1.1 膵炎を発症する可能性のある小児の患者(膵炎の既往歴のある小児、膵炎を発症させることが知られている薬剤との併用療法を受けている小児)では、本剤の適用を考える場合には、他に十分な効果の認められる治療法がない場合にのみ十分注意して行うこと。これらの患者で膵炎を疑わせる重度の腹痛、悪心・嘔吐等又は血清アミラーゼ、血清リパーゼ、トリグリセリド等の上昇があらわれた場合は、本剤の投与を直ちに中止すること。[8.4、9.1.1、9.7.2、11.1.3参照]
1.2 B型慢性肝炎を合併している患者では、ラミブジンの投与中止により、B型慢性肝炎が再燃するおそれがあるので、本剤の投与を中断する場合には十分注意すること。特に非代償性の場合、重症化するおそれがあるので注意すること。[9.1.2参照]
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
HIV感染症
通常、成人及び12歳以上かつ体重40kg以上の小児には、1回1錠(ドルテグラビルとして50mg及びラミブジンとして300mg)を食事の有無に関わらず1日1回経口投与する。
8.1 本剤による治療は、抗HIV療法に十分な経験を持つ医師のもとで開始すること。
8.2 本剤の使用に際しては、国内外のガイドライン等の最新の情報を参考に、患者又は患者に代わる適切な者に、次の事項についてよく説明し同意を得た後、使用すること。
・本剤はHIV感染症の根治療法薬ではないことから、日和見感染を含むHIV感染症の進展に伴う疾病を発症し続ける可能性があるので、本剤投与開始後の身体状況の変化については、すべて担当医に報告すること。
・本剤は併用薬と相互作用を起こすことがあるため、服用中のすべての薬剤等(サプリメントを含む)を担当医に報告すること。また、本剤で治療中に新たに他の薬剤等を服用する場合には、事前に担当医に報告すること。
・担当医の指示なしに用量を変更したり、服用を中止したりしないこと。
・本剤の長期投与による影響については、現在のところ不明であること。
8.3 抗HIV薬の多剤併用療法を行った患者で、免疫再構築炎症反応症候群が報告されている。投与開始後、免疫機能が回復し、症候性のみならず無症候性日和見感染症(マイコバクテリウムアビウムコンプレックス、サイトメガロウイルス、ニューモシスチス等によるもの)等に対する炎症反応が発現することがある。また、免疫機能の回復に伴い自己免疫疾患(甲状腺機能亢進症、多発性筋炎、ギラン・バレー症候群、ブドウ膜炎等)が発現するとの報告があるので、これらの症状を評価し、必要時には適切な治療を考慮すること。
8.4 膵炎が発症する可能性があるので、血清アミラーゼ、血清リパーゼ、トリグリセリド等の生化学的検査を定期的に行うこと。[1.1、9.1.1、9.7.2、11.1.3参照]
8.5 肝機能障害、黄疸があらわれることがあるので、定期的に肝機能検査を行う等、観察を十分に行うこと。[9.1.3、11.1.8参照]
8.6 重篤な血液障害、乳酸アシドーシス、脂肪沈着による重度の肝腫大(脂肪肝)、横紋筋融解症、ニューロパチー、錯乱状態、痙攣、心不全があらわれることがあるので、定期的に検査を行うなど観察を十分に行うこと。[9.2.2、11.1.2、11.1.4-11.1.7参照]
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 膵炎を発症する可能性のある患者(膵炎の既往歴のある患者、膵炎を発症させることが知られている薬剤との併用療法を受けている患者)
膵炎を再発又は発症するおそれがある。本剤の適用を考える場合には、他に十分な効果の認められる治療法がない場合にのみ十分注意して行うこと。[1.1、8.4、9.7.2、11.1.3参照]
9.1.2 B型慢性肝炎を合併している患者
本剤の投与を中断する場合には十分注意すること。B型慢性肝炎を合併している患者では、本剤の投与中止により、B型慢性肝炎が再燃するおそれがある。特に非代償性の場合、重症化するおそれがある。[1.2参照]
9.1.3 B型又はC型肝炎ウイルス感染患者
