本剤の投与は、緊急時に十分対応できる医療施設において、造血器悪性腫瘍の治療に対して十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される患者についてのみ実施すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分に説明し、同意を得てから投与を開始すること。
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
FLT3-ITD変異陽性の急性骨髄性白血病
<未治療のFLT3-ITD変異陽性の急性骨髄性白血病>
通常、成人には寛解導入療法としてシタラビン及びアントラサイクリン系抗悪性腫瘍剤との併用において、地固め療法としてシタラビンとの併用において、キザルチニブとして1日1回35.4mgを2週間経口投与し、寛解導入療法及び地固め療法の投与サイクル数に応じて投与を繰り返す。その後、維持療法として、キザルチニブとして1日1回26.5mgを2週間経口投与し、それ以降は1日1回53mgを経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。
<再発又は難治性のFLT3-ITD変異陽性の急性骨髄性白血病>
通常、成人にはキザルチニブとして1日1回26.5mgを2週間経口投与し、それ以降は1日1回53mgを経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。
8.1 QT間隔延長があらわれることがあるので、次の基準を参考に心電図検査を行うこと。また、本剤投与開始前及び投与中は定期的に電解質検査(カリウム、マグネシウム等)を行い、必要に応じて電解質補正(カリウム、マグネシウム等)を行うこと。[7.1、7.4、7.6、7.8、7.10、9.1.1‐9.1.3、11.1.1参照]
| 未治療 | 再発又は難治性 |
| 本剤投与開始前及び増量前には心電図検査を行うこと。 寛解導入療法期及び地固め療法期は、薬剤投与中は定期的に(週1回を目安に)及び必要に応じて心電図検査を行うこと。 維持療法期は、投与開始後、増量後及び休薬後に投与を再開した後は、最初の2週間は週に1回を目安に、その後は必要に応じて心電図検査を行うこと。 |
本剤投与開始前及び増量前には心電図検査を行うこと。 投与開始後、増量後及び休薬後に投与を再開した後は、定期的に(最初の2週間は週に1回、その後は月に1回を目安に)及び必要に応じて心電図検査を行うこと。 |
8.2 骨髄抑制及び出血があらわれることがあるので、本剤投与開始前及び投与中は定期的に血液検査を行い、患者の状態を十分に観察すること。[7.6、7.10、11.1.3、11.1.4参照]
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 QT間隔延長おそれ又はその既往歴のある患者
先天性QT延長症候群等のQT間隔延長のおそれのある患者又はQT間隔延長の既往歴のある患者でQT間隔延長があらわれるおそれがある。[7.6、7.10、8.1参照]
9.1.2 不整脈につながる心疾患又はその既往歴のある患者
QT間隔延長があらわれるおそれがある。[7.6、7.10、8.1参照]
9.1.3 電解質異常(低カリウム血症、低マグネシウム血症等)のある患者
QT間隔延長があらわれるおそれがある。[7.6、7.10、8.1参照]
9.3 肝機能障害患者
9.3.1 重度の肝機能障害のある患者
本剤は重度の肝機能障害を合併する患者(Child-Pugh分類C又は総ビリルビン値が正常値上限の3倍超)を対象とした臨床試験は実施していない。本剤の主たる消失経路は肝臓である。[16.4、16.5参照]
9.4 生殖能を有する者
9.4.1 妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後7ヵ月間において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること。[9.5、15.2参照]
9.4.2 男性には、本剤投与中及び最終投与後4ヵ月間においてバリア法(コンドーム)を用いて避妊する必要性について説明すること。[15.2参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。生殖発生毒性試験(ラット)において、臨床曝露量の約3倍の曝露に相当する用量で胎児毒性及び催奇形性が報告されている
9.6 授乳婦
授乳しないことが望ましい。本剤が乳汁に移行する可能性があり、乳児が乳汁を介して本剤を摂取した場合、乳児に重篤な副作用が発現するおそれがある。[15.2参照]
