1.1 本剤の投与は、緊急時に十分対応できる医療施設において、造血器悪性腫瘍の治療に対して十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例についてのみ行うこと。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与を開始すること。
1.2 静脈閉塞性肝疾患(VOD)/類洞閉塞症候群(SOS)を含む肝障害があらわれることがあり、死亡に至った例も報告されているので、定期的に肝機能検査を行うとともに、患者の状態を十分に観察し、VOD/SOSを含む肝障害の徴候や症状の発現に注意すること。[7.2.1、8.1、9.1.1、9.3.1、9.8、11.1.1参照]
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
再発又は難治性のCD22陽性の急性リンパ性白血病
通常、イノツズマブ オゾガマイシン(遺伝子組換え)として1日目は0.8mg/m2(体表面積)、8及び15日目は0.5mg/m2(体表面積)を1日1回、1時間以上かけて点滴静脈内投与した後、休薬する。
投与サイクル数は造血幹細胞移植の施行予定を考慮して決定する。なお、患者の状態により適宜減量する。
8.1 VOD/SOS等の重篤な肝障害があらわれることがあるので、本剤の投与前及び投与開始後は、定期的に肝機能検査を実施し、VOD/SOSを含む肝障害の徴候及び症状を十分に観察すること。本剤投与後に総ビリルビン値が施設基準値上限以上の場合は、HSCTの施行について慎重に判断すること。また、本剤投与後のHSCTにおいて、前処置として2種類のアルキル化剤は避け、HSCT施行後は頻回に肝機能検査を行うこと。[1.2、5.3、7.2.1、9.1.1、9.3.1、9.8、11.1.1、15.1.1参照]
8.2 骨髄抑制があらわれることがあるので、本剤投与前及び投与中は定期的に血液検査を行い、患者の状態を十分に観察すること。[9.1.2、11.1.2参照]
8.3 QT間隔延長があらわれることがあるので、本剤投与前及び投与中は定期的に心電図検査を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。
8.4 腫瘍崩壊症候群があらわれることがあるので、血清中電解質濃度及び腎機能検査等を行うなど、腫瘍崩壊症候群の徴候及び症状を十分に観察すること。[11.1.6参照]
8.5 膵炎があらわれることがあるので、本剤投与前及び投与中は定期的な膵酵素に関する血液検査を行い、患者の状態を十分に観察すること。[11.1.7参照]
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 HSCT施行歴のある患者
VOD/SOSの発現リスクが高くなるおそれがある。[1.2、5.3、7.2.1、8.1、9.3.1、9.8、11.1.1、15.1.1参照]
9.1.2 感染症を合併している患者
骨髄抑制により感染症が増悪するおそれがある。[8.2、11.1.2、11.1.3参照]
9.1.3 末梢血芽球数が10,000/μLを超える患者
本剤による治療前に、ヒドロキシカルバミド、副腎皮質ステロイド、ビンクリスチン等を投与し、末梢血芽球数を10,000/μL以下にすることが望ましい。
9.3 肝機能障害患者
9.3.1 肝疾患のある又はVOD/SOSの既往歴のある患者
肝疾患が増悪する又はVOD/SOSの発現リスクが高くなるおそれがある。[1.2、7.2.1、8.1、9.1.1、9.8、11.1.1参照]
9.4 生殖能を有する者
妊娠可能な女性及びパートナーが妊娠する可能性のある男性は、本剤投与中及び最終投与後一定期間は、適切な避妊を行うよう指導すること。[9.5参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物試験(ラット)において、臨床曝露量の1.0倍の曝露量で胚・胎児毒性(胚・胎児の死亡、上腕骨肥厚、肩甲骨奇形及び尺骨奇形)が認められ、1.4倍の曝露量で胚吸収率の高値が認められている。また、マウスにおいて遺伝毒性が認められている
9.6 授乳婦
授乳しないことが望ましい。本剤又はその代謝物の母乳中への移行は不明である。なお、ヒトIgGは母乳中へ移行することが知られている。
9.7 小児等
9.8 高齢者
患者の状態を確認しながら慎重に投与すること。高齢者ではHSCT施行後のVOD/SOSの発現リスクが高くなるおそれがある。[1.2、5.3、7.2.1、8.1、9.1.1、9.3.1、11.1.1、15.1.1参照]
14.1 薬剤調製時の注意
14.1.1 本剤は光の影響を受けやすいため、調製時は光(紫外線)を避けること。
14.1.2 本剤は、無菌的に調製を行うこと。
