ヒト型抗CD38モノクローナル抗体
| 一般名 |
ダラツムマブ(遺伝子組換え)
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|---|---|
| 製造/販売 | ヤンセンファーマ |
| 剤形/規格 |
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本剤の投与は、緊急時に十分対応できる医療施設において、造血器悪性腫瘍の治療に対して十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例のみに行うこと。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分に説明し、同意を得てから投与を開始すること。
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
多発性骨髄腫
他の抗悪性腫瘍剤との併用において、通常、成人にはダラツムマブ(遺伝子組換え)として、1回16mg/kgを、併用する抗悪性腫瘍剤の投与サイクルを考慮して、以下のA法又はB法の投与間隔で点滴静注する。なお、初回は分割投与(ダラツムマブ(遺伝子組換え)として、1回8mg/kgを1日目及び2日目に投与)することもできる。
A法
1週間間隔、2週間間隔及び4週間間隔の順で投与する。
B法
1週間間隔、3週間間隔及び4週間間隔の順で投与する。
8.1 骨髄抑制があらわれることがあるので、本剤の投与前及び投与中は、定期的に血液検査等を行い、患者の状態を十分に観察すること。[11.1.2参照]
8.2 本剤は、赤血球上に発現しているCD38と結合し、間接クームス試験結果が偽陽性となる可能性がある。当該干渉は本剤最終投与より6ヵ月後まで持続する可能性がある。このため、本剤投与前に不規則抗体のスクリーニングを含めた一般的な輸血前検査の実施をすること。輸血が予定されている場合は、本剤を介した間接クームス試験への干渉について関係者に周知すること。
8.3 腫瘍崩壊症候群があらわれることがあるので、血清中電解質濃度及び腎機能検査を行う等、患者の状態を十分に観察すること。[11.1.4参照]
8.4 本剤の投与によりB型肝炎ウイルスの再活性化による肝炎があらわれることがあるので、本剤投与に先立って肝炎ウイルス感染の有無を確認し、本剤投与前に適切な処置を行うこと。[9.1.2、11.1.3参照]
8.5 本剤の使用にあたっては、ダラツムマブ(遺伝子組換え)・ボルヒアルロニダーゼ アルファ(遺伝子組換え)配合皮下注製剤との取り違えに注意すること。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 慢性閉塞性肺疾患若しくは気管支喘息のある患者又はそれらの既往歴のある患者
本剤の投与後処置として気管支拡張剤及び吸入ステロイド剤の投与を考慮すること。本剤投与後に遅発性を含む気管支痙攣の発現リスクが高くなるおそれがある。
9.1.2 B型肝炎ウイルスキャリアの患者又はHBs抗原陰性でHBc抗体陽性若しくはHBs抗体陽性の患者
本剤の投与開始後は継続して肝機能検査や肝炎ウイルスマーカーのモニタリングを行うなど、B型肝炎ウイルスの再活性化の徴候や症状の発現に注意すること。本剤の投与によりB型肝炎ウイルスの再活性化による肝炎があらわれることがある。[8.4、11.1.3参照]
9.4 生殖能を有する者
妊娠可能な女性及びパートナーが妊娠する可能性のある男性に対しては、本剤投与中及び本剤投与終了後一定期間は適切な避妊を行うよう指導すること。男性の受胎能に対する影響は検討されておらず不明である。[9.5参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。本剤を用いた生殖発生毒性試験は実施されていないが、IgG1モノクローナル抗体に胎盤通過性があることが知られている。[9.4参照]
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。本剤のヒト乳汁中への移行は検討されていないが、ヒトIgGは乳汁中に移行するので、本剤も移行する可能性がある。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。高齢者では一般に生理機能が低下している。臨床試験において、再発又は難治性の多発性骨髄腫患者のうち65歳未満と比較して65歳以上で重篤な有害事象の発現頻度は高く、主な重篤な有害事象は肺炎、敗血症であった。造血幹細胞移植の適応とならない未治療の多発性骨髄腫患者において、75歳未満と比較して75歳以上で重篤な有害事象の発現頻度は高く、主な重篤な有害事象は肺炎であった。
14.1 薬剤調製時の注意
14.1.1 本剤が無色から黄色であることを確認する。不透明粒子や変色又は異物が認められた場合は使用しないこと。
