抗悪性腫瘍剤
| 一般名 |
ベンダムスチン塩酸塩水和物
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|---|---|
| 製造/販売 | ファイザー |
| 剤形/規格 |
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本剤は、緊急時に十分対応できる医療施設において、造血器悪性腫瘍の治療に対して十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、本剤による治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分に説明し、同意を得てから投与を開始すること。
骨髄抑制により感染症等の重篤な副作用があらわれることがあるので、頻回に血液検査を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。[「重要な基本的注意」、「重大な副作用」の項参照]
なお、本剤の使用にあたっては、添付文書を熟読のこと。
本剤の成分に対し重篤な過敏症の既往歴のある患者
妊婦又は妊娠している可能性のある女性[「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照]
低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫及びマントル細胞リンパ腫
腫瘍特異的T細胞輸注療法の前処置
低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫
抗CD20抗体併用の場合
通常、成人には、ベンダムスチン塩酸塩として90mg/m2(体表面積)を1日1回1時間かけて点滴静注する。投与を2日間連日行い、26日間休薬する。これを1サイクルとして、投与を繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量する。
単独投与の場合(再発又は難治性の場合に限る)
通常、成人には、ベンダムスチン塩酸塩として120mg/m2(体表面積)を1日1回1時間かけて点滴静注する。投与を2日間連日行い、19日間休薬する。これを1サイクルとして、投与を繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量する。
マントル細胞リンパ腫
未治療の場合
リツキシマブ(遺伝子組換え)との併用において、通常、成人には、ベンダムスチン塩酸塩として90mg/m2(体表面積)を1日1回1時間かけて点滴静注する。投与を2日間連日行い、26日間休薬する。これを1サイクルとして、投与を繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量する。
再発又は難治性の場合
通常、成人には、ベンダムスチン塩酸塩として120mg/m2(体表面積)を1日1回1時間かけて点滴静注する。投与を2日間連日行い、19日間休薬する。これを1サイクルとして、投与を繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量する。
腫瘍特異的T細胞輸注療法の前処置
再生医療等製品の用法及び用量又は使用方法に基づき使用する。
本剤の投与により骨髄機能が抑制され、感染症等の重篤な副作用が増悪又はあらわれることがあるので、頻回に血液検査を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。異常が認められた場合には、減量、休薬等の適切な処置を行うこと。[「警告」、「重大な副作用」の項参照]
本剤の投与により、リンパ球減少が高頻度にあらわれ、重症の免疫不全が増悪又は発現することがあるので、頻回に臨床検査(血液検査等)を行うなど、免疫不全の兆候について綿密な検査を行うこと。異常が認められた場合には、減量・休薬等の適切な処置を行うとともにカンジダ等の真菌、サイトメガロウイルス等のウイルス、ニューモシスティス等による重症日和見感染に注意すること。また、本剤の投与によりB型肝炎ウイルスの再活性化による肝炎があらわれることがあるので、本剤投与に先立って肝炎ウイルス感染の有無を確認し、本剤投与前に適切な処置を行うこと。本剤の投与開始後は継続して肝機能検査や肝炎ウイルスマーカーのモニタリングを行うなど、B型肝炎ウイルスの再活性化の兆候や症状の発現に注意すること。[「重大な副作用」の項参照]
