2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
SARS-CoV-2による感染症
通常、成人及び体重40kg以上の小児にはレムデシビルとして、投与初日に200mgを、投与2日目以降は100mgを1日1回点滴静注する。
通常、体重3.5kg以上40kg未満の小児にはレムデシビルとして、投与初日に5mg/kgを、投与2日目以降は2.5mg/kgを1日1回点滴静注する。
なお、総投与期間は10日までとする。
8.1 肝機能障害があらわれることがあるので、投与前及び投与開始後は定期的に肝機能検査を行い、患者の状態を十分に観察すること。[11.1.1参照]
8.2 Infusion Reaction、アナフィラキシーを含む過敏症があらわれることがあるので、患者の状態を十分に観察するとともに、異常が認められた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。また、これらの発現を回避できる可能性があるため、本剤の緩徐な投与を考慮すること。[7.1、11.1.2参照]
8.3 添加剤スルホブチルエーテルβ-シクロデキストリンナトリウムにより腎機能障害があらわれるおそれがあるので、投与前及び投与開始後は定期的に腎機能検査を行い、患者の状態を十分に観察すること。[9.2参照]
9.2 腎機能障害患者
添加剤スルホブチルエーテルβ-シクロデキストリンナトリウムの尿細管への蓄積により、腎機能障害が悪化するおそれがある。非臨床試験でレムデシビルに腎尿細管への影響が認められている。[8.3、15.2、16.6.2参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。妊娠ラット及びウサギを用いた胚・胎児への影響に関する試験で、レムデシビル20mg/kgまでを静脈内投与した場合(主要血中代謝物(ヌクレオシド類似体)の全身曝露量(AUC)が国内承認用量投与時曝露量の4倍に相当)、胚・胎児発生に対する影響は認められなかった。雌ラットを用いた受胎能及び初期胚発生への影響に関する試験において、レムデシビル10mg/kgを静脈内投与した場合(主要血中代謝物(ヌクレオシド類似体)の全身曝露量(AUC)が国内承認用量投与時曝露量の1.3倍に相当)、黄体数・胚着床数・生存胚数の減少が認められている。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。レムデシビル及び代謝物であるヌクレオシド類似体(GS-441524)がヒト乳汁中に移行することが報告されている
9.7 小児等
治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。28日齢未満の小児等を対象とした臨床試験結果は得られていない。[16.6.1参照]
9.8 高齢者
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下しており、既往歴や合併症を伴っていることが多くみられる。
14.1 薬剤調製時の注意
14.1.1 再溶解には、注射用水のみを用いること。
14.1.2 バイアルに19mLの注射用水を加え、直ちに30秒間撹拌し、2〜3分間静置した後、澄明な溶液であることを確認する(濃度5mg/mL)。内容物が溶解しきれない場合は、撹拌及び静置を繰り返す。
14.1.3 容器施栓系に欠陥・変色がなく、溶液中に微粒子がないことを目視で確認する。欠陥・変色や微粒子がみられた場合は使用しないこと。
14.1.4 成人及び体重40kg以上の小児については、初日の投与(レムデシビルとして200mg)の場合は、2バイアルを用い、各バイアルから20mLずつ(合計40mL)を、2日目以降(レムデシビルとして100mg)の投与の場合は、1バイアルから20mLをとり、生理食塩液に添加して全量を100mL又は250mLとする。体重3.5kg以上40kg未満の小児については、表1及び表2を参考に調製する。
14.1.5 静かに20回を目安に反転させて混和させるが、振とうは避けること。
14.1.6 注射用水で溶解してから、20〜25℃で24時間又は2〜8℃で48時間以内に使用すること
| 体重(kg) | 初日の投与量(mg) | バイアル数 | 希釈後のバイアルから抜き取る量(mL) | 生理食塩液に添加後の全量(mL) |
| 3.5 | 17.5 | 1 | 3.5 | 25 |
| 4 | 20 | 1 | 4 | |
| 5 | 25 | 1 | 5 | |
| 7.5 | 37.5 | 1 | 7.5 | 50 |
| 10 | 50 | 1 | 10 | |
| 15 | 75 | 1 | 15 | 100 |
| 20 | 100 | 1 | 20 | |
| 25 | 125 | 2 | 25(20+5) | |
