1.1 本剤の投与は、緊急時に十分対応できる医療施設において、造血器悪性腫瘍の治療に対して十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例のみに行うこと。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分に説明し、同意を得てから投与を開始すること。
1.2 重度のサイトカイン放出症候群(CRS)及び免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群(ICANS)があらわれることがあるので、特に治療初期は入院管理等の適切な体制下で本剤の投与を行うこと。[8.1、11.1.1、11.1.2参照]
1.3 重度のCRSがあらわれることがあるので、CRSに対する前投与薬の投与等の予防的措置を行うとともに、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、製造販売業者が提供するCRS管理ガイダンス等に従い、適切な処置を行うこと。[7.2、8.2、11.1.1参照]
1.4 重度又は生命を脅かす神経学的事象(ICANS含む)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、製造販売業者が提供するICANS管理ガイダンス等に従い、適切な処置を行うこと。[8.3、8.4、11.1.2参照]
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
再発又は難治性の多発性骨髄腫(標準的な治療が困難な場合に限る)
通常、成人にはエルラナタマブ(遺伝子組換え)として、1日目に12mg、4日目に32mgを1回皮下投与する。8日目以降は1回76mgを1週間間隔で皮下投与する。なお、24週間以上投与し、奏効が認められている場合は、投与間隔を2週間間隔とすること。
8.1 サイトカイン放出症候群(CRS)及び免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群(ICANS)は投与初期に多く認められることから、少なくとも初回投与(12mg投与)後48時間及び2回目の投与(32mg投与)後24時間は必ず入院管理とし、以降の投与についても患者の状態に応じて入院管理を検討すること。[1.2、11.1.1、11.1.2参照]
8.2 CRSがあらわれることがあるので、本剤の投与にあたっては、以下の事項に注意すること。[1.3、7.2、11.1.1参照]
8.2.1 CRSに対する前投与薬の投与等の予防的措置を行うこと。
8.2.2 本剤の投与中は発熱、低酸素症、悪寒、低血圧、頻脈、頭痛、肝酵素増加等について、観察を十分に行うこと。また、CRSが疑われる症状があらわれた場合には、速やかに医療機関を受診するよう患者を指導すること。
8.2.3 緊急時に備えてトシリズマブ(遺伝子組換え)を速やかに使用できるように準備しておくこと。
8.3 神経学的事象(ICANS含む)があらわれることがあるので、本剤の投与中は、失語症、意識レベルの変化、認知能力の障害、筋力低下、痙攣発作、脳浮腫等について、観察を十分に行うこと。また、ICANSが疑われる症状があらわれた場合には、速やかに医療機関を受診するよう患者を指導すること。[1.4、11.1.2参照]
8.4 神経学的事象(ICANS含む)として意識レベルの変化、痙攣発作等があらわれることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には十分注意させること。[1.4、11.1.2参照]
8.5 感染症(日和見感染症を含む)の発現若しくは悪化、又はサイトメガロウイルス感染等の再活性化があらわれることがあるので、本剤投与に先立ってニューモシスチス・イロベチイ等の感染の有無を確認すること。本剤投与前に適切な処置を行い、本剤の投与中は感染症の発現又は悪化に十分注意すること。[9.1.1、11.1.3参照]
8.6 血球減少があらわれることがあるので、本剤の投与開始前及び投与中は定期的に血液検査(血球数算定、白血球分画等)を実施すること。[11.1.5参照]
8.7 低γグロブリン血症があらわれることがあるので、本剤の投与開始前及び投与中は定期的に免疫グロブリンの値を測定すること。[11.1.6参照]
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 感染症を合併している患者
血球減少により感染症が悪化するおそれがある。[8.5、11.1.3参照]
9.4 生殖能を有する者
妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後4ヵ月間において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること。[9.5参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないことが望ましい。本剤を用いた生殖発生毒性試験は実施されていない。ヒトIgGは胎盤通過性があることが知られており、本剤の作用機序から、本剤の妊娠中の曝露により、B細胞リンパ球減少症及び発育遅延等、胎児に有害な影響を及ぼす可能性がある。[9.4参照]
