1.1 本剤を含むがん化学療法は、緊急時に十分な対応ができる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本療法が適切と判断される症例についてのみ実施すること。また、本剤による治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分に説明し、同意を得てから投与すること。
1.2 骨髄抑制があらわれることがあるので、頻回に血液検査を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。また、「2.禁忌」、「8.重要な基本的注意」及び「9.特定の背景を有する患者に関する注意」の項を参照し、適応患者の選択を慎重に行うこと。[2.1、8.1、9.1.1、9.2、9.3、9.8、11.1.1参照]
2.1 高度な骨髄抑制のある患者[骨髄抑制を悪化させる可能性がある。][1.2参照]
2.2 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
2.3 妊婦又は妊娠している可能性のある女性[9.5参照]
手術不能又は再発乳癌、悪性軟部腫瘍
通常、成人には、エリブリンメシル酸塩として、1日1回1.4mg/m2(体表面積)を2〜5分間かけて、週1回、静脈内投与する。これを2週連続で行い、3週目は休薬する。これを1サイクルとして、投与を繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量する。
8.1 骨髄抑制があらわれることがあるので、頻回に血液検査を行うなど、患者の状態を十分に観察し、感染症の発現に注意すること。[1.2、9.1.1、11.1.1参照]
8.2 QT間隔延長があらわれたとの報告があるので、投与開始前は心電図検査及び電解質検査を行うこと。本剤投与中は適宜心電図検査を行うなど患者の状態を十分に観察すること。
8.3 肝機能障害があらわれることがあるので、本剤投与中は定期的に肝機能検査を行い、患者の状態を十分に観察すること。[11.1.4参照]
8.4 間質性肺炎があらわれることがあるので、胸部X線検査を行うなどして、患者の状態を十分に観察すること。[11.1.5参照]
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 骨髄抑制のある患者[1.2、8.1、11.1.1参照]
9.2 腎機能障害患者
本剤のAUCが増加する傾向がある。[1.2、16.6.1参照]
9.3 肝機能障害患者
肝機能障害を有する患者に投与する場合は、減量を考慮すること。本剤のAUCが増加し、好中球減少の発現頻度が高くなる傾向がある。[1.2、16.6.2参照]
9.4 生殖能を有する者
生殖可能な年齢の患者に投与する必要がある場合には、性腺に対する影響を考慮すること。動物実験(ラット、イヌ)において精巣毒性が認められている。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。動物実験(ラット)で胚致死作用及び催奇形作用が報告されている。[2.3参照]
9.6 授乳婦
授乳しないことが望ましい。本剤が乳汁に移行する可能性があり、乳児が乳汁を介して摂取した場合、乳児に重篤な副作用が発現するおそれがある。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
患者の状態を十分に観察し、慎重に投与すること。一般に生理機能が低下していることが多く、骨髄抑制や消化器症状等の副作用があらわれやすい。[1.2参照]
14.1 薬剤調製時の注意
14.1.1 本剤を他の医薬品と混注しないこと。
14.1.2 本剤を5%ブドウ糖注射液で希釈した場合、反応生成物が検出されるため、希釈する場合は日本薬局方生理食塩液を使用すること。また、0.01mg/mL未満の濃度に希釈しないこと。
14.1.3 調製時には手袋、ゴーグル及び保護衣の着用が望ましい。本剤が皮膚に付着した場合には、直ちに石鹸及び多量の流水で洗い流すこと。また、粘膜に付着した場合には、直ちに多量の流水で洗い流すこと。
14.2 薬剤投与時の注意
14.2.1 本剤をシリンジに入れ、室温で保存した場合は6時間以内、冷蔵で保存した場合は24時間以内に投与すること。
15.1 臨床使用に基づく情報
前治療歴を有する患者において、本剤の投与後に骨髄異形成症候群(MDS)が発生したとの報告がある。
