先天性低フィブリノゲン血症の出血傾向
注射用水に溶解し,静脈内に注入する.通常1回3gを用いる.なお,年齢・症状により適宜増減する.
患者への説明
本剤の使用にあたっては,疾病の治療における本剤の必要性とともに,本剤の製造に際し感染症の伝播を防止するための安全対策が講じられているが,血液を原料としていることに由来する感染症伝播のリスクを完全に排除することができないことを,患者に対して説明し,理解を得るよう努めること.
本剤の原材料となる献血者の血液については,HBs抗原,抗HCV抗体,抗HIV-1抗体,抗HIV-2抗体,抗HTLV-I抗体陰性で,かつALT(GPT)値でスクリーニングを実施している.更に,プールした試験血漿については,HIV-1,HBV及びHCVについて核酸増幅検査(NAT)を実施し,適合した血漿を本剤の製造に使用しているが,当該NATの検出限界以下のウイルスが混入している可能性が常に存在する.本剤は,以上の検査に適合した血漿を原料として,Cohnの低温エタノール分画で得た画分から人フィブリノゲンを濃縮・精製した製剤であり,ウイルス不活化・除去を目的として,製造工程においてリン酸トリ-n-ブチル(TNBP)/ポリソルベート80処理,ウイルス除去膜によるろ過処理,凍結乾燥の後,80℃,72時間の加熱処理を施しているが,投与に際しては,次の点に十分注意すること.
血漿分画製剤の現在の製造工程では,ヒトパルボウイルスB19等のウイルスを完全に不活化・除去することが困難であるため,本剤の投与によりその感染の可能性を否定できないので,投与後の経過を十分に観察すること.
肝炎ウイルス感染のリスクを完全には否定できないので,観察を十分に行い,症状があらわれた場合には適切な処置を行うこと.
現在までに本剤の投与により変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)等が伝播したとの報告はない.しかしながら,製造工程において異常プリオンを低減し得るとの報告があるものの,理論的なvCJD等の伝播のリスクを完全には排除できないので,投与の際には患者への説明を十分行い,治療上の必要性を十分検討の上投与すること.
本剤の使用は先天性低フィブリノゲン血症でフィブリノゲン値が著しく低下している患者に対するものであることに留意して投与すること.
溶血性・失血性貧血の患者〔ヒトパルボウイルスB19の感染を起こす可能性を否定できない.感染した場合には,発熱と急激な貧血を伴う重篤な全身症状を起こすことがある.〕
免疫不全患者・免疫抑制状態の患者〔ヒトパルボウイルスB19の感染を起こす可能性を否定できない.感染した場合には,持続性の貧血を起こすことがある.〕
調製時
ろ過網の目の細小な輸血セット(生物学的製剤基準通則45に規定する輸血用器具:人全血液等の血液製剤の輸血に適当と認められた器具であって,そのまま直ちに使用でき,かつ,1回限りの使用で使い捨てるもの)を用いて投与すること.
投与時
溶解時に沈殿の認められるものを投与してはならない.
一度溶解したものは1時間以内に使用すること.
使用後の残液は,細菌汚染のおそれがあるので使用しないこと(本剤は細菌の増殖に好適なたん白であり,しかも保存剤が含有されていないため).
他の製剤と混注しないこと.本剤をデキストラン製剤と混合すると複合物の沈殿を生じるので,各種デキストラン製剤の輸注に用いる輸液セットの共用は避けること.
電解質補液の輸注等により脱水等の体液異常を改善した後に点滴静注することが望ましい.
記録の保存
本剤は特定生物由来製品に該当することから,本剤を投与した場合は,医薬品名(販売名),その製造番号(ロット番号),投与した日,投与を受けた患者の氏名,住所等を記録し,少なくとも20年間保存すること.
本剤は,使用成績調査等の副作用発現頻度が明確となる調査を実施していない.
アナフィラキシーショック(頻度不明)
本剤の投与によりアナフィラキシーショックを起こすことがあるので,観察を十分に行い,呼吸困難,喘鳴,胸内苦悶,血圧低下,脈拍微弱,チアノーゼ等が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと.
血栓塞栓症(頻度不明)
血栓塞栓症(深部静脈血栓症,腸間膜血栓症,肺塞栓症等)があらわれることがあるので,血中フィブリノゲン濃度,血小板数,血液凝固能(プロトロンビン時間等)等の血液検査を行うなど,観察を十分に行い,異常が認められた場合には,適切な処置を行うこと.
| 頻度不明 | |
| 過敏症 | 悪寒,発熱 |
フィブリノゲンHT静注用1g「ベネシス」 25214円/瓶
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