A型ボツリヌス毒素製剤
| 一般名 |
インコボツリヌストキシンA
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|---|---|
| 製造/販売 | 帝人ファーマ |
| 剤形/規格 |
|
<効能共通>
2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
2.2 全身性の神経筋接合部の障害をもつ患者(重症筋無力症、ランバート・イートン
<上肢痙縮、下肢痙縮>
2.3 筋萎縮性側索硬化症患者[本剤は筋弛緩作用を有するため、病態を悪化させる可能性がある。]
○上肢痙縮
○下肢痙縮
<上肢痙縮>
通常、成人にはインコボツリヌストキシンAとして複数の緊張筋注1)に合計400単位を分割して筋肉内注射する。1回あたりの最大投与量は400単位であるが、対象となる緊張筋の種類や数により、投与量は必要最小限となるよう適宜減量する。また、再投与は前回の効果が減弱した場合に可能であるが、投与間隔は12週以上とすること。なお、症状に応じて投与間隔は10週まで短縮できる。
注1)緊張筋
橈側手根屈筋、尺側手根屈筋、浅指屈筋、深指屈筋、腕橈骨筋、上腕二頭筋、上腕筋、方形回内筋、円回内筋、長母指屈筋、母指内転筋、短母指屈筋/母指対立筋等
<下肢痙縮>
通常、成人にはインコボツリヌストキシンAとして複数の緊張筋注2)に合計400単位を分割して筋肉内注射する。1回あたりの最大投与量は400単位であるが、対象となる緊張筋の種類や数により、投与量は必要最小限となるよう適宜減量する。また、再投与は前回の効果が減弱した場合に可能であるが、投与間隔は12週以上とすること。なお、症状に応じて投与間隔は10週まで短縮できる。
注2)緊張筋
腓腹筋(内側頭、外側頭)、ヒラメ筋、後脛骨筋、長趾屈筋、長母趾屈筋等
<効能共通>
8.1 本剤の投与に際しては、患者又はそれに代わる適切な者に、次の事項について文書を用いてよく説明し、文書による同意を得た後、使用すること。
・本剤の有効成分は、ボツリヌス菌によって産生されるA型ボツリヌス毒素(一般的名称:インコボツリヌストキシンA)である。
・本剤の投与は対症療法であり、その効果は
・本剤投与により、投与部位以外の
・妊娠する可能性のある女性は、投与中及び最後の投与から16週後まで避妊を考慮すること。[9.4、9.5参照]
・他の医療施設でボツリヌス毒素の投与を受けている場合には、治療対象疾患及び投与日を必ず申し出ること。
8.2 本剤投与後、無力症、筋力低下があらわれることがあるので、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には注意させること。
<下肢痙縮>
8.3 下肢の緊張筋への本剤投与に伴う活動性上昇や筋力バランスの変化により、転倒等が起こりやすくなる可能性がある。
<慢性流涎>
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 神経筋障害を有する患者(全身性の神経筋接合部の障害をもつ患者又は筋萎縮性側索硬化症患者を除く)
治療上の有益性がリスクを上回る場合にのみ使用
9.4 生殖能を有する者
妊娠する可能性のある女性は、投与中及び最後の投与から16週後まで避妊を考慮すること。[8.1、9.5参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。本剤は動物実験で、母動物の体重低値、摂餌量減少及び流産が認められている。また、類薬において、妊娠中の患者で胎児の死亡が報告されている。[8.1、9.4参照]
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。乳汁への移行に関する情報は得られていない。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
13.1 症状
A型ボツリヌス毒素の過量投与により、投与
13.2 処置
投与直後の場合には抗毒素の投与を検討してもよいが、治療上の有益性と危険性を慎重に判断すること。なお、既にボツリヌス中毒症状(全身性の脱力及び筋肉麻痺等)が発現した時点での抗毒素投与は、無効である。
14.1 薬剤調製時の注意
<効能共通>
14.1.1 投与する直前に溶解すること。ただし溶解後は2℃〜8℃に保存し、調製24時間以内に使用すること。
14.1.2 ゴム栓に注射針を垂直に穿刺し、泡立たないように溶解液をゆっくりとバイアル中に注入する。バイアルの陰圧が保たれていない場合は使用しないこと。
14.1.3 溶解液注入後、バイアルを丁寧に円を描くように振り混ぜ、転倒させて内容物を溶解液と混和する。
14.1.4 混和後の溶液は清澄かつ無色であり微粒子を含まない液体である。混和後の溶液の外観が濁っていたり、沈降物又は浮遊物がある場合は使用しないこと。
<上肢痙縮、下肢痙縮>
14.1.5 本剤1バイアルは日局生理食塩液を用いて溶解する。
| 溶解液の量(日局生理食塩液) | 溶解後のボツリヌス毒素濃度 | |
| 50単位 | 0.25mL | 20単位/0.1mL |
| 0.5mL | 10単位/0.1mL | |
| 1.0mL | 5.0単位/0.1mL | |
| 1.25mL | 4.0単位/0.1mL | |
| 2.0mL | 2.5単位/0.1mL | |
| 2.5mL | 2.0単位/0.1mL | |
| 4.0mL | 1.25単位/0.1mL | |
| 5.0mL | 1.0単位/0.1mL |
| 溶解液の量(日局生理食塩液) | 溶解後のボツリヌス毒素濃度 | |
| 100単位 | 0.5mL | 20単位/0.1mL |
| 1.0mL | 10単位/0.1mL | |
| 1.25mL | 8.0単位/0.1mL | |