14.1.2 無菌環境下において、日局生理食塩液の点滴バッグ又は容器より、追加する本剤と同量抜き取る。
14.1.3 本剤を必要量抜き取り、日局生理食塩液の点滴バッグ及び容器に本剤を加える。ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリオレフィン混合製又はエチレンビニルアセテートの点滴バッグ及び容器を用いること。希釈は無菌環境下で行うこと。未使用残液については適切に廃棄すること。
14.1.4 穏やかに混和し、振盪又は凍結させないこと。
14.2 薬剤投与時の注意
14.2.1 本剤投与前に粒子や変色の有無を目視で確認すること。本剤はタンパク質であるため、本剤の希釈液は半透明又は白色の粒子が認められる可能性がある。不透明粒子や変色又は異物が認められた場合は使用しないこと。
14.2.2 本剤は保存剤を含んでいないため、室内光下にて室温のもと、本剤の希釈液は投与時間も含め15時間以内に投与すること。
14.2.3 希釈後直ちに投与しない場合は、遮光下にて2℃〜8℃で24時間保管することができる。冷凍しないこと。
14.2.4 本剤の希釈液を投与する際は、パイロジェンフリー(エンドトキシンフリー)で蛋白結合性の低いポリエーテルスルホン、ポリスルホン製のインラインフィルター(ポアサイズ0.22μm又は0.2μm)を用いて投与すること。また、ポリウレタン、ポリブタジエン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン又はポリエチレン製で輸液ポンプを備えた投与セットを用いること。
14.2.5 他の薬剤と同じ静注ラインにて同時注入は行わないこと。
14.2.6 再利用のために、未使用残液を保管しないこと。未使用残液については適切に廃棄すること。
15.1 臨床使用に基づく情報
本剤に対する抗体産生が認められた患者の割合は、0.3%(2例)であり、このうち1例においては、本剤に対する中和抗体を認めた。
外箱開封後は遮光して保存すること。
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 Infusion reaction
アナフィラキシー、鼻閉、咳嗽、悪寒、眼障害(脈絡膜滲出、急性近視、急性閉塞隅角緑内障等)、気管支痙攣、低酸素症、呼吸困難等のinfusion reaction(46.4%)があらわれることがあり、多くの場合は、初回投与時に発現が認められたが、2回目以降の投与時にも認められている。異常が認められた場合は、本剤の投与を中断又は中止し適切な処置を行うとともに、症状が回復するまで患者の状態を十分に観察すること。重度のinfusion reactionが認められた場合、本剤の投与中止等の適切な処置を行うこと。[7.5、7.7参照]
11.1.2 骨髄抑制
血小板減少(17.6%)、好中球減少(16.1%)、リンパ球減少(7.0%)及び発熱性好中球減少症(1.0%)等の骨髄抑制があらわれることがある。[8.1参照]
11.1.3 感染症
肺炎(6.9%)や敗血症(1.3%)等の重篤な感染症や、B型肝炎ウイルスの再活性化があらわれることがある。[8.4、9.1.2参照]
11.1.4 腫瘍崩壊症候群(0.3%)
異常が認められた場合には適切な処置(生理食塩液、高尿酸血症治療剤等の投与、透析等)を行うとともに、症状が回復するまで患者の状態を十分に観察すること。[8.3参照]
11.1.5 間質性肺疾患(0.5%)
異常が認められた場合には、本剤の投与を中止し、必要に応じて、胸部CT、血清マーカー等の検査を実施するとともに、適切な処置を行うこと。
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
| 10%以上 | 10%未満5%以上 | 5%未満 | ||
| 感染症及び寄生虫症 | 上気道感染 | 気管支炎、インフルエンザ、尿路感染、サイトメガロウイルス感染 | ||
| 血液及びリンパ系障害 | 貧血 | 白血球減少 | ||
| 免疫系障害 | 低γグロブリン血症 | |||
| 代謝及び栄養障害 | 食欲減退、低カルシウム血症、脱水、高血糖 | |||
| 神経系障害 | 頭痛、末梢性感覚ニューロパチー、錯感覚、失神 | |||
| 心臓障害 | 心房細動 | |||
| 血管障害 | 高血圧 | |||
| 精神障害 | 不眠症 | |||
| 呼吸器、胸郭及び縦隔障害 | 呼吸困難 | 咳嗽 | 肺水腫 | |
| 胃腸障害 | 悪心、下痢、嘔吐 | 便秘 | ||
| 筋骨格系及び結合組織障害 | 筋痙縮、背部痛 | |||
| 一般・全身障害及び投与部位の状態 | 疲労 | 発熱、悪寒 | 無力症、末梢性浮腫 |
ダラザレックス点滴静注100mg 52262円/瓶
ダラザレックス点滴静注400mg 187970円/瓶
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