医療器具の化学的滅菌又は殺菌・消毒
<調製法>
本品の実用液の調製は、次の方法による。
第一剤50mL、第二剤50mL及び精製水900mLの割合で混和し、0.3w/v%の実用液を製する。
<使用方法>
(1)あらかじめ洗浄、水洗を行った医療器具を実用液に完全に浸漬する。細孔のある器具類や構造の複雑な器具類は、実用液を加圧注入又は吸引することにより、実用液と十分に接触させる。
(2)5分以上浸漬する。芽胞の殺滅を要する場合は10分以上浸漬する。
(3)浸漬後、取り出した医療器具を、原則として滅菌水を用い、流水で15秒以上すすぐ。使用目的により水を使用することもできる。細孔のある器具類や構造の複雑な器具類は、内孔等に薬液が残りやすいので、水の加圧注入やすすぎ時間を延長するなどして十分にすすぐ。
14.1 薬剤調製時の注意
14.1.1 本剤第一剤は酢酸様の強い刺激臭があることから、換気設備のある部屋で使用すること。
14.1.2 本剤第二剤は、成分、分量、特性の関係で過飽和溶液の状態になっているので、結晶が析出することがある。析出した結晶は温水浴で加温して溶解してから使用すること。本剤第一剤については、過酢酸の分解が促進されるので、加温しないこと。
14.1.3 本剤実用液の調製には、専用の浸漬装置を用いるか、ドラフト等を使用して、蒸気の吸入を可能な限り回避すること。本剤実用液の使用及び保管に際しては、フタ付き容器等を使用し蒸散を防ぐと共に換気を心がけること。なお、必要に応じ、ドラフト内での使用も考慮すること。
14.1.4 眼に決して入らぬよう眼鏡等の保護具をつけるなど、十分注意して取扱うこと。実用液の調製等本剤第一剤を扱う場合は洗眼できる設備のある場所や洗眼用の水を準備して行うこと。誤って眼に入った場合は、直ちに多量の水で洗った後、専門医の処置を受けること。
14.1.5 本剤第一剤を扱う場合(実用液の調製や漏洩処理)、蒸気は眼、呼吸器等の粘膜を刺激するので、眼鏡、マスク等の保護具をつけ、吸入又は接触しないよう注意すること。実用液を扱う場合を含めて、換気を心がけること。
14.1.6 本剤第一剤を扱う場合は、過酢酸水溶液との接触により皮膚が白色化又は浮腫を生じることがあるので、ゴム手袋等の保護具をつけ、皮膚に付着しないように注意すること。皮膚に付着したときは直ちに多量の水で洗い流すこと。
14.1.7 本剤実用液を調製する場合、ピペットなどで直接口で吸引して調製しないこと。
14.1.8 過酢酸濃度が0.2%を下回る場合は十分な殺菌効果が得られないので、使用前に化学的インジケーター等を用い実用下限濃度(過酢酸濃度0.2%)以上であることを確認すること。[14.2.13参照]
14.2 薬剤使用時の注意
14.2.1 本剤は酸性であるので、次亜塩素酸塩等の塩素系製剤と混合すると塩素ガスを発生するので、混合しないこと。
14.2.2 器具に付着している血液、体液等の有機物が本剤の効力や安定性に影響を及ぼすおそれがあり、又、生体物質中の塩化物が原因で器具に錆の発生や劣化が起こり得るので、消毒前に十分に洗浄し、目に見える汚れを除去すること。内視鏡等の構造の複雑な器具の洗浄方法については、メーカーの推奨する方法や学会等のガイドライン等に従うこと。
14.2.3 器具のひびや錆は、消毒効果を不十分にし、錆は実用液の安定性にも影響するので、ひびや錆のある器具には適用しないこと。
14.2.4 塩化ビニルやシリコン等の樹脂を使用している器具等に用いる場合、樹脂の部分が黄色く着色することがある。
14.2.5 器具に残存した水分による実用液の希釈が効力や安定性に影響を与えるおそれがあるので、洗浄後の器具の水気を十分に切ってから、実用液へ浸漬すること。
14.2.6 5分間の浸漬では、器具が大量の芽胞に汚染されている場合に生残することがあるので、芽胞の殺滅を要する場合は、10分以上浸漬すること。器具によって変色したりするおそれがあるので、連続1時間を超えて浸漬しないこと。
14.2.7 洗浄・消毒時は、感染性物質及び消毒液の付着や吸入を避けるために、ゴム手袋、ガウン、マスク、眼鏡等の保護具を着用すること。
14.2.8 眼に入った場合には直ちに流水で15分間以上洗眼し、眼科医の診断を受けること。洗浄が遅れたり不十分な場合、眼の障害を生じるおそれがある。
14.2.9 皮膚に触れた場合には直ちに汚染された衣服等を脱ぎ、流水で十分に洗い流すこと。痛みが続く場合は医師の診断を受けること。
14.2.10 吸入した場合には速やかに新鮮な空気の場所に移し、専門医の診断を受けること。
14.2.11 誤飲した場合には直ちに多量の水や牛乳を飲ませ、無理に吐かせないで速やかに医師の診断を受けること。吐かせることにより誤嚥すると呼吸器系に障害を起こすおそれがある。
14.2.12 過酢酸の残留は、市販のヨウ化カリウムでんぷん紙により検査できる。器具のすすぎに十分な条件をあらかじめ確認しておくこと。薬液の残留が検出される器具は、すすぎ時間の延長などにより適切なすすぎ方法を設定し、残留がないことを確認しておくこと。
14.2.13 本剤実用液は実用下限濃度(過酢酸濃度0.2%)になるまで繰り返し使用できる。水や有機物の混入により、実用液中の有効成分濃度の低下が促進される。「14.1薬剤調製時の注意」の項と同様の方法で、使用前に実用下限濃度以上であることを確認すること。[14.1.8参照]
14.2.14 本剤実用液は、容器にフタをし、直射日光を避け、常温で保管すること。
14.2.15 本剤実用液を廃棄する場合、多量の排水とともに公共排水設備に流入する施設では、そのまま排水する。そうでない場合は、中和等の処理をしてから排水すること。処理の際、換気に注意し、手袋やマスク、眼鏡等の保護具を着用して、液との直接の接触を避けること。地方自治体の排水基準に従うこと。
20.1 ガス抜きキャップから液漏れするおそれがあるので、保管時や輸送時は容器を横倒しにしないこと。
20.2 本剤第一剤は酢酸様の強い刺激臭があることから、換気設備のある部屋で保管すること。
本剤は保険給付の対象とならない(薬価基準未収載)。
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