本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
重症ケトーシス、糖尿病性昏睡又は前昏睡、1型糖尿病の患者[輸液、インスリンによる速やかな高血糖の是正が必須となるので本剤を投与すべきでない。]
重症感染症、手術前後、重篤な外傷のある患者[インスリン注射による血糖管理が望まれるので本剤の投与は適さない。]
2型糖尿病
通常、成人にはサキサグリプチンとして5mgを1日1回経口投与する。なお、患者の状態に応じて2.5mgを1日1回経口投与することができる。
本剤の使用にあたっては、患者に対し低血糖症状及びその対処方法について十分説明すること。[9.1.2、11.1.1参照]
本剤投与中は、血糖を定期的に検査するとともに、経過を十分に観察し、常に投与継続の必要性について注意を払うこと。本剤を3ヵ月投与しても食後血糖に対する効果が不十分な場合、より適切と考えられる治療への変更を考慮すること。
低血糖症状、めまい等があらわれることがあるので、高所作業、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には注意させること。[11.1.1参照]
本剤とGLP-1受容体作動薬はいずれもGLP-1受容体を介した血糖降下作用を有している。両剤を併用した際の臨床試験成績はなく、有効性及び安全性は確認されていない。
急性膵炎があらわれることがあるので、持続的な激しい腹痛、嘔吐等の初期症状があらわれた場合には、速やかに医師の診察を受けるよう患者に指導すること。[11.1.2参照]
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 心不全(NYHA分類III〜IV)のある患者
海外臨床試験において、本剤投与群(289/8280例、3.5%)ではプラセボ群(228/8212例、2.8%)と比較して、心不全による入院の発現率が高く(ハザード比1.27[95%信頼区間1.07-1.51])、リスク因子は両群ともに、心不全の既往や中等度以上の腎機能障害であったとの報告がある。
9.1.2 低血糖を起こすおそれのある以下の患者又は状態
・脳下垂体機能不全又は副腎機能不全
・栄養不良状態、飢餓状態、不規則な食事摂取、食事摂取量の不足又は衰弱状態
・激しい筋肉運動
・過度のアルコール摂取者
[8.1、11.1.1参照]
9.1.3 腹部手術の既往又は腸閉塞の既往のある患者
腸閉塞を起こすおそれがある。[11.1.4参照]
9.2 腎機能障害患者
9.2.1 中等度以上の腎機能障害患者又は透析中の末期腎不全患者
患者の腎機能障害の程度に応じて適切な用量調節を行うこと。サキサグリプチン及び主要活性代謝物は血液透析により除去される。[7.、16.6.1参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
ラット及びウサギを用いた本剤単独投与による生殖発生毒性試験においては、催奇形性も母動物毒性も認められていないが、メトホルミンとの併用投与による生殖発生毒性試験において、ラットでは本剤との関連性は不明であるが胎児に催奇形性(頭蓋脊椎破裂)が、ウサギでは母動物毒性(致死、流産)が認められた。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物試験(ラット)で乳汁中への移行が報告されている。
9.7 小児等
小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
経過を十分に観察しながら慎重に投与すること。一般に、生理機能が低下していることが多い。また、患者の腎機能障害の程度に応じて適切な用量調節を行うこと。[7.、16.6.1参照]
13.1 処置
サキサグリプチン及び主要活性代謝物は、血液透析(4時間)によりそれぞれ投与量の4%及び19%が除去される。
14.1 薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
15.2 非臨床試験に基づく情報
カニクイザルを用いた3ヵ月までの反復経口投与毒性試験において、2mg/kg/日以上の用量(AUCはヒトに1日1回5mg投与したときの4.6倍以上)で末梢部位(尾、指、陰嚢、鼻)の皮膚に病変(痂皮、潰瘍)が認められた。しかしながら、同様の皮膚毒性所見は他の動物種(マウス、ラット及びウサギ)並びにヒトでは報告されていない。
アルミピロー開封後は高温・高湿を避けて保存すること。
本剤は無包装状態で高温・高湿により影響を受けることが認められたため、無包装又は分包の場合は特に注意すること。
本剤はCYP3A4/5により代謝され、主要活性代謝物を生成する。本剤の腎排泄には、能動的な尿細管分泌の関与が推定される。[16.4、16.5.1参照]
