エミシズマブ(遺伝子組換え)の臨床試験で、本剤との併用において重篤な血栓塞栓症及び血栓性微小血管症の発現が複数例に認められている。エミシズマブ(遺伝子組換え)投与中及び投与中止後6ヵ月間は、治療上やむを得ない場合を除き、本剤の投与を避けること。[血栓塞栓症及び血栓性微小血管症のリスクを増大させる可能性があるため(「重要な基本的注意」及び「相互作用」の項参照)。]
血液凝固因子インヒビターを有していない患者[凝固亢進のおそれがある。]
DICを生じている患者[血栓形成を加速するおそれがある。]
血液凝固第VIII因子又は第IX因子インヒビターを保有する患者に対し、血漿中の血液凝固活性を補いその出血傾向を抑制する。
本品1瓶を添付の溶剤で溶解し、緩徐に静注又は点滴静注する(1分間に体重1kg当たり、2単位をこえる注射速度はさけること)。出血時に投与する場合、通常体重1kg当たり50〜100単位を8〜12時間間隔で投与する。なお、年齢・症状に応じて適宜増減する。
ただし、原則として1日最大投与量は体重1kg当たり200単位をこえないこととする。
定期的に投与する場合、通常体重1kg当たり70〜100単位を1日おきに投与する。
[患者への説明]
本剤の使用にあたっては、疾病の治療における本剤の必要性とともに、本剤の製造に際し感染症の伝播を防止するための安全対策が講じられているが、ヒト血漿を原料としていることに由来する感染症伝播のリスクを完全に排除することができないことを、患者に対して説明し、理解を得るよう努めること。
本剤の原材料となる血漿については、HBs抗原、抗HCV抗体、抗HIV-1抗体及び抗HIV-2抗体が陰性であることを確認している。さらに、プールした試験血漿については、HBV-DNA、HCV-RNA、HIV-1-RNA、HIV-2-RNA及びHAV-RNAについて核酸増幅検査(NAT)を実施し、適合した血漿を本剤の製造に使用しているが、当該NATの検出限界以下のウイルスが混入している可能性が常に存在する。
同様に、ヒトパルボウイルスB19-DNAについてはプールした試験血漿で核酸増幅検査(NAT)を実施し、105IU/mL以下であることを確認した健康人血漿を用いている。
また、製造工程では、ウイルス不活化を目的とした2段階蒸気加熱処理(60℃、510〜520分、19kPa加圧及び80℃、60〜70分、37.5kPa加圧)及びウイルス除去膜によるろ過処理(ナノフィルトレーション)を施している。
本剤は、上記のような安全対策を講じているが、投与に際しては、次の点に十分注意すること。
血漿分画製剤の現在の製造工程では、ヒトパルボウイルスB19等のウイルスを完全に不活化・除去することが困難であるため、本剤の投与によりその感染の可能性を否定できないので、投与後の経過を十分に観察すること。
肝炎ウイルス等のウイルス感染のリスクについては完全に否定できないので、観察を十分に行い、症状があらわれた場合には適切な処置を行うこと。
現在までに本剤の投与により変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)等が伝播したとの報告はない。しかしながら、製造工程において異常プリオンを低減し得るとの報告があるものの、理論的なvCJD等の伝播のリスクを完全には排除できないので、投与の際には患者への説明を十分行い、治療上の必要性を十分検討の上投与すること。
患者血漿中のインヒビター力価測定を行い、インヒビターの存在を確認したのち投与すること。
本剤の投与前及び投与後の血液凝固検査としてAPTT、PTT、TEG等いずれかの試験を行うこと。また、DICの徴候が見られることがあるので、血小板数、PT、フィブリノゲン、FDP等の検査で異常が認められた場合、投与を中止すること。
DIC及び心筋梗塞等を誘発することがあるので、1回に体重1kg当たり100単位をこえる投与や、1日に体重1kg当たり200単位をこえる場合には特に注意すること
エミシズマブ(遺伝子組換え)の臨床試験において、エミシズマブ(遺伝子組換え)投与中の出血時に本剤を併用した症例において、血栓塞栓症及び血栓性微小血管症の発現が複数例に認められている
エミシズマブ(遺伝子組換え)投与開始前日までに、本剤の定期輸注は中止すること。また、エミシズマブ(遺伝子組換え)投与中止後6ヵ月間は、本剤の定期輸注は行わないこと。
エミシズマブ(遺伝子組換え)投与中は本剤の投与を避けること。やむを得ず本剤を投与する場合は、必ず血友病に対する十分な治療経験を有する医師のもと、必要な血液凝固系検査等が実施可能で血栓塞栓症及び血栓性微小血管症に対する適切な処置が可能な医療機関で投与すること。また、投与後は血液凝固系検査等により患者の凝固系の状態を注意深く確認すること。異常が認められた場合には本剤及びエミシズマブ(遺伝子組換え)の投与を中止し、適切な処置を行うこと。
エミシズマブ(遺伝子組換え)投与中止後6ヵ月間は、上記(2)と同じ対応を行うこと。
本剤と他の血液凝固因子製剤を併用する場合は、血栓形成等の相互作用が生じる可能性を否定できないため、治療上の有益性と危険性を十分に考慮すること。
間隔を置いての投与で、軽症短期間のアレルギー症状からショック・アナフィラキシーに至るまでのあらゆるアレルギー反応を起こすことがあるので、観察を十分に行うこと。
第IX因子に対するインヒビターを保有する患者に投与する場合には、DIC、アレルギー及びショック・アナフィラキシーを誘発するおそれがあるとの報告があるので十分に注意すること。
