本剤の投与にあたっては、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例についてのみ実施すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
重度の肝障害患者〔副作用が強くあらわれるおそれがある。肝障害患者では、本剤の血清中濃度が上昇するおそれがある。(「薬物動態」「臨床成績」の項参照)〕
皮膚T細胞性リンパ腫
通常、成人にはボリノスタットとして1日1回400mgを食後経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。
脱水症状があらわれることがあるので、必要に応じて、補液、電解質補充等を行うこと。また、投与にあたっては、患者に、脱水の兆候や脱水を避けるための注意点を指導すること。過度の嘔吐、下痢等が認められた場合には、医師の診察を受けるよう患者を指導すること。〔「重大な副作用」の項参照〕
高血糖があらわれることがあるので、投与開始前及び投与開始後は定期的に血糖値の測定を行うこと。また、本剤の投与を開始する前に血糖値を適切にコントロールしておくこと。〔「重大な副作用」の項参照〕
血小板減少、貧血、腎機能障害等があらわれることがあるので、本剤投与中は定期的に、血液検査(血球数算定、電解質/血清クレアチニンを含む血液生化学検査)を行うこと。
静脈血栓塞栓症を有する又は既往歴のある患者〔肺塞栓症、深部静脈血栓症が発現、悪化するおそれがある。(「重大な副作用」の項参照)〕
軽度及び中等度の肝障害患者〔使用経験が少ない。肝障害患者では、本剤の血清中濃度が上昇するおそれがある。また、軽度の肝障害患者に対する最大耐用量は300mg、中等度の肝障害患者に対する最大耐用量は200mgであることが確認されている。(「薬物動態」「臨床成績」の項参照)〕
糖尿病又はその疑いのある患者〔糖尿病が悪化するおそれがある。(「重要な基本的注意」「重大な副作用」の項参照)〕
進行性固形がん患者に対し、最大用量として海外では1日1回800mg、国内では1日1回500mgが投与されている。この際に観察された副作用は、承認用量で認められたものと同様であった。過量投与が認められた場合には、患者の状態を十分に観察し、必要な対症療法を実施すること。
薬剤交付時
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。〔PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている。〕
カプセルを開けたり、つぶしたりしないこと。カプセル内の粉末を皮膚又は粘膜に直接接触させないこと。直接接触した場合には、完全に洗い流すこと。
本剤のがん原性試験は実施していない。本剤は、細菌を用いた復帰突然変異試験(Ames試験)において
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| クマリン系抗凝血剤:ワルファリン | プロトロンビン時間(PT)延長及びINR上昇があらわれることがある。PT及びINRを注意深くモニターすること。 | 機序不明 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| バルプロ酸 | 消化管出血、血小板減少、貧血等の副作用が増強することがある。 | 機序不明 |
国内臨床試験(治験)
皮膚T細胞性リンパ腫(CTCL)を対象とした第I相臨床試験では、CTCL患者10例中10例に副作用(臨床検査値の異常変動を含む)が認められた。主な副作用は、血小板減少症が8例、悪心が6例、倦怠感が5例、嘔吐、高クレアチニン血症、食欲不振及び味覚異常が各4例、高ビリルビン血症、高血糖、高マグネシウム血症、高トリグリセリド血症、白血球減少症、リンパ球減少症及び体重減少が各3例、下痢、頭痛、高血圧、発熱、貧血、疲労及び腎機能障害が各2例であった。〔国内臨床試験(089試験)終了時〕
海外臨床試験(治験)
海外で実施された2つの臨床試験において、CTCL患者86例中80例(93.0%)に副作用(臨床検査値の異常変動を含む)が認められた。主な副作用は、下痢40例(46.5%)、疲労39例(45.3%)、悪心33例(38.4%)、食欲不振30例(34.9%)、血小板減少症22例(25.6%)、味覚異常20例(23.3%)であった。〔承認時〕
肺塞栓症(4.7%)、深部静脈血栓症(1.2%)
肺塞栓症、深部静脈血栓症があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、減量又は投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
血小板減少症(25.6%)
血小板減少があらわれることがあるので、定期的に血液検査を実施するなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には、減量又は投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
貧血(12.8%)
貧血があらわれることがあるので、定期的に血液検査を実施するなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には、減量又は投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
脱水症状(1.2%)
脱水症状があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、減量又は投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
高血糖(4.7%)
高血糖があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、減量又は投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
腎不全(頻度不明*)
腎不全があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、減量又は投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
CTCL患者を対象にした海外臨床試験(001試験及び005試験)において1日1回400mg投与で認められた副作用の頻度を基に記載した。
*:CTCL患者を対象にした国内臨床試験(089試験、1日1回400mg投与)、CTCL以外の患者を対象にした海外臨床試験及びCTCL患者を対象にした海外臨床試験(001試験及び005試験)において1日1回400mg投与以外で認められた副作用
次のような症状又は異常があらわれた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
| 頻度不明* | 10%以上 | 10%未満 | |
| 感染症 | 憩室炎 | レンサ球菌性菌血症 | |
| 血液 | 溶血 | 好中球減少症、白血球減少症、リンパ球数減少 | |
| 精神・神経系 | 虚血性脳卒中 | 浮動性めまい、頭痛、錯感覚、嗜眠、失神 | |
| 循環器 | 低血圧、血管炎 | 高血圧、動悸 | |
| 呼吸器 | 喀血 | 呼吸困難、咳嗽 | |
| 消化器 | 嚥下障害 | 下痢、悪心、口内乾燥、嘔吐、便秘 | 腹痛、上腹部痛、胃食道逆流性疾患、胃腸出血 |
| 肝胆道系 | 肝虚血、高ビリルビン血症 | ALT増加、AST増加 | |
| 皮膚 | 脱毛症 | 皮膚剥脱、多汗症 | |
| 泌尿器 | 尿閉 | 血中クレアチニン増加 | 蛋白尿、血尿 |
| 電解質 | 低ナトリウム血症 | 高マグネシウム血症、低カリウム血症 | |
| その他 | 腫瘍出血、霧視、難聴、無力症、高トリグリセリド血症、倦怠感 | 筋痙縮、味覚異常、疲労、悪寒、食欲不振、体重減少 | 味覚減退、発熱、胸痛、末梢性浮腫、冷感、血管神経性浮腫 |
CTCL患者を対象にした海外臨床試験(001試験及び005試験)において1日1回400mg投与で認められた副作用の頻度を基に記載した。
*:CTCL患者を対象にした国内臨床試験(089試験、1日1回400mg投与)、CTCL以外の患者を対象にした海外臨床試験及びCTCL患者を対象にした海外臨床試験(001試験及び005試験)において1日1回400mg投与以外で認められた副作用
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