本剤は,緊急時に十分対応できる医療施設において,がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで,本剤の使用が適切と判断される症例についてのみ投与すること。また,治療開始に先立ち,患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し,同意を得てから投与すること。
本剤投与により,重篤な下痢,大腸炎,消化管穿孔があらわれることがあり,本剤の投与終了から数ヵ月後に発現し,死亡に至った例も報告されている。投与中だけでなく,投与終了後も観察を十分に行い,異常が認められた場合には,副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。[8.2,11.1.1,11.1.2参照]
本剤の成分に対し重度の過敏症の既往歴のある患者
○根治切除不能な悪性黒色腫
○根治切除不能又は転移性の腎細胞癌
○がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する結腸・直腸癌
○切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌
<根治切除不能な悪性黒色腫>
通常,成人にはイピリムマブ(遺伝子組換え)として1回3mg/kg(体重)を3週間間隔で4回点滴静注する。なお,他の抗悪性腫瘍剤と併用する場合は,ニボルマブ(遺伝子組換え)と併用すること。
<根治切除不能又は転移性の腎細胞癌,がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する結腸・直腸癌>
ニボルマブ(遺伝子組換え)との併用において,通常,成人にはイピリムマブ(遺伝子組換え)として1回1mg/kg(体重)を3週間間隔で4回点滴静注する。
<切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌>
他の抗悪性腫瘍剤との併用において,通常,成人にはイピリムマブ(遺伝子組換え)として1回1mg/kg(体重)を6週間間隔で点滴静注する。
本剤のT細胞活性化作用により,過度の免疫反応に起因すると考えられる様々な疾患や病態があらわれることがある。観察を十分に行い,異常が認められた場合には,過度の免疫反応による副作用の発現を考慮し,適切な鑑別診断を行うこと。過度の免疫反応による副作用が疑われる場合には,副腎皮質ホルモン剤の投与等を考慮すること。
本剤投与終了から数ヵ月後に重篤な副作用(下痢,大腸炎,下垂体機能低下症等)があらわれることがあり,死亡に至った例も報告されているので,本剤投与終了後も観察を十分に行い,異常が認められた場合は,適切な処置を行うこと。[1.2参照]
肝不全,肝機能障害があらわれることがあるので,定期的に肝機能検査を行い,患者の状態を十分に確認すること。[11.1.3参照]
下垂体炎,下垂体機能低下症,甲状腺機能低下症,副腎機能不全があらわれることがあるので,定期的に内分泌機能検査(TSH,遊離T3,遊離T4,ACTH,血中コルチゾール等の測定)を行い,患者の状態を十分に確認すること。また,必要に応じて画像検査等の実施も考慮すること。[11.1.5参照]
筋炎があらわれることがあるので,筋力低下,筋肉痛,CK上昇等の観察を十分に行うこと。[11.1.9参照]
心筋炎があらわれることがあるので,胸痛,CK上昇,心電図異常等の観察を十分に行うこと。[11.1.10参照]
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 自己免疫疾患の合併又は慢性的若しくは再発性の自己免疫疾患の既往歴のある患者
自己免疫疾患が増悪するおそれがある。
9.1.2 臓器移植歴(造血幹細胞移植歴を含む)のある患者
本剤の投与により移植臓器に対する拒絶反応が発現するおそれがある。
9.3 肝機能障害患者
9.3.1 重度の肝機能障害のある患者
重度の肝機能障害のある患者を対象とした臨床試験は実施していない。
9.4 生殖能を有する者
妊娠する可能性のある女性には,本剤投与中及び最終投与後一定期間は適切な避妊法を用いるよう指導すること。[9.5参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には,治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。妊娠中に本剤を投与するか,本剤投与中の患者が妊娠した場合は,本剤投与による催奇形性,流産等が生じる可能性があることについて,患者に十分説明すること。ヒトIgGは胎盤を通過することが報告されており,本剤は胎児へ移行する可能性がある。また,動物実験(サル)で器官形成期から分娩までの投与により,AUC比較で臨床曝露量の約8.3倍に相当する投与量で,泌尿生殖器系の奇形,早産,出生児低体重が認められ,AUC比較で臨床曝露量の約3.1倍に相当する投与量で,流産,死産,出生児の早期死亡等の発現頻度の増加が認められている。[9.4参照]
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し,授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(サル)における妊娠期間中の投与で,乳汁中への移行が認められている。また,ヒトIgGはヒト乳汁中に移行するため,本剤も移行する可能性がある。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
患者の状態を確認しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下していることが多い。
14.1 薬剤調製時の注意
