1.1 ビタミンB1を併用せずに高カロリー輸液療法を施行すると重篤なアシドーシスが発現することがあるので、必ずビタミンB1を併用すること。ビタミンB1欠乏症と思われる重篤なアシドーシスが発現した場合には、直ちに100〜400mgのビタミンB1製剤を急速静脈内投与すること。
また、高カロリー輸液療法を施行中の患者では、基礎疾患及び合併症に起因するアシドーシスが発現することがあるので、症状があらわれた場合には高カロリー輸液療法を中断し、アルカリ化剤の投与等の処置を行うこと。[7.、11.1.1参照]
1.2 使用施設
本剤は医療施設内でのみ使用すること(在宅療法では使用しないこと)。
1.3 本剤は脂肪を含有する経中心静脈投与輸液であり、除菌用ファイナルフィルターが使用できないため、投与にあたっては細菌混入の防止について特に注意すること。[14.1.1参照]
2.1 高ナトリウム血症の患者[高ナトリウム血症が悪化するおそれがある。]
2.2 高クロール血症の患者[高クロール血症が悪化するおそれがある。]
2.3 高カリウム血症、アジソン病の患者[高カリウム血症が悪化する又は誘発されるおそれがある。]
2.4 高リン血症、副甲状腺機能低下症の患者[高リン血症が悪化する又は誘発されるおそれがある。]
2.5 高マグネシウム血症、甲状腺機能低下症の患者[高マグネシウム血症が悪化する又は誘発されるおそれがある。]
2.6 高カルシウム血症の患者[高カルシウム血症が悪化するおそれがある。]
2.7 アミノ酸代謝異常のある患者[投与されたアミノ酸が代謝されず、アミノ酸インバランスが助長されるおそれがある。]
2.8 重篤な血液凝固異常のある患者[凝固能亢進により症状を悪化させるおそれがある。][9.1.10参照]
2.9 血栓症の患者[凝固能亢進により症状を更に悪化させるおそれがある。]
2.10 ケトーシスを伴った糖尿病の患者[ケトーシスを助長させ糖尿病を悪化させるおそれがある。]
2.11 高脂血症の患者[高脂血症を助長させるおそれがある。]
2.12 重篤な腎障害のある患者又は高窒素血症の患者(いずれも透析又は血液ろ過を実施している患者を除く)[水分、電解質の過剰投与に陥りやすく、症状が悪化するおそれがある。また、アミノ酸の代謝産物である尿素等が滞留し、症状が悪化するおそれがある。][8.1、9.2.1、9.2.2参照]
2.13 乏尿のある患者(透析又は血液ろ過を実施している患者を除く)[高カリウム血症が悪化する又は誘発されるおそれがある。][8.1、9.2.1、9.2.2参照]
2.14 肝性昏睡又は肝性昏睡のおそれのある患者[9.3.1参照]
経口、経腸管栄養補給が不能又は不十分で、経中心静脈栄養に頼らざるを得ない場合の水分、電解質、アミノ酸、脂肪、カロリー補給
<ミキシッドL輸液>
本品は経中心静脈輸液療法の開始時で、耐糖能が不明の場合や耐糖能が低下している場合の開始液として、あるいは侵襲時等で耐糖能が低下しており、ブドウ糖を制限する必要がある場合の維持液として用いる。
用時、隔壁を開通して上室液と下室液をよく混合し、開始液又は維持液とする。
通常、成人には1日1800mLの開始液又は維持液を、24時間かけて中心静脈内に持続点滴注入する。
なお、年齢、症状、体重により適宜増減する。
8.1 透析又は血液ろ過を実施している重篤な腎障害、高窒素血症又は乏尿のある患者における、水分、電解質、尿素等の除去量、蓄積量は透析の方法及び病態によって異なる。血液生化学検査、酸塩基平衡、体液バランス等の評価により患者の状態を確認した上で投与開始及び継続の可否を判断すること。[2.12、2.13、9.2.2参照]
8.2 高血糖、尿糖があらわれるおそれがあるので、ブドウ糖濃度の低い製剤から投与を開始するなど、ブドウ糖の濃度を徐々に高めること。[11.1.3参照]
8.3 急激な投与の中止により低血糖を起こすおそれがあるので、投与を中止する場合には、ブドウ糖濃度を徐々に下げること。
8.4 長期連用する場合には肝機能、血中脂質濃度、血液像及び血液凝固能の検査を定期的に行うこと。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 高度のアシドーシスのある患者
アシドーシスが悪化するおそれがある。
9.1.2 糖尿病の患者
