ビタミンB1欠乏症と思われる重篤なアシドーシスが発現した場合には、直ちに100〜400mgのビタミンB1製剤を急速静脈内投与すること。また、高カロリー輸液療法を施行中の患者では、基礎疾患及び合併症に起因するアシドーシスが発現することがあるので、症状があらわれた場合には高カロリー輸液療法を中断し、アルカリ化剤の投与等の処置を行うこと。[11.1.3参照]
2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
2.2 高乳酸血症の患者[高乳酸血症が悪化するおそれがある。]
2.3 高ナトリウム血症の患者[高ナトリウム血症が悪化するおそれがある。]
2.4 高クロール血症の患者[高クロール血症が悪化するおそれがある。]
2.5 高マグネシウム血症、甲状腺機能低下症の患者[高マグネシウム血症が悪化する又は誘発されるおそれがある。]
2.6 高カルシウム血症の患者[高カルシウム血症が悪化するおそれがある。]
2.7 高アンモニア血症の患者[高アンモニア血症が悪化するおそれがある。]
2.8 先天性アミノ酸代謝異常症の患者[投与されたアミノ酸が代謝されず、アミノ酸インバランスが助長されるおそれがある。]
2.9 血友病の患者[パンテノールを含有しているため、出血時間を延長するおそれがある。]
2.10 肝性昏睡又は肝性昏睡のおそれのある患者[9.3.1参照]
経口・経腸管栄養補給が不能又は不十分で、経中心静脈栄養に頼らざるを得ない慢性腎不全患者(高カリウム血症、高リン血症の患者又はそのおそれのある患者に限る)に対する水分、電解質、カロリー、アミノ酸、ビタミン補給
用時に上下2室の隔壁と上室内にある黄褐色の小室を同時に開通し、十分に混合して使用する。
通常、成人には1050mLの維持量を24時間かけて中心静脈内に持続点滴注入する。
本剤は、高濃度のブドウ糖含有製剤なので、特に投与開始時には耐糖能、肝機能等に注意する。低速度(目安として維持量の半量程度)で投与開始し、徐々に1日当たりの投与量を漸増して維持量とする。
なお、症状、年齢、体重に応じて適宜増減する。
8.1 高濃度のブドウ糖含有製剤なので、耐糖能、必要カロリー量、至適水分量等患者の病態を確認してから使用すること。
8.2 急激な投与の中止により低血糖を起こすおそれがあるので、投与を中止する場合には、投与速度を徐々に下げること。
8.3 カリウム、リンを含有しないため、低カリウム血症、低リン血症を起こすおそれがあるので、投与前及び投与中は観察を十分に行い、カリウム、リンを適宜添加するなど適切な処置を行うこと。[9.1.11、9.1.12参照]
8.4 ワルファリン使用中の患者で、本剤とフィトナジオン(ビタミンK1)含有量が異なる製剤と相互に切り替える場合には、ワルファリンの投与量等に注意すること。[10.2参照]
8.5 腎不全用必須アミノ酸製剤において、これを唯一の窒素源とした場合に高アンモニア血症や意識障害を起こすことが報告されていることに留意し、本剤を投与する場合にも呼名・挨拶への反応性の遅鈍化、自発動作あるいは自発発言の低下等の異常を認めた場合には直ちに投与を中止すること。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 高度のアシドーシスのある患者
アシドーシスが悪化するおそれがある。
9.1.2 糖尿病の患者
血糖値が上昇することにより、症状が悪化するおそれがある。[11.1.4参照]
9.1.3 膵炎、膵硬化症、膵腫瘍等の膵障害のある患者
高血糖等の耐糖能異常を起こすおそれがある。
9.1.4 心臓、循環器系に機能障害のある患者
至適水分量を考慮し、適宜減量すること。循環血液量の増加により、症状が悪化するおそれがある。[11.1.1参照]
9.1.5 低体重の患者
至適水分量を考慮し、減量すること。急性心不全が誘発されるおそれがある。[11.1.1参照]
9.1.6 重症熱傷の患者
水分、電解質代謝等が著しく障害されているため、心負荷増大のおそれがある。
9.1.7 脱水症の患者
水分、電解質等に影響を与えるため、症状が悪化するおそれがある。
9.1.8 菌血症の患者
カテーテルが二次感染巣となることがあり、敗血症さらには敗血症性ショックを起こすおそれがある。
9.1.9 消化管出血のある患者
アミノ酸の過剰蓄積あるいは高アンモニア血症が誘発されるおそれがある。
9.1.10 高度の電解質異常又は酸・塩基平衡に異常のある患者
症状が悪化するおそれがある。
9.1.11 低カリウム血症の患者
低カリウム血症が悪化するおそれがある。[8.3参照]
9.1.12 低リン血症の患者
低リン血症が悪化するおそれがある。[8.3参照]
9.1.13 本人又は両親・兄弟に気管支喘息、発疹、蕁麻疹等のアレルギーを起こしやすい体質を持つ患者
9.3 肝機能障害患者
9.3.1 肝性昏睡又は肝性昏睡のおそれのある患者
投与しないこと。アミノ酸の代謝が十分に行われないため、症状が悪化する又は誘発されるおそれがある。[2.10参照]
9.3.2 肝障害のある患者(肝性昏睡又は肝性昏睡のおそれのある患者を除く)
アミノ酸の過剰蓄積あるいは高アンモニア血症が誘発されるおそれがある。
9.4 生殖能を有する者
[9.5.1参照]
9.5 妊婦
9.5.1 妊娠3カ月以内又は妊娠を希望する女性
投与する場合には、用法・用量に留意し、本剤によるビタミンAの投与は5000 IU/日未満に留めるなど必要な注意を行うこと。外国において、妊娠前3カ月から妊娠初期3カ月までにビタミンAを10000 IU/日以上摂取した女性から出生した児に、頭蓋神経堤などを中心とする奇形発現の増加が推定されたとする疫学調査結果がある。[9.4参照]
9.5.2 妊婦(妊娠3カ月以内の女性を除く)
治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
9.5.3 妊婦又は妊娠している可能性のある女性
ビタミンD過剰にならないように、慎重に投与すること。
