本剤は、緊急時に十分に対応できる医療施設において、造血器悪性腫瘍の治療に対して十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
○慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)
○原発性マクログロブリン血症及びリンパ形質細胞リンパ腫
通常、成人にはザヌブルチニブとして1回160mgを1日2回経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。
8.1 出血があらわれることがあり、外科的処置に伴って大量出血が生じる可能性があることから、本剤投与中に手術や侵襲的手技を実施する患者に対しては、手術の前後3〜7日間程度は本剤の投与中断を考慮すること。[11.1.1参照]
8.2 感染症(日和見感染症を含む)の発現もしくは悪化、又はB型肝炎ウイルス、帯状疱疹等の再活性化があらわれることがあるので、本剤投与に先立って肝炎ウイルス等の感染の有無を確認すること。本剤投与前に適切な処置を行い、本剤投与中は、感染症の発現又は悪化に十分注意すること。[9.1.1、11.1.2参照]
8.3 骨髄抑制があらわれることがあるので、本剤投与に際しては定期的に血液検査を行うこと。[11.1.3参照]
8.4 重篤な不整脈が発現又は悪化することがあるので、本剤投与に際しては定期的に心機能検査(十二誘導心電図検査等)を行うこと。[9.1.2、11.1.4参照]
8.5 間質性肺疾患があらわれることがあるので、本剤の投与にあたっては、臨床症状(呼吸困難、咳嗽、発熱等)の確認、胸部画像検査の実施等、観察を十分に行うこと。[11.1.6参照]
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 B型肝炎ウイルスキャリアの患者又は既往感染者(HBs抗原陰性、かつHBc抗体又はHBs抗体陽性)
本剤の投与開始後は継続して肝機能検査や肝炎ウイルスマーカーのモニタリングを行うなど、B型肝炎ウイルスの再活性化の徴候や症状の発現に注意すること。本剤の投与によりB型肝炎ウイルスの再活性化があらわれることがある。[8.2、11.1.2参照]
9.1.2 心疾患(不整脈等)を有する患者又はその既往歴のある患者、高血圧、感染症を合併している患者
心房細動等の不整脈があらわれやすい。[8.4、11.1.4参照]
9.3 肝機能障害患者
9.3.1 重度の肝機能障害(Child-Pugh分類C)のある患者
本剤の減量を考慮するとともに、患者の状態をより慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること。本剤の血中濃度が上昇し、副作用が強くあらわれるおそれがある。[16.6.1参照]
9.4 生殖能を有する者
9.4.1 妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後1週間において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること。経口避妊薬による避妊法の場合には、経口避妊薬以外の方法を併せて使用するように指導すること。[9.5、10.2参照]
9.4.2 男性には、本剤投与中及び最終投与後1週間においてバリア法(コンドーム)を用いて避妊する必要性について説明すること
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないことが望ましい。動物実験(ラット及びウサギ)で、着床後の胚損失の増加及び心臓奇形(二腔心又は三腔心)の発生が報告されている
9.6 授乳婦
授乳しないことが望ましい。ヒト乳汁中への移行は不明であるが、動物実験(ラット)において出生児動物に離乳前の体重減少及び眼病変(眼球突出及び白内障等)が認められている
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
14.1 薬剤交付時の注意
14.1.1 PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
15.1 臨床使用に基づく情報
15.1.1 臨床試験において、皮膚癌等の二次性悪性腫瘍が認められたとの報告がある。
本剤は新医薬品であるため、厚生労働省告示第107号(平成18年3月6日付)に基づき、2026年3月末日までは、投薬は1回14日分を限度とされている。
本剤は主にCYP3A4により代謝される。また、本剤はP-gpを阻害し、CYP2C19及びCYP3Aを誘導する。
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| 強いCYP3A阻害剤イトラコナゾール、ボリコナゾール、クラリスロマイシン等[7.3、16.7.1-16.7.3、16.7.9参照] | 本剤の副作用が増強されるおそれがあるので、本剤を減量するとともに、患者の状態を慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること。 | これらの薬剤等のCYP3A阻害作用により本剤の代謝が阻害され、本剤の血中濃度が上昇する可能性がある。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| 中程度のCYP3A阻害剤フルコナゾール、ジルチアゼム、エリスロマイシン等[7.3、16.7.4、16.7.5、16.7.9参照] | 本剤の副作用が増強されるおそれがあるので、本剤を減量するとともに、患者の状態を慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること。 | これらの薬剤等のCYP3A阻害作用により本剤の代謝が阻害され、本剤の血中濃度が上昇する可能性がある。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| グレープフルーツジュース | 本剤の副作用が増強されるおそれがあるため、摂取しないよう注意すること。 | これらの薬剤等のCYP3A阻害作用により本剤の代謝が阻害され、本剤の血中濃度が上昇する可能性がある。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| 強いCYP3A誘導剤カルバマゼピン、フェニトイン、リファンピシン等[16.7.6、16.7.9参照] | 本剤の有効性が減弱されるおそれがあるため、これらの薬剤との併用は可能な限り避け、CYP3A誘導作用のない又は弱い薬剤への代替を考慮すること。 | これらの薬剤等がCYP3Aを誘導することにより、本剤の血中濃度が低下する可能性がある。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| 中程度のCYP3A誘導剤リファブチン、エファビレンツ、ボセンタン等[16.7.7、16.7.9参照] | 本剤の有効性が減弱されるおそれがあるため、これらの薬剤との併用は可能な限り避け、CYP3A誘導作用のない又は弱い薬剤への代替を考慮すること。 | これらの薬剤等がCYP3Aを誘導することにより、本剤の血中濃度が低下する可能性がある。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| セイヨウオトギリソウ(St.John's Wort、セント・ジョーンズ・ワート)含有食品 | 本剤の有効性が減弱されるおそれがあるため、摂取しないよう注意すること。 | これらの薬剤等がCYP3Aを誘導することにより、本剤の血中濃度が低下する可能性がある。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| CYP2C19の基質となる薬剤オメプラゾール、ランソプラゾール、ジアゼパム等[16.7.8参照] | これらの薬剤の有効性が減弱するおそれがある。 | 本剤がCYP2C19を誘導することにより、これらの薬剤の血中濃度が低下する可能性がある。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| CYP3Aの基質となる薬剤ミダゾラム、経口避妊薬(デソゲストレル・エチニルエストラジオール、ノルエチステロン・エチニルエストラジオール、レボノルゲストレル・エチニルエストラジオール等)、トリアゾラム等[9.4.1、16.7.8参照] | これらの薬剤の有効性が減弱するおそれがある。 | 本剤がCYP3Aを誘導することにより、これらの薬剤の血中濃度が低下する可能性がある。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| P-gpの基質となる薬剤ジゴキシン、リバーロキサバン、フェキソフェナジン等[16.7.8参照] | これらの薬剤の副作用が増強されるおそれがあるため、患者の状態を慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること。 | 本剤がP-gpを阻害することにより、これらの薬剤の血中濃度が上昇する可能性がある。 |
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 出血
胃腸出血(頻度不明)、硬膜下血腫(0.1%)、脳出血(頻度不明)等があらわれることがある。[8.1参照]
11.1.2 感染症
肺炎(3.9%)、クリプトコッカス性肺炎(0.1%)、ニューモシスチス・イロベチイ肺炎(0.3%)等があらわれることがある。また、B型肝炎ウイルスの再活性化(0.6%)があらわれることがある。[8.2、9.1.1参照]
11.1.3 骨髄抑制
好中球減少症(15.4%)、血小板減少症(5.0%)、貧血(6.3%)等の骨髄抑制があらわれることがある。[8.3参照]
11.1.4 不整脈
心房細動(3.0%)、心房粗動(0.3%)等の不整脈があらわれることがある。[8.4、9.1.2参照]
11.1.5 心臓障害
心筋梗塞(0.3%)、心筋炎(0.1%)、心不全(0.1%)等の心臓障害があらわれることがある。
11.1.6 間質性肺疾患(0.1%)
異常が認められた場合には、胸部X線、胸部CT等の検査を実施すること。間質性肺疾患が疑われた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。[8.5参照]
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
| 10%以上 | 5%以上10%未満 | 5%未満 | 頻度不明 | |
| 感染症および寄生虫症 | 上気道感染 | 気管支炎、尿路感染 | ||
| 神経系障害 | 浮動性めまい | |||
| 血管障害 | 高血圧 | 斑状出血 | ||
| 胃腸障害 | 下痢 | 便秘 | ||
| 皮膚および皮下組織障害 | 挫傷 | 発疹、点状出血 | そう痒症、紫斑 | |
| 筋骨格系および結合組織障害 | 関節痛 | 筋骨格痛、背部痛 | ||
| 一般・全身障害および投与部位の状態 | 疲労 | 末梢性浮腫、無力症 | ||
| 腎および尿路障害 | 血尿 | |||
| 呼吸器、胸郭および縦隔障害 | 咳嗽、鼻出血 | |||
| 眼障害 | 結膜出血 |
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