本剤投与前に,溶液を目視により確認すること。本剤は半透明〜白色の微粒子を認めることがあるが,微粒子はインラインフィルターにより除去される。なお,着色異物又は明らかな変色が認められる場合は使用しないこと。
本剤は,そのまま,もしくは生理食塩液又は5%ブドウ糖注射液を用いて1〜4mg/mLの濃度に希釈し,投与すること。
用時調製し,調製後は速やかに使用すること。また,残液は廃棄すること。
14.2 薬剤投与時の注意
本剤は,0.2〜1.2ミクロンのメンブランフィルターを用いたインラインフィルターを通して投与すること。
本剤は,独立したラインにより投与すること。
15.1 臨床使用に基づく情報
海外及び国内の臨床試験において,本剤に対する抗体の産生が報告されている。
本剤とダカルバジンを併用投与した国内第2相試験において,重度の肝機能障害が高頻度に発現し,忍容性が認められなかった。また,本剤とベムラフェニブを併用投与した海外第1相試験において,重度の肝機能障害が高頻度に発現し,忍容性が認められなかった。
外箱開封後は遮光して保存すること。
次の副作用があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.4 重度の皮膚障害
中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)(0.3%*,頻度不明),薬剤性過敏症症候群(いずれも頻度不明)等の重度の皮膚障害があらわれることがある。
(頻度不明,0.1%)[8.6参照]
注)「重大な副作用」の発現頻度は,本剤単独投与時,併用投与時の順に記載した。
:単独投与における海外第3相試験(MDX010-20試験)の本剤+gp100併用群での発現頻度
次の副作用があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.2.1 単独投与
5%以上 | 5%未満 | 頻度不明 | |
皮膚 | そう痒症(21.9%),発疹 | そう痒性皮疹,全身性皮疹,斑状丘疹状皮疹,紅斑,全身性そう痒症,尋常性白斑,脱毛症,寝汗 | 皮膚炎,湿疹,蕁麻疹,皮膚剥脱,皮膚乾燥,白血球破砕性血管炎,毛髪変色 |
消化器 | 悪心,嘔吐,腹痛 | 腹部不快感,下腹部痛,便秘,放屁 | 胃腸出血,胃食道逆流性疾患,食道炎,腹膜炎,胃腸炎,憩室炎,膵炎,腸炎,胃潰瘍,大腸潰瘍,イレウス,リパーゼ上昇,血中アミラーゼ上昇,口内炎 |
内分泌 | 甲状腺機能亢進症 | 性腺機能低下,血中甲状腺刺激ホルモン上昇,血中コルチゾール減少,血中コルチコトロピン減少,血中テストステロン減少,血中プロラクチン異常 | |
肝臓 | ALP上昇,血中ビリルビン上昇 | 肝炎,肝腫大,黄疸,γ-GTP上昇 | |
腎臓 | 糸球体腎炎,腎尿細管性アシドーシス,血中クレアチニン上昇 | ||
呼吸器 | 咳嗽,呼吸困難 | 呼吸不全,肺浸潤,肺水腫,アレルギー性鼻炎 | |
筋骨格系 | 関節痛,筋肉痛,背部痛,頚部痛 | 関節炎,筋骨格痛,筋痙縮,リウマチ性多発筋痛 | |
全身・投与部位 | 疲労(21.2%),発熱 | 悪寒,無力症,倦怠感,浮腫,体重減少,インフルエンザ様疾患,局所腫脹,注射部位疼痛,注射部位反応 | 粘膜の炎症,疼痛,多臓器不全,全身性炎症反応症候群 |
代謝 | 食欲減退 | 脱水 | 腫瘍崩壊症候群,低カリウム血症,低ナトリウム血症,低リン酸血症,アルカローシス |
眼 | 霧視,ブドウ膜炎 | 眼痛,硝子体出血,視力低下,虹彩炎,結膜炎,眼の異物感,フォークト・小柳・原田症候群 | |
神経系 | 頭痛,味覚異常 | 末梢性ニューロパチー,末梢性感覚ニューロパチー,浮動性めまい,嗜眠,失神,構語障害,脳浮腫,脳神経障害,運動失調,振戦,ミオクローヌス,重症筋無力症様症状,髄膜炎 | |
精神 | 錯乱状態,精神状態変化,うつ病,リビドー減退 | ||
心・血管系 | 潮紅,低血圧,ほてり | 血管炎,血管障害,末梢性虚血,起立性低血圧,不整脈,心房細動 | |
血液 | 貧血 | 溶血性貧血,リンパ球減少症,好中球減少症,血小板減少症,好酸球増加症 | |
感染症 | 感染 | 尿路感染,気道感染 | |
生殖器 | 無月経 |
11.2.2 併用投与
5%以上 | 5%未満 | 頻度不明 | |
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内分泌 | 甲状腺機能亢進症 | 甲状腺炎,血中甲状腺刺激ホルモン減少,血中甲状腺刺激ホルモン増加,自己免疫性甲状腺障害,副甲状腺機能低下症 | |
肝臓 | 肝炎,高ビリルビン血症,高トランスアミナーゼ血症,ALP上昇,γ-GTP上昇 | ||
腎臓 | 血中クレアチニン上昇,尿細管間質性腎炎,腎炎 | ||
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代謝 | 食欲減退,高アミラーゼ血症,高リパーゼ血症 | 脱水,糖尿病,高血糖,低アルブミン血症,低カルシウム血症,低カリウム血症,低ナトリウム血症,高カリウム血症,低マグネシウム血症,低リン酸血症,糖尿病性ケトアシドーシス | |
眼 | 眼乾燥,ぶどう膜炎,霧視,視力障害,上強膜炎 | ||
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精神 | 不安,うつ病,不眠症,錯乱状態 | ||
心・血管系 | 頻脈,ほてり,高血圧,低血圧,不整脈,動悸,心房細動,徐脈 | ||
血液 | 貧血 | 好酸球増加症,好中球減少症,血小板減少症,白血球減少症,リンパ球減少症 | |
感染症 | 結膜炎,肺炎,気道感染,気管支炎 | ||
その他 | 過敏症,LDH上昇,CRP上昇,サルコイドーシス |
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