生殖可能な年齢の患者に投与する必要がある場合には、性腺に対する影響を考慮すること。[「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照]
本剤による治療後、二次発がんが発生したとの報告があるので、本剤の投与終了後も経過を観察するなど十分に注意すること。
骨髄抑制のある患者[骨髄抑制が増強されるおそれがある。]
感染症を合併している患者[骨髄抑制により感染症が増悪するおそれがある(「重大な副作用」の項参照)。]
心疾患(心筋梗塞、重度の不整脈等)を合併する又は既往歴のある患者[心疾患を悪化させるおそれがある。]
肝障害のある患者[副作用が強くあらわれるおそれがある。]
腎障害のある患者[副作用が強くあらわれるおそれがある。]
国内外の臨床経験において、報告されている最高単回投与量は280mg/m2である。
徴候・症状
280mg/m2を投与した患者4例中3例で、投与後7及び21日目に用量制限毒性と考えられる心電図の変化が認められた。この変化は、QT延長(1例)、洞性頻脈(1例)、ST及びT波の偏位(2例)、左脚前枝ブロック(1例)等であった。
処置
過量投与時の特異的な解毒剤は知られていない。必要に応じて支持療法を行うこと。
調製時
本剤が体部に付着した場合には、直ちに石鹸及び多量の水で十分に洗い、眼は水で洗浄すること。
本剤の希釈に際しては、必ず生理食塩液を使用すること。
投与時
点滴静注に際し、投与液が血管外に漏れると、投与部位に紅斑、腫脹、疼痛、壊死を起こすことがあるので、投与液が血管外に漏れないように投与すること。血管外に漏れた場合は、速やかに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
調製後は速やかに使用すること。なお、保存する必要がある場合には、室温保存では6時間以内、2〜8℃保存の場合は24時間以内に投与を終了すること。
包装開封後も、2〜8℃で保存すること。
調製時には、手袋を着用することが望ましい。
安定性試験
最終包装製品を用いた長期保存試験(5℃、2年間)の結果、外観及び含量等は規格の範囲内であり、ベンダムスチン塩酸塩点滴静注液25mg/1mL「ファイザー」、ベンダムスチン塩酸塩点滴静注液100mg/4mL「ファイザー」及びベンダムスチン塩酸塩点滴静注液200mg/8mL「ファイザー」は通常の市場流通下において2年間安定であることが確認された。
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| 他の抗悪性腫瘍剤 | 骨髄抑制等の副作用が増強することがある。 | 骨髄抑制作用を増強する可能性がある。 |
本剤は使用成績調査等の副作用発現頻度が明確となる調査を実施していない。
(頻度不明)
骨髄抑制
リンパ球減少、白血球減少、好中球減少、血小板減少、CD4リンパ球減少、ヘモグロビン減少、赤血球減少等の骨髄抑制があらわれることがあるので、頻回に血液検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には減量、休薬等の適切な処置を行うこと。[「警告」、「重要な基本的注意」、「用法及び用量に関連する使用上の注意」の項参照]
感染症
肺炎、敗血症等の重度の感染症があらわれることがある。また、B型肝炎ウイルスの再活性化による肝炎があらわれることがある。観察を十分に行い、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。[「重要な基本的注意」の項参照]
間質性肺疾患
間質性肺炎があらわれることがあるので、観察を十分に行い、発熱、咳嗽、呼吸困難、胸部X線検査異常等が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
腫瘍崩壊症候群
腫瘍崩壊症候群があらわれ、急性腎障害に至るおそれがあるので、体内水分量を適切に維持し、血液生化学検査(特に尿酸及びカリウム)を行うなど患者の状態を十分に観察すること。異常が認められた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
