1.1 本剤を含むがん化学療法は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本療法が適切と判断される症例についてのみ実施すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。
1.2 骨髄機能抑制に起因すると考えられる死亡症例が認められているので、投与に際しては、頻回に臨床検査を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。[8.1参照]
2.1 骨髄機能低下の著しい患者[重症感染症を併発し、致命的となることがある。][9.1.1参照]
2.2 重篤な感染症を合併している患者[感染症が悪化し、致命的となるおそれがある。]
2.3 本剤及び他のビンカアルカロイド系抗悪性腫瘍剤の成分に対し重篤な過敏症の既往歴のある患者
2.4 髄腔内には投与しないこと。[14.2.2参照]
○非小細胞肺癌
○手術不能又は再発乳癌
<非小細胞肺癌>
通常、成人にはビノレルビンとして1回20〜25mg/m2を1週間間隔で静脈内に緩徐に注射する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。ただし、1回最高用量は25mg/m2とする。
<手術不能又は再発乳癌>
通常、成人にはビノレルビンとして1回25mg/m2を1週間間隔で2週連続投与し、3週目は休薬する。
なお、年齢、症状により適宜減量する。
8.1 骨髄機能抑制、間質性肺炎、イレウス等の重篤な副作用が起こることがあるので、頻回に臨床検査(血液検査、肝機能・腎機能検査、心肺機能検査等)を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。また、使用が長期間にわたると副作用が強くあらわれることがあるので、投与は慎重に行うこと。[1.2、9.1.1、9.1.2、11.1.1、11.1.2、11.1.4参照]
8.2 感染症の発現又は悪化に十分注意すること。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 骨髄機能抑制のある患者(骨髄機能低下の著しい患者を除く)
骨髄機能をより強く抑制するおそれがある。[2.1、8.1、11.1.1参照]
9.1.2 間質性肺炎又は肺線維症の既往歴のある患者
症状が再発するおそれがある。[8.1、11.1.2参照]
9.1.3 神経・筋疾患の合併あるいは既往歴のある患者
末梢神経障害(知覚異常、腱反射減弱等)が強くあらわれるおそれがある。
9.1.4 虚血性心疾患又はその既往歴のある患者
症状を誘発若しくは悪化させるおそれがある。[11.1.5参照]
9.1.5 便秘傾向の強い患者
症状を悪化させるおそれがある。
9.3 肝機能障害患者
副作用が強くあらわれるおそれがある。
9.4 生殖能を有する者
小児及び生殖可能な年齢の患者に投与する必要がある場合には、性腺に対する影響を考慮すること。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないことが望ましい。動物実験で催奇形性(ラット:頸椎椎弓の癒合、頸椎配列異常等の骨格変異、ウサギ:耳介低形成、側脳室拡張、腰肋等の骨格変異)が報告されている。
9.6 授乳婦
授乳しないことが望ましい。動物実験(ラット)で乳汁中への移行が報告されている。
9.7 小児等
小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
用量、投与間隔等に注意して、患者の状態を観察し慎重に投与すること。生理機能が低下していることが多く、白血球減少、貧血、血小板減少、BUN上昇、発熱、間質性肺炎、便秘等の副作用があらわれやすい。
14.1 薬剤調製時の注意
14.1.1 本剤投与による血管痛、静脈炎及び薬液の血管外漏出による重篤な組織障害を防止する意味で、本剤をあらかじめ日局生理食塩液、日局5%ブドウ糖注射液、日局リンゲル液又は乳酸リンゲル液約50mLに希釈すること。
14.1.2 他の注射剤と配合した場合ビノレルビンが析出するおそれがあるので、原則として他の注射剤との同時混合投与を避けること。
14.1.3 本剤が皮膚に付着した場合には、直ちに石鹸及び多量の流水で洗い流すこと。また、粘膜に付着した場合には、直ちに多量の流水で洗い流すこと。
14.1.4 眼には接触させないこと。眼に入った場合は、直ちに水で洗浄すること。眼に入った場合、激しい刺激や角膜潰瘍が起こることがある。
14.2 薬剤投与時の注意
14.2.1 投与は開始から10分以内に終了することが望ましい。
14.2.2 静脈内注射のみに使用し、髄腔内には投与しないこと。海外で誤ってビンカアルカロイド系薬剤を髄腔内に投与し、死亡したとの報告がある。[2.4参照]
14.2.3 薬液が血管外に漏れると注射部位に硬結・壊死を起こすことがあるので、点滴の側管を利用するなど、薬液が血管外に漏れないように慎重に投与すること。
14.2.4 血管痛、静脈炎を起こすことがあるので、注射部位、注射方法等に十分注意し、投与後は補液等により薬液を十分洗い流すこと。