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| 抗悪性腫瘍剤放射線照射 | 併用により、骨髄抑制が増強するおそれがある。併用する場合には、患者の状態を十分に観察し、必要に応じて減量又は休薬期間の延長を行うこと。 | ともに骨髄抑制作用を有し、骨髄抑制が増強するおそれがある。 |
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 骨髄抑制
白血球減少(99.2%)、好中球減少(98.5%)、リンパ球減少(63.6%)、貧血(23.5%)、ヘモグロビン減少(21.2%)、発熱性好中球減少(12.1%)、血小板減少(9.1%)、赤血球減少(3.8%)、汎血球減少(頻度不明)等があらわれることがある。異常が認められた場合には、減量や休薬等を行い、必要に応じて、G-CSF製剤や抗生剤の投与等の適切な処置を行うこと。Grade3以上の白血球及び好中球減少の最低値は、ともに投与開始14日後(中央値)にあらわれ、最低値発現日からともに7日後(中央値)に回復した。[1.2、8.1、9.1.1参照]
11.1.2 感染症(頻度不明)
敗血症、肺炎等があらわれることがある。
11.1.3 末梢神経障害(末梢性ニューロパチー)(28.0%)
観察を十分に行い、しびれ等の症状が認められた場合には、減量や休薬等の適切な処置を行うこと。
11.1.4 肝機能障害(8.3%)[8.3参照]
11.1.5 間質性肺炎(1.5%)[8.4参照]
11.1.6 皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、多形紅斑(いずれも頻度不明)
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
| 30%以上 | 5〜30%未満 | 5%未満 | 頻度不明 | |
| 血液 | 血小板増加 | |||
| 消化器 | 悪心(40.2%)、口内炎(34.1%) | 嘔吐、便秘、下痢、腹痛 | 口唇炎、口内乾燥、口の感覚鈍麻、流涎過多、歯痛、歯肉痛、歯周炎、舌炎、舌苔、嚥下障害、腹部不快感、消化不良、胃腸粘膜障害、胃炎、裂肛、肛門周囲痛 | 膵炎、粘膜の炎症 |
| 全身症状 | 疲労(34.1%)、発熱(31.1%) | 倦怠感、浮腫 | 無力症、疼痛、インフルエンザ様疾患 | |
| 精神神経系 | 味覚異常、頭痛、めまい | 同名性半盲、傾眠、不眠症、不安、感覚鈍麻、感覚障害 | ||
| 代謝 | 食欲減退(34.8%) | 血中アルブミン、カリウム、リンの低下、総コレステロールの上昇、耐糖能障害 | 血中ナトリウム、クロール、カルシウム、総蛋白、血糖の低下、血中リン、トリグリセリドの上昇 | |
| 筋骨格系 | 筋肉痛、関節痛 | 頸部痛、背部痛、鼡径部痛、四肢痛、筋固縮、筋痙縮、関節炎、変形性関節症 | 骨痛 | |
| 呼吸器 | 咳嗽、口腔咽頭痛 | 呼吸困難、鼻出血、鼻漏、口腔咽頭不快感、上気道炎、胸膜炎、放射線性肺臓炎、発声障害、肺塞栓症、喀血、胸水 | ||
| 皮膚 | 脱毛症(46.2%) | 発疹 | 湿疹、蕁麻疹、そう痒症、光線過敏性反応、皮膚乾燥、皮膚筋炎 | |
| 肝臓 | AST、ALT、Al-P、γ-GTP、LDHの上昇 | 総ビリルビンの上昇、脂肪肝 | ||
| 循環器 | 動悸、血圧上昇、頻脈、心電図QT延長、心室性期外収縮 | |||
| 泌尿器 | 蛋白尿、尿潜血 | 尿意切迫、BUN、血中クレアチニンの上昇、尿路感染、排尿障害、腎不全 | ||
| 感覚器 | 結膜炎、眼の異常感、複視、眼脂、眼痛、眼乾燥、流涙増加、耳漏、耳鳴、白内障 | |||
| その他 | CK、CRPの上昇、体重減少 | 注射部位反応(そう痒感等)、注射部位漏出、胸痛、口渇、過敏症、膣分泌物、血管炎、出血、ほてり、体重増加、不規則月経 |
ハラヴェン静注1mg 51456円/瓶
m3.comにご登録済の方
薬剤名検索
薬剤情報提供:一般財団法人日本医薬情報センター 剤形写真提供:株式会社薬事日報社
・薬剤情報・剤形写真は月一回更新しておりますが、ご覧いただいた時点で最新情報ではない可能性がございます。 最新情報は、各製薬会社のWebサイトなどでご確認ください。
・投稿内容の中に適応外、承認用法・用量外の記載等が含まれる場合がありますが、エムスリー、製薬会社が推奨するものではありません。
エビデンスの確かさ・信頼性
投稿日: 2015/03/13 参考率: 100%(2人/2人)
外科/60代/処方経験あり