14.1.3 溶解方法
(1)1バイアルに日局注射用水4mLを加え、ゆっくりと回転させながら混和する。振とうは避けること。
(2)溶解後に粒子や変色がないことを目視により確認すること。溶解後の液(調製後溶液:濃度0.25mg/mL)は無色澄明〜わずかに濁っており、変色や異物が認められる場合は使用しないこと。
(3)本剤は保存剤を含有していないため、溶解後は速やかに使用すること。速やかに使用できない場合は、凍結を避け、2〜8℃で遮光保存し、4時間以内に使用すること。
14.1.4 希釈方法
(1)溶解から希釈は4時間以内に行うこと。
(2)患者の体表面積より計算した必要量をバイアル(調製後溶液:濃度0.25mg/mL)から抜きとり、総液量約50mLとなるように点滴容器(日局生理食塩液)に加える。ゆっくりと転倒混和し、振とうは避けること。
(3)点滴容器は、ポリ塩化ビニル(PVC)製、ポリオレフィン製又はエチレン酢酸ビニル(EVA)製が望ましい。
(4)希釈後は速やかに使用すること。速やかに使用できない場合は、室温又は、凍結を避け、2〜8℃で遮光保存すること。
14.2 薬剤投与前の注意
14.2.1 希釈液が2〜8℃で保存されている場合は、投与約1時間前に室温に戻しておくこと。
14.2.2 ろ過する場合は、ポリエーテルスルホン(PES)製、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)製又は親水性ポリスルホン(HPS)製のフィルターが望ましい。ナイロン製又は合成繊維素エステル(MCE)製のフィルターは使用しないこと。
14.3 薬剤投与時の注意
14.3.1 本剤は光の影響を受けやすいため、投与時は光(紫外線)を避けること。
14.3.2 点滴ラインは、ポリ塩化ビニル(PVC)製、ポリオレフィン製又はポリブタジエン製が望ましい。他剤との混注はしないこと。
14.3.3 溶解から投与終了迄は8時間以内とすること。未使用の調製後溶液及び投与後の残液等は適切に廃棄すること。
15.1 臨床使用に基づく情報
15.1.1 再発又は難治性のCD22陽性の急性リンパ性白血病患者を対象とした非盲検無作為化比較試験において、全生存期間の部分集団解析の結果、HSCTが施行された患者集団において、対照(化学療法)群(n=33)に対する本剤群(n=77)のハザード比は1.376[97.5%信頼区間:0.729,2.596])であった。また、HSCT施行100日後までの死亡は、本剤群で20/77例(26.0%)、対照群で2/33例(6.1%)であった。[5.3、7.2.1、8.1、9.1.1、9.8参照]
15.1.2 臨床試験において、本剤に対する抗体の産生が報告されている。
15.2 非臨床試験に基づく情報
15.2.1 ラットを用いた反復投与毒性試験において、臨床曝露量の0.2倍以上の曝露量で精子減少ならびに前立腺及び精嚢の萎縮を伴う精巣変性が認められた。また、ラット及びサルを用いた反復投与毒性試験において卵巣、子宮、腟又は乳腺の萎縮が認められた
15.2.2 マウスを用いた小核試験において本剤は染色体異常を誘発した。また、本剤から遊離する細胞毒性物質であるN-Ac-γ-カリケアマイシン ジメチルヒドラジド(DMH)は細菌を用いる復帰突然変異試験において変異原性を示した
15.2.3 本剤のがん原性試験は実施していないが、ラットを用いた反復投与毒性試験において、臨床曝露量の0.2倍以上の曝露量で肝臓にオーバル細胞の過形成、変異細胞巣及び肝細胞腺腫が認められた。また、サルを用いた反復投与毒性試験において、臨床曝露量の2.9倍の曝露量で1例に変異肝細胞巣が認められた
本剤は光の影響を受けやすいため、本剤の包装を開封後も、バイアルを箱に入れて保存すること。
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 肝障害
VOD/SOS(
11.1.2 骨髄抑制
好中球減少(
11.1.3 感染症
肺炎(
11.1.4 出血
鼻出血(
11.1.5 infusion reaction
発熱、発疹、悪寒、低血圧等を含むinfusion reaction(
11.1.6 腫瘍崩壊症候群(
11.1.7 膵炎
膵炎(
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
| 5%以上 | 5%未満 | |
| 消化器 | 悪心、嘔吐、腹痛、下痢 | 便秘 |
| 代謝 | 食欲減退 | 低カリウム血症、低アルブミン血症、高尿酸血症 |
| 精神・神経 | 不眠症、味覚異常 | |
| 皮膚 | そう痒症 |
|
| その他 | 疲労、頭痛、発熱 |
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