血糖値が上昇することにより、症状が悪化するおそれがある。[11.1.3参照]
9.1.3 膵炎、膵硬化症、膵腫瘍等の膵障害のある患者
高血糖等の耐糖能異常を起こすおそれがある。
9.1.4 心不全の患者
循環血液量の増加により、症状が悪化するおそれがある。
9.1.5 重症熱傷の患者
水分、電解質代謝等が著しく障害されているため、心負荷増大のおそれがある。
9.1.6 脱水症の患者
水分、電解質等に影響を与えるため、症状が悪化するおそれがある。
9.1.7 閉塞性尿路疾患により尿量が減少している患者
水分、電解質等の排泄が障害されているため、症状が悪化するおそれがある。
9.1.8 尿崩症の患者
水分、電解質等に影響を与えるため、症状が悪化するおそれがある。
9.1.9 菌血症の患者
カテーテルが二次感染巣となることがあり、敗血症さらには敗血症性ショックを起こすおそれがある。
9.1.10 血液凝固障害のある患者
凝固時間の延長を起こすおそれがある。[2.8参照]
9.2 腎機能障害患者
9.2.1 重篤な腎障害、高窒素血症又は乏尿のある患者(いずれも透析又は血液ろ過を実施している患者を除く)
投与しないこと。[2.12、2.13参照]
9.2.2 透析又は血液ろ過を実施している重篤な腎障害、高窒素血症又は乏尿のある患者
水分、電解質の過剰投与や、アミノ酸の代謝産物である尿素等の滞留がおこるおそれがある。[2.12、2.13、8.1参照]
9.2.3 腎障害のある患者(重篤な腎障害、高窒素血症又は乏尿のある患者を除く)
水分、電解質の過剰投与に陥りやすく、症状が悪化するおそれがある。
9.3 肝機能障害患者
9.3.1 肝性昏睡又は肝性昏睡のおそれのある患者
投与しないこと。アミノ酸の代謝が十分に行われないため、症状が悪化する又は誘発されるおそれがある。[2.14参照]
9.3.2 肝障害のある患者(肝性昏睡又は肝性昏睡のおそれのある患者を除く)
肝機能を悪化させるおそれがある。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
9.7 小児等
小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
投与速度を緩徐にし、減量するなど注意すること。一般に生理機能が低下している。
14.1 全般的な注意
14.1.1 本剤は、含有する脂肪が目詰まりするため、除菌用ファイナルフィルターを使用できない。そのため細菌混入の防止に関し以下の点に注意すること。[1.3参照]
・ビタミン剤、微量元素製剤又は電解質製剤(ナトリウム製剤、カリウム製剤のみ)を混注する場合には、バッグの混注用フィルターを介して行うこと。
・ビタミン剤、微量元素製剤及び電解質製剤(ナトリウム製剤、カリウム製剤のみ)以外の薬剤を投与する場合には、他の輸液ラインから無菌的に投与すること。
・輸液ラインの接合部は、常に清潔な状態にしておくこと。
・連結管を用いたタンデム方式による投与は行わないこと。バッグの付け替えは、瓶針の刺し換えにより、速やかに行うこと。
・カテーテル刺入部位は、常に清潔な状態にしておくこと。
・発熱などカテーテル感染が疑われた場合は、カテーテルを抜去するなど適切な処置を講じること。
14.1.2 使用時には、感染に対する配慮をすること。
14.1.3 輸液セットのびん針は、ゴム栓の刻印部(○印)に垂直にゆっくりと刺すこと。斜めに刺した場合、削り片の混入及び液漏れの原因となるおそれがある。また、輸液セットのびん針は同一箇所に繰り返し刺さないこと。
14.2 薬剤調製時の注意
14.2.1 調製手順
(1)用時に外袋を開封し、バッグを取り出す。
(2)上室(又は下室)を両手で押して隔壁を開通させる。
(3)開通操作後は隔壁が開通していることを確認する。
(4)上室と下室を交互に押して両液を十分に混合する。
14.2.2 ビタミン剤、微量元素製剤又は電解質製剤(ナトリウム製剤、カリウム製剤のみ)を混注する場合には、以下の点に留意すること。
・必ず隔壁の開通後に行うこと。
・シリンジの針をはずして混注用フィルターを介して混注すること。
・混注に用いるシリンジはできるだけ小容量のシリンジを使用すること。容量が大きいと注入しにくくなる。
