本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
<適応菌種>
ダプトマイシンに感性のメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)
<適応症>
敗血症、感染性心内膜炎、深在性皮膚感染症、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、びらん・潰瘍の二次感染
<成人>
敗血症、感染性心内膜炎
通常、成人にはダプトマイシンとして1日1回6mg/kgを24時間ごとに30分かけて点滴静注又は緩徐に静脈内注射する。
深在性皮膚感染症、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、びらん・潰瘍の二次感染
通常、成人にはダプトマイシンとして1日1回4mg/kgを24時間ごとに30分かけて点滴静注又は緩徐に静脈内注射する。
<小児>
敗血症
通常、ダプトマイシンとして以下の用法及び用量に従い投与する。
年齢 | 用法及び用量 |
12歳以上18歳未満 | 1日1回7mg/kgを24時間ごとに30分かけて点滴静注 |
7歳以上12歳未満 | 1日1回9mg/kgを24時間ごとに30分かけて点滴静注 |
1歳以上7歳未満 | 1日1回12mg/kgを24時間ごとに60分かけて点滴静注 |
深在性皮膚感染症、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、びらん・潰瘍の二次感染
通常、ダプトマイシンとして以下の用法及び用量に従い投与する。
年齢 | 用法及び用量 |
12歳以上18歳未満 | 1日1回5mg/kgを24時間ごとに30分かけて点滴静注 |
7歳以上12歳未満 | 1日1回7mg/kgを24時間ごとに30分かけて点滴静注 |
2歳以上7歳未満 | 1日1回9mg/kgを24時間ごとに60分かけて点滴静注 |
1歳以上2歳未満 | 1日1回10mg/kgを24時間ごとに60分かけて点滴静注 |
本剤の使用にあたっては、耐性菌の出現等を防ぐため、次のことに注意すること。
感染症の治療に十分な知識と経験を持つ医師又はその指導のもとで行うこと。
投与期間は、感染部位、重症度、患者の症状等を考慮し、適切な時期に、本剤の継続投与が必要か判定し、疾病の治療上必要な最小限の期間の投与にとどめること。[17.1.1-17.1.7参照]
本剤投与中に、CK上昇が報告されているので、以下の点について十分注意すること。[9.1.1、9.2.1、9.2.2、10.2、17.1.1-17.1.4、17.1.6、17.1.7参照]
CK値を投与期間中は定期的に(週1回以上)モニタリングすること。原因不明のCK上昇を発現した患者では、CK値を更に頻回にモニタリングすること。
CK値が1,000U/L(基準値上限の約5倍)を超え原因不明のミオパチーの徴候又は症状を示す患者、あるいは症状はないがCK値が2,000U/L(基準値上限の約10倍)を超える顕著な増加を示した場合は、本剤の投与を中止すること。
本剤によるショック、アナフィラキシーの発生を確実に予知できる方法がないので、次の措置をとること。[11.1.1参照]
事前に既往歴等について十分な問診を行うこと。なお、抗生物質等によるアレルギー歴は必ず確認すること。
投与に際しては、必ずショック等に対する救急処置のとれる準備をしておくこと。
点滴静注の場合は投与開始から投与終了後まで、また、静脈内注射の場合は投与終了後もしばらくの間、患者を安静の状態に保たせ、十分な観察を行うこと。特に、投与開始直後は注意深く観察すること。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 前治療にHMG-CoA還元酵素阻害剤を用いた患者
CK値を投与期間中は通常(週1回以上)より更に頻回にモニタリングすること。[8.2参照]
9.2 腎機能障害患者
<CLcr 30mL/min未満の成人患者(血液透析又はCAPDを受けている患者を含む)>
本剤の投与間隔を調節すること。投与間隔を調節する必要があるため、腎機能を頻回にモニタリングすること。CK値を投与期間中は通常(週1回以上)よりも更に頻回にモニタリングすること。[7.1、8.2、16.6.1参照]
<CLcr 30mL/min以上の成人患者>
腎機能を頻回にモニタリングすること。CK値を投与期間中は通常(週1回以上)よりも更に頻回にモニタリングすること。[7.1、8.2、16.6.1参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
妊娠ラットにおいて、ダプトマイシンは胎盤を通過することが認められている。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ヒト母乳中へダプトマイシンが低濃度(0.045μg/mL、乳汁中濃度/血漿中濃度比:0.12%)で移行することが報告された。
9.7 小児等
1歳未満の小児患者への投与は推奨されない。1歳未満の小児患者を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。1歳未満の小児に相当する日齢の新生児イヌを用いた試験では、1歳未満の小児において予想される血中濃度の範囲内で回復性のある筋攣縮及び筋硬直がみられた。[15.2参照]
9.8 高齢者
一般的に生理機能が低下している。CLcr≧30mL/minの高齢者では用量調節は必要ない。
13.1 処置
本剤は、血液透析(4時間で投与量の約15%除去)又は腹膜透析(48時間で約11%除去)により体内から緩やかに除去される。
14.1 薬剤調製時の注意
本剤1バイアルにつき7mLの生理食塩液をゆっくりと加えて溶解し、50mg/mLの溶液とする。なお、泡立ちを抑えるため、溶解時又は溶解後のバイアルは激しく振とうせずに、以下の手順に従って調製する。
・ゴム栓の中央部に針を刺す。
