2.1 尿閉を有する患者[抗コリン作用により排尿時の膀胱収縮が抑制され、症状が悪化するおそれがある。][11.1.1参照]
2.2 眼圧が調節できない閉塞隅角緑内障の患者[眼圧の上昇を招き、症状が悪化するおそれがある。]
2.3 幽門、十二指腸又は腸管が閉塞している患者及び麻痺性イレウスのある患者[抗コリン作用により胃腸の平滑筋の収縮及び運動が抑制され、症状が悪化するおそれがある。]
2.4 胃アトニー又は腸アトニーのある患者[抗コリン作用により消化管運動が低下するため症状が悪化するおそれがある。]
2.5 重症筋無力症の患者[抗コリン作用により筋緊張の低下がみられ症状が悪化するおそれがある。]
2.6 重度の肝障害のある患者(Child-Pugh分類C)[9.3.1参照]
2.7 重篤な心疾患の患者[抗コリン作用により、症状を悪化させるおそれがある。]
2.8 本剤の成分あるいは酒石酸トルテロジンに対して過敏症の既往歴のある患者
○過活動膀胱における尿意切迫感、頻尿及び切迫性尿失禁
○神経因性膀胱における排尿管理
<過活動膀胱における尿意切迫感、頻尿及び切迫性尿失禁>
通常、成人にはフェソテロジンフマル酸塩として4mgを1日1回経口投与する。なお、症状に応じて1日1回8mgまで増量できる。
<神経因性膀胱における排尿管理>
通常、体重25kg超の小児にはフェソテロジンフマル酸塩4mgを開始用量として1日1回経口投与する。投与開始から1週間後以降に、患者の状態に応じて1日1回8mgまで増量できる。
8.1 眼調節障害(霧視等)、めまい、眠気等を起こすことがあるので、本剤投与中の患者には、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には注意させること。
8.2 本剤投与で効果が認められない場合、漫然と使用すべきではない。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 下部尿路閉塞疾患(前立腺肥大症等)を合併している患者
本剤投与前に残尿量測定を実施し、必要に応じて、専門的な検査をすること。投与後は残尿量の増加に注意し、十分な経過観察を行うこと。抗コリン作用により、尿閉を誘発するおそれがある。[11.1.1参照]
9.1.2 消化管運動が低下する危険性のある患者
腸管の閉塞を招くおそれがある。
9.1.3 潰瘍性大腸炎の患者
中毒性巨大結腸があらわれるおそれがある。
9.1.4 眼圧が調整可能な閉塞隅角緑内障の患者
眼圧の上昇を招き、症状が悪化するおそれがある。
9.1.5 狭心症等の虚血性心疾患のある患者
抗コリン作用により頻脈が生じ、症状を増悪させるおそれがある。
9.1.6 甲状腺機能亢進症の患者
抗コリン作用により、頻脈等の交感神経興奮症状が悪化するおそれがある。
9.1.7 パーキンソン症状又は脳血管障害のある患者
症状の悪化あるいは精神神経症状があらわれるおそれがある。
9.1.8 認知症、認知機能障害のある患者
抗コリン作用により、症状を悪化させるおそれがある。
9.2 腎機能障害患者
9.2.1 重度の腎障害(クレアチニンクリアランス30mL/min未満)のある患者
本剤の活性代謝物トルテロジン5-ヒドロキシメチル体(5-HMT)の血漿中濃度が上昇する可能性がある。[7.、16.6.1参照]
9.2.2 腎障害のある患者(重度の腎障害のある患者を除く)
活性代謝物5-HMTの血漿中濃度が上昇する可能性がある。[16.6.1参照]
9.3 肝機能障害患者
9.3.1 重度の肝障害のある患者(Child-Pugh分類C)
投与しないこと。血中濃度が過度に上昇するおそれがある。[2.6、16.6.2参照]
9.3.2 中等度の肝障害のある患者(Child-Pugh分類B)
活性代謝物5-HMTの血漿中濃度が上昇する可能性がある。[7.、16.6.2参照]
9.3.3 軽度の肝障害のある患者(Child-Pugh分類A)
活性代謝物5-HMTの血漿中濃度が上昇する可能性がある。[16.6.2参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物実験において、臨床曝露量注)を超える高い血漿中濃度(AUCで6〜27倍(マウス)及び3〜11倍(ウサギ)、Cmaxで77倍(マウス)及び19倍(ウサギ))において軽度の胚・胎児毒性(吸収胚数の増大及びそれに関連した生存胎児数の減少並びに胎児の骨化遅延(ウサギのみ))が認められた。
注)臨床最大推奨用量でのCYP2D6の代謝酵素活性が欠損しているヒトにおける摂食下での曝露量(最も曝露量が高くなる条件)
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
フェソテロジンがヒトの乳汁中に移行するかは不明である。活性代謝物が同一である類薬トルテロジンでは、動物実験(マウス)で乳汁中への移行がわずかに認められている。
9.7 小児等
9.7.1 低出生体重児、新生児、乳児又は6歳未満の幼児を対象とした臨床試験は実施していない。
9.7.2 体重が低いほど、本剤の活性代謝物5-HMTの血漿中濃度が上昇する可能性がある
