<冠動脈造影検査時の冠攣縮薬物誘発試験における冠攣縮の誘発>
1.1 本剤の冠動脈内への投与は、緊急時に十分措置できる医療施設において、冠攣縮性狭心症の診断及び治療に十分な知識と経験をもつ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例にのみ行うこと。
1.2 冠攣縮の誘発により、血圧低下や心原性ショック、重症不整脈(心室頻拍、心室細動、心房細動、房室ブロック、徐脈等)、心筋梗塞、心停止等が生じる可能性があるため、蘇生処置ができる準備をしておくこと。冠攣縮薬物誘発試験中は血圧及び心電図等の継続した監視を行い、注意深く患者を観察すること。また、検査の継続が困難と判断した場合には検査を中断すること。[8.2、11.1.2参照]
<効能共通>
2.1 気管支喘息の患者[気管支痙攣を起こし、また気管支粘液分泌を亢進するので、症状が悪化するおそれがある。]
2.2 甲状腺機能亢進症の患者[心血管系に作用して不整脈を起こすおそれがある。]
2.3 消化性潰瘍のある患者[消化管運動の促進及び胃酸分泌作用により、症状が悪化するおそれがある。]
2.4 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
2.5 アジソン病の患者[副腎皮質機能低下による症状が悪化するおそれがある。]
2.6 消化管又は膀胱頸部に閉塞のある患者[消化管又は排尿筋を収縮、緊張させ、閉塞状態が悪化するおそれがある。]
2.7 てんかんの患者[痙攣を起こし、症状が悪化するおそれがある。]
2.8 パーキンソニズムの患者[ドパミン作動性神経系とコリン作動性神経系に不均衡を生じ、症状が悪化するおそれがある。]
2.9 妊婦又は妊娠している可能性のある女性[9.5参照]
<麻酔後の腸管麻痺、消化管機能低下のみられる急性胃拡張、円形脱毛症>
2.10 重篤な心疾患のある患者[心拍数、心拍出量の減少により、症状が悪化するおそれがある。]
○麻酔後の腸管麻痺、消化管機能低下のみられる急性胃拡張
○円形脱毛症
○冠動脈造影検査時の冠攣縮薬物誘発試験における冠攣縮の誘発
<麻酔後の腸管麻痺、消化管機能低下のみられる急性胃拡張>
アセチルコリン塩化物として、通常成人1回0.1gを1〜2mLの日本薬局方注射用水に使用のたびごとに溶解し、1日1〜2回皮下又は筋肉内に注射する。
<円形脱毛症>
アセチルコリン塩化物として、通常成人1回0.1gを5mLの日本薬局方注射用水に使用のたびごとに溶解し、局所皮内の数カ所に毎週1回ずつ注射する。
<冠動脈造影検査時の冠攣縮薬物誘発試験における冠攣縮の誘発>
アセチルコリン塩化物を日本薬局方生理食塩液で溶解及び希釈し、1回5mLを冠動脈内に注入する。左冠動脈への注入から開始し、アセチルコリン塩化物として通常、20、50、100μgを冠攣縮が誘発されるまで5分間隔で段階的に各20秒間かけて注入する。また、右冠動脈には通常、20、50μgを冠攣縮が誘発されるまで5分間隔で段階的に各20秒間かけて注入する。
<効能共通>
8.1 アセチルコリンに過敏な反応を予測するため十分な問診を行うこと。
<冠動脈造影検査時の冠攣縮薬物誘発試験における冠攣縮の誘発>
8.2 血圧低下や心原性ショック、重症不整脈(心室頻拍、心室細動、心房細動、房室ブロック、徐脈等)、心筋梗塞、心停止等が生じる可能性があるため、使用に際して次の点に留意すること。[1.2、11.1.2参照]
・冠攣縮薬物誘発試験中は、バックアップペーシングを行い、血圧、心拍数、心電図及び自他覚所見等の観察を注意深く行うこと。
・これらの事象が生じた際に、適切な処置(冠攣縮の寛解に対するニトログリセリン等の硝酸薬の投与、血圧低下に対するドパミン塩酸塩等の昇圧薬の投与、重症不整脈に対する電気的除細動等)を速やかに行うことができるよう十分な準備をすること。
・検査の継続が困難と判断した場合には検査を中断すること。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 高血圧の患者
高度の血圧下降があらわれるおそれがある。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。[2.9参照]
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
少量から投与を開始するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。本剤の作用に対する感受性が高いことがある。