・生理食塩液7mLをバイアルの内壁をつたわらせながらゆっくりと注入する。
・バイアルをゆっくりと回しながら塊又は粉末を十分に湿らせる。
・溶解するまで約10分間静置する。
・数分間ゆっくりとバイアルを回す。
・完全に溶解したことを確認する。
成人に静脈内注射する場合、14.1.1の溶液をそのまま使用する。
点滴静注する場合、14.1.1の溶液をさらに生理食塩液で希釈し使用する。
調製後は速やかに使用すること。なお、やむを得ず保存を必要とする場合でも、調製開始後、室温(25℃)では12時間以内、冷所(2〜8℃)では48時間以内に使用すること。
14.2 薬剤投与前の注意
不溶物がないことを目視で確認すること。
14.3 薬剤投与時の注意
小児には、年齢に応じて30分又は60分かけて点滴静注し、静脈内注射しないこと。
14.4 配合適性
本剤は生理食塩液及び乳酸リンゲル液とは配合可能である。
ブドウ糖を含む希釈液とは配合不適である。
配合適性については限られたデータしかないため、他の薬剤を同一の輸液ラインを通して同時に注入しないこと。他の薬剤を同一の輸液ラインから連続注入する場合には、配合変化を起こさない輸液(生理食塩液又は乳酸リンゲル液)を本剤の投与前後に輸液ライン内に流すこと。
15.2 非臨床試験に基づく情報
ラット及びイヌにおいて、ダプトマイシン投与により骨格筋に影響がみられたが、心筋及び平滑筋に変化は認められなかった。この変化は、病理組織学的に骨格筋の変性又は再生像を呈し、CKの上昇を伴っていた。線維化及び横紋筋融解症は認められなかった。病理組織学的変化を含む骨格筋への影響はすべて、ラットにおいて休薬後4週以内及びイヌにおいて休薬後11週以内に完全に回復した。
ラット及びイヌにおいて、末梢神経に変化(軸索の変性像を呈し、機能的な変化を伴うこともあった)がみられ、この変化はミオパチーよりも高用量で認められた。病理組織学的及び機能的な影響はイヌで評価したところ、実質的に休薬後6ヵ月以内に回復した。
7週齢の幼若イヌ(神経及び筋等の発達段階が乳幼児に相当)にダプトマイシンを28日間静脈内投与した試験において、成熟イヌと比較して低い血漿中曝露量(50mg/kg/日:Cmaxの比較で約1/2)から末梢神経の変性がみられた。また、成熟イヌと同様の所見に加えて脊髄の変性がみられた。これらの所見は28日間の休薬後に回復傾向が認められた。
4日齢新生児イヌにダプトマイシンを28日間(生後4〜31日)静脈内投与した試験において、幼若イヌと比較して低い血漿中曝露量(25mg/kg/日:Cmaxの比較で約1/3)から筋攣縮及び筋硬直がみられた。これらの所見は28日間の休薬後には回復した。なお、25mg/kg/日投与時の血中濃度は、ヒトの乳児において予想される血中濃度の範囲内であった。[9.7参照]
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
HMG-CoA還元酵素阻害剤[8.2参照] | 本剤及びHMG-CoA還元酵素阻害剤を併用した場合CKが上昇するおそれがあることから、本剤投与中はこれらの薬剤の休薬を考慮すること。これらの薬剤を前治療又は併用した患者では、CK値を頻回にモニタリングすること。 | 機序不明 |
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
(頻度不明)
、アナフィラキシー(0.9%)[8.3参照]
(頻度不明)
11.1.3 横紋筋融解症(頻度不明)
筋肉痛、脱力感、CK値上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.4 好酸球性肺炎(頻度不明)
本剤投与2〜4週後、発熱、低酸素血症性呼吸困難、びまん性肺浸潤を伴う好酸球性肺炎が報告されている。これらの症状や徴候があらわれた場合には、投与を中止し、全身ステロイド療法等の適切な処置を行うこと。
11.1.5 末梢性ニューロパチー(頻度不明)
本剤投与中は末梢性ニューロパチーの徴候及び症状に注意すること。
11.1.6 腎不全(頻度不明)
腎不全等の重篤な腎障害があらわれることがある。
11.1.7 偽膜性大腸炎(頻度不明)
偽膜性大腸炎が疑われたり、確定診断がなされた場合には、本剤の投与中止又は適切な処置を考慮すること。偽膜性大腸炎は、ダプトマイシンを含むほぼすべての抗菌薬の使用により報告されている。
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
1〜10% | 頻度不明 | |
感染症及び寄生虫症 | 尿路感染、真菌感染、カンジダ感染、真菌血症 | |
血液及びリンパ系障害 | 貧血、血小板増加症、好酸球増加症 | |
代謝及び栄養障害 | 高血糖、電解質失調、食欲減退 | |
精神障害 | 不安、不眠症 | |
神経系障害 | 浮動性めまい、頭痛、錯感覚、振戦、味覚異常 | |
耳及び迷路障害 | 回転性めまい | |
心臓障害 | 上室性不整脈 | |
血管障害 | 高血圧、低血圧、潮紅 | |
胃腸障害 | 下痢 | 消化器痛/腹痛、嘔吐、鼓腸/腹部膨満感/腹部膨満、便秘、悪心、消化不良 |
肝胆道系障害 | 黄疸 | |
皮膚及び皮下組織障害 | 湿疹 | そう痒症、発疹、蕁麻疹、小水疱水疱性皮疹(粘膜性又は非粘膜性) |
筋骨格系及び結合組織障害 | 四肢痛、筋力低下、筋肉痛、関節痛 | |
腎及び尿路障害 | 腎障害 | |
生殖系及び乳房障害 | 腟炎 | |
全身障害及び投与局所様態 | 発熱 | 無力症、注射部位反応、悪寒、疲労、血管性浮腫 |
臨床検査 | 肝機能検査異常(AST上昇、ALT上昇、Al-P上昇)、血小板数減少、CK上昇、好酸球数増加 | 血中クレアチニン上昇、INR増加、LDH上昇、プロトロンビン時間延長、血中ミオグロビン上昇、尿中ミオグロビン上昇 |
キュビシン静注用350mg 8672円/瓶
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