1.1 本剤は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の使用が適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に本剤の有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。
1.2 間質性肺疾患があらわれ、死亡に至った症例も報告されているので、初期症状(息切れ、呼吸困難、咳嗽等)の確認及び胸部画像検査の実施等、観察を十分に行うこと。また、異常が認められた場合には本剤の投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。[8.2、9.1.2、11.1.1参照]
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
根治切除不能な進行・再発の食道癌
フルオロウラシル及びシスプラチンとの併用において、通常、成人には、チスレリズマブ(遺伝子組換え)として、1回200mgを3週間間隔で60分かけて点滴静注する。がん化学療法後に増悪した根治切除不能な進行・再発の食道癌に対しては、本剤を単独投与することもできる。なお、初回投与の忍容性が良好であれば、2回目以降の投与時間は30分まで短縮できる。
8.1 本剤のT細胞活性化作用により、過度の免疫反応に起因すると考えられる様々な疾患や病態があらわれることがある。観察を十分に行い、異常が認められた場合には、過度の免疫反応による副作用の発現を考慮し、適切な鑑別診断を行うこと。過度の免疫反応による副作用が疑われる場合には、副腎皮質ホルモン剤の投与等を考慮すること。また、本剤投与終了後に重篤な副作用があらわれることがあるので、本剤投与終了後も観察を十分に行うこと。
8.2 間質性肺疾患があらわれることがあるので、初期症状(息切れ、呼吸困難、咳嗽等)の確認及び胸部X線検査の実施等、観察を十分に行うこと。また、必要に応じて、胸部CT、血清マーカー等の検査を実施すること。[1.2、9.1.2、11.1.1参照]
8.3 肝不全、肝機能障害、肝炎があらわれることがあるので、本剤投与開始前及び投与期間中は定期的に肝機能検査を行い、患者の状態を十分に観察すること。[11.1.2参照]
8.4 心筋炎、心膜炎があらわれることがあるので、胸痛、CK上昇、心電図異常等の観察を十分に行うこと。[11.1.11参照]
8.5 筋炎があらわれることがあるので、筋力低下、筋肉痛、CK上昇等の観察を十分に行うこと。[11.1.12参照]
8.6 重症筋無力症があらわれることがあるので、筋力低下、眼瞼下垂、呼吸困難、嚥下障害等の観察を十分に行うこと。[11.1.13参照]
8.7 甲状腺機能障害、下垂体機能障害及び副腎機能障害があらわれることがあるので、本剤の投与開始前及び投与期間中は定期的に内分泌機能検査(TSH、遊離T3、遊離T4、ACTH、血中コルチゾール等の測定)を実施すること。また、必要に応じて画像検査等の実施も考慮すること。[11.1.5-11.1.7参照]
8.8 1型糖尿病があらわれることがあるので、口渇、悪心、嘔吐等の症状の発現や血糖値の上昇に十分注意すること。[11.1.8参照]
8.9 腎障害があらわれることがあるので、腎機能検査を定期的に行い、患者の状態を十分に観察すること。[11.1.10参照]
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 自己免疫疾患の合併又は慢性的若しくは再発性の自己免疫疾患の既往歴のある患者
免疫関連の副作用が発現又は増悪するおそれがある。
9.1.2 間質性肺疾患のある患者又はその既往歴のある患者
間質性肺疾患が発現又は増悪するおそれがある。[1.2、8.2、11.1.1参照]
9.1.3 臓器移植歴(造血幹細胞移植歴を含む)のある患者
本剤の投与により移植臓器に対する拒絶反応又は移植片対宿主病が発現するおそれがある。
9.1.4 結核の感染又は既往を有する患者
結核を発症するおそれがある。[11.1.18参照]
9.4 生殖能を有する者
妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後4ヵ月間において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること。[9.5参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。本剤を用いた生殖発生毒性試験は実施していないが、妊娠マウスに抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体を投与すると、流産率が増加することが報告されていることから、妊娠中の女性に対する本剤の投与は、胎児に対して有害な影響を及ぼす可能性がある。また、ヒトIgGは母体から胎児へ移行することが知られている。[9.4参照]
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。本剤のヒト乳汁中への移行に関するデータはないが、ヒトIgGは乳汁中に移行することから、本剤も移行する可能性がある。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
14.1 薬剤調製前の注意
14.1.1 バイアルを振盪しないこと。
14.1.2 調製前に、粒子状物質や変色の有無を目視により確認すること。溶液が濁っている場合、又は微粒子が認められる場合には、バイアルを廃棄すること。
14.2 薬剤調製時の注意
14.2.1 バイアルは振らずに静かに反転させ、必要量をバイアルから抜き取り、日局生理食塩液の点滴バッグに注入し、最終濃度を2〜5mg/mLとする。点滴バッグをゆっくり反転させて混和すること。
14.2.2 本剤は保存料を含まない。希釈後は速やかに使用すること。
14.2.3 希釈液をすぐに使用せず保管する場合には、希釈から投与終了までの時間を2〜8℃で24時間以内とすること。希釈液を冷所保存した場合には、投与前に点滴バッグを常温に戻すこと。
14.2.4 希釈液は凍結させないこと。
14.2.5 本剤は1回使用の製剤である。バイアル中の残液は廃棄すること。
