本剤の投与は、緊急時に十分対応できる医療施設において、造血器悪性腫瘍の治療に対して十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される患者のみに行うこと。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分に説明し、同意を得てから投与を開始すること。
本剤の使用にあたっては、治療初期は入院又はそれに準ずる管理の下で適切な処置を行うこと。また、添付文書等を熟読すること。
再発又は難治性の多発性骨髄腫
ボルテゾミブ及びデキサメタゾンとの併用において、通常、成人にはパノビノスタットとして1日1回20mgを週3回、2週間(1、3、5、8、10及び12日目)経口投与した後、9日間休薬(13〜21日目)する。この3週間を1サイクルとし、投与を繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量する。
本剤投与により、血小板減少、好中球減少、貧血があらわれることがあるので、本剤投与開始前及び本剤投与中は定期的に血液検査(血球数算定、白血球分画等)を行い、患者の状態を十分に観察すること。異常が認められた場合には、本剤の休薬、減量又は中止等の適切な処置を行うこと。(<用法及び用量に関連する使用上の注意>、「1.慎重投与」、「4.副作用」の項参照)
本剤投与により、細菌、真菌、ウイルス又は原虫による感染症や日和見感染が発現又は悪化することがあり、B型肝炎ウイルスキャリアの患者又は既往感染者(HBs抗原陰性、かつHBc抗体又はHBs抗体陽性)においてB型肝炎ウイルスの再活性化による肝炎があらわれることがあるので、本剤投与に先立って肝炎ウイルス、結核等の感染の有無を確認し、本剤投与前に適切な処置を行うこと。また、本剤投与中は感染症の発現又は悪化に十分注意し、異常が認められた場合には、本剤の休薬、減量又は中止等の適切な処置を行うこと。(「1.慎重投与」、「4.副作用」の項参照)
本剤投与により、重度の下痢、悪心・嘔吐及び便秘があらわれることがあるので、本剤投与開始前及び本剤投与中は、血中電解質(カリウム、マグネシウム、リン等)をモニタリングすること。下痢や嘔吐の症状が認められた場合には、止瀉薬や制吐薬の投与等の適切な処置を行うこと。また、電解質異常が認められた場合には、電解質の補正、本剤の休薬、減量又は中止等の適切な処置を行うこと。また、イレウスが報告されているため、便秘を認めた患者は慎重に観察すること。(<用法及び用量に関連する使用上の注意>、「4.副作用」の項参照)
本剤投与により、脱水症状があらわれることがあるので、必要に応じて、補液、電解質補充等を行うこと。また、投与にあたっては、患者に、脱水の兆候や脱水を避けるための注意点を指導すること。過度の嘔吐、下痢等が認められた場合には、医師の診察を受けるよう患者を指導すること。(「4.副作用」の項参照)
本剤投与により、QT間隔延長があらわれることがあるので、本剤投与開始前及び本剤投与中は定期的に心電図検査及び電解質検査を行い、患者の状態を十分に観察すること。また、必要に応じて、電解質(カリウム、マグネシウム、リン等)を補正するとともにQT間隔延長、不整脈等が認められた場合には、本剤の休薬、減量又は中止等の適切な処置を行うこと。(<用法及び用量に関連する使用上の注意>、「1.慎重投与」、「3.相互作用」、「4.副作用」の項参照)
本剤投与により、AST(GOT)、ALT(GPT)、総ビリルビン等の上昇を伴う肝機能障害があらわれることがあるので、本剤投与開始前及び本剤投与中は定期的に肝機能検査を行い、患者の状態を十分に観察すること。異常が認められた場合には、本剤の休薬、減量又は中止等の適切な処置を行うこと。(<用法及び用量に関連する使用上の注意>、「1.慎重投与」、「4.副作用」の項参照)
本剤投与により、低血圧、起立性低血圧、失神、意識消失があらわれることがあるので、本剤投与中の患者には、自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。(「4.副作用」の項参照)
本剤を投与する際には、患者とそのパートナーに対して、本剤投与期間中及び投与終了後一定期間は適切な避妊を行うよう指導すること。(「6.妊婦、産婦、授乳婦等への投与」、「10.その他の注意」の項参照)
血小板数減少のある患者又は抗凝固剤治療を受けている患者〔出血のおそれがある。〕(<用法及び用量に関連する使用上の注意>、「2.重要な基本的注意」の項参照)
感染症を合併している患者〔感染症が悪化するおそれがある。〕「2.重要な基本的注意」の項参照)
QT間隔延長のおそれ又はその既往歴のある患者〔QT間隔延長が起こるおそれがある。〕(<用法及び用量に関連する使用上の注意>、「2.重要な基本的注意」の項参照)
肝機能障害のある患者〔血中濃度が上昇するおそれがある。〕(<用法及び用量に関連する使用上の注意>、「2.重要な基本的注意」、【薬物動態】の項参照)
高齢者(「5.高齢者への投与」の項参照)
徴候、症状
血小板減少症、汎血球減少症、下痢、悪心、嘔吐、食欲不振等の発現が増加するおそれがある。
処置
心機能、電解質及び血小板数のモニタリングを行い、症状に応じた適切な処置を行うこと。
