本剤の成分に対し重篤な過敏症の既往歴のある患者
ポルフィリン症の患者[症状を増悪させるおそれがある。]
肺癌において腫瘍が気管支軟骨層より外側に浸潤している患者[レーザー光が十分到達しない可能性がある。また、気管支壁外に浸潤している患者では穿孔の危険性がある。]
肺癌において太い気管の広範な病巣又は気管狭窄を来している患者[呼吸困難、窒息を起こす危険性がある。]
食道癌において全周囲性の腫瘍のある患者[狭窄を来す危険性がある。]
次の部位に腫瘍のある患者[一般にレーザー光照射が困難とされている。]
早期肺癌における亜区域支より末梢側
表在型食道癌における食道入口部、食道・胃接合部
表在型早期胃癌における食道・胃接合部、幽門輪
子宮頸部初期癌及び異形成において開口摂子を用いても扁平円柱上皮境界(2nd S-C Junction)の上限を確認できないもの
手術等の他の根治的治療が不可能な場合、あるいは、肺又は子宮頸部の機能温存が必要な患者に他の治療法が使用できない場合で、かつ、内視鏡的に病巣全容が観察でき、レーザー光照射が可能な下記疾患。
早期肺癌(病期0期又は病期I期肺癌)
表在型食道癌
表在型早期胃癌
子宮頸部初期癌及び異形成
ポルフィマーナトリウムとして2mg/kgを1回静脈内注射する。
静脈内注射48〜72時間後レーザー光を病巣部位に照射する。
本療法は対象部位にレーザー光を的確に照射する必要があるので、内視鏡技術に熟達した医師が実施すること。なお、対象症例は転移がなく、他の治療法よりも光線力学的療法が有用と判断される症例に行うこと。[「光線力学的治療に際しての留意点」の項参照]
治療にあたっては、リンパ節転移のないことを確認すること。リンパ節転移が疑われる場合には、他の療法を併せて行うか、又は他の療法に変更すること。
レーザー光照射部位の穿孔を避け、かつ腫瘍浸潤の深さがレーザー光が十分到達する深さであることを確認するため、肺癌では気管支軟骨層までに、食道癌、胃癌では粘膜下層までに腫瘍がとどまっていることをCT、超音波、生検等により確認すること。
食道静脈瘤のある患者に光線力学的治療を施行する場合は、静脈瘤の部位に直接レーザー光を照射しないよう注意すること。静脈瘤の部位に照射すると出血を来すことがある。
本剤投与後の直射日光及び電気スタンド等の集中光による光線過敏症を防ぐため、本剤投与後少なくとも1ヵ月間は直射日光及び集中光を避けさせ、薄暗い室内(100〜300ルクス)で過ごさせること。なお、100及び300ルクスの明るさの目安は、約10畳程度の暗室で、20ワットの白色蛍光灯1本を照射したとき、光源からの距離が約160及び95cmの明るさがそれぞれ約100及び300ルクスである。
本剤投与1ヵ月経過後に指、手掌背部を直射日光で5分間曝露させたとき、紅斑、水疱等の光線過敏反応を示した場合には、さらに2週間直射日光及び集中光を避けさせ、異常がみられなくなるまで同様の試験を繰り返すこと。
他の腫瘍などの治療のために再度本剤を投与する場合には、休薬期間を十分におき、光線過敏症が起こらないことを確認してから実施すること。
レーザー光照射後は発熱、CRP上昇、白血球増多等の炎症所見、治療部位の出血・疼痛、また、疾患により次のような随伴症状があらわれることがあるので、このような場合には適切な処置を行うこと。[「副作用」の項参照]
早期肺癌
咳嗽、喀痰、血痰、呼吸困難、無気肺、咽頭痛、悪心、嘔吐、食欲不振等
表在型食道癌
貧血、胸部痛等
表在型早期胃癌
悪心、嘔吐、食欲不振、心窩部痛、貧血等
子宮頸部初期癌及び異形成
腟分泌物の増加