14.2.6 他剤との混注はしないこと。
14.3 薬剤投与時の注意
14.3.1 本剤の投与にあたっては、インラインフィルター(0.2又は0.22μm)を使用すること。
14.3.2 同一の点滴ラインを使用して他の薬剤を併用同時投与しないこと。
14.3.3 投与終了時に点滴ラインをフラッシュすること。
15.1 臨床使用に基づく情報
15.1.1 免疫原性
化学療法歴のある根治切除不能な進行・再発の食道扁平上皮癌患者を対象とした国際共同第III相試験(BGB-A317-302試験)及び化学療法歴のない根治切除不能な進行・再発の食道扁平上皮癌患者を対象とした国際共同第III相試験(BGB-A317-306試験)において、それぞれ32/221例*(12.5%)及び66/300例*(22.0%)に抗チスレリズマブ抗体が認められ、1/221例(0.4%)及び1/300例(0.3%)に抗チスレリズマブ中和抗体が認められた。抗チスレリズマブ抗体及び中和抗体陽性例では陰性例と比較して本剤の血漿中濃度が低下する傾向が認められた。
*チスレリズマブが少なくとも1回投与された患者のうち、ベースラインの抗チスレリズマブ抗体の測定結果があり、かつ、ベースライン後の抗チスレリズマブ抗体の測定結果が少なくとも1回得られた患者を解析の対象とした。
凍結を避けること。
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 間質性肺疾患(1.7%)[1.2、8.2、9.1.2参照]
11.1.2 肝不全、肝機能障害、肝炎
肝不全(頻度不明)、AST、ALT、γ-GTP、Al-P、ビリルビン等の上昇を伴う肝機能障害(2.8%)、肝炎(0.7%)があらわれることがある。[8.3参照]
11.1.3 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)(頻度不明)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(頻度不明)、多形紅斑(頻度不明)
11.1.4 大腸炎(1.6%)、小腸炎(0.3%)、重度の下痢(1.4%)
持続する下痢、腹痛、血便等の症状があらわれた場合には、本剤の投与を中止する等の適切な処置を行うこと。
11.1.5 甲状腺機能障害
甲状腺機能低下症(0.2%)、甲状腺機能亢進症(頻度不明)、甲状腺炎(頻度不明)等の甲状腺機能障害があらわれることがある。[8.7参照]
11.1.6 副腎機能障害
副腎機能不全(0.7%)等の副腎機能障害があらわれることがある。[8.7参照]
11.1.7 下垂体機能障害
下垂体炎(頻度不明)、下垂体機能低下症(0.3%)等の下垂体機能障害があらわれることがある。[8.7参照]
11.1.8 1型糖尿病
1型糖尿病(劇症1型糖尿病を含む)(0.5%)があらわれ、糖尿病性ケトアシドーシスに至るおそれがある。1型糖尿病が疑われた場合には、本剤の投与を中止し、インスリン製剤の投与等の適切な処置を行うこと。[8.8参照]
11.1.9 膵炎(頻度不明)
11.1.10 腎障害
腎不全(0.7%)、尿細管間質性腎炎(頻度不明)、糸球体腎炎(頻度不明)等の腎障害があらわれことがある。[8.9参照]
11.1.11 心筋炎(0.3%)、心膜炎(頻度不明)[8.4参照]
11.1.12 筋炎(0.3%)[8.5参照]
11.1.13 重症筋無力症(頻度不明)
重症筋無力症によるクリーゼのため急速に呼吸不全が進行することがあるので、呼吸状態の悪化に十分注意すること。[8.6参照]
11.1.14 脳炎(0.7%)
11.1.15 神経障害
末梢性ニューロパチー(0.2%)、ギラン・バレー症候群(0.9%)等の神経障害があらわれることがある。
11.1.16 重篤な血液障害
免疫性血小板減少症(頻度不明)、溶血性貧血(頻度不明)、無顆粒球症(4.0%)、発熱性好中球減少症(頻度不明)等の重篤な血液障害があらわれることがある。
11.1.17 静脈血栓塞栓症
深部静脈血栓症(0.2%)、肺塞栓症(頻度不明)等の静脈血栓塞栓症があらわれることがある。
11.1.18 結核(頻度不明)[9.1.4参照]
11.1.19 Infusion reaction(0.5%)
Infusion reactionが認められた場合には、本剤の投与中止等の適切な処置を行うとともに、症状が回復するまで患者の状態を十分に観察すること。
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
| 10%以上 | 1〜10%未満 | 1%未満 | |
| 血液およびリンパ系障害 | ヘモグロビン減少(68.4%)、白血球減少(47.2%)、リンパ球減少(58.4%)、好中球減少(44.7%)、血小板減少(29.9%) | ヘモグロビン増加、リンパ球増加 | |
| 代謝および栄養障害 | 高血糖 | ||
| 眼障害 | ぶどう膜炎 | ||
| 呼吸器、胸郭および縦隔障害 | 咳嗽、呼吸困難 | ||
| 胃腸障害 | 口内炎 | ||
| 肝胆道系障害 | ALT増加(27.6%)、AST増加(34.7%)、Al-P増加(32.2%)、血中ビリルビン増加 | ||
| 皮膚および皮下組織障害 | 発疹 | そう痒症 | 尋常性白斑 |
| 筋骨格系および結合組織障害 | 関節痛、筋肉痛 | 関節炎 | |
| 一般・全身障害および投与部位の状態 | 疲労 | ||
| 臨床検査 | アルブミン減少(46.6%)、CK増加(20.3%)、クレアチニン増加(22.6%)、カリウム減少(26.2%)、カリウム増加(22.2%)、ナトリウム減少(56.8%) | ナトリウム増加 |
テビムブラ点滴静注100mg 214498円/瓶
m3.comにご登録済の方
薬剤名検索
薬剤情報提供:一般財団法人日本医薬情報センター 剤形写真提供:株式会社薬事日報社
・薬剤情報・剤形写真は月一回更新しておりますが、ご覧いただいた時点で最新情報ではない可能性がございます。 最新情報は、各製薬会社のWebサイトなどでご確認ください。
・投稿内容の中に適応外、承認用法・用量外の記載等が含まれる場合がありますが、エムスリー、製薬会社が推奨するものではありません。