劇症肝炎等の重篤な肝障害が起こることがあるので、定期的(特に投与開始から2ヵ月間は1ヵ月に1回以上)に肝機能検査を行うなど観察を十分に行い、肝障害の早期発見に努めること。肝障害の前兆又は自覚症状と考えられる食欲不振を伴う倦怠感等の発現に十分に注意し、黄疸(眼球黄染)があらわれた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤との併用により、重篤な血液障害等の副作用が発現するおそれがあるので、併用を行わないこと(「相互作用」の項参照)。
本剤の成分に対し重篤な過敏症の既往歴のある患者
テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤投与中の患者及び投与中止後7日以内の患者(「相互作用」の項参照)
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人(「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照)
消化器癌(胃癌、結腸・直腸癌)、乳癌の自覚的・他覚的症状の寛解
通常1日量としてテガフール800mg〜1200mgを1日2〜4回に分けて経口投与する。年齢、症状により適宜増減する。
なお、他の抗悪性腫瘍剤または放射線との併用の場合は単独で使用する場合に準じ、適宜減量する。
骨髄抑制等の重篤な副作用が起こることがあるので、定期的(特に投与開始から2ヵ月間は1ヵ月に1回以上)に臨床検査(血液検査、肝機能・腎機能検査等)を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。異常が認められた場合には減量、休薬等の適切な処置を行うこと。
重篤な腸炎等により脱水症状があらわれた場合には補液等の適切な処置を行うこと(「重大な副作用」の項参照)。
感染症・出血傾向の発現又は悪化に十分注意すること。
小児に投与する場合には副作用の発現に特に注意し、慎重に投与すること。
小児及び生殖可能な年齢の患者に投与する必要がある場合には性腺に対する影響を考慮すること。
テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤投与中止後、本剤の投与を行う場合は少なくとも7日以上の間隔をあけること(「相互作用」の項参照)。
骨髄抑制のある患者[骨髄抑制が増強するおそれがある。]
肝障害又はその既往歴のある患者[肝障害が悪化するおそれがある。]
腎障害のある患者[副作用が強くあらわれるおそれがある。]
感染症を合併している患者[骨髄抑制により、感染症が悪化するおそれがある。]
心疾患又はその既往歴のある患者[症状が悪化するおそれがある。]
消化管潰瘍又は出血のある患者[症状が悪化するおそれがある。]
耐糖能異常のある患者[耐糖能異常が悪化するおそれがある。]
水痘患者[致命的な全身障害があらわれるおそれがある。]
薬剤交付時
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。[PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている。]
本剤を投与した患者に、急性白血病(前白血病相を伴う場合もある)、骨髄異形成症候群(MDS)が発生したとの報告がある。
フルオロウラシルの異化代謝酵素であるジヒドロピリミジンデヒドロゲナーゼ(DPD)欠損等の患者がごくまれに存在し、このような患者にフルオロウラシル系薬剤を投与した場合、投与初期に重篤な副作用(口内炎、下痢、血液障害、神経障害等)が発現するとの報告がある。
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤(ティーエスワン) | 早期に重篤な血液障害や下痢、口内炎等の消化管障害等が発現するおそれがあるので、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤投与中及び投与中止後少なくとも7日以内は本剤を投与しないこと。 | ギメラシルがフルオロウラシルの異化代謝を阻害し、血中フルオロウラシル濃度が著しく上昇する。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| フェニトイン | フェニトイン中毒(嘔気・嘔吐、眼振、運動障害等)が発現することがある。異常が認められた場合には本剤の投与を中止するなど適切な処置を行うこと。 | テガフールによってフェニトインの代謝が抑制され、フェニトインの血中濃度が上昇する。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| ワルファリンカリウム | ワルファリンカリウムの作用を増強することがあるので、凝固能の変動に注意すること。 | 機序は不明である。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| トリフルリジン・チピラシル塩酸塩配合剤 | 重篤な骨髄抑制等の副作用が発現するおそれがある。 | 本剤との併用により、トリフルリジンのDNA取り込みが増加する可能性がある。チピラシル塩酸塩がチミジンホスホリラーゼを阻害することにより、本剤の代謝に影響を及ぼす可能性がある。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| 他の抗悪性腫瘍剤、放射線照射 | 血液障害、消化管障害等の副作用が増強することがあるので、患者の状態を十分に観察すること。異常が認められた場合には減量、休薬等の適切な処置を行うこと。 | 副作用が相互に増強される。 |