9.6 授乳婦
9.6.1 治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
9.6.2 ビタミンD過剰にならないように、慎重に投与すること。
9.7 小児等
9.7.1 小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
9.7.2 投与速度を緩徐にし、減量するなど注意すること。一般に種々のアミノ酸代謝の未熟性が存在する。
9.7.3 血中カリウム濃度に上昇が見られた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。超低出生体重児で高カリウム血症が発症したとの報告がある。
9.7.4 ビタミンD過剰にならないように、慎重に投与すること。
9.8 高齢者
投与速度を緩徐にし、減量するなど注意すること。一般に生理機能が低下している。
14.1 全般的な注意
14.1.1 使用時には、感染に対する配慮をすること。
14.1.2 注射針や輸液セットのびん針は、ゴム栓の刻印部(○印)に垂直にゆっくりと刺すこと。斜めに刺した場合、削り片の混入及び液漏れの原因となるおそれがある。また、針は同一箇所に繰り返し刺さないこと。
14.2 薬剤調製時の注意
14.2.1 調製手順
(1)用時に外袋を開封し、バッグを取り出す。
(2)下室を両手で押して隔壁と小室を開通させる。
(3)開通操作後は隔壁が開通していることを確認する。
(4)上室と下室を交互に押して3室液を十分に混合し、黄色澄明の均一な液とする。
14.2.2 脂肪乳剤と配合しないこと。
14.2.3 薬剤を配合する場合には、配合変化に注意すること。
14.3 薬剤投与時の注意
14.3.1 末梢静脈内には投与しないこと。
14.3.2 ビタミンの光分解を防ぐため、遮光カバーを用いるなど十分に注意すること。
14.3.3 可塑剤としてDEHP〔di-(2-ethylhexyl)phthalate;フタル酸ジ-(2-エチルヘキシル)〕を含むポリ塩化ビニル製の輸液セット等を使用した場合、DEHPが製剤中に溶出するので、DEHPを含まない輸液セット等を使用することが望ましい。
14.3.4 ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、クロール及び亜鉛の配合量を必要最小量としているので患者の病態に応じて適宜添加すること。
14.3.5 原則として、連結管を用いたタンデム方式による投与は行わないこと。輸液セット内に空気が流入するおそれがある。
14.3.6 容器の目盛りは目安として使用すること。
14.3.7 残液は使用しないこと。
20.1 液漏れの原因となるので、強い衝撃や鋭利なものとの接触等を避けること。
20.2 品質保持のために遮光性及びガスバリア性の外袋で包装し、脱酸素剤を封入しているので、外袋は使用時まで開封しないこと。
20.3 以下の場合には使用しないこと。
・外袋が破損している場合
・外袋内や容器表面に水滴や結晶が認められる場合
・容器から薬液が漏れている場合
・容器を振とうしても溶解しない結晶が認められる場合
・性状その他薬液に異状が認められる場合
・ゴム栓部のシールがはがれている場合
・隔壁を開通する前に、既に隔壁が開通している場合
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| ジギタリス製剤ジゴキシン等 | ジギタリス中毒(不整脈等)の症状があらわれた場合には、投与を中止すること。 | カルシウムがジギタリス製剤の作用を増強するおそれがある。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| パーキンソン病治療薬レボドパ | レボドパの作用を減弱させるおそれがある。 | ピリドキシン塩酸塩は、レボドパの脱炭酸酵素の補酵素であり、併用によりレボドパの末梢での脱炭酸化を促進し、レボドパの脳内作用部位ヘの到達量を減少させる。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| ワルファリン[8.4参照] | ワルファリンの作用を減弱させるおそれがある。 | フィトナジオン(ビタミンK1)がワルファリンの作用に拮抗する。 |
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 急性心不全(1.6%)
重篤な急性心不全があらわれることがある。[9.1.4、9.1.5参照]
11.1.2 ショック、アナフィラキシー(いずれも頻度不明)
血圧低下、意識障害、呼吸困難、チアノーゼ、悪心、胸内苦悶、顔面潮紅、そう痒感、発汗等があらわれた場合には、直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
11.1.3 アシドーシス(頻度不明)
重篤なアシドーシスがあらわれることがある。[1.参照]
11.1.4 高血糖(頻度不明)
過度の高血糖、口渇があらわれた場合には、インスリン投与等の適切な処置を行うこと。[9.1.2参照]
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
| 0.1〜5%未満 | 頻度不明 | |
| 過敏症 | 発疹、そう痒感、顔面潮紅 | |
| 代謝異常 | 高カリウム血症、高カルシウム血症 | |
| 消化器 | 悪心・嘔吐、腹痛、下痢、食欲不振 | |
| 循環器 | 胸部不快感、動悸 | |
| 肝臓 | 肝機能異常、肝機能検査異常 | 高アンモニア血症 |
| 腎臓 | BUNの上昇、クレアチニンの上昇 | |
| 大量・急速投与 | 脳浮腫、肺水腫、末梢の浮腫、アシドーシス、水中毒 | |
| その他 | 下肢浮腫、口渇、頭痛、悪寒、発熱、熱感 |
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