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
糖尿病用薬スルホニルウレア剤速効型インスリン分泌促進剤α-グルコシダーゼ阻害剤ビグアナイド系薬剤チアゾリジン系薬剤GLP-1受容体作動薬SGLT2阻害薬インスリン製剤イメグリミン塩酸塩 等[11.1.1参照] | 低血糖症状が起こるおそれがある。特に、スルホニルウレア剤、速効型インスリン分泌促進剤又はインスリン製剤と併用する場合、低血糖のリスクが増加するため、これらの薬剤の減量を検討すること。 | 血糖降下作用の増強による。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
血糖降下作用を増強する薬剤β-遮断薬サリチル酸剤モノアミン酸化酵素阻害剤フィブラート系薬剤 等 | 血糖降下作用を増強し、さらに血糖が低下する可能性があるため、併用する場合には、血糖値、その他患者の状態を十分に観察しながら投与すること。 | 血糖降下作用の増強による。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
血糖降下作用を減弱する薬剤アドレナリン副腎皮質ホルモン甲状腺ホルモン 等 | 血糖降下作用が減弱し、血糖値が上昇する可能性があるため、併用する場合には、血糖値、その他患者の状態を十分に観察しながら投与すること。 | 血糖降下作用の減弱による。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
CYP3A4/5阻害剤イトラコナゾール 等[16.7.1参照] | 本剤の血中濃度が上昇する可能性があるため、併用する場合には、必要に応じて本剤を減量するなど注意すること。 | CYP3A4/5に対する阻害作用により、本剤の代謝が阻害される。 |
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 低血糖(0.5%)
低血糖があらわれることがある。スルホニルウレア剤、速効型インスリン分泌促進剤又はインスリン製剤との併用では重篤な低血糖症状があらわれ、特にスルホニルウレア剤では意識消失を来す例も報告されている。低血糖症状が認められた場合は、糖質を含む食品等を摂取するなど適切な処置を行うこと。ただし、α-グルコシダーゼ阻害剤との併用時はブドウ糖を投与すること。[8.1、8.3、9.1.2、10.2、17.1.1-17.1.5、17.2.1参照]
11.1.2 急性膵炎(頻度不明)
持続的な激しい腹痛等があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。[8.5参照]
11.1.3 過敏症反応(頻度不明)
アナフィラキシー、血管浮腫及び皮膚剥脱等の重篤な過敏症反応があらわれることがある。
11.1.4 腸閉塞(0.5%未満)
高度の便秘、腹部膨満、持続する腹痛、嘔吐等があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。[9.1.3参照]
11.1.5 類天疱瘡(頻度不明)
水疱、びらん等があらわれた場合には皮膚科医と相談し、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
0.5〜2%未満 | 0.5%未満 | 頻度不明 | |
神経系障害 | めまい | 頭痛 | |
眼障害 | 白内障、霧視 | ||
心臓障害 | 動悸、期外収縮、心電図T波逆転 | ||
呼吸、胸郭及び縦隔障害 | 鼻咽頭炎、上気道感染、咳嗽 | 副鼻腔炎 | |
胃腸障害 | 便秘、下痢、腹部不快感、胃炎 | 腹部膨満、腹痛、逆流性食道炎、胃腸炎、悪心、嘔吐、消化不良、口内炎、口唇炎、便潜血 | |
肝胆道系障害 | 肝機能異常(ALT上昇、AST上昇、γ-GTP上昇、Al-P上昇等) | ||
皮膚及び皮下組織障害 | 発疹、湿疹、そう痒 | じん麻疹、ざ瘡、冷汗 | |
全身障害 | 浮腫、筋痙縮、倦怠感、無力症 | ||
代謝異常 | 2型糖尿病悪化、高尿酸血症、尿中アルブミン/クレアチニン比増加、血中ブドウ糖減少、グリコヘモグロビン増加、CK上昇 | ||
血液 | 貧血、白血球数増加、血小板数減少 | ||
その他 | 高血圧、頻尿、高カリウム血症、胸痛、白癬、腎結石、鼻出血、甲状腺腫瘤、尿路感染、関節痛 |
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効果の強さ
投稿日: 2015/04/05 参考率: 86%(71人/83人)
内科/50代/処方経験あり