本剤は、ウイルス性肝疾患の治療に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される患者に対してのみ投与すること。
2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
2.2 中等度又は重度(Child-Pugh分類B又はC)の肝機能障害のある患者[9.3.1、16.6.1参照]
2.3 下記の薬剤を投与中の患者
シクロスポリン、アタザナビル、ダルナビル、ロピナビル・リトナビル、サキナビル、カルバマゼピン、フェニトイン、ホスフェニトイン、フェノバルビタール、リファブチン、セイヨウオトギリソウ(St.John's Wort:セント・ジョーンズ・ワート)含有食品、エファビレンツ、リファンピシン[10.1、16.7.2参照]
セログループ1(ジェノタイプ1)のC型慢性肝炎又はC型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善
通常、成人にはグラゾプレビルとして100mgを1日1回経口投与する。
本剤はエルバスビルと併用し、投与期間は12週間とする。
8.1 肝機能障害があらわれることがあるので、本剤投与中は定期的に肝機能検査を行うこと。[11.1.1参照]
8.2 B型肝炎ウイルス感染の患者又は既往感染者(HBs抗原陰性、かつHBc抗体又はHBs抗体陽性)において、C型肝炎直接型抗ウイルス薬を投与開始後、C型肝炎ウイルス量が低下する一方B型肝炎ウイルスの再活性化が報告されているので、本剤投与に先立って、B型肝炎ウイルス感染の有無を確認すること。[9.1.1参照]
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 B型肝炎ウイルス感染の患者又は既往感染者
B型肝炎ウイルス感染の患者又は既往感染者(HBs抗原陰性、かつHBc抗体又はHBs抗体陽性)に本剤を投与する場合は、HBV DNA量等のB型肝炎ウイルスマーカーのモニタリングを行うなど、B型肝炎ウイルスの再活性化の徴候や症状の発現に注意すること。C型肝炎直接型抗ウイルス薬を投与開始後、C型肝炎ウイルス量が低下する一方B型肝炎ウイルスの再活性化が報告されている。[8.2参照]
9.3 肝機能障害患者
9.3.1 中等度又は重度(Child-Pugh分類B又はC)の肝機能障害のある患者
投与しないこと。グラゾプレビルの血中濃度が上昇するおそれがある。[2.2、16.6.1参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。グラゾプレビルがヒト乳汁中へ移行するかどうかは不明であるが、動物試験(ラット)でグラゾプレビルの乳汁中への移行が認められている
9.7 小児等
小児等に対する臨床試験は実施していない。
13.1 処置
透析はグラゾプレビルの血中濃度を低下させるのに有効ではない。[16.3.1、16.6.2参照]
14.1 薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
湿気を避けるため、PTPシートのまま保存し、服用直前にPTPシートから取り出すこと。
グラゾプレビルはCYP3A、P-糖蛋白(P-gp)及び有機アニオン輸送ポリペプチド(OATP)1Bの基質であり、腸管のCYP3A及び乳癌耐性蛋白(BCRP)を阻害する。[16.4、16.7.1参照]
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| シクロスポリン(サンディミュン、ネオーラル)[2.3、16.7.2参照] | 併用により、グラゾプレビルの血中濃度が上昇する。 | シクロスポリンの併用により、肝トランスポーターであるOATP1Bが阻害される。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| アタザナビル(レイアタッツ)ダルナビル(プリジスタ)ロピナビル・リトナビル(カレトラ)サキナビル(インビラーゼ)[2.3、16.7.2参照] | 併用により、グラゾプレビルの血中濃度が上昇する、あるいは上昇すると予測される。 | これら薬剤の併用により、肝トランスポーターであるOATP1Bが阻害される、あるいは阻害されると予測される。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| カルバマゼピン(テグレトール)フェニトイン(アレビアチン)ホスフェニトイン(ホストイン)フェノバルビタール(フェノバール)リファブチン(ミコブティン)セイヨウオトギリソウ(St.John's Wort:セント・ジョーンズ・ワート)含有食品[2.3参照] | 併用により、グラゾプレビルの血中濃度が低下すると予測され、本剤の治療効果を減弱させるおそれがある。 | これら薬剤及び食品の併用により、CYP3A代謝が誘導される。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| エファビレンツ(ストックリン)[2.3、16.7.2参照] | 併用により、グラゾプレビルの血中濃度が低下し、本剤の治療効果を減弱させるおそれがある。 | エファビレンツの併用により、CYP3A代謝及びP-gpが誘導される。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| リファンピシン(リファジン)[2.3、16.7.2参照] | 併用により、初期にグラゾプレビルの血中濃度が上昇する。その後、併用を継続するとグラゾプレビルの血中濃度が低下する。 | リファンピシンの併用により、肝トランスポーターであるOATP1Bが阻害される。また、リファンピシンの継続的な併用により、CYP3A代謝が誘導される。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| エルビテグラビル・コビシスタット・エムトリシタビン・テノホビルジソプロキシルフマル酸塩、エルビテグラビル・コビシスタット・エムトリシタビン・テノホビルアラフェナミドフマル酸塩[16.7.2参照] | 併用により、グラゾプレビルの血中濃度が上昇する。 | これら配合剤の併用により、CYP3A及びOATP1Bが阻害される。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| ボセンタン、モダフィニル、エトラビリン | 併用により、グラゾプレビルの血中濃度が低下すると予測され、本剤の治療効果を減弱させるおそれがある。 | これら薬剤の併用により、CYP3A代謝が誘導される。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| タクロリムス [8.3、16.7.2参照] | 併用により、タクロリムスの血中濃度が上昇又は低下する。併用開始後はタクロリムスの全血中濃度、腎機能変化及びタクロリムスの副作用を頻繁にモニタリングすることが推奨される。 | 上昇については、グラゾプレビルの併用による弱いCYP3A阻害作用により、タクロリムスの代謝が阻害される。 低下については、本剤を用いた抗ウイルス治療による肝機能変動に伴う可能性が考えられる。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| アトルバスタチン[16.7.2参照] | 併用により、アトルバスタチンの血中濃度が上昇する。 | グラゾプレビルの併用により、腸管のCYP3A及びBCRPが阻害される。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| ロスバスタチン[16.7.2参照] | 併用により、ロスバスタチンの血中濃度が上昇する。 | グラゾプレビルの併用により、腸管のBCRPが阻害される。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| シンバスタチン | 併用により、シンバスタチンの血中濃度が上昇するおそれがある。 | グラゾプレビルの併用により、腸管のCYP3A及びBCRPが阻害される。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| フルバスタチン | 併用により、フルバスタチンの血中濃度が上昇するおそれがある。 | グラゾプレビルの併用により、腸管のBCRPが阻害される。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| スニチニブ | 併用により、スニチニブの血中濃度が上昇するおそれがある。 | グラゾプレビルの併用により、腸管のBCRPが阻害される。 |
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 肝機能障害
AST増加(1.4%)注)、ALT増加(2.0%)注)等を伴う肝機能障害があらわれることがある。[8.1参照]
注)基準値上限5倍超
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
| 5%以上 | 1%以上5%未満 | 頻度不明 | |
| 全身症状 | 倦怠感、疲労 | ||
| 消化器 | 下痢、便秘、腹部不快感、悪心 | ||
| 皮膚 | 発疹 | ||
| 精神・神経系 | 頭痛、浮動性めまい | ||
| 肝臓 | ALT増加 | AST増加 | 血中ビリルビン増加 |
| 感染症及び寄生虫症 | 鼻咽頭炎 | ||
| 血液及びリンパ系障害 | ヘモグロビン減少 |
グラジナ錠50mg 8715.3円/錠
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