13.1 症状
重度の中枢性抗コリン作用(例、幻覚、重度の興奮)、痙攣、著しい興奮、呼吸不全、頻脈、尿閉、散瞳
13.2 処置
胃洗浄及び活性炭の投与を行い、必要に応じて以下のような適切な処置を行うこと。
13.2.1 重度の中枢性抗コリン作用(例、幻覚、重度の興奮)に対してはネオスチグミンを投与する。
13.2.2 痙攣及び著しい興奮に対してはベンゾジアゼピン系薬剤を投与する。
13.2.3 呼吸不全に対しては人工呼吸を実施する。
13.2.4 頻脈に対してはβ遮断薬を投与する。
13.2.5 尿閉に対しては導尿を実施する。
13.2.6 散瞳に対してはピロカルピン点眼薬による治療を行うか、暗い部屋に移す。あるいは両方の処置を行う。
14.1 薬剤交付時の注意
14.1.1 PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
14.1.2 湿気、高温を避けて保存し、服用直前にPTPシートから取り出すよう指導すること。
14.1.3 本剤は徐放性製剤であるため、割ったり、砕いたり、すりつぶしたりしないで、そのままかまずに服用するよう指導すること。割ったり、砕いたり、すりつぶしたりして服用すると、本剤の徐放性が失われ、血中濃度が上昇するおそれがある。
本剤の代謝にはCYP2D6及びCYP3A4が関与している。[16.4参照]
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| 抗コリン作用を有する薬剤三環系抗うつ剤フェノチアジン系薬剤モノアミン酸化酵素阻害剤 | 口内乾燥、便秘、排尿困難等があらわれるおそれがある。 | 抗コリン作用が増強されるおそれがある。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| CYP3A4阻害薬アタザナビル、クラリスロマイシン、インジナビル、イトラコナゾール、ネルフィナビル、リトナビル(ブースト療法における全てのリトナビル投与を含む)、サキナビル、テリスロマイシン等[7.、16.7.1参照] | 活性代謝物5-HMTの血漿中濃度の上昇に伴い効果や副作用の増強が予想される。 | 併用薬剤の強力なCYP3A4阻害作用による。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| CYP3A4誘導薬フェニトイン、カルバマゼピン、リファンピシン、フェノバルビタール等セイヨウオトギリソウ(St.John's Wort:セント・ジョーンズ・ワート)含有食品[16.7.2参照] | 活性代謝物5-HMTの血漿中濃度の低下に伴い効果が減弱する可能性がある。 | これらの薬剤及びセイヨウオトギリソウのCYP3A4誘導作用による。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| CYP2D6阻害薬キニジン、パロキセチン等 | 活性代謝物5-HMTの血漿中濃度が上昇する可能性があることから、4mgから8mgへの増量に際しては患者の状況を十分に観察しながら慎重に行うこと。 | 併用薬剤の強力なCYP2D6阻害作用による。 |
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 尿閉(2.0%)[2.1、9.1.1参照]
11.1.2 血管性浮腫(頻度不明)
顔面浮腫、口唇腫脹、舌腫脹、喉頭浮腫、咽頭腫脹、咽頭浮腫等があらわれることがある。
11.1.3 QT延長(頻度不明)、心室性頻拍(頻度不明)、房室ブロック(頻度不明)、徐脈(頻度不明)
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
| 10%以上 | 1〜10%未満 | 0.3〜1%未満 | 頻度不明 | |
| 眼障害 | 眼乾燥 | 霧視 | ||
| 神経系障害 | 頭痛、めまい | 傾眠、味覚異常 | 感覚鈍麻 | |
| 心臓障害 | 心電図QT延長、頻脈、動悸注) | |||
| 血管障害 | 高血圧 | |||
| 呼吸器、胸郭及び縦隔障害 | 咽喉乾燥 | 鼻乾燥、咳嗽、口腔咽頭痛、鼻出血 | ||
| 肝胆道系障害 | AST増加注)、ALT増加、γ-GTP増加 | |||
| 胃腸障害 | 口内乾燥(36.5%) | 便秘、消化不良、腹痛、悪心、下痢 | 胃食道逆流性疾患、腹部不快感、腹部膨満、嘔吐、胃炎、鼓腸注) | |
| 腎及び尿路障害 | 排尿困難、尿路感染 | 膀胱炎、排尿躊躇、尿流量減少、残尿、尿失禁 | ||
| 皮膚及び皮下組織障害 | 皮膚乾燥、発疹、そう痒症 | 蕁麻疹、血管性浮腫 | ||
| 全身障害及び投与局所様態 | CK増加、疲労、浮腫 |
注)発現頻度は0.3%未満であった
トビエース錠4mg 135円/錠
トビエース錠8mg 200.8円/錠
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効果の強さ
投稿日: 2016/09/01 参考率: 100%(5人/5人)
泌尿器科/50代/処方経験あり