D(Rho)陽性の新生児及び妊産婦〔本剤を投与すると溶血を起こす可能性がある.〕
本剤の成分に対しショックの既往歴のある患者
D(Rho)陰性で以前にD(Rho)因子で感作を受けていない女性に対し,以下の場合に投与することにより,D(Rho)因子による感作を抑制する.
分娩後,流産後,人工妊娠中絶後,異所性妊娠後,妊娠中の検査・処置後(羊水穿刺,胎位外回転術等)又は腹部打撲後等のD(Rho)感作の可能性がある場合
妊娠28週前後
本剤は,1バイアルを添付溶剤(日本薬局方 注射用水)2mLに溶解し,効能・効果に応じて以下のとおり投与する.
分娩後,流産後,人工妊娠中絶後,異所性妊娠後,妊娠中の検査・処置後又は腹部打撲後
72時間以内に本剤1バイアルを筋肉内に注射する.
妊娠28週前後
本剤1バイアルを筋肉内に注射する.
患者への説明
本剤の使用にあたっては,疾病の治療における本剤の必要性とともに,本剤の製造に際し感染症の伝播を防止するための安全対策が講じられているが,血液を原料としていることに由来する感染症伝播のリスクを完全に排除することができないことを,患者に対して説明し,理解を得るよう努めること.
本剤の原材料となる血液については,HBs抗原,抗HCV抗体,抗HIV-1抗体,抗HIV-2抗体陰性であることを確認している.更に,プールした試験血漿については,HIV-1,HBV
HCV
について核酸増幅検査(NAT)を実施し,適合した血漿を本剤の製造に使用しているが,当該NATの検出限界以下のウイルスが混入している可能性が常に存在する.本剤は,以上の検査に適合した血漿を原料として,Cohnの低温エタノール分画で得た画分からポリエチレングリコール4000処理,DEAEセファデックス処理等により抗D(Rho)人免疫グロブリンを濃縮・精製した製剤であり,ウイルス不活化・除去を目的として,製造工程において60℃,10時間の液状加熱処理及びウイルス除去膜によるろ過処理を施しているが,投与に際しては,次の点に十分注意すること.
血漿分画製剤の現在の製造工程では,ヒトパルボウイルスB19等のウイルスを完全に不活化・除去することが困難であるため,本剤の投与によりその感染の可能性を否定できないので,投与後の経過を十分に観察すること.
現在までに本剤の投与により変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)等が伝播したとの報告はない.しかしながら,製造工程において異常プリオンを低減し得るとの報告があるものの,理論的なvCJD等の伝播のリスクを完全には排除できないので,投与の際には患者への説明を十分行い,治療上の必要性を十分検討の上投与すること.
等重篤な副作用を起こすことがあるので,注意して使用し,経過を十分観察すること.
妊娠後期又は分娩時の胎児母体間出血により,D(Rho)陰性の母親の循環血中に胎児のD(Rho)陽性赤血球が存在した場合には,母親の血液型判定において,誤判定を起こすおそれがある.
IgA欠損症の患者〔抗IgA抗体を保有する患者では過敏反応を起こすおそれがある.〕
溶血性・失血性貧血の患者〔ヒトパルボウイルスB19の感染を起こす可能性を否定できない.感染した場合には,発熱と急激な貧血を伴う重篤な全身症状を起こすことがある.〕
免疫不全患者・免疫抑制状態の患者〔ヒトパルボウイルスB19の感染を起こす可能性を否定できない.感染した場合には,持続性の貧血を起こすことがある.〕
投与経路
筋肉内注射
筋肉内注射にあたっては,組織・神経などへの影響を避けるため,下記の点に注意すること.
神経走行部位を避けるよう注意すること.
注射針を刺入したとき,激痛を訴えたり,血液の逆流をみた場合は,直ちに針を抜き,部位をかえて注射すること.
調製時
溶解時に著しい沈殿が認められるものは投与しないこと.
本剤はチメロサールその他の保存剤を含有していないので,一度溶解したものは1時間以内に使用し,残液は再使用しないこと.
アンプルカット時
添付溶剤の容器はワンポイントカットアンプルを使用しているので,丸印を上にして下方向へ折ること.なお,アンプルカット時の異物混入を避けるため,エタノール綿等で清拭しカットすること.
記録の保存
本剤は特定生物由来製品に該当することから,本剤を投与した場合は,医薬品名(販売名),その製造番号(ロット番号),投与した日,投与を受けた患者の氏名,住所等を記録し,少なくとも20年間保存すること.
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
非経口用生ワクチン (麻疹ワクチン おたふくかぜワクチン 風疹ワクチン これら混合ワクチン 水痘ワクチン等) | 本剤の投与を受けた者は,生ワクチンの効果が得られないおそれがあるので,生ワクチンの接種は本剤投与後3カ月以上延期すること. | 本剤の主成分は免疫抗体であるため,中和反応により生ワクチンの効果が減弱されるおそれがある. |
本剤は,使用成績調査等の副作用発現頻度が明確となる調査を実施していない.
ショック(頻度不明)
ショックを起こすことがあるので,観察を十分に行い,悪心,嘔気,発汗,四肢冷感,血圧低下等の症状があらわれた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと.
下記のような症状があらわれることがあるので,観察を十分に行い,発現した場合には,適切な処置を行うこと.
頻度不明 | |
過敏症 注) | 発熱,発疹等 |
注射部位 | 疼痛,腫脹,硬結 |
注)このような場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと.
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