<冠動脈造影検査時の冠攣縮薬物誘発試験における冠攣縮の誘発>
13.1 症状
過量投与の場合は、高度かつ広範な冠攣縮が誘発されること及び誘発された冠攣縮が遷延することがあり、血圧低下や心原性ショック、重症不整脈(心室頻拍、心室細動、心房細動、房室ブロック、徐脈等)、心筋梗塞、心停止を起こすおそれがある。
13.2 処置
本剤の投与を中止し、硝酸薬を冠動脈内に注入する。血圧低下にはドパミン塩酸塩等の昇圧薬の投与、重症不整脈には電気的除細動を直ちに行う。
14.1 薬剤投与時の注意
<効能共通>
14.1.1 投与経路
静脈内には投与しないこと。
<麻酔後の腸管麻痺、消化管機能低下のみられる急性胃拡張>
14.1.2 皮下・筋肉内注射時
組織・神経等への影響を避けるため次の点に注意すること。
・注射部位については、神経走行部位を避けて慎重に投与すること。
・くりかえし注射する場合には、左右交互に注射するなど同一部位を避けること。なお、小児等には特に注意すること。
・注射針を刺入したとき、激痛を訴えたり、血液の逆流をみた場合は、直ちに針を抜き、部位をかえて注射すること。
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| コリン作動薬ベタネコール塩化物等 | アセチルコリンの作用が増強されることがある。 | 併用によりムスカリン様作用及びニコチン様作用が増強されると考えられている。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| コリンエステラーゼ阻害薬ネオスチグミンメチル硫酸塩等 | アセチルコリンの作用が増強されることがある。 | アセチルコリンの分解を抑制し、シナプス間隙でのアセチルコリン濃度を間接的に高めると考えられている。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| アドレナリン作動薬アドレナリン、イソプレナリン塩酸塩等 | アセチルコリンの作用が減弱されることがある。 | アドレナリン作動薬は、自律神経系の支配臓器においてアセチルコリンと拮抗的に作用すると考えられている。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| 抗コリン作動薬アトロピン等 | アセチルコリンの作用が減弱されることがある。 | ムスカリン受容体で競合的に拮抗すると考えられている。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| 亜硝酸・硝酸塩系の血管拡張薬ニトログリセリン等 | アセチルコリンの作用が減弱されることがある。 | 平滑筋において拮抗的に作用すると考えられている。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| プロカインアミド塩酸塩 | アセチルコリンの作用が減弱されることがある。 | Na+チャンネルを抑制し、アセチルコリンの脱分極作用に拮抗すると考えられている。 |
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
<効能共通>
11.1.1 ショック(頻度不明)、アナフィラキシー(頻度不明)
蕁麻疹、チアノーゼ、不快感、口内異常感、喘鳴、めまい、便意、耳鳴、発汗等の異常が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
<冠動脈造影検査時の冠攣縮薬物誘発試験における冠攣縮の誘発>
11.1.2 血圧低下(頻度不明)、心原性ショック(頻度不明)、重症不整脈(心室頻拍、心室細動、心房細動、房室ブロック、徐脈等)(頻度不明)、心筋梗塞(頻度不明)、心停止(頻度不明)[1.2、8.2参照]
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
| 頻度不明 | |
| 消化器 | 悪心、嘔吐、唾液分泌過多、便失禁、腸痙攣 |
| 過敏症 | 蕁麻疹 |
| その他 | 痙攣、流涙、尿失禁 |
オビソート注射用0.1g 371円/管
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エビデンスの確かさ・信頼性
投稿日: 2015/03/03 参考率: 100%(1人/1人)
麻酔科/60代/処方経験あり