薬剤交付時
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。〔PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている。〕
イヌを用いた4週間及び13週間反復経口投与毒性試験において、AUC比較で臨床曝露量以下又は同等に相当する用量で前立腺の上皮菲薄化、精巣の精上皮変性、精巣上体の精子減少及び管腔内残屑増加が認められたとの報告がある。
細菌を用いた復帰突然変異試験及びマウスリンパ腫細胞を用いたコメットアッセイにおいて陽性の結果が示された。また、ヒト末梢血リンパ球を用いた染色体異常試験では、核内倍加の出現頻度の増加が認められたとの報告がある。
イヌを用いた5日間反復経口投与毒性試験において、AUC比較で臨床曝露量の約5倍に相当する用量で卵巣の閉鎖卵胞増加及び子宮内膜萎縮が認められたとの報告がある。
湿気を避けるため、服用時にPTPシートからカプセルを取り出すよう指導すること。
本剤はCYP3A4の基質となる。また、本剤はCYP2D6を阻害することが示されている。
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| 強いCYP3A阻害剤アゾール系抗真菌剤(イトラコナゾール、ボリコナゾール、ケトコナゾール※等)リトナビルサキナビルクラリスロマイシン等 | 本剤の血中濃度が上昇するおそれがあるので、併用する場合には、減量を考慮するとともに、患者の状態をより慎重に観察し、有害事象の発現に十分注意すること。(【薬物動態】の項参照) | これらの薬剤の強いCYP3A阻害作用により、本剤の代謝・排泄が阻害されると考えられる。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| 強いCYP3A誘導剤リファンピシンカルバマゼピンフェノバルビタールフェニトインリファブチンセイヨウオトギリソウ〔St.John'sWort(セント・ジョーンズ・ワート)〕含有食品等 | 本剤の血中濃度が低下するおそれがあるので、併用を避けることが望ましい。(【薬物動態】の項参照) | これらの薬剤のCYP3A誘導作用により、本剤の代謝が促進されると考えられる。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| CYP2D6の基質デキストロメトルファンタモキシフェンプロパフェノンリスペリドン等 | これらの薬剤の血中濃度が上昇するおそれがあるので、併用する場合には、患者の状態を注意深く観察すること。(【薬物動態】の項参照) | 本剤によるCYP2D6阻害作用により、これらの薬剤の代謝が阻害されると考えられる。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| 抗不整脈薬アミオダロンジソピラミドプロカインアミドキニジンソタロール等QT間隔を延長させることが知られている他の薬剤クラリスロマイシンメサドンモキシフロキサシンベプリジルピモジド等 | 本剤を併用した場合、相加的なQT間隔延長を起こすことがあるため、併用を避けることが望ましい。 | これらの薬剤ではQT間隔を延長するとの報告がある。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| QT間隔を延長させることが知られている制吐剤オンダンセトロントロピセトロン | 本剤を併用した場合、相加的なQT間隔延長を起こすことがあるため、併用する場合には、患者の状態を注意深く観察すること。 | これらの薬剤ではQT間隔を延長するとの報告がある。 |
※経口剤は国内未発売
再発又は難治性の多発性骨髄腫患者を対象とした国際共同第III相臨床試験において、本剤投与381例(日本人18例含む)中、副作用は345例(90.6%)に認められた。主な副作用は、血小板減少症213例(55.9%)、下痢194例(50.9%)、疲労118例(31.0%)、貧血101例(26.5%)、好中球減少症90例(23.6%)等であった。(承認時までの集計)
副作用の頻度については、再発又は難治性の多発性骨髄腫患者を対象とした国際共同第III相臨床試験の集計に基づき記載した。また、当該試験で認められていない副作用については頻度不明とした。
重度の下痢(18.9%)
重度の下痢があらわれることがあるので、患者の状態を十分に観察し、電解質異常、脱水等の異常が認められた場合には、本剤の休薬、減量又は中止等の適切な処置を行うこと。(<用法及び用量に関連する使用上の注意>、「2.重要な基本的注意」の項参照)
脱水症状(2.6%)
脱水症状があらわれることがあるので、患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には、本剤の休薬、減量又は中止等の適切な処置を行うこと。(「2.重要な基本的注意」の項参照)
骨髄抑制
血小板減少症(55.9%)、貧血(26.5%)、好中球減少症(23.6%)があらわれることがあるので、定期的に血液検査を行うなど、患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には、本剤の休薬、減量又は中止等の適切な処置を行うこと。(<用法及び用量に関連する使用上の注意>、「1.慎重投与」、「2.重要な基本的注意」の項参照)