承認時及び市販後副作用頻度調査における副作用評価可能症例は4160例であり、副作用発現率は40.6%(1689例)であった。主な副作用は食欲不振17.7%、悪心・嘔吐10.5%、下痢4.2%、口内炎3.4%等の消化器症状、白血球減少4.3%、赤血球減少2.8%、血小板減少2.4%等の血液障害、倦怠感5.9%、色素沈着1.6%等であった。
[( )内に発現頻度を記載。未記載は頻度不明。]
骨髄抑制、溶血性貧血等の血液障害
汎血球減少、無顆粒球症(症状:発熱、咽頭痛、倦怠感等)、白血球減少(4.3%)、貧血(2.8%)、血小板減少(2.4%)、出血傾向(1.1%)、溶血性貧血等があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
劇症肝炎等の重篤な肝障害(「警告」の項参照)
肝硬変
長期投与においてAST(GOT)、ALT(GPT)の明らかな上昇を伴わずに肝硬変があらわれることがあるので、観察を十分に行い、プロトロンビン時間延長、アルブミン低下、コリンエステラーゼ低下、血小板減少等が認められた場合には投与を中止すること。
脱水症状
激しい下痢があらわれ、脱水症状まで至ることがあるので、観察を十分に行い、このような症状があらわれた場合には投与を中止し、補液等の適切な処置を行うこと。
重篤な腸炎
出血性腸炎、虚血性腸炎、壊死性腸炎等があらわれることがあるので、観察を十分に行い、激しい腹痛・下痢等の症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
白質脳症等を含む精神神経障害
白質脳症(意識障害、小脳失調、認知症様症状等を主症状とする)
狭心症、心筋梗塞、不整脈
狭心症、心筋梗塞、不整脈(心室頻拍等を含む)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、胸痛、失神、息切れ、動悸、心電図異常等が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
急性腎
急性腎
嗅覚脱失
嗅覚障害(長期投与症例に多い)があらわれ、嗅覚脱失まで至ることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
間質性肺炎
間質性肺炎(初期症状:咳嗽、息切れ、呼吸困難、発熱等)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、胸部X線等の検査を行い、副腎皮質ホルモン剤の投与など適切な処置を行うこと。
急性膵炎
急性膵炎があらわれることがあるので、観察を十分に行い、腹痛、血清アミラーゼ値の上昇等が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
重篤な口内炎、消化管潰瘍、消化管出血
重篤な口内炎、消化管潰瘍、消化管出血があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)
中毒性表皮壊死融解症、皮膚粘膜眼症候群があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
次の副作用があらわれることがあるので、異常が認められた場合には減量、休薬等の適切な処置を行うこと。なお、過敏症があらわれた場合には投与を中止すること。
| 5%以上 | 0.1〜5%未満 | 0.1%未満 | 頻度不明 | |
| 肝臓 | 肝機能障害(AST(GOT)、ALT(GPT)の上昇等) | 黄疸、脂肪肝、Al-P上昇 | ||
| 腎臓 | 血尿 | 腎機能障害(BUN、クレアチニンの上昇等)、蛋白尿 | ||
| 消化器 | 食欲不振、悪心・嘔吐 | 下痢、口内炎、腹痛、胸やけ、嚥下困難、腹部膨満感 | 口角炎、味覚異常、舌炎、口渇、便秘 | 胃炎、腹鳴、心窩部痛 |
| 精神神経系 | 倦怠感 | 頭痛、眩暈、しびれ | 興奮、耳鳴 |
|
| 皮膚 注) | 色素沈着、脱毛、浮腫 | 紅潮、び爛、皮膚炎、角化、爪の異常 | 水疱、光線過敏症 |
|
| 過敏症 | 発疹、 |
蕁麻疹 | ||
| 循環器 | 胸内苦悶感 | 動悸 | 胸痛、心電図異常(ST上昇等) | |
| その他 | 発熱、関節痛、糖尿、灼熱感、血痰 | 結膜充血 | 咳・痰、LDH上昇、平均赤血球容積(MCV)増加、血糖値上昇、血清尿酸値上昇、女性型乳房、筋肉痛、CK(CPK)上昇 |
注)色素沈着、皮膚炎等の皮膚障害は手のひら、足裏等に発現しやすいとの報告がある。
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