肝機能の悪化(トランスアミナーゼ上昇又は増悪)のおそれがある。ドルテグラビル単剤の臨床試験において、B型又はC型肝炎ウイルス重複感染患者では、ドルテグラビルの投与によりトランスアミナーゼ上昇又は増悪の発現頻度が非重複感染患者より高かった。[8.5、11.1.8参照]
9.2 腎機能障害患者
9.2.1 腎機能障害(クレアチニンクリアランスが30mL/min未満)を有する患者
ラミブジンの高い血中濃度が持続するおそれがある。[5.3、16.6.1参照]
9.2.2 腎機能障害(クレアチニンクリアランスが30〜49mL/min)を有する患者
血液検査等をより頻回に行うなど、慎重に患者の状態を観察すること。ラミブジンに関連する副作用の発現が疑われる場合は、個別のドルテグラビル製剤又はラミブジン製剤を用いてラミブジンの用量調節を考慮すること。ラミブジンの高い血中濃度が持続するおそれがある。[5.3、8.6、16.6.1参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
海外の観察研究において、無脳症や二分脊椎などの神経管閉鎖障害が、受胎前からドルテグラビル含有製剤を服用していた妊婦から生まれた児
9.5.1 ドルテグラビル
ドルテグラビルはヒト胎盤を通過する。ドルテグラビルの母体血漿中濃度に対する胎児臍帯血漿中濃度の比(中央値[範囲])は、1.28[1.21-1.28]であることが報告されている
9.5.2 ラミブジン
ヒト胎盤を通過する。出生児の血清中ラミブジン濃度は、分娩時の母親の血清中及び臍帯血中の濃度と同じであることが報告されている(外国人データ)。動物実験(ウサギ)で胎児毒性(早期の胚死亡数の増加)が報告されている。NRTIを子宮内曝露又は周産期曝露された新生児及び乳児において、ミトコンドリア障害によると考えられる軽微で一過性の血清乳酸値の上昇が報告されている。また、非常にまれに発育遅延、てんかん様発作、他の神経疾患も報告されている。しかしながら、これら事象とNRTIの子宮内曝露、周産期曝露との関連性は確立していない。
9.6 授乳婦
本剤投与中は授乳を避けさせること。一般に、HIVの乳児への移行を避けるため、あらゆる状況下においてHIVに感染した女性は授乳すべきでない。
9.6.1 ドルテグラビル
ドルテグラビルはヒト乳汁中に移行する。ドルテグラビルの母体血漿中濃度に対する乳汁中濃度の比(中央値[範囲])は、0.033[0.021-0.050]であることが報告されている
9.6.2 ラミブジン
経口投与されたラミブジンはヒト乳汁中に排泄されることが報告されている(乳汁中濃度:<0.5-8.2μg/mL)
9.7 小児等
9.7.1 小児等を対象とした本剤の臨床試験は実施していない。
9.7.2 膵炎を発症する可能性のある小児の患者(膵炎の既往歴のある小児、膵炎を発症させることが知られている薬剤との併用療法を受けている小児)では、本剤の適用を考える場合には、他に十分な効果の認められる治療法がない場合にのみ十分注意して行うこと。[1.1、8.4、9.1.1、11.1.3参照]
9.8 高齢者
患者の状態を観察しながら注意して投与すること。一般に、高齢者では生理機能(肝機能、腎機能、心機能等)が低下しており、合併症を有している又は他の薬剤を併用している場合が多い。ラミブジンは、主として未変化体として腎から排泄されるが、高齢者では腎機能が低下していることが多いため、高い血中濃度が持続するおそれがある。
13.1 処置
ドルテグラビルは血液透析により除去される可能性は低いことが報告されている
15.2 非臨床試験に基づく情報
ラミブジンについては、遺伝毒性試験において弱い染色体異常誘発作用を示したとの報告がある。また、長期のがん原性試験において発がん性を認めなかったとの報告がある。ヒト末梢血リンパ球を用いた染色体異常試験では300μg/mL以上、マウスリンパ腫細胞を用いた遺伝子突然変異試験では2000μg/mL以上で陽性を示した。マウス及びラットを用いた長期のがん原性試験では、臨床用量におけるヒト全身曝露量(AUC)の10倍(マウス)及び58倍(ラット)までの曝露量において、発がん性は認められなかった。