重篤な皮膚症状
中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、発熱、口腔粘膜の発疹、口内炎等の症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
ショック、アナフィラキシー
ショック、アナフィラキシーがあらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
以下のような副作用があらわれた場合には、症状に応じて適切な処置を行うこと。
| 頻度不明 | |
| 血液 | 貧血、イムノグロブリン(IgA、IgM、IgG)低下、溶血性貧血、発熱性好中球減少症、播種性血管内凝固、汎血球減少、単球減少、白血球増加、好中球増加、好酸球増加、リンパ球増加、ヘモグロビン増加、CD4/CD8比低下、CD4/CD8比上昇、ヘマトクリット減少、網状赤血球減少、無顆粒球症 |
| 心・血管障害 | 静脈炎、不整脈(房室ブロック、洞性頻脈、上室性期外収縮、心室性期外収縮等)、動悸、心筋梗塞、心血管障害、心障害、心嚢液貯留、心不全、左室機能不全、循環虚脱、パジェット・シュレッター症候群、血管障害(血管痛)、低血圧、高血圧、高血圧クリーゼ、ほてり、潮紅、静脈血栓症、心電図QT延長、心電図ST-T部分異常、心電図T波振幅減少、心肺不全、出血 |
| 眼 | 眼そう痒症、眼充血、眼瞼紅斑、強膜出血、角膜炎、閃輝暗点、流涙増加 |
| 消化器 | 便秘、下痢、悪心、嘔吐、口角口唇炎、口腔障害、口腔内潰瘍形成、口内炎、口内乾燥、舌障害、舌炎、食道痛、消化不良、おくび、胃炎、胃障害、胃食道逆流性疾患、胃不快感、腹痛、下腹部痛、腹部膨満、びらん性十二指腸炎、イレウス、痔核、肛門出血、潰瘍性食道炎、胃腸出血、消化管運動過剰 |
| 肝臓 | ALT上昇、AST上昇等の肝機能異常、胆汁うっ滞、胆石症、胆嚢ポリープ、肝毒性、γ-GTP上昇、血中ビリルビン低下、高ビリルビン血症 |
| 代謝・栄養系 | 食欲不振、LDH上昇、高血糖、低比重リポ蛋白増加、脱水、高アミラーゼ血症、高カリウム血症、高クロール血症、高トリグリセリド血症、高尿酸血症、ALP上昇、総蛋白低下、低アルブミン血症、低カリウム血症、低カルシウム血症、低ナトリウム血症、低マグネシウム血症、低リン酸血症、ALP低下、高カルシウム血症 |
| 筋骨格系 | 関節痛、筋骨格硬直、筋肉痛、頚部痛、骨痛、四肢痛、側腹部痛、背部痛 |
| 精神神経系 | 回転性めまい、体位性めまい、浮動性めまい、感覚障害、感覚鈍麻、錯感覚、味覚異常、知覚過敏、嗅覚錯誤、無感情、認知症、睡眠障害、不眠症、眠気、末梢性ニューロパチー、ラクナ梗塞、頭痛、頭部不快感、抗コリン作動性症候群、失声症、運動失調、脳炎、気分変化 |
| 泌尿器 | 腎機能障害、腎結石症、腎不全、血尿、蛋白尿、頻尿、膀胱刺激症状、クレアチニン上昇、β2ミクログロブリン増加、BUN上昇、BUN低下 |
| 呼吸器 | 肺塞栓症、肺障害、肺浸潤、過敏性肺臓炎、呼吸不全、胸水、上気道の炎症、口腔咽頭痛、口腔咽頭不快感、湿性咳嗽、咳嗽、アレルギー性鼻炎、鼻出血、鼻漏、しゃっくり、原発性異型肺炎、肺線維症、肺機能異常 |
| 皮膚 注) | 発疹、皮膚炎、ざ瘡様皮膚炎、アレルギー性皮膚炎、剥脱性皮膚炎、皮膚びらん、皮膚乳頭腫、皮膚剥脱、皮膚疼痛、乾皮症、乾癬、多形紅斑、紅斑、蕁麻疹、斑状丘疹状皮疹、湿疹、そう痒症、過敏性血管炎、脱毛症、手掌・足底発赤知覚不全症候群、色素沈着障害、寝汗、多汗症、そう痒性皮疹、点状出血 |
| 注射部位 | 注射部位血管外漏出、注射部位反応(発赤、疼痛、硬結等) |
| その他 | 発熱、疲労、倦怠感、C-反応性蛋白増加、浮腫、注入に伴う反応、過敏症、悪寒、熱感 |
注:必要に応じて、皮膚科を受診するよう患者を指導すること。
ベンダムスチン塩酸塩点滴静注液25mg/1mL「ファイザー」
ベンダムスチン塩酸塩点滴静注液100mg/4mL「ファイザー」
ベンダムスチン塩酸塩点滴静注液200mg/8mL「ファイザー」
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