| 2.0mL | 5.0単位/0.1mL | |
| 2.5mL | 4.0単位/0.1mL | |
| 4.0mL | 2.5単位/0.1mL | |
| 5.0mL | 2.0単位/0.1mL |
| 溶解液の量(日局生理食塩液) | 溶解後のボツリヌス毒素濃度 | |
| 200単位 | 0.5mL | 40単位/0.1mL |
| 1.0mL | 20単位/0.1mL | |
| 1.25mL | 16単位/0.1mL | |
| 2.0mL | 10単位/0.1mL | |
| 2.5mL | 8.0単位/0.1mL | |
| 4.0mL | 5.0単位/0.1mL | |
| 5.0mL | 4.0単位/0.1mL |
<慢性流涎>
14.2 薬剤投与時の注意
<効能共通>
14.2.1 皮膚に異常のある部位(感染、炎症等)には注射しないこと。
<上肢痙縮、下肢痙縮>
14.2.2 適用部位の筋肉内にのみ投与すること。[7.6参照]
<慢性流涎>
14.3 薬剤廃棄時の注意
残った薬液は、0.5%次亜塩素酸ナトリウム溶液を加える、又は滅菌処理(121℃、20分で高圧蒸気滅菌後に、120℃、10分で乾熱滅菌を行う)により失活させた後、密閉可能な廃棄袋又は箱に廃棄する。薬液の触れた器具等は同様に0.5%次亜塩素酸ナトリウム溶液をかける、又は滅菌処理(121℃、20分で高圧蒸気滅菌後に、120℃、10分で乾熱滅菌を行う)にかけて失活させた後、密閉可能な廃棄袋又は箱に廃棄する。
14.4 汚染時の注意
14.4.1 本剤が飛散した場合
すべて拭き取る。
(1)溶解前の場合には0.5%次亜塩素酸ナトリウム溶液をしみ込ませた吸収性素材で拭いてから乾燥させる。
(2)溶解後の場合は乾燥した吸収性素材で拭きとった後に0.5%次亜塩素酸ナトリウム溶液をしみ込ませた吸収性素材で拭いてから乾燥させる。
14.4.2 本剤が皮膚に触れた場合
0.5%次亜塩素酸ナトリウム溶液で洗い、水で洗い流す。
14.4.3 本剤が眼に入った場合
大量の水又は眼用の洗浄液で洗い流す。
15.2 非臨床試験に基づく情報
動物実験(サル)により、本剤投与部位以外の遠隔の筋において、筋萎縮や筋重量減少等の障害が発生したとの報告がある。
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| 筋弛緩剤ダントロレンナトリウム水和物等 | 過剰な筋弛緩があらわれるおそれがあり、筋力低下、嚥下障害等の発現するリスクが高まるおそれがある。 | 本剤及びこれらの薬剤はともに筋弛緩作用を有するため作用が増強されるおそれがある。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| 筋弛緩作用を有する薬剤スペクチノマイシン塩酸塩水和物アミノグリコシド系抗生物質ゲンタマイシン硫酸塩、フラジオマイシン硫酸塩等ポリペプチド系抗生物質ポリミキシンB硫酸塩等テトラサイクリン系抗生物質リンコマイシン系抗生物質抗痙縮剤バクロフェン等抗コリン剤ブチルスコポラミン臭化物、トリヘキシフェニジル塩酸塩等ベンゾジアゼピン系薬剤及び類薬ジアゼパム、エチゾラム等ベンザミド系薬剤チアプリド塩酸塩、スルピリド等 | 過剰な筋弛緩があらわれるおそれがあり、筋力低下、嚥下障害等の発現するリスクが高まるおそれがある。 | 本剤及びこれらの薬剤はともに筋弛緩作用を有するため作用が増強されるおそれがある。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| 唾液分泌抑制作用を有する薬剤抗コリン剤ブチルスコポラミン臭化物、トリヘキシフェニジル塩酸塩等 | 慢性流涎患者においては、過剰な唾液分泌抑制があらわれるおそれがあり、口内乾燥、嚥下障害等の発現するリスクが高まるおそれがある。 | 本剤及びこれらの薬剤はともに唾液分泌抑制作用を有するため作用が増強されるおそれがある。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| 他のボツリヌス毒素製剤[7.3、7.4、7.7参照] | 過剰な筋弛緩があらわれるおそれがあり、筋力低下、嚥下障害等の発現するリスクが高まるおそれがある。 | 本剤及びこれらの薬剤はともに筋弛緩作用を有するため作用が増強されるおそれがある。 |
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 過敏症(頻度不明)
アナフィラキシーを含む重篤かつ即時型の過敏症、血清病等を起こす可能性があるので、呼吸困難、全身潮紅、血管浮腫、発疹、悪心等の症状が認められた場合には投与を中止し、血圧の維持、体液の補充管理、気道の確保等の適切な処置を行うこと。
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
| 1〜5%未満 | 1%未満 | 頻度不明 | |
| 皮膚 | 湿疹、紅斑、蕁麻疹、過角化 | そう痒症、発疹 | |
| 消化器 | 便秘、 |
悪心 | |
| 筋骨格 | 筋力低下 | 四肢不快感、関節痛、筋骨格痛、筋肉痛、四肢痛、筋緊張低下 | |
| 精神神経系 | 麻痺 |
血管迷走神経反応(一過性症候性低血圧、耳鳴、失神) | |
| 注射部位 | 皮下出血、注射部位内出血、筋肉内出血 |
炎症 |
|
| 泌尿器 | 排尿後の尿滴下、頻尿、尿閉 | ||
| その他 | 構語障害、転倒、血中CK増加、靱帯捻挫、末梢性浮腫、倦怠感、蜂巣炎 |
軟部組織浮腫、腫脹、インフルエンザ様症状、上咽頭炎 |
ゼオマイン筋注用50単位 17130円/瓶
ゼオマイン筋注用100単位 33367円/瓶
ゼオマイン筋注用200単位 64861円/瓶
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