本剤投与中に、脳梗塞、心筋梗塞、肺塞栓等の重篤な血栓塞栓症があらわれ、死亡に至るおそれがある。本剤の投与開始前に、脳梗塞、心筋梗塞、肺塞栓等の合併症及び既往歴の有無等を含めた血栓塞栓症のリスクを評価した上で、本剤の投与の可否を慎重に判断すること。また、本剤投与中は、患者の状態を十分に観察し、血栓塞栓症が疑われる徴候や症状の発現に注意すること。血栓塞栓症が疑われる症状があらわれた場合には、速やかに医療機関を受診するよう患者を指導すること。[11.1.1参照]
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
腎性貧血
通常、成人にはバダデュスタットとして、1回300mgを開始用量とし、1日1回経口投与する。以後は、患者の状態に応じて投与量を適宜増減するが、最高用量は1日1回600mgまでとする。
本剤投与開始後は、ヘモグロビン濃度が目標範囲で安定するまでは、2週に1回程度ヘモグロビン濃度を確認すること。
本剤投与中は、ヘモグロビン濃度等を4週に1回程度確認し、必要以上の造血作用があらわれないように十分注意すること。赤血球造血刺激因子製剤の臨床試験においてヘモグロビンの目標値を高く設定した場合に、死亡、心血管系障害及び脳卒中の発現頻度が高くなったとの報告がある
。
ヘモグロビン濃度が、4週以内に2.0g/dLを超える等、急激に上昇した場合は速やかに減量又は休薬する等、適切な処置を行うこと。
血液透析患者において、赤血球造血刺激因子製剤から本剤への切替え後にヘモグロビン濃度が低下する傾向が認められていることから、切替え後のヘモグロビン濃度の低下に注意すること。
本剤投与により肝機能障害があらわれるおそれがあるので、定期的に肝機能検査を行うこと。[11.1.2参照]
本剤投与により血圧が上昇するおそれがあるので、血圧の推移に十分注意しながら投与すること。
造血には鉄が必要であることから、鉄欠乏時には鉄剤の投与を行うこと。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 脳梗塞、心筋梗塞、肺塞栓等の患者、又はそれらの既往歴のある患者
本剤投与により血栓塞栓症を増悪あるいは誘発するおそれがある。
9.1.2 高血圧症を合併する患者
血圧が上昇するおそれがある。
9.1.3 悪性腫瘍を合併する患者
本剤の血管新生促進作用により悪性腫瘍を増悪させるおそれがある。
9.1.4 増殖糖尿病網膜症、黄斑浮腫、滲出性加齢黄斑変性症、網膜静脈閉塞症等を合併する患者
本剤の血管新生促進作用により網膜出血があらわれるおそれがある。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物実験(ラット)において本剤又はその代謝物の胎盤通過性が認められている。ラットにおいて本剤の最大臨床用量の1.7倍の曝露量で、母動物の体重増加抑制及び摂餌量の低値に伴う胎児体重の低値及び骨化不全が認められている。
9.6 授乳婦
授乳しないことが望ましい。動物実験(ラット)において、本剤又はその代謝物が乳汁中へ移行することが認められている。また、ラットの母動物において本剤の最大臨床用量の1.2倍の曝露量で、出生時から離乳後初期まで出生児体重の有意な低値が認められている。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
13.1 症状
本剤の過量投与によりヘモグロビン濃度が必要以上に増加するおそれがある。
13.2 処置
本剤の減量・休薬等の適切な処置を行うこと。本剤は透析で除去されない。
14.1 薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
バダデュスタットは主としてグルクロン酸抱合代謝を受ける。[16.4.1、16.4.2参照]バダデュスタットは、OAT1及びOAT3の基質であり、BCRP及びOAT3に対して阻害作用を有する。また、バダデュスタットの代謝物O-グルクロン酸抱合体は、OAT3の基質であり、OAT3に対して阻害作用を有する。[16.7.1参照]
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
多価陽イオンを含有する経口薬剤(カルシウム、鉄、マグネシウム、アルミニウム等を含む製剤)[16.7.2参照] | 本剤と併用した場合、本剤の作用が減弱するおそれがあるため、併用する場合は、本剤の服用前後2時間以上あけて投与すること。 | 本剤を鉄含有剤と同時投与したところ、本剤のCmax及びAUC0-∞が低下した。本剤とこれらの薬剤がキレートを形成し、本剤の吸収を抑制すると考えられている。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
プロベネシド[16.7.2参照] | 本剤と併用した場合、本剤の作用が増強するおそれがあるため、併用する場合は、本剤の減量を考慮するとともに、患者の状態を慎重に観察すること。 | 本剤をプロベネシドと併用したところ、本剤の未変化体及び代謝物O-グルクロン酸抱合体のAUC0-∞が上昇した。プロベネシドのOAT1及びOAT3阻害作用により、本剤の血漿中濃度が上昇する。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
BCRPの基質となる薬剤ロスバスタチンシンバスタチンアトルバスタチンサラゾスルファピリジン等[16.7.3参照] | 本剤と併用した場合、これらの薬剤の作用が増強するおそれがあるため、併用する場合は、患者の状態を慎重に観察すること。 | 本剤をこれらの薬剤と併用したところ、これらの薬剤のCmax及びAUC0-∞が上昇した。本剤のBCRP阻害作用により、これらの薬剤の血漿中濃度が上昇するおそれがある。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
OAT3の基質となる薬剤フロセミドメトトレキサート等[16.7.3参照] | 本剤と併用した場合、これらの薬剤の作用を増強するおそれがあるため、併用する場合は、患者の状態を慎重に観察すること。 | 本剤をフロセミドと併用したところ、フロセミドのCmax及びAUC0-∞が上昇した。本剤のOAT3阻害作用により、これらの薬剤の血漿中濃度が上昇するおそれがある。 |
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止する等、適切な処置を行うこと。
11.1.1 血栓塞栓症注)(4.2%)
脳梗塞(0.4%)、シャント閉塞(1.0%)等の血栓塞栓症があらわれることがある。[1.参照]
注)有害事象に基づく発現頻度。
11.1.2 肝機能障害(頻度不明)
AST、ALT、総ビリルビンの上昇を伴う肝機能障害があらわれることがある。[8.5参照]
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止する等、適切な処置を行うこと。
1%以上5%未満 | 1%未満 | ||
精神・神経系 | 睡眠障害、傾眠 | ||
眼 | 網膜出血 | ||
耳 | 回転性めまい | ||
循環器 | 高血圧 | 動悸 | |
血液 | 赤血球増加症 | ||
消化器 | 下痢、悪心 | 腹部不快感、嘔吐、軟便、胃炎、胃腸炎、口内炎 | |
皮膚 | 発疹、そう痒症、湿疹、紅斑、脱毛症、冷汗 | ||
泌尿器 | 頻尿 | ||
臨床検査 | 血清フェリチン減少、トランスフェリン飽和度低下、血中クレアチニン増加 | ||
その他 | 倦怠感、胸部不快感、乳頭痛、末梢性浮腫 |
バフセオ錠150mg 184円/錠
バフセオ錠300mg 324.8円/錠
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