1.1 本剤による治療は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本療法が適切と判断される症例についてのみ実施すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。
1.2 本剤と放射線照射を併用する場合に、重篤な副作用や放射線照射による合併症が発現する可能性があるため、放射線照射とがん化学療法の併用治療に十分な知識・経験を持つ医師のもとで実施すること。
1.3 本剤の投与後にニューモシスチス肺炎が発生することがあるため、適切な措置の実施を考慮すること。[8.4、11.1.2、17.1.3参照]
2.1 本剤又はダカルバジンに対し過敏症の既往歴のある患者
2.2 妊婦又は妊娠している可能性のある女性[9.5参照]
○悪性神経膠腫
○再発又は難治性のユーイング肉腫
<効能共通>
下記のとおり本剤を90分間かけて静脈内投与する。
<悪性神経膠腫>
初発の悪性神経膠腫の場合
放射線照射との併用にて、通常、成人ではテモゾロミドとして75mg/m2(体表面積)を1日1回42日間投与し、4週間休薬する。その後、本剤単独にて、テモゾロミドとして150mg/m2(体表面積)を1日1回5日間投与し、23日間休薬する。この28日を1クールとし、次クールでは1回200mg/m2に増量することができる。
再発の悪性神経膠腫の場合
通常、成人ではテモゾロミドとして150mg/m2(体表面積)を1日1回5日間投与し、23日間休薬する。この28日を1クールとし、次クールで1回200mg/m2に増量することができる。
<再発又は難治性のユーイング肉腫>
イリノテカンとの併用において、通常、テモゾロミドとして1回100mg/m2を1日1回連日5日間投与し、16日間以上休薬する。これを1クールとし、投与を反復する。なお、患者の状態により適宜減量する。
8.1 本剤の投与にあたっては、骨髄機能抑制等の重篤な副作用が起こることがあるので、頻回に臨床検査(血液検査、肝機能・腎機能検査等)を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。[11.1.1、11.1.6参照]
8.2 感染症・出血傾向の発現又は増悪に十分に注意すること。
8.3 カプセル剤による治療後に、骨髄異形成症候群(MDS)や骨髄性白血病を含む二次性悪性腫瘍が報告されている。
8.4 本剤の投与では放射線照射との併用期間中は、リンパ球数にかかわらず、ニューモシスチス肺炎に十分注意し、あらかじめ適切な措置を講ずること。[1.3、11.1.2、17.1.3参照]
8.5 本剤の投与によりB型肝炎ウイルスの再活性化による肝炎があらわれることがあるので、本剤投与に先立って肝炎ウイルス感染の有無を確認し、本剤投与前に適切な処置を行うこと。[9.1.3、11.1.2参照]
8.6 本剤の投与では、悪心、嘔吐、食欲不振等の消化器症状が高頻度に認められるため、患者の状態を十分に観察し、適切な処置を行うこと。[17.1.1、17.1.3参照]
8.7 再発又は難治性のユーイング肉腫に本剤を使用する際には、関連文献(「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議 公知申請への該当性に係る報告書」
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 骨髄機能抑制のある患者
骨髄機能抑制が増強するおそれがある。[11.1.1参照]
9.1.2 感染症を合併している患者
骨髄機能抑制により、感染症が悪化するおそれがある。[11.1.1、11.1.2参照]
9.1.3 肝炎ウイルスの感染又は既往を有する患者
B型肝炎ウイルスキャリアの患者又はHBs抗原陰性の患者において、本剤の投与開始後は継続して肝機能検査や肝炎ウイルスマーカーのモニタリングを行うなど、B型肝炎ウイルスの再活性化の兆候や症状の発現に注意すること。[8.5、11.1.2参照]
9.1.4 水痘患者
致命的な全身障害があらわれるおそれがある。
9.2 腎機能障害患者
9.2.1 重度の腎機能障害のある患者
副作用が強くあらわれるおそれがある。[16.6.1参照]
9.3 肝機能障害患者
9.3.1 重度の肝機能障害のある患者
副作用が強くあらわれるおそれがある。[16.6.2参照]
9.4 生殖能を有する者
