験に基づく情報
15.2.1 アデホビル ピボキシル及びアデホビルはそれぞれマウスのリンパ腫細胞を用いた遺伝子突発変異試験及びヒトの培養リンパ球を用いた
15.2.2 アデホビル ピボキシルのラット及びサルを用いた反復経口投与毒性試験において、尿細管上皮の細胞及び核の大型化、単細胞壊死、変性/再生を特徴とする尿細管性腎症がみられた。
本剤は吸湿性があるため専用の容器にて保存し、常時乾燥剤を入れておくこと。
アデホビルは
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| イブプロフェン[16.7.2参照] | 高用量のイブプロフェン(800mg×3回/日)との併用においてアデホビルの最高血漿中濃度(Cmax)が33%増加し、血中濃度−時間曲線下面積(AUC)が23%増加したとの報告がある。 | 腎クリアランスには影響がなく、アデホビルの吸収率の増加によるものと考えられる。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| 尿細管分泌(ヒト有機アニオントランスポーター1(hOAT1))により排泄される薬剤 | アデホビルあるいは併用薬の血中濃度が上昇する可能性がある。 | hOAT1を介した排泄が競合するためと考えられる。 |
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 腎不全(頻度不明)、ファンコニー症候群(頻度不明)等の重度の腎機能障害
腎機能障害、腎不全、腎尿細管障害、ファンコニー症候群があらわれることがあるため、腎機能検査を行う等観察を十分に行い、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。海外の臨床試験において、本剤10mg/日を投与した肝移植前後の患者で腎機能低下が認められた。これらの症例の多くは、シクロスポリン及びタクロリムスの投与、腎機能低下、高血圧、糖尿病及び移植を含む腎機能障害の危険因子を有していた。なお、これら肝移植前後の患者の4%(467例中19例)が、腎臓に関連する有害事象のために本剤の投与を中止した。[7.2、8.1、8.2、9.2、11.1.2参照]
11.1.2 骨軟化症(頻度不明)、骨折(頻度不明)
長期投与により、ファンコニー症候群を含む腎尿細管障害による低リン血症から、骨痛、関節痛、筋力低下を伴う骨軟化症があらわれ、骨折することがある。低リン血症があらわれた場合には、リンを補充するなど、適切な処置を行うこと。リンを補充する際は併せて活性型ビタミンDの投与も考慮すること。[8.1、8.2、9.2、11.1.1参照]
11.1.3 乳酸アシドーシス及び脂肪沈着による重度の肝腫大(脂肪肝)(頻度不明)
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
| 1〜2%未満 | 頻度不明 | |
| 皮膚 | 発疹 | そう痒症 |
| 腎臓 | クレアチニン増加 | 腎機能障害 |
| 消化器 | 悪心 | 腹痛、下痢、鼓腸、消化不良 |
| 精神神経系 | 頭痛 | |
| その他 | 無力症、血中リン減少、ミオパチー |
本剤の投与終了により肝機能の悪化もしくは肝炎の重症化が認められることがあり、代償性B型慢性肝疾患患者を対象とした海外での臨床試験における投与終了後の観察期間中の主な有害事象として、肝機能検査値異常(ALT上昇、AST上昇等)が報告されている。なお、これらは単剤投与に基づく結果である。
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