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。本剤のヒト母乳中への移行に関するデータはないが、ヒトIgGは母乳中に移行することが知られている。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
14.1 薬剤調製時の注意
14.1.1 使用前にバイアルに粒子や変色がないかを目視で確認すること。粒子又は変色が認められた場合には使用しないこと。
14.1.2 投与量に合わせて、バイアルから必要量を抜き取り、希釈せずに使用すること。
14.1.3 調製後は速やかに使用すること。直ちに使用しない場合はシリンジを2〜30℃で保管し、4時間以内に使用すること。
14.1.4 本剤のバイアルは使い切りであり、保存剤を含まない。バイアルから必要量を1回抜き取った後は、バイアルごと残液を適切に廃棄すること。
14.1.5 本剤は、無菌的に調製を行うこと。
14.2 薬剤投与時の注意
14.2.1 本剤は皮下注射で投与すること。注射部位は腹部が推奨されるが、腹部に注射ができない場合は、大腿部を選択することもできる。
14.2.2 他の薬剤と混合しないこと。
15.1 臨床使用に基づく情報
臨床試験において、本剤に対する抗体の産生が報告されている
20.1 包装開封後も光曝露を避けるため、バイアルを箱に入れて保存すること。
20.2 バイアルを凍結したり、振盪しないこと。
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| 治療域の狭いCYP基質シクロスポリン、フェニトイン、シロリムス等 | これらの薬剤の副作用が増強されるおそれがあるので、本剤の投与開始から32mg投与の14日後まで、並びにサイトカイン放出症候群発現時及び発現後一定期間は、患者の状態を慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること。 | 本剤の投与によりサイトカインが放出され、CYPが抑制されることにより、これらの薬剤の血中濃度が上昇する可能性がある。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| 生ワクチン又は弱毒生ワクチン | 接種した生ワクチンの原病に基づく症状が発現した場合には適切な処置を行う。 | 本剤のBリンパ球傷害作用により発病するおそれがある。 |
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 サイトカイン放出症候群(CRS)(57.9%)
異常が認められた場合には、製造販売業者が提供するCRS管理ガイダンス等に従い、本剤の投与中止、副腎皮質ホルモン剤、トシリズマブ(遺伝子組換え)の投与等の適切な処置を行うこと。[1.2、1.3、7.2、8.1、8.2参照]
11.1.2 神経学的事象(免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群(ICANS)含む)
末梢性ニューロパチー(
11.1.3 感染症
上気道感染(
11.1.5 血球減少
好中球減少症(
11.1.6 低γグロブリン血症(
異常が認められた場合には適切な処置(免疫グロブリン補充療法を定期的に行う等)を行うとともに、感染症の兆候等に対する観察を十分に行うこと。[8.7参照]
11.1.7 間質性肺疾患(1.6%)
異常が認められた場合には、本剤の投与を中止し、必要に応じて、胸部CT、血清マーカー等の検査を実施するとともに、適切な処置を行うこと。
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
| 10%以上 | 2%以上10%未満 | 2%未満 | |
| 皮膚 | 発疹、皮膚乾燥 | 皮膚剥脱、紅斑、そう痒症、多汗症 | 手足症候群 |
| 消化器 | 下痢、悪心 | 嘔吐、便秘 | 胃食道逆流性疾患、口内乾燥、 |
| 代謝 |
食欲減退 | 低カリウム血症、低マグネシウム血症 | 低アルブミン血症、低ナトリウム血症、低リン血症、高カルシウム血症、腫瘍崩壊症候群、 |
| 精神・神経系 | 味覚異常、平衡障害 |
|
|
| 呼吸器 | 呼吸困難、咳嗽、 |
低酸素症、 |
|
| 筋骨格系 | 関節痛、骨痛、筋肉痛 |
四肢痛、背部痛 |
|
| 肝臓 | AST増加、ALP増加、GGT増加 |
血中ビリルビン増加 | |
| 循環器 | 洞性頻脈 |
|
|
| 眼 | 視覚障害 | ドライアイ、眼充血 | |
| 腎臓 | 急性腎障害、血中クレアチニン増加 | ||
| その他 | 注射部位反応( |
発熱、悪寒、体重減少、浮腫、C-反応性蛋白増加、 |
全身健康状態悪化、インフルエンザ様疾患、SARS-CoV-2検査陽性、サイトメガロウイルス検査陽性 |
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