9.4.1 妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後6ヵ月間において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること。[9.5、15.2.3参照]
9.4.2 男性には、本剤投与中及び最終投与後3ヵ月間においてバリア法(コンドーム)を用いて避妊する必要性について説明すること。[15.2.3参照]
9.4.3 小児及び生殖可能な年齢の患者に投与する必要がある場合には、性腺に対する影響を考慮すること。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。
9.6 授乳婦
授乳しないことが望ましい。
9.7 小児等
<悪性神経膠腫>
9.7.1 小児等を対象とした臨床試験は実施していない。[16.6.3参照]
<再発又は難治性のユーイング肉腫>
9.7.2 小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
海外の臨床試験(カプセル剤投与時)において、高齢者(70歳超)では、70歳以下の患者と比較すると、好中球減少及び血小板減少の発現が増加することが認められている。
13.1 症状
海外において、カプセル剤の過量投与(10,000mg、5日間の同一クールでの総投与量)により汎血球減少、発熱、多臓器不全を引き起こし死亡したとの報告がある。また、カプセル剤の長期投与(連続5日間以上、最長で連続64日間)により骨髄機能抑制、感染等を引き起こし死亡したとの報告がある。
14.1 薬剤調製時の注意
14.1.1 本剤を調製する際、手袋を使用すること。本剤が皮膚又は粘膜に接触した場合、直ちに水及び石鹸で十分に洗うこと。
14.1.2 本剤は室温(約25℃)で、本剤1バイアルに注射用水41mLを加え、穏やかに円を描くように回して溶解する(テモゾロミド2.5mg/mL)。その際、振り混ぜないこと。必要に応じて生理食塩液にて希釈して用いることができる。
14.1.3 溶解後、溶液中に異物を認める場合は使用しないこと。
14.1.4 調製後は14時間以内に投与を終了すること。また、残液は使用しないこと。
14.1.5 体表面積より計算した必要量を無菌的に輸液バッグに移すこと。
14.2 薬剤投与時の注意
14.2.1 本剤は輸液ポンプを用い、90分間かけて点滴静注すること。投与に際し、他の注射剤との配合又は混注は行わないこと。
14.2.2 本剤と他の注射剤の同じ点滴ラインを用いた同時投与は行わないこと(他の注射剤との適合性試験は実施していない)。なお、本剤と生理食塩液は同じ点滴ラインで投与できるが、ブドウ糖注射液とは投与しないこと。
14.2.3 末梢静脈から投与する際に、局所の組織障害を起こすことがあるので、薬液が血管外に漏れないように慎重に投与すること。
15.1 臨床使用に基づく情報
15.1.1 カプセル剤の投与後に、再生不良性貧血につながる汎血球減少症の延長が認められたとの報告がある
15.2 非臨床試験に基づく情報
15.2.1 動物実験(ラット、経口投与)で、乳腺及び皮膚等に腫瘍が発生したとの報告がある
15.2.2 動物実験(ラット及びイヌ、経口投与)で、精巣毒性を認めたとの報告がある
15.2.3 細菌を用いた復帰突然変異試験、ヒト末梢血リンパ球を用いた染色体異常試験、並びにマウスを用いた小核試験において、遺伝毒性を認めたとの報告がある
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと注1)。
11.1.1 骨髄機能抑制(頻度不明、頻度不明)
汎血球減少(2.6%、0.5%)、好中球減少(42.1%、3.5%)、血小板減少(26.3%、8.8%)、貧血(13.2%、2.5%)、リンパ球減少(42.1%、頻度不明)、白血球減少(34.2%、3.8%)等があらわれることがある。[8.1、9.1.1、9.1.2参照]
11.1.2 ニューモシスチス肺炎(2.6%、頻度不明)、感染症(頻度不明、頻度不明)
ニューモシスチス肺炎(2.6%、頻度不明)、サイトメガロウイルス感染症(頻度不明、頻度不明)等の日和見感染や敗血症(2.6%、0.5%)等、重篤な感染症があらわれることがある。リンパ球減少が認められた場合には、リンパ球数が回復(Grade 1以下)するまでニューモシスチス肺炎に対する措置を継続すること。また、B型肝炎ウイルスの再活性化による劇症肝炎又は肝炎があらわれることがある。特に長期間の使用はステロイド剤との併用の有無にかかわらず感染症の発現リスクを高めることがある。なお、敗血症の合併症として、播種性血管内凝固症候群(DIC)、急性腎障害、呼吸不全等が報告されている。[8.4、8.5、9.1.2、9.1.3、17.1.3参照]