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
14.1 薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
15.1 臨床使用に基づく情報
再発又は難治性の急性骨髄性白血病患者を対象とした海外第II相試験において、本剤投与後に白血病細胞の分化が認められたとの報告がある
15.2 非臨床試験に基づく情報
細菌を用いた復帰突然変異試験において、変異原性を示したが、トランスジェニックラットを用いた遺伝子突然変異試験では、臨床曝露量の4.4倍(Cmax)及び3.9倍(AUC)に相当する用量まで陰性であった
本剤は吸湿性を有するので、PTPシートからの取り出し後は速やかに服用すること。
本剤は主にCYP3Aにより代謝される。[16.4参照]
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| 強いCYP3A阻害剤イトラコナゾールクラリスロマイシンボリコナゾール等[7.5、7.9、16.7.1参照] | 本剤の副作用の発現が増強されるおそれがあるので、本剤を減量するとともに、患者の状態を慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること。 | これらの薬剤等がCYP3Aを阻害することにより、本剤の血中濃度が上昇する可能性がある。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| 強い又は中程度のCYP3A誘導剤リファンピシンフェニトインカルバマゼピン等セイヨウオトギリソウ(St.John's Wort:セント・ジョーンズ・ワート)含有食品[16.7.2参照] | 本剤の効果が減弱するおそれがあるので、CYP3A誘導作用のない又は弱い薬剤への代替を考慮すること。 | これらの薬剤等がCYP3Aを誘導することにより、本剤の血中濃度が低下する可能性がある。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| QT間隔延長を起こすことが知られている薬剤キニジンプロカインアミドオンダンセトロン等 | QT間隔延長を増強するおそれがあるため、患者の状態を十分に観察すること。 | 本剤はIKs阻害作用を有しており、本剤及びこれらの薬剤はいずれもQT間隔を延長させるおそれがあるため、併用により副作用が増強するおそれがある。 |
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合は本剤の休薬、減量、投与中止等の適切な処置を行うこと。
11.1.1 QT間隔延長(19.3%)、心停止(0.2%)、心室性不整脈(心室細動(0.2%)、Torsade de pointes(頻度不明))[8.1参照]
11.1.2 感染症
敗血症及び敗血症ショック(3.1%)、肺炎(2.8%)、上気道感染(1.3%)、菌血症(1.1%)、尿路感染(1.1%)、蜂巣炎(0.9%)等があらわれることがある。
11.1.3 出血
頭蓋内出血(0.4%)等があらわれることがある。[8.2参照]
11.1.4 骨髄抑制
好中球減少症(25.0%)、血小板減少症(22.7%)、貧血(16.0%)、発熱性好中球減少症(12.3%)、白血球減少症(11.6%)、リンパ球減少症(2.2%)、汎血球減少症(2.0%)等があらわれることがある。[8.2参照]
11.1.5 心筋梗塞(0.2%)
11.1.6 急性腎障害(0.9%)
11.1.7 間質性肺疾患
肺臓炎(0.4%)等があらわれることがある。間質性肺疾患が疑われた場合には、本剤の投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合は本剤の休薬、減量、投与中止等の適切な処置を行うこと。
| 10%以上 | 5〜10%未満 | 5%未満 | |
| 皮膚 | 発疹 | 急性熱性好中球性皮膚症、点状出血 | |
| 精神神経系 | 味覚異常、頭痛 | ||
| 消化器 | 悪心(20.6%)、嘔吐 | 腹痛、口内炎、下痢 | 消化不良 |
| 肝臓 | ALT増加、AST増加 | 血中ALP増加、血中ビリルビン増加 | |
| その他 | 無力症 | 食欲減退、低カリウム血症、発熱 | 低マグネシウム血症、体重減少、鼻出血、浮腫 |
ヴァンフリタ錠17.7mg 20059.6円/錠
ヴァンフリタ錠26.5mg 27074.4円/錠
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