本剤を含むがん化学療法は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本療法が適切と判断される症例についてのみ実施すること。適応患者の選択にあたっては、各併用薬剤の電子添文を参照して十分注意すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。
2.1 本剤の成分に対し重篤な過敏症の既往歴のある患者
2.2 アルコール(飲酒)を摂取中の患者[10.1参照]
○悪性リンパ腫(ホジキン病、細網肉腫、リンパ肉腫)
○以下の悪性腫瘍に対する他の抗悪性腫瘍剤との併用療法
悪性星細胞腫、乏突起膠腫成分を有する神経膠腫
(1)通常成人では、プロカルバジンとして1日50〜100mg(1〜2カプセル)を1〜2回に分割して経口投与を開始する。その後約1週間以内に漸増し、プロカルバジンとして1日150〜300mg(3〜6カプセル)を3回に分割投与し、臨床効果が明らかとなるまで連日投与する。
悪性リンパ腫の寛解導入までに要する総投与量は、プロカルバジンとして通常5〜7gである。
(2)悪性星細胞腫、乏突起膠腫成分を有する神経膠腫に対する他の抗悪性腫瘍剤との併用療法の場合
プロカルバジンとして1日量60〜75mg/m2を14日間経口投与し、これを6〜8週毎に繰り返す。体表面積より算出されたプロカルバジンの1日量が75mg未満の場合は、50mg(1カプセル)、75mg以上125mg未満となった場合は100mg(2カプセル)、125mg以上175mg未満となった場合は150mg(3カプセル)を1日1〜3回に分割して投与する。
8.1 骨髄機能抑制等の重篤な副作用が起こることがあるので、頻回に臨床検査(血液検査、肝機能・腎機能検査等)を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。また使用が長期間にわたると副作用が強くあらわれ、遷延性に推移することがあるので、投与は慎重に行うこと。[9.1.1、11.1.2参照]
8.2 感染症・出血傾向の発現又は増悪に十分に注意すること。
8.3 悪性星細胞腫、乏突起膠腫成分を有する神経膠腫に対する他の抗悪性腫瘍剤との併用療法(プロカルバジン塩酸塩、ニムスチン塩酸塩、ビンクリスチン硫酸塩)においては、関連文献(「抗がん剤報告書:塩酸プロカルバジン(脳腫瘍)」、「抗がん剤報告書:硫酸ビンクリスチン(脳腫瘍)」等)を熟読すること。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 骨髄機能抑制のある患者
骨髄機能抑制が増強するおそれがある。[8.1、11.1.2参照]
9.1.2 感染症を合併している患者
骨髄機能抑制により、感染症が悪化するおそれがある。
9.1.3 水痘患者
致命的な全身障害があらわれるおそれがある。
9.2 腎機能障害患者
排泄が遅延するおそれがある。
9.3 肝機能障害患者
代謝が遅延するおそれがある。
9.4 生殖能を有する者
小児及び生殖可能な年齢の患者に投与する必要がある場合には、性腺に対する影響を考慮すること。外国においてプロカルバジン塩酸塩を含むMOPP療法を受けた小児ホジキン病患者で、非可逆的な精子形成不全(無精子症等)などの性腺障害が認められたとの報告がある。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないことが望ましい。ラット、マウスにおいて、胎児の外形、骨格、内臓異常(20、60mg/kg/日)が、また、胎児致死の増加、発育抑制が報告されている。育成児においては、脳の発達異常(ラット20mg/kg/日、マウス6.5、20mg/kg/日)が報告されている。
9.6 授乳婦
授乳しないことが望ましい。
9.7 小児等
副作用の発現に注意し、慎重に投与すること。小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
一般に高齢者では生理機能が低下している。
15.1 臨床使用に基づく情報
本剤と他の抗悪性腫瘍剤を併用した患者に、急性白血病(前白血病相を伴う場合もある)、骨髄異形成症候群、肺癌等の二次性悪性腫瘍が発生したとの報告がある。
15.2 非臨床試験に基づく情報
15.2.1 ラットに経口投与した実験で乳腺腫瘍が、マウスに経口、腹腔内投与した実験で肺腫瘍及び白血病が、サルに経口、皮下、腹腔内投与した実験で白血病が発生したとの報告がある。
15.2.2 動物実験(マウス、腹腔内投与)で、精子形成の抑制を認めたとの報告がある。
開栓後は遮光し、湿気を避けて保存すること。
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| アルコール(飲酒)[2.2参照] | アルコールに対する耐性を低下させるおそれがあるので、治療中は禁酒させること。 | ジスルフィラム様作用によると考えられている。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| フェノチアジン誘導体バルビツール酸誘導体三環系抗うつ剤交感神経興奮剤 | 本剤を大量投与した場合、これらの薬剤の作用を増強するおそれがある。 | 本剤は弱いMAO阻害作用を有するためと考えられている。危険因子:本剤の大量投与 |
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 間質性肺炎(2.7%)
11.1.2 骨髄抑制
汎血球減少(頻度不明)、白血球減少(27.2%)、好中球減少(頻度不明)、血小板減少(15.8%)、貧血(6.5%)があらわれることがある。[8.1、9.1.1参照]
11.1.3 痙攣発作(頻度不明)
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
| 5%以上 | 1〜5%未満 | 1%未満 | 頻度不明 | |
| 血液 | ヘモグロビン減少 | 出血 | ||
| 肝臓 | ALT増加 | AST増加 | 肝機能異常 | |
| 腎臓 | BUN上昇 | |||
| 消化器 | 食欲不振(29.3%)、悪心(23.3%)、嘔吐 | 下痢、口内炎 | 便秘 | 腹痛、口渇 |
| 皮膚 | 脱毛症、発疹 |
|
色素沈着障害 | 紅斑 |
| 精神神経系 | 神経過敏、倦怠感、感覚障害 | 多幸気分 | 末梢性ニューロパチー、頭痛、嗜眠、振戦、浮動性めまい、反射消失 | |
| その他 | 発熱、動悸 | 筋肉痛、筋力低下 |
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