ドルテグラビルは主にUGT1A1で代謝され、一部CYP3A4でも代謝される。また、ドルテグラビルは有機カチオントランスポーター2(OCT2)及びMultidrug and Toxin Extrusion 1(MATE1)を阻害する。ラミブジンはOCT2、MATE1及びMATE2-Kの基質である。[7.、16.4.1、16.7.1、16.7.2参照]
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| ピルシカイニド塩酸塩水和物 | ピルシカイニドの血漿中濃度を上昇させる可能性がある。併用により、ピルシカイニドで重大な副作用として報告されている心室頻拍、洞停止及び心室細動等の発現及び重篤化があらわれるおそれがあるので、併用中は注意深く観察すること。 | ドルテグラビルのOCT2及びMATE1の阻害作用により、ピルシカイニドの排出が阻害される可能性がある。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| カルバマゼピン[7.1、7.2、16.7.1参照] | ドルテグラビルの血漿中濃度をCmaxで33%、Cτで73%低下させたとの報告がある。 | カルバマゼピンがCYP3A4及びUGT1A1を誘導することにより、ドルテグラビルの代謝が促進される。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| フェニトインホスフェニトインフェノバルビタールセイヨウオトギリソウ(St.John's Wort,セント・ジョーンズ・ワート)含有食品[7.1、7.2参照] | ドルテグラビルの血漿中濃度を低下させる可能性がある。 | これらの薬剤並びにセイヨウオトギリソウがCYP3A4及びUGT1A1を誘導することにより、ドルテグラビルの代謝が促進される。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| リファンピシン[7.1、7.2、16.7.1参照] | ドルテグラビルの血漿中濃度をCmaxで43%、Cτで72%低下させたとの報告がある。 | リファンピシンがCYP3A4及びUGT1A1を誘導することにより、ドルテグラビルの代謝が促進される。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| 多価カチオン(Mg,Al等)含有製剤[16.7.1参照] | ドルテグラビルの血漿中濃度をCmaxで72%、C24で74%低下させる。本剤は多価カチオン含有製剤の投与2時間前又は6時間後の投与が推奨される。 | これらの多価カチオンと錯体を形成することにより、ドルテグラビルの吸収が阻害される。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| 鉄剤、カルシウム含有製剤(サプリメント等)[16.7.1参照] | ドルテグラビルの血漿中濃度をCmaxで35%、C24で32%低下させる。食事と同時に摂取する場合を除き、本剤は鉄剤、カルシウム含有製剤の投与2時間前又は6時間後の投与が推奨される。 | 鉄、カルシウムと錯体を形成することにより、ドルテグラビルの吸収が阻害される。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| メトホルミン塩酸塩[16.7.1参照] | メトホルミンの血漿中濃度をドルテグラビル50mg1日1回投与時及び1日2回投与時でCmaxでそれぞれ66%及び111%上昇させる。注意深く観察し、必要に応じてメトホルミンを減量する等慎重に投与すること。 | ドルテグラビルのOCT2及びMATE1の阻害作用により、メトホルミンの排出が阻害される可能性がある。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| スルファメトキサゾール・トリメトプリム[16.7.2参照] | ラミブジンのAUCが43%増加し、全身クリアランスが30%、腎クリアランスが35%減少したとの報告がある。 | トリメトプリムのOCT2、MATE1及びMATE2-Kの阻害作用により、ラミブジンの腎排泄が阻害されると考えられている。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| ソルビトール | 経口ソルビトール溶液(ソルビトールとして3.2g、10.2g、13.4g)とラミブジンの併用により、ラミブジンのAUCが減少した(それぞれ18%、36%、42%減少)との報告がある。 | ソルビトールによりラミブジンの吸収が抑制されると考えられている。 |
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 薬剤性過敏症症候群(頻度不明)
初期症状として発疹、発熱がみられ、さらに肝機能障害、リンパ節腫脹、好酸球増多等を伴う遅発性の重篤な過敏症状があらわれることがある。なお、投与中止後も発疹、発熱、肝機能障害等の症状が再燃あるいは遷延化することがあるので注意すること。
11.1.2 重篤な血液障害
赤芽球癆(頻度不明)、汎血球減少(頻度不明)、貧血(頻度不明)、白血球減少(頻度不明)、好中球減少(頻度不明)、血小板減少(0.1%)[8.6参照]
11.1.3 膵炎(頻度不明)
血清アミラーゼ、血清リパーゼ、トリグリセリド等の検査値の上昇がみられた場合には、直ちに本剤の投与を中止すること。また、重度の腹痛、悪心・嘔吐等の症状がみられた場合にも直ちに本剤の投与を中止し、生化学的検査(血清アミラーゼ、血清リパーゼ、トリグリセリド等)及び画像診断等による観察を十分行うこと。[1.1、8.4、9.1.1、9.7.2参照]
11.1.4 乳酸アシドーシス(頻度不明)及び脂肪沈着による重度の肝腫大(脂肪肝)(0.1%)
乳酸アシドーシス又は肝毒性が疑われる臨床症状や検査値異常が認められた場合には、本剤の投与を一時中止すること。特に、肝疾患の危険因子を有する患者においては注意すること。ラミブジンを含むヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬(NRTI)の単独投与又はこれらの併用療法により、重篤な乳酸アシドーシス(全身倦怠、食欲不振、急な体重減少、胃腸障害、呼吸困難、頻呼吸等)、肝毒性(脂肪沈着による重度の肝腫大、脂肪肝を含む)が、女性に多く報告されている。[8.6参照]
11.1.5 横紋筋融解症(頻度不明)[8.6参照]
11.1.6 ニューロパチー(頻度不明)、錯乱状態(頻度不明)、痙攣(頻度不明)[8.6参照]
11.1.7 心不全(頻度不明)[8.6参照]
11.1.8 肝機能障害(0.1%)、黄疸(頻度不明)
AST、ALT、ビリルビンの上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがある。[8.5、9.1.3参照]
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
| 1%以上 | 1%未満 | 頻度不明 | |
| 免疫系 | 免疫再構築炎症反応症候群 | ||
| 精神・神経系 | 頭痛、不眠症、不安、めまい、傾眠 | 異常な夢、自殺念慮、うつ病 | 自殺企図、錯感覚、末梢神経障害 |
| 消化器 | 悪心、下痢 | 嘔吐、鼓腸、腹痛、上腹部痛 | 腹部不快感 |
| 肝臓 | 肝炎、肝機能検査値異常(AST、ALT等の上昇) | ||
| 皮膚 | そう痒、脱毛 | 発疹 | |
| 全身症状 | 疲労 | 倦怠感、発熱 | |
| 代謝及び栄養障害 | 体脂肪の再分布/蓄積(胸部、体幹部の脂肪増加、末梢部、顔面の脂肪減少、野牛肩、血清脂質増加、血糖増加) | 高乳酸塩血症、アミラーゼ上昇 | |
| 筋骨格 | 関節痛、筋肉痛 | 筋障害 | |
| 臨床検査 | 体重増加、血清クレアチニン増加 | 総ビリルビン増加、クレアチンホスホキナーゼ増加 |
ドウベイト配合錠 4792円/錠
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