出血
胃腸出血(1.0%)、肺出血(0.3%)等があらわれることがあるので、定期的に血液検査を行うなど、患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には、本剤の休薬、減量又は中止等の適切な処置を行うこと。(「1.慎重投与」、「2.重要な基本的注意」の項参照)
感染症
細菌、真菌、ウイルス又は原虫による重篤な感染症(肺炎(8.4%)、敗血症(0.8%)等)があらわれることがある。また、B型肝炎ウイルスの再活性化による肝炎があらわれることがある。患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には、本剤の休薬、減量又は中止等の適切な処置を行うこと。(「1.慎重投与」、「2.重要な基本的注意」の項参照)
QT間隔延長(1.3%)
QT間隔延長があらわれることがあるので、定期的に心電図検査を行うなど、患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には、本剤の休薬、減量又は中止等の適切な処置を行うこと。(<用法及び用量に関連する使用上の注意>、「1.慎重投与」、「2.重要な基本的注意」、「3.相互作用」の項参照)
心障害
頻脈性不整脈(心房細動、心室性頻脈、頻脈等)(5.5%)、心筋梗塞(0.3%)、心不全(0.3%)、狭心症(頻度不明)等の心障害があらわれることがあるので、患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には、本剤の休薬、減量又は中止等の適切な処置を行うこと。
肝機能障害(9.2%)
AST(GOT)、ALT(GPT)、総ビリルビン上昇等を伴う肝機能障害があらわれることがあるので、定期的に肝機能検査を行うなど、患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には、本剤の休薬、減量又は中止等の適切な処置を行うこと。(「2.重要な基本的注意」の項参照)
腎不全
腎不全(1.0%)等の腎機能障害があらわれることがあるので、患者の状態を十分に観察し、尿量減少、血清クレアチニンやBUNの上昇が認められた場合には、本剤の休薬、減量又は中止等の適切な処置を行うこと。
静脈血栓塞栓症
肺塞栓症(0.8%)、深部静脈血栓症(0.5%)等の静脈血栓塞栓症があらわれることがあるので、患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には、本剤の休薬、減量又は中止等の適切な処置を行うこと。
低血圧、起立性低血圧、失神、意識消失
低血圧(6.3%)、起立性低血圧(4.7%)、失神(2.1%)、意識消失(0.8%)があらわれることがあるので、患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には、本剤の休薬、減量又は中止等の適切な処置を行うこと。
| 頻度不明 | 5%以上 | 1%〜5%未満 | 1%未満 | |
| 感染症 | ウイルス感染、アスペルギルス症、カンジダ症 | − | 上気道感染、下気道感染、尿路感染、胃腸炎 | B型肝炎、敗血症性ショック、中耳炎、口腔ヘルペス、クロストリジウム・ディフィシレ大腸炎、蜂巣炎、真菌性肺炎 |
| 血液及びリンパ系障害 | − | 白血球減少症、リンパ球減少症 | − | − |
| 内分泌障害 | − | − | 甲状腺機能低下症 | − |
| 代謝及び栄養障害 | − | 食欲減退、低カリウム血症、低リン酸血症、低ナトリウム血症 | 低アルブミン血症、低カルシウム血症、高血糖、低マグネシウム血症 | 高尿酸血症、体液貯留 |
| 精神障害 | − | − | 不眠症 | − |
| 神経系障害 | − | 浮動性めまい、味覚異常 | 頭痛、振戦 | 頭蓋内出血 |
| 眼障害 | − | − | − | 結膜出血 |
| 心臓障害 | 徐脈 | − | 動悸 | − |
| 血管障害 | − | − | 高血圧、血腫 | 出血性ショック |
| 呼吸器系障害 | ラ音、喘鳴 | − | 呼吸困難、咳嗽、鼻出血 | 呼吸不全、喀血 |
| 胃腸障害 | 血便排泄 | 悪心(23.4%)、嘔吐(16.3%)、腹痛、消化不良 | 腹部膨満、口内乾燥、胃炎、鼓腸 | 口唇炎、大腸炎、消化器痛、吐血 |
| 皮膚及び皮下組織障害 | 皮膚病変 | − | 発疹、紅斑 | 点状出血 |
| 筋骨格系障害 | − | − | − | 関節腫脹 |
| 腎及び尿路障害 | − | − | − | 血尿、尿失禁 |
| 全身障害 | − | 疲労、無力症、末梢性浮腫、発熱 | けん怠感 | 悪寒 |
| 臨床検査 | 糸球体濾過率減少 | 体重減少 | 血中クレアチニン増加、血中尿素増加、ALP増加 | − |
ファリーダックカプセル10mg 37261.4円/カプセル
ファリーダックカプセル15mg 55892円/カプセル
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