1.1 本剤の投与により髄膜炎菌感染症を発症することがあり、死亡に至るおそれもあるため、以下の点に十分注意すること。[5.1、9.1.1、11.1.1参照]
1.1.1 本剤の投与に際しては、髄膜炎菌感染症の初期徴候(発熱、頭痛、項部硬直等)に注意して観察を十分に行い、髄膜炎菌感染症が疑われた場合には、直ちに診察し、抗菌剤の投与等の適切な処置を行うこと。
1.1.2 緊急な治療を要する場合等を除いて、原則、本剤投与前に髄膜炎菌に対するワクチンを接種すること。必要に応じてワクチンの追加接種を考慮すること。
1.1.3 髄膜炎菌感染症は致命的な経過をたどることがあるので、緊急時に十分に措置できる医療施設及び医師のもとで、あるいは髄膜炎菌感染症の診断及び治療が可能な医療施設との連携下で投与すること。
1.1.4 髄膜炎菌感染症のリスクについて患者に説明し、当該感染症の初期徴候を確実に理解させ、髄膜炎菌感染症に関連する症状が発現した場合には、主治医に連絡するよう患者に注意を与えること。
1.2 本剤は、発作性夜間ヘモグロビン尿症あるいは非典型溶血性尿毒症症候群に十分な知識を持つ医師のもとで、治療上の有益性が危険性を上まわると判断される場合にのみ投与すること。また、本剤投与開始に先立ち、本剤は疾病を完治させる薬剤ではないことを含め、本剤の有効性及び危険性を患者又はその家族に十分説明し、同意を得てから投与すること。[5.1、11.1.1参照]
2.1 髄膜炎菌感染症に罹患している患者[症状を悪化させるおそれがある。]
2.2 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
○発作性夜間ヘモグロビン尿症
○非典型溶血性尿毒症症候群
<発作性夜間ヘモグロビン尿症>
通常、成人には、ラブリズマブ(遺伝子組換え)として、患者の体重を考慮し、1回2,400〜3,000mgを開始用量とし、初回投与2週後に1回3,000〜3,600mg、以降8週ごとに1回3,000〜3,600mgを点滴静注する。
<非典型溶血性尿毒症症候群>
通常、ラブリズマブ(遺伝子組換え)として、患者の体重を考慮し、1回600〜3,000mgを開始用量とし、初回投与2週後に1回300〜3,600mg、以降4週又は8週ごとに1回300〜3,600mgを点滴静注する。
<発作性夜間ヘモグロビン尿症>
8.1 本剤投与によりPNH赤血球クローンが蓄積しているため、本剤を中止した場合に重篤な血管内溶血が認められるおそれがある。本剤の投与を中止した患者に対しては、最低16週間、血管内溶血及びそれに付随する臨床症状の変化を注意深く観察し、必要に応じて適切な処置を行うこと。[5.3参照]
<非典型溶血性尿毒症症候群>
8.2 本剤投与開始後は血小板数等を定期的にモニタリングし、改善傾向が認められない場合は、本剤の投与継続の要否を検討すること。
8.3 本剤を中止した場合に重度の血栓性微小血管障害が発現するおそれがある。本剤の投与を中止した患者に対しては、患者の状態を注意深く観察し、必要に応じて適切な処置を行うこと。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 髄膜炎菌感染症の既往のある患者
本剤により髄膜炎菌感染症に罹患しやすくなる可能性がある。[1.1、5.1、11.1.1参照]
9.1.2 感染症の患者又は感染症が疑われる患者
特に莢膜形成細菌(髄膜炎菌、肺炎球菌、インフルエンザ菌等)による感染症に罹患しやすくなる可能性がある。[5.1、11.1.1、11.1.2参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
9.7 小児等
<発作性夜間ヘモグロビン尿症>
9.7.1 小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
<非典型溶血性尿毒症症候群>
9.7.2 体重5kg未満の小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
患者の状態を観察しながら、慎重に投与すること。一般に生理機能(腎機能、肝機能、免疫機能等)が低下している。
14.1 薬剤調製時の注意
14.1.1 希釈前に、変色、微粒子、沈殿等がないことを目視にて確認し、異常が認められた場合は使用しないこと。本剤は、澄明からわずかに白色を帯びた半透明の液である。
