本剤の投与は、緊急時に十分対応できる医療施設において、造血器悪性腫瘍の治療に対して十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される患者のみに行うこと。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分に説明し、同意を得てから投与を開始すること。
2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
2.2 妊婦又は妊娠している可能性のある女性[9.5参照]
再発又は難治性の末梢性T細胞リンパ腫
通常、成人にはダリナパルシンとして1日1回300mg/m2(体表面積)を1時間かけて5日間点滴静注した後、16日間休薬する。この21日間を1サイクルとして投与を繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量する。
8.1 骨髄抑制があらわれることがあるので、本剤投与前及び投与中は定期的に血液検査を行い、患者の状態を十分に観察すること。[11.1.1参照]
8.2 せん妄、錯乱等の精神障害があらわれることがあるので、症状について患者等に説明をし、異常が認められた場合には医師等に連絡するように指導すること。[11.1.3参照]
8.3 QT間隔延長があらわれることがあるため、本剤投与開始前及び本剤投与中は定期的に心電図検査及び電解質検査(カリウム、マグネシウム等)を行い、患者の状態を十分に観察すること。また、必要に応じて電解質補正を行うこと。[9.1.1、10.2、11.1.5参照]
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 QT間隔延長のおそれ又はその既往歴のある患者
QT間隔延長が起こるおそれがある。[8.3、11.1.5参照]
9.2 腎機能障害患者
本剤は主に腎臓から排泄されるため、血中濃度が上昇する可能性がある。なお、腎機能障害患者を対象とした臨床試験は実施していない。
9.4 生殖能を有する者
9.4.1 妊娠可能な女性に対しては、本剤投与中及び投与終了後一定期間は適切な避妊を行うよう指導すること。[9.5参照]
9.4.2 パートナーが妊娠する可能性のある男性に対しては、本剤投与中及び投与終了後一定期間は適切な避妊を行うよう指導すること。[15.2.1参照]
9.4.3 生殖可能な男性に投与する場合には、造精機能の低下があらわれる可能性があることを考慮すること。動物実験(マウス、ラット、イヌ)において、精巣精細管の変性・萎縮、伸長精子細胞の変性、精巣上体中の精子数減少等が報告されている。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。動物実験(ウサギ)において、胚致死及び生存胎児数減少が認められた。また、ヒトへのヒ素の過剰な長期摂取により、自然流産及び死産のリスク増加等の生殖発生に対する有害性を示す可能性が報告されている。[2.2、9.4.1参照]
9.6 授乳婦
本剤投与中及び投与終了後一定期間は授乳を避けさせること。本剤のヒト乳汁中への移行は確認していないが、無機ヒ素において乳汁への移行が報告されている。また、ヒ素化合物が混入したミルクを摂取した乳児において死亡例や皮膚症状の発生が報告されている。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
14.1 薬剤調製時の注意
14.1.1 調製時には、防護具(眼鏡、手袋、マスク等)を着用すること。薬液が皮膚に付着した場合は直ちに石鹸及び流水で洗い流すこと。また、粘膜に付着した場合は直ちに流水で洗い流すこと。
14.1.2 本剤1バイアルに注射用水1.8mLを注入後、澄明で均一になるまでバイアルを振り混ぜ、75mg/mLの溶解液を調製する。
14.1.3 溶解液調製後は速やかに希釈液を調製すること。なお、溶解後やむを得ず保存する場合は、室温では6時間以内、2〜8℃では24時間以内に希釈すること。
14.1.4 必要な投与量を含有する溶解液をバイアルから抜き取り、生理食塩液250mLに加えて混和し、希釈液を調製する。
14.1.5 希釈液調製後は速やかに投与すること。なお、希釈後やむを得ず保存する場合は室温で保存し、24時間以内に投与すること。
14.1.6 他の注射剤と配合又は混注しないこと。
14.2 薬剤投与時の注意
14.2.1 投与前に溶液を目視により確認すること。異物又は変色が確認された場合は使用しないこと。
14.2.2 中心静脈から投与することが望ましい。末梢静脈から投与する場合には、血管外への薬液の漏出に注意して慎重に投与すること。末梢静脈からの投与により投与部位の異常が発現することがある。
15.2 非臨床試験に基づく情報
15.2.1 遺伝毒性試験において、細菌を用いた復帰突然変異試験の結果で変異原性が認められた。[9.4.2参照]
15.2.2 イヌを用いた反復投与毒性試験において、投与直後に過剰興奮、不快感、跳躍、転倒、異常運動、虚脱、嗜眠、嘔吐・嘔気、線維束性収縮等のヒ素曝露の急性症状に類似した一般状態の異常が認められた。
20.1 外箱開封後は遮光して保存すること。
20.2 使用後の残液及び薬液に触れた器具等は適用法令等に従って廃棄すること。
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| QT間隔延長を起こすことが知られている薬剤クラリスロマイシン、モキシフロキサシン、ベプリジル等[8.3、11.1.5参照] | QT間隔延長を増強するおそれがあるため、患者の状態を十分に観察すること。 | 本剤及びこれらの薬剤はいずれもQT間隔を延長させるおそれがあり、併用によりQT間隔延長作用が増強するおそれがある。 |
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 骨髄抑制
貧血(12.3%)、好中球減少(12.3%)、血小板減少(12.3%)、白血球減少(4.6%)、リンパ球減少(4.6%)、発熱性好中球減少症(1.5%)等があらわれることがある。[8.1参照]
11.1.2 感染症
肺炎(1.5%)、敗血症性ショック(1.5%)、帯状疱疹(1.5%)等があらわれることがある。
11.1.3 精神障害
せん妄(9.2%)、錯乱(3.1%)、幻覚(3.1%)、不眠症(3.1%)、不安(1.5%)、失見当識(1.5%)等があらわれることがある。[8.2参照]
11.1.4 中枢神経障害
傾眠(3.1%)、浮動性めまい(3.1%)、脳梗塞(1.5%)、回転性めまい(1.5%)、認知障害(1.5%)等があらわれることがある。
11.1.5 QT間隔延長(3.1%)[8.3、9.1.1、10.2参照]
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
| 5%以上 | 5%未満 | |
| 神経系障害 | 味覚障害、末梢性感覚ニューロパチー | 感覚鈍麻、末梢性ニューロパチー、頭痛 |
| 心臓 | 心筋炎、心電図PR延長 | |
| 血管系 | 血管痛 | |
| 耳 | 聴力低下 | |
| 消化器 | 嘔吐 | 便秘、悪心、下痢、口内炎、腹痛、消化不良、口腔障害 |
| 皮膚 | 発疹、脱毛症、ざ瘡様皮膚炎、斑状丘疹状皮疹、爪線状隆起 | |
| 泌尿器 | 血中クレアチニン増加 | |
| 代謝 | 食欲減退 | 高カリウム血症、低カリウム血症、脱水、低マグネシウム血症、低ナトリウム血症 |
| 肝臓 | AST増加、ALT増加 | 肝障害、γ-GTP増加 |
| 全身 | 疲労(倦怠感)、発熱 | 異常感、歩行障害、低体温、末梢性浮腫 |
| その他 | 注入に伴う反応、血中ALP増加、LDH増加、CRP増加 |
ダルビアス点滴静注用135mg 31692円/瓶
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