1.1 本剤の投与により高マグネシウム血症が起こり、マグネシウム中毒
1.2 本剤を投与する場合には、出産にあたって新生児に対する気管内挿管を含む必要十分な蘇生を実施できる体制等、新生児及び母体を含めた適切な周産期管理が可能な体制を確保すること
2.1 重症筋無力症の患者[アセチルコリン放出抑制による骨格筋弛緩をおこすおそれがある。]
2.2 心ブロックの既往歴のある患者
2.3 低張性脱水症の患者[低張性脱水症が悪化するおそれがある。]
○切迫早産における子宮収縮の抑制
○重症妊娠高血圧症候群における子癇の発症抑制及び治療
<切迫早産における子宮収縮の抑制>
初回量として、40mL(硫酸マグネシウム水和物として4g)を20分以上かけて静脈内投与した後、毎時10mL(1g)より持続静脈内投与を行う。なお、子宮収縮が抑制されない場合は毎時5mL(0.5g)ずつ増量し、最大投与量は毎時20mL(2g)までとする。子宮収縮抑制後は症状を観察しながら漸次減量し、子宮収縮の再発がみられないことが確認された場合には中止する。本剤は持続注入ポンプを用いて投与すること。
<重症妊娠高血圧症候群における子癇の発症抑制及び治療>
初回量として、40mL(硫酸マグネシウム水和物として4g)を20分以上かけて静脈内投与した後、毎時10mL(1g)より持続静脈内投与を行う。症状に応じて毎時5mL(0.5g)ずつ増量し、最大投与量は毎時20mL(2g)までとする。本剤は初回量投与の場合を除いて、持続注入ポンプを用いて投与すること。
<効能共通>
8.1 本剤の投与前、投与中及び増量時は、慎重な観察(膝蓋腱反射、呼吸数の変動の確認、尿量の測定あるいは血中マグネシウム濃度のモニター等)を行い、副作用の発現に注意すること。[1.1、9.1.1、9.2、11.1.1、11.1.2参照]
8.2 投与中血糖値が一過性に上昇することがあるので注意すること。[9.1.4参照]
<切迫早産における子宮収縮の抑制>
8.4 切迫早産に対して本剤を分娩直前まで持続静脈内投与した場合、出生した新生児に高マグネシウム血症を起こすことがあるため、分娩前2時間は本剤を静脈内投与しないこと
<重症妊娠高血圧症候群における子癇の発症抑制及び治療>
8.5 子癇及び子癇の発症抑制を目的とし、本剤を分娩前2時間に投与する場合は、児に対する必要な対応を取ることができる状況下で投与し、出生した児の観察を十分行うこと。[1.2、9.5参照]
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 高マグネシウム血症の患者
マグネシウム中毒に注意し投与すること。[1.1、8.1、11.1.1、11.1.2参照]
9.1.2 低カルシウム血症の患者
低カルシウム血症を助長するおそれがある。
9.1.3 カリウム欠乏傾向のある患者
低カリウム血症が誘発されるおそれがある。
9.1.4 糖尿病の患者
ブドウ糖を含有している。[8.2参照]
9.1.5 尿崩症の患者
水、電解質異常の悪化又は誘発されるおそれがある。
9.1.6 貧血症の患者
貧血症を助長するおそれがある。[15.2.1参照]
9.1.7 心疾患のある患者
洞房結節インパルス生成速度の遅延と伝導時間の持続のおそれがある。[2.2参照]
9.2 腎機能障害患者
マグネシウム排泄障害による高マグネシウム血症を惹起するおそれがある
9.5 妊婦
以下のようなリスクを考慮し、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
・マグネシウムイオンは容易に胎盤を通過するため、本剤を分娩前24時間以内に投与した場合は、新生児に呼吸障害、筋緊張低下、腸管麻痺等の高マグネシウム血症を引き起こす場合があるので、生後から24時間まで、もしくは48時間までの間は監視を行う。なお、このような症状があらわれた場合には、カルシウム剤の投与、蘇生及び気管内挿管法、間欠的陽圧換気法等により処置すること
・妊娠中の投与により、胎児に胎動低下が、新生児に心不全、高カリウム血症、低カルシウム血症があらわれることがある。[8.3、10.2参照]
・ラット生殖発生毒性試験の3×1000mg/kg/日投与群において、出生児の低体重、分化遅延及び波状肋骨の増加が認められた
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
本剤の投与中止後24時間は乳汁中のマグネシウム濃度が増大することがあるので注意すること
9.8 高齢者
用量に留意して慎重に投与すること。本剤は、主として腎臓から排泄されるが、高齢者では、腎機能が低下していることが多いため高い血中濃度が持続するおそれがある。
13.1 症状
母体及び新生児に高マグネシウム血症を引き起こし、熱感、潮紅、口渇、血圧低下、中枢神経抑制、心機能抑制、呼吸麻痺、骨格筋弛緩等の症状があらわれることがある
血清マグネシウム濃度と中毒症状には下表の相関が知られている
| 濃度(mg/dL) | 症状 |
| 4〜7.5 | 切迫早産の治療域 |
| 8.4〜12 | 膝蓋腱反射消失 |
| 12〜14.4 | 呼吸抑制 |
| 14.4以上 | 呼吸麻痺、呼吸停止、不整脈(房室ブロック、伝導障害) |
13.2 処置
治療にはカルシウム剤(グルコン酸カルシウム水和物)が有効であるとの報告がある
14.1 薬剤調製時の注意
本剤とサルファ剤、アルカリ炭酸塩・重炭酸塩、酒石酸塩、可溶性リン酸塩、ヒ酸塩、臭化カリウム、臭化アンモニウム、水酸化アルカリ、カルシウム塩、サリチル酸塩、アミノフィリン水和物等を含む製剤と混合した場合、沈殿を生じることがあるので混合を避けること
14.2 薬剤投与時の注意
14.2.1 投与速度