14.1.2 滅菌シリンジでバイアルから必要量を抜き取り、1バイアルあたり30mLの日局生理食塩液を用い、点滴バッグ等で、本剤を5mg/mLに希釈する。
14.1.3 希釈液は穏やかに混合し、振盪しないこと。
14.1.4 調製後、変色、微粒子、沈殿等がないことを目視にて確認し、異常が認められた場合は使用しないこと。
14.1.5 調製後は速やかに投与すること。調製した溶液を直ちに使用しない場合は、2〜8℃での保存では24時間以内、又は常温保存では6時間以内に使用すること。
14.1.6 本剤のバイアルは1回使い切りである。バイアル中の未使用残液は適切に廃棄すること。
14.2 薬剤投与時の注意
14.2.1 0.22ミクロンのフィルターを通して投与すること。本剤は独立したラインより投与するものとし、他の注射剤、輸液等と混合しないこと。
14.2.2 希釈した液の投与速度は、以下の臨床試験における最大投与速度を超えないようにし、急速投与は行わないこと。
| 体重 | 最大投与速度 | |
| 初回投与時 | 2回目以降の投与時 | |
| 5kg以上10kg未満 | 31mL/時 | 31mL/時 |
| 10kg以上20kg未満 | 63mL/時 | 63mL/時 |
| 20kg以上30kg未満 | 120mL/時 | 127mL/時 |
| 30kg以上40kg未満 | 184mL/時 | 192mL/時 |
| 40kg以上60kg未満 | 253mL/時 | 250mL/時 |
| 60kg以上100kg未満 | 318mL/時 | 330mL/時 |
| 100kg以上 | 333mL/時 | 328mL/時 |
14.2.3 本剤の投与中に副作用が発現した場合は、医師の判断で投与速度を遅くする又は投与を中止し、投与終了後、患者の症状が安定するまで慎重に観察すること。
15.1 臨床使用に基づく情報
国際共同第III相試験において、患者数は限られているが本剤に対する抗体の産生が報告されている。[17.3.1参照]
15.2 非臨床試験に基づく情報
マウスの胚・胎児発生試験(60mg/kgを器官形成期に静脈内投与)において、網膜形成異常が認められた
外箱開封後は遮光して保存すること。
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| 人免疫グロブリン製剤(ポリエチレングリコール処理人免疫グロブリン等) | 人免疫グロブリン製剤との併用投与によって本剤の血清中濃度が低下することがあるので、併用する場合には、患者の状態を十分に観察すること。 | 人免疫グロブリン製剤との継続的な併用投与により、本剤の血清中濃度が低下する可能性がある 。 |
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 髄膜炎菌感染症(頻度不明)
髄膜炎又は敗血症を発症し、急激に重症化することがあるので、本剤の投与に際しては、当該感染症の初期徴候(発熱、頭痛、項部硬直、羞明、精神状態の変化、痙攣、悪心・嘔吐、紫斑、点状出血等)等の観察を十分に行うこと。髄膜炎菌感染症が疑われた場合には、直ちに診察し、抗菌剤の投与等の適切な処置を行うこと。髄膜炎菌に対するワクチンを接種しても発症した例が認められており、死亡に至るおそれもある。[1.1、1.2、5.1、9.1.1、9.1.2参照]
11.1.3 infusion reaction(頻度不明)
ショック、アナフィラキシー等があらわれることがある。
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
| 10%以上 | 1%以上10%未満 | 1%未満 | 頻度不明 | |
| 胃腸障害 | − | 悪心、嘔吐 | 消化不良、下痢 | 腹痛 |
| 一般・全身障害および投与部位の状態 | − | 発熱、疲労、インフルエンザ様疾患 | 悪寒 | 無力症 |
| 感染症および寄生虫症 | − | 上気道感染、上咽頭炎 | − | ナイセリア感染(淋菌等) |
| 傷害、中毒および処置合併症 | − | 注入に伴う反応 | − | − |
| 筋骨格系および結合組織障害 | − | 四肢痛、関節痛、筋痙縮 | 筋肉痛、背部痛 | − |
| 神経系障害 | 頭痛 | 浮動性めまい | − | − |
| 皮膚および皮下組織障害 | − | − | そう痒症、発疹 | − |
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