医療機器,器材及び衛生材料の殺菌
ダイサイド95%用滅菌器の一滅菌工程毎に,本品一本を用いる。
エチレンオキシド濃度600〜900mg/Lにおいて,
・滅菌温度55℃の時,ガス曝露時間90〜150分
・滅菌温度40℃の時,ガス曝露時間150〜300分
の処理を行う。
被滅菌物中の残留酸化エチレンによる障害を避けるため,滅菌終了後はエアレーション等によりガスの置換を十分に行うこと。滅菌処理した医療機器に残留する酸化エチレンや,二次生成物であるエチレンクロルヒドリン,エチレングリコールにより,それを使用した患者に発赤,腫脹その他の過敏症状,気道炎症,肺浮腫,溶血反応,血球異常などが起こったとの報告がある。
14.1 薬剤使用時の注意
14.1.1 滅菌作業者への注意
(1)酸化エチレン濃度が高い場所に入らなければならないときは空気呼吸器(JIS T 8155)を着用すること。また,有機ガス用防毒マスク(JIS T 8152)を使用する場合は適用範囲に注意すること。
(2)必要なとき以外は滅菌装置の付近にいないこと。
(3)ガス状の本品を吸入しないように注意すること。
(4)酸化エチレンの吸入あるいは暴露により頭痛,吐き気,呼吸困難,チアノーゼ,肺浮腫などの急性障害及び体重減少,強い疲労感,筋力低下などの慢性障害を起こすことがあるので十分注意すること。[15.1.1参照]
(5)本品を多量に吸入したときは清浄な空気の場所に移し,直ちに人工呼吸あるいは酸素吸入を行い,医師の手当を受けること。
(6)液状の本品が目に入ったり,手足についたりしたときは,大量の水で洗い,医師の手当てを受けること。
14.1.2 作業上の注意
(1)滅菌装置は定期的に漏洩検査を行うこと。
(2)滅菌装置の操作は安全な滅菌作業に関して教育訓練を受けた者が装置の取扱説明書に従って行うこと。
(3)滅菌が達成されたことを確認する手段を講じておくこと。
(4)滅菌後の被滅菌物を保管する部屋などの換気は十分にすること。
(5)使用場所には換気扇などを取り付けて換気を良くし,作業環境における酸化エチレン濃度を許容濃度以下に保つこと。
(6)使用場所には酸化エチレン検知管(測定範囲0.1〜100ppm)などを備えておき,滅菌装置の開放時などに作業環境を調べ,作業管理を行うこと。
(7)使用場所などには漏洩検知警報器を設置することが好ましい。
(8)酸化エチレンを常時使用する場所には水による消火設備があることが好ましい。
15.1 臨床使用に基づく情報
15.1.1 急性毒性
高濃度の酸化エチレンは粘膜を刺激し,中枢神経系の機能を低下させる。また,急性中毒の遅発症状としては吐き気,下痢,肺浮腫,麻ひ,けいれん等を起こし,死に至ることがある。[14.1.1参照]
15.1.2 慢性毒性
Hogstedtらは733人の酸化エチレンの暴露を受けた人の疫学調査を行った結果,広範囲で断続的な低濃度の酸化エチレン暴露により悪性腫瘍になる危険が増えていると警告している。
15.1.3 発がん性
酸化エチレンは人に対して発がん性の疑いのある物質であり,以下のような評価を受けている。
・日本産業衛生学会:第1群(人に対して発がん性のある物質)
・IARC(国際ガン研究機関):グループ1(人に対して発がん性のある物質)
15.2 非臨床試験に基づく情報
15.2.1 慢性毒性
10ppm,33ppm及び100ppmの酸化エチレンをFischer344系ラットに吸入させ,骨髄細胞の染色体異常の誘発と酸化エチレンの慢性毒性作用を検査し,奇形学的作用は認められなかったが,100ppmの濃度で1腹当たりの胎仔数の減少と妊娠期間の延長に統計学的有意性が認められたとの報告がある
。
15.2.2 突然変異誘発性
・種々の原核細胞(バクテリア)系や真核細胞系(動物や高等植物)による結果は酸化エチレンが突然変異を起こすことを示している。
・マウスの骨髄細胞や精巣細胞の染色体の突然変異を誘発することを示した報告がなされている。
酸化エチレンは特定第二類物質及び特別管理物質のため,特定化学物質障害予防規則に従って取扱うこと。
酸化エチレンの空気中の燃焼範囲は3〜100vol%である。マッチ,火のついたタバコ,その他発火性のものを近くに置かないこと。
容器は直射日光を避け,通風換気のよいところに保管し,40℃以下に保つこと。
容器は熱源や電気装置の近くを避け,保管すること。
容器の周囲2m以内には火気又は引火性,発火性の物,腐食性のある化学薬品等を置かないこと。
容器は投げつけたり,衝撃を与えたりしないよう静かに取扱うこと。
容器は,幼児の手の届かないところに保管すること。
使用後の容器は火中に投じないこと。
本剤は保険給付の対象とならない(薬価基準未収載)。
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