15.1 臨床使用に基づく情報
他のビンカアルカロイド系薬剤により脳梗塞等が発現したとの報告がある。
外箱開封後は遮光して保存すること。
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| アゾール系抗真菌剤イトラコナゾール等マクロライド系抗生剤エリスロマイシンクラリスロマイシン等カルシウム拮抗剤ジルチアゼムニフェジピンベラパミル等ベンゾジアゼピン系薬剤ジアゼパムトリアゾラムミダゾラム等 | 他のビンカアルカロイド系抗悪性腫瘍剤との併用で筋神経系の副作用の増強が報告されている。 | 左記薬剤は肝チトクロームP-450(CYP3A4)を阻害するので、併用によりビンカアルカロイドの代謝を阻害する。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| マイトマイシンC[11.1.3参照] | 息切れ及び気管支痙攣が発現しやすいことが報告されている。 | 作用機序は不明。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| 他の抗悪性腫瘍剤放射線療法 | 骨髄機能抑制等の副作用が増強することがある。 | 副作用が相互に増強される。 |
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 骨髄機能抑制
汎血球減少・無顆粒球症・白血球減少(84.4%)、好中球減少(75.8%)、貧血(74.1%)、血小板減少(28.5%)等があらわれることがある。[8.1、9.1.1参照]
11.1.2 間質性肺炎(1.4%)、肺水腫(0.1%未満)
胸部X線検査異常等が認められた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等適切な処置を行うこと。[8.1、9.1.2参照]
11.1.3 気管支痙攣(0.1%未満)
息切れ、呼吸困難等の異常があらわれた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等適切な処置を行うこと。なお、本症状は投与直後から2時間以内に発現する例が多い。[10.2参照]
11.1.4 麻痺性イレウス(0.4%)[8.1参照]
11.1.5 心不全(0.1%)、心筋梗塞(0.1%未満)、狭心症(0.1%未満)[9.1.4参照]
11.1.6 ショック(0.1%未満)、アナフィラキシー(0.1%未満)
発疹、呼吸困難、血圧低下等の症状があらわれることがある。
11.1.7 肺塞栓症(頻度不明)
11.1.8 抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)(0.1%)
低ナトリウム血症、低浸透圧血症、尿中ナトリウム量の増加、高張尿、意識障害等を伴う抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には水分摂取の制限等適切な処置を行うこと。
11.1.9 重篤な腎障害
急性腎障害(0.2%)等があらわれることがある。
11.1.10 急性膵炎(0.1%未満)
腹痛、血清アミラーゼ上昇等が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
注)発現頻度は非小細胞肺癌患者を対象とした使用成績調査を含む。
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
| 20%以上 | 5〜20%未満 | 5%未満 | 頻度不明 | |
| 過敏症 | アレルギー様症状 | |||
| 呼吸器 | 呼吸困難、喘鳴 | |||
| 循環器 | 不整脈、血圧低下、血圧上昇、動悸、頻脈 | |||
| 神経・筋症状 | 知覚異常・腱反射減弱、筋肉痛、関節痛、筋力低下、腰背痛、筋痙攣、運動障害、排尿障害 | |||
| 精神神経系 | 頭痛、不穏、めまい、不眠 | 激越 | ||
| 肝臓 | AST上昇、ALT上昇、Al-P上昇、LDH上昇 | 肝機能障害、総ビリルビン上昇、ウロビリノーゲン陽性、γ-GTP上昇 | ||
| 腎臓 | BUN上昇、クレアチニン上昇 | 蛋白尿、クレアチニンクリアランス低下 | ||
| 消化器 | 食欲不振、嘔気 | 嘔吐、便秘、下痢 | 口内炎、腹痛、腹部不快感、腹部膨満感、腹部膨隆、嚥下障害 | |
| 皮膚 | 脱毛 | 紅斑・丘疹、水疱・落屑、爪の異常、そう痒 | ||
| 注射部位 | 静脈炎 | |||
| 代謝栄養障害 | 総蛋白低下、血漿中電解質(ナトリウム、カリウム、クロール、カルシウム)異常 | アルブミン低下 | 尿糖 | |
| その他 | 発熱、全身倦怠感、CRP上昇 | 血尿、体重減少、体重増加、味覚異常、疼痛、出血、胸痛、浮腫、出血性膀胱炎、潮紅、しゃっくり |
注)発現頻度は非小細胞肺癌患者を対象とした使用成績調査を含む。
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