急速、大量投与により電解質喪失又は血栓性静脈炎を起こすことがあるので、徐々に静脈内投与すること。
14.2.2 投与部位
皮下大量投与により、血漿中から電解質が移動して循環不全を招くおそれがあるので皮下投与しないこと。
15.1 臨床使用に基づく情報
15.1.1 本剤の投与による新生児への影響について、哺乳力不良、呼吸抑制、呼吸停止、心停止、尿量減少、傾眠、筋緊張低下、急性腎不全、心室細動、心機能障害、壊死性腸炎、三尖弁閉鎖不全症、上皮小体ホルモン(PTH)減少、胎便栓症候群、痙攣発作、死亡率の上昇
15.1.2 本剤とバルビツレート、催眠剤、麻酔剤及びアミノグリコシド系抗生剤との併用により、新生児において、呼吸抑制作用や神経筋遮断作用が増強される報告があるので併用には十分に注意すること
15.2 非臨床試験に基づく情報
15.2.1 イヌ持続静脈内投与による2週間及び4週間反復投与毒性試験において、100mg/kg/時投与群に軽度の貧血傾向、血清カルシウム量の低下及び血清無機リン量の増加、刺激伝導遅延等が認められている
15.2.2 イヌを用いた一般薬理試験において、100mg/kgの投与量で血圧低下、刺激伝導遅延が認められている
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| スルファミン剤 | スルフヘモグロビン血症を起こすことがある。 | 機序不明 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| 競合性(ツボクラリン等)及び脱分極性(サクシニルコリン等)筋弛緩剤 | 作用持続時間を延長することがある。 | 機序不明 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| 子宮収縮抑制剤リトドリン塩酸塩 | CK上昇、悪心、嘔吐、呼吸抑制、循環器関連の副作用(心室頻拍、胸痛、心筋虚血)があらわれることがある。 | 機序不明 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| 子宮収縮抑制剤 リトドリン塩酸塩(注射剤) [8.3、9.5参照] | 出生した早産児の高カリウム血症のリスクが高いことが報告されている。 | 機序不明 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| カルシウム拮抗剤(ニフェジピン) | 高度の低血圧及び神経筋伝達遮断が増大する。 | 併用により神経筋遮断作用が増強される。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| カルシウム塩 | マグネシウムの作用を減弱させる。 | マグネシウム拮抗作用による。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| バルビツレート、催眠剤、麻酔剤 | 呼吸抑制作用が増強することがある。 | 併用により呼吸抑制作用が増強される。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| アミノグリコシド系抗生剤 | 神経筋遮断作用が増強される。マグネシウムを投与した母体から出生した新生児において、併用により呼吸停止を来たした症例の報告がある 。 | 併用により神経筋遮断作用が増強される。 |
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 マグネシウム中毒:眼瞼下垂、膝蓋腱反射の消失、筋緊張低下、心電図異常(房室ブロック、伝導障害)、呼吸数低下、呼吸困難等(いずれも頻度不明)[1.1、8.1、9.1.1、9.2、11.1.2、13.1、13.2参照]
11.1.2 心(肺)停止、呼吸停止、呼吸不全(いずれも頻度不明)
高用量の硫酸マグネシウム水和物急速投与により発現した報告があり、投与に際しては用法及び用量を遵守すること
11.1.3 横紋筋融解症(頻度不明)
筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇があらわれた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと
11.1.4 肺水腫(頻度不明)
呼吸困難、胸部圧迫感、頻脈等に十分に注意すること
11.1.5 イレウス(腸管麻痺)(頻度不明)
嘔吐、腹部膨満等の症状に十分に注意すること
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
| 5%以上 | 0.1〜5%未満 | 頻度不明 | |
| 血液 | 鼻出血 | 凝血異常 | |
| 呼吸器 | 呼吸困難 | ||
| 循環器 | 心悸亢進(動悸)、不整脈、胸痛、潮紅 | うっ血性心不全 | |
| 消化器 | 口渇、嘔気、嘔吐、食欲不振 | ||
| 肝臓 | 肝機能障害[AST、ALTの上昇] | 肝不全 | |
| 腎臓 | 急性腎不全 | ||
| 精神神経系 | 熱感、倦怠感 | 無力症、頭痛、視力異常、調節障害、複視、反射減退、知覚減退(しびれ)、浮動性めまい、振戦 | 意識障害 |
| 代謝異常 | 高マグネシウム血症 | 低カルシウム血症、高カリウム血症、電解質異常 | |
| 過敏症 | 中毒疹 | ||
| 投与部位 | 血管痛 | ||
| 女性生殖 | 乳房うっ滞、乳汁漏出、外陰浮腫 | ||
| その他 | 尿崩症、乏尿、踵骨骨折 |
注)発現頻度は使用成績調査を含む。
マグセント注100mL 2443円/瓶
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