本剤の在宅自己注射は、医師がその妥当性を慎重に検討し、患者又はその家族が適切に使用可能と判断した場合にのみ適用すること。本剤を処方する際には、使用方法等の患者教育を十分に実施したのち、在宅にて適切な治療が行えることを確認した上で、医師の管理指導のもとで実施すること。また、患者又はその家族に対し、本剤の注射により発現する可能性のある副作用等についても十分説明し、自己注射後何らかの異常が認められた場合や注射後の止血効果が不十分な場合には、速やかに医療機関へ連絡するよう指導すること。適用後、自己注射の継続が困難な場合には、医師の管理下で慎重に観察するなど、適切な対応を行うこと。
血小板数が少ない患者においては、慎重に投与すること。[本剤の効力発現は正常な血小板数に依存することが知られており、十分な効果が得られないおそれがある。]
DICを起こし易いことが知られている大手術後、重症の肝胆疾患、溶血性貧血等の患者[DICを起こすおそれがある。]
IgA欠損症の患者[抗IgA抗体を保有する患者では過敏反応を起こすおそれがある。]
溶血性・失血性貧血の患者[ヒトパルボウイルスB19の感染を起こす可能性を否定できない。感染した場合には、発熱と急激な貧血を伴う重篤な全身症状を起こすことがある。]
免疫不全患者・免疫抑制状態の患者[ヒトパルボウイルスB19の感染を起こす可能性を否定できない。感染した場合には、持続性の貧血を起こすことがある。]
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
投与経路
静脈内に投与すること。
調製時
添付の溶剤以外は使用しないこと。
他の製剤と混合しないこと。
使用後の残液は細菌汚染のおそれがあるので使用しないこと。
本剤及び添付溶剤のバイアルキャップを外した後ゴム栓を消毒し、必ずゴム栓中央部分に添付の専用溶解器(薬液用両刃針)を刺し、溶解すること。
溶解した液を注射器に移す場合、添付の専用溶解器(薬液用両刃針)を用いること。
投与時
注入速度は1分間につき2単位/kgをこえないこと。
溶解時に沈殿の認められるものを投与しないこと。
一度溶解したものは1時間以内に使用すること。
本剤は血液凝固因子インヒビターを有する患者以外には投与しないこと。
在宅自己注射
子どもによる誤用等を避けるため、薬剤の保管に十分注意すること。
使用済の医療機器等の処理については、主治医の指示に従うこと。
[記録の保存]
本剤は特定生物由来製品に該当することから、本剤を投与又は処方した場合は、医薬品名(販売名)、製造番号、投与又は処方した日、投与又は処方を受けた患者の氏名、住所等を記録し、少なくとも20年間保存すること。
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| 抗線溶剤アプロチニントラネキサム酸ε-アミノカプロン酸等 | 血栓形成傾向があらわれるおそれがある。 | 本剤の凝固活性とこれらの薬剤の抗プラスミン作用が微小血栓の寿命を比較的長期化させるため。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| 濃縮血小板 | 血栓形成傾向があらわれるおそれがある。 | 血小板凝集活性を亢進させるとの報告がある。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| エミシズマブ(遺伝子組換え) | 血栓塞栓症又は血栓性微小血管症があらわれるおそれがある。エミシズマブ(遺伝子組換え)投与中及び投与中止後6ヵ月間は、本剤の投与は避けること。エミシズマブ(遺伝子組換え)投与中及び投与中止後6ヵ月間の出血に対してやむを得ず本剤を投与する場合は必ず血友病に対する十分な治療経験を有する医師のもと、必要な血液凝固系検査等が実施可能で血栓塞栓症及び血栓性微小血管症に対する適切な処置が可能な医療機関で投与すること(「警告」及び「重要な基本的注意」の項参照)。 | 本剤由来の活性型血液凝固第IX因子及び第X因子がエミシズマブ(遺伝子組換え)による凝固促進に影響を与える可能性が考えられ、凝固活性の増加につながるおそれがある。 |
再審査期間終了までに実施された試験及び調査において、本剤を出血時投与された65例中4例(6.2%)に副作用が認められた。(再審査終了時)
国際共同第III相試験において、本剤が定期投与された17例(日本人1例を含む)中6例(35.3%)に6件、出血時投与された19例(日本人1例を含む)中3例(15.8%)に22件の副作用が認められた。(用法・用量追加時)
ショック・アナフィラキシー(頻度不明)
ショック、アナフィラキシーを起こすことがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、直ちに投与を中止し適切な処置を行うこと。
DIC(頻度不明)
DICを起こすことがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
血栓塞栓症(頻度不明)
血栓塞栓症(心筋梗塞、脳梗塞、深部静脈血栓症、肺塞栓症等)を起こすことがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
| 1〜5%未満 | 1%未満 | 頻度不明 | |
| 過敏症注4) | アレルギー反応、発熱、発疹 | 顔面紅潮、蕁麻疹、そう痒症 | |
| 精神神経系 | 浮動性めまい、頭痛 | ||
| 消化器 | 下痢 | ||
| 肝臓 | AST(GOT)、ALT(GPT)、LDHの上昇 | ||
| 循環器 | 低血圧 | 心筋梗塞 | |
| 投与部位 | 血管痛 | ||
| その他 | 悪寒、腰痛 |
注4)症状が発現した場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
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