光線過敏症を起こすことがある医薬品(「相互作用」の項参照)を併用している患者(患者を薄暗い室内で過ごさせるなど十分な管理を行うこと。)[「重要な基本的注意」の項参照]
高齢者[「高齢者への投与」の項参照]
調製方法
本剤は5%ブドウ糖液に溶解すること。
他剤との混注は避けること。
本剤は防腐剤を含まないので、溶解後は6時間以内に使用すること。
投与経路
本剤は静脈内注射のみに使用すること。
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| 光線過敏症を起こすことがある薬剤テトラサイクリン系薬剤スルホンアミド系薬剤フェノチアジン系薬剤スルホニルウレア系血糖降下剤チアジド系利尿剤ニューキノロン系抗菌剤(エノキサシン、スパルフロキサシン等)非ステロイド性消炎鎮痛剤(ピロキシカム、ケトプロフェン外用剤等)フルオロウラシル系抗悪性腫瘍剤メトトレキサートグリセオフルビンメトキサレンその他の光線過敏症を起こすことがある医薬品光線過敏症を起こすことがある食品クロレラ加工品等 | 光線過敏症を起こすおそれがある。本剤の投与時及びその前後に左記の薬剤を投与又は食品を摂取する場合には、光線過敏症の発現に特に注意し、直射日光、集中光を避けさせること。 | 本剤は光感受性を高める作用があるので、光線過敏症を起こすことがある薬剤との併用又は食品の摂取により光感受性が増強されるおそれがある。 |
各調査別の光線力学的治療の随伴症状及び臨床検査値の異常を含む副作用の発現頻度は下記のとおりである。
本剤の副作用集計対象となった165例中、93例(56.4%)に副作用が認められた。その主なものは、光線過敏症(20.6%)、色素沈着(6.1%)、発疹(5.5%)等であった。臨床検査値の変動は163例中、32例(19.6%)に認められた。その主なものはAST(GOT)上昇(9.2%)、ALT(GPT)上昇(10.4%)等であった。また、光線力学的治療の随伴症状として、臨床病期0期肺癌、臨床病期I期肺癌では咳嗽(40.5%)、喀痰(34.2%)、喀血(27.8%)、呼吸困難(8.9%)、咽頭痛(6.3%)等が、表在型食道癌では胸部痛(12.5%)等が、表在型早期胃癌では心窩部痛(21.4%)、悪心・嘔吐(7.1%)等が認められた。(承認時の集計)
本剤の副作用集計対象となった282例中、168例(59.6%)に光線力学的治療の随伴症状及び臨床検査値の変動を含む副作用が認められた。その主なものは、光線過敏症(33.3%)、白血球増多(15.3%)、血清総蛋白減少(9.6%)、発熱(6.4%)、ALT(GPT)上昇(6.0%)、CRP上昇(6.0%)等であった。(使用成績調査の集計)
以下のような副作用があらわれた場合には、症状に応じて適切な処置を行うこと。
| 5%以上 | 0.1〜5%未満 | 頻度不明 | |
| 皮膚 | 光線過敏症、色素沈着 | ||
| 過敏症 | 発疹 | 発赤、紅斑、顔面浮腫、顔面潮紅 | |
| 肝臓 | AST(GOT)、ALT(GPT)、Al-P上昇等の肝機能検査値異常 | ||
| 呼吸器 | 咳嗽、喀痰、血痰 | 呼吸困難、咽頭痛、無気肺 | |
| 消化器 | 心窩部痛、食欲不振、悪心、嘔吐 | ||
| 血液 | 白血球増多、貧血 | ||
| その他 | 血清総蛋白の低下、発熱 | CRP上昇、潜血反応陽性、胸部痛 | 治療部位の出血・疼痛、腟分泌物の増加 |
承認時の集計と使用成績調査の集計を合わせて集計
フォトフリン静注用75mg 163609円/瓶
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