・上室の混注用フィルターのキャップをはずし、混注用フィルターのルアー部に、シリンジの筒先をきちんとはめて混注すること。
・混注後は、液漏れを防ぐため、キャップをきちんとはめること。
14.3 薬剤投与時の注意
14.3.1 末梢静脈内には投与しないこと。
14.3.2 可塑剤としてDEHP〔di-(2-ethylhexyl)phthalate;フタル酸ジ-(2-エチルヘキシル)〕を含むポリ塩化ビニル製の輸液セット等を使用した場合、DEHPが製剤中に溶出するので、DEHPを含まない輸液セット等を使用することが望ましい。
14.3.3 本剤は脂肪乳剤を含有しているため、接合部がポリカーボネート製の輸液セット等を使用した場合、その接合部にひび割れが生じ、血液及び薬液漏れ、空気混入等の可能性があるので注意すること。
14.3.4 容器の目盛りは目安として使用すること。
14.3.5 残液は使用しないこと。
15.1 臨床使用に基づく情報
低ナトリウム血症を起こす可能性がある。他の高カロリー輸液製剤において、低ナトリウム血症の発現が報告されている。
15.2 非臨床試験に基づく情報
ラット及びイヌを用い末梢静脈内に急速投与した場合、高張輸液の急速投与による非特異的変化と推測される急性症状(活動性の低下、呼吸促迫、嘔吐、流涎など)の発現並びにラット膀胱に出血性変化がみられている
20.1 液漏れの原因となるので、強い衝撃や鋭利なものとの接触等を避けること。
20.2 品質保持のためにガスバリア性の外袋で包装し、脱酸素剤を封入しているので、外袋は使用時まで開封しないこと。
20.3 以下の場合には使用しないこと。
・外袋が破損している場合
・外袋内や容器表面に水滴や結晶が認められる場合
・容器から薬液が漏れている場合
・性状その他薬液に異状が認められる場合
・ゴム栓部のシールや混注用フィルターのキャップがはずれている場合
・隔壁を開通する前に、既に隔壁が開通している場合
20.4 凍結した場合は使用しないこと。
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| ジギタリス製剤ジゴキシン等 | ジギタリス中毒(不整脈等)の症状があらわれた場合には、投与を中止すること。 | カルシウムがジギタリス製剤の作用を増強するおそれがある。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| ワルファリン | ワルファリンの作用を減弱させるおそれがある。 | 輸液成分中のダイズ油に由来するフィトナジオン(ビタミンK1)がワルファリンの作用に拮抗する。 |
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 アシドーシス(頻度不明)
他の高カロリー輸液製剤投与中に重篤なアシドーシスが発現したとの報告があるので、投与中は観察を十分に行い、症状があらわれた場合にはビタミンB1を投与するなど適切な処置を行うこと。[1.1参照]
11.1.2 ショック、アナフィラキシー(いずれも頻度不明)
呼吸困難、チアノーゼ等があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
11.1.3 高血糖(頻度不明)
過度の尿糖、高血糖、高浸透圧利尿、口渇があらわれた場合には、インスリン投与等の適切な処置を行うこと。[8.2、9.1.2参照]
11.1.4 静脈塞栓(頻度不明)
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
| 0.1〜5%未満 | 頻度不明 | |
| 全身 | 発熱 | |
| 血液 | 出血傾向 | |
| 過敏症 | 発疹、そう痒感 | |
| 代謝 | 尿糖、高浸透圧利尿、口渇 | |
| 肝臓 | 肝機能検査値異常(AST、ALT、Al-P、γ-GTPの上昇) | 肝機能障害 |
| 循環器 | 血圧降下、頻脈、頻呼吸 | |
| 呼吸器 | 呼吸困難 | |
| 消化器 | 嘔気・嘔吐、下痢 | |
| その他 | 悪寒、顔面潮紅、顔面浮腫、異臭感、胸部圧迫感 | |
| 大量・急速投与 | 脳浮腫、肺水腫、末梢の浮腫、水中毒 |
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