11.1.3 間質性肺炎(頻度不明、頻度不明)
発熱、咳嗽、呼吸困難等の臨床症状を十分に観察し、異常が認められた場合には速やかに胸部X線検査等を実施し、本剤の投与を中止するとともにニューモシスチス肺炎との鑑別診断(β-Dグルカンの測定等)を考慮に入れ適切な処置を行うこと。
11.1.4 脳出血(2.6%、0.3%)
血小板減少を認めた症例で脳出血があらわれたとの報告がある。
11.1.5 アナフィラキシー(頻度不明、頻度不明注2))
11.1.6 肝機能障害(頻度不明、頻度不明)、黄疸(頻度不明、頻度不明)
AST、ALT、Al-P、γ-GTPの著しい上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがあり、肝不全に至った症例も報告されている。[8.1参照]
11.1.7 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)(頻度不明、頻度不明)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(頻度不明、頻度不明)
注1)「重大な副作用」の発現頻度は、カプセル剤の国内臨床試験、海外臨床試験(初回再発退形成性星細胞腫及び初回再発膠芽腫)をもとに国内、海外の順に記載した。当該試験において各事象が発現していない場合は頻度不明とした。
注2)海外の臨床試験及び市販後に基づく頻度(カプセル剤承認時):0.01%未満
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.2.1 国内で認められた副作用注3)
| 10%以上 | 10%未満 | 頻度不明 | |
| 全身症状 | 倦怠感 | 発熱、悪寒 | |
| 精神神経系 | 頭痛 | めまい、意識障害、感情不安定、焦燥、傾眠 | |
| 血液 | 貧血(ヘモグロビン減少、ヘマトクリット減少、赤血球減少)、白血球減少、リンパ球減少、好中球減少、血小板減少 | 単球減少、白血球増多、好中球増多、好酸球増多、好塩基球増多、単球増多 | |
| 肝臓 | AST上昇、ALT上昇、Al-P上昇 | γ-GTP上昇、LDH上昇、ビリルビン上昇 | |
| 腎臓 | BUN上昇、クレアチニン上昇、尿潜血、蛋白尿、尿検査異常 | ||
| 循環器 | 胸部不快感、動悸、心嚢液貯留 | ||
| 消化器 | 悪心、嘔吐、食欲不振、便秘、下痢 | 腹痛、胃不快感、口内・口唇炎、胃腸炎、歯肉炎 | 消化不良 |
| 皮膚 | 点状出血、帯状疱疹、白癬、そう痒、蜂巣炎、発疹 | 脱毛、多形紅斑 | |
| 神経・筋 | しびれ、痙攣、振戦、片麻痺 | 無力症 | |
| 呼吸器 | 上気道感染、胸水、しゃっくり | ||
| 眼 | 霧視、眼瞼炎 | ||
| 投与部位 | 注射部反応(疼痛、刺激感、紅斑、腫脹、熱感、そう痒感) | ||
| その他 | 疲労 | 浮腫、熱感、CRP上昇、血糖値上昇、ヘモグロビンA1C上昇、血清総蛋白減少、アルブミン減少、血中ナトリウム減少、水頭症 | 味覚異常、体重減少、疼痛、血腫、尿崩症 |
注3)副作用発現頻度はカプセル剤の臨床試験成績に基づく
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.2.2 海外で認められた副作用
| 10%以上 | 10%未満注4) | |
| 全身症状 | 発熱、倦怠感 | |
| 精神神経系 | 頭痛 | 不眠、めまい、錯乱、健忘、失神、傾眠、うつ病 |
| 血液 | 血小板減少、白血球減少、好中球減少、貧血 | |
| 腎臓 | 頻尿 | |
| 消化器 | 悪心、嘔吐、便秘 | 食欲不振、口内炎、下痢、消化不良、腹痛 |
| 皮膚 | 脱毛、発疹、紅斑、そう痒、点状出血、紫斑、帯状疱疹 | |
| 神経・筋 | 痙攣、協調運動失調、感覚異常、麻痺、片麻痺、無力症 | |
| 呼吸器 | 呼吸困難、気管支炎、肺炎、鼻出血 | |
| その他 | 疲労 | 浮腫、味覚異常、感染症、疼痛、体重減少、口腔カンジダ症 |
注4)カプセル剤の海外臨床試験(初回再発退形成性星細胞腫及び初回再発膠芽腫)で4例(1%)以上の発現が認められた副作用(単剤投与)
テモダール点滴静注用100mg 36284円/瓶
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