| 30 | 150 | 2 | 30(20+10) | |
| 35 | 175 | 2 | 35(20+15) | 250 |
| 体重(kg) | 体重40kg未満の小児における維持用量(mg) | バイアル数 | 希釈後のバイアルから抜き取る量(mL) | 生理食塩液に添加後の全量(mL) |
| 3.5 | 8.8 | 1 | 1.8 | 25 |
| 4 | 10 | 1 | 2 | |
| 5 | 12.5 | 1 | 2.5 | |
| 7.5 | 18.8 | 1 | 3.8 | 50 |
| 10 | 25 | 1 | 5 | |
| 15 | 37.5 | 1 | 7.5 | |
| 20 | 50 | 1 | 10 | |
| 25 | 62.5 | 1 | 12.5 | 100 |
| 30 | 75 | 1 | 15 | |
| 35 | 87.5 | 1 | 17.5 |
14.2 薬剤投与時の注意
14.2.1 他の薬剤と同時に投与しないこと。生理食塩液以外との適合性は不明である。
14.2.2 本剤は保存剤を含有しないため、調製後の未使用の希釈液及び使用後の残液は廃棄すること。
15.1 臨床使用に基づく情報
SARS-CoV-2による感染症患者を対象とした臨床試験(NIAID ACTT-1)では、プロトロンビン時間延長又は国際標準化比(INR)増加の発現割合はプラセボ群と比較して本剤投与群で高かった。なお、両投与群間で出血イベントの発現に差は認められなかった。
15.2 非臨床試験に基づく情報
アカゲザルを用いた7日間静脈内投与試験の20mg/kg/日群で腎毒性に伴う死亡、5mg/kg/日以上の群で血中尿素窒素・クレアチニンの増加等の腎機能障害、腎尿細管の組織傷害性、ラットを用いた14又は28日間静脈内投与試験において、臨床曝露量未満(10mg/kg/日以上)で血中腎機能マーカー異常・尿素窒素及びクレアチニンの増加、並びに尿中電解質・タンパク異常、腎尿細管の組織傷害性が認められた。なお、カニクイザルを用いた28日間静脈内投与試験で、最高用量10mg/kg/日群で腎毒性は認められていない。
レムデシビルは有機アニオン輸送ポリペプチド(OATP)1B1の基質である。また、中間代謝物(GS-704277)はOATP1B1及びOATP1B3の基質である。[16.7.1参照]
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| ヒドロキシクロロキン硫酸塩クロロキン(国内未承認) | レムデシビルの抗ウイルス活性が低下する可能性がある。 | レムデシビルの活性代謝物の生成及び抗ウイルス活性をクロロキンが阻害する可能性がある。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| シクロスポリン[16.7.2参照] | レムデシビル及び中間代謝物(GS-704277)の血漿中濃度が上昇するおそれがある。 | シクロスポリンの強力なOATP1B1/3阻害作用による。 |
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 肝機能障害
ALT上昇に加えて、肝機能障害の徴候又は検査値異常(抱合型ビリルビン、ALP又はINRの異常)が認められた場合には、投与を中止すること。[8.1参照]
11.1.2 過敏症(Infusion Reaction、アナフィラキシーを含む)
低血圧、血圧上昇、頻脈、徐脈、低酸素症、発熱、呼吸困難、喘鳴、血管性浮腫、発疹、悪心、嘔吐、発汗、悪寒等があらわれることがある。[8.2参照]
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
| 1%以上4%未満 | 0.1%以上1%未満 | 頻度不明 | |
| 血液およびリンパ系障害 | 貧血 | ||
| 心臓障害 | 徐脈 | ||
| 胃腸障害 | 悪心 | 嘔吐、便秘、下痢 | |
| 一般・全身障害および投与部位の状態 | 注入部位疼痛、疲労、発熱、悪寒 | ||
| 肝胆道系障害 | 高トランスアミナーゼ血症、高ビリルビン血症 | ||
| 臨床検査 | ALT増加、AST増加 | プロトロンビン時間延長、肝酵素上昇、肝機能検査値上昇、糸球体濾過率減少、血中クレアチニン増加、血中ビリルビン増加、トランスアミナーゼ上昇、ヘモグロビン減少 | |
| 代謝および栄養障害 | 高トリグリセリド血症 | ||
| 筋骨格系および結合組織障害 | 関節痛 | ||
| 神経系障害 | 頭痛、浮動性めまい | ||
| 精神障害 | 不眠症 | ||
| 皮膚および皮下組織障害 | 発疹、そう痒症、斑状皮疹 | ||
| 血管障害 | 静脈炎 |
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