血漿分画製剤
| 一般名 |
抗HBs人免疫グロブリン
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|---|---|
| 製造/販売 | KMバイオロジクス / アステラス製薬 |
| 剤形/規格 |
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本剤の成分に対しショックの既往歴のある患者
HBs抗原陽性者(ただし、新生児に投与する場合でやむを得ない場合には、HBs抗原検査の結果を待たずに投与することが可能である。)
HBs抗原陽性血液の汚染事故後のB型肝炎発症予防。
新生児のB型肝炎予防(原則として、沈降B型肝炎ワクチンとの併用)。
HBs抗原陽性血液の汚染事故後のB型肝炎発症予防
通常、成人に対して、本剤1回5〜10mLを筋肉内に注射する。必要に応じて増量するか、または同量を繰り返す。
小児には、体重1kg当たり0.16〜0.24mLを用いる。
投与の時期は事故発生後7日以内とする。なお、48時間以内が望ましい。
新生児のB型肝炎予防(原則として、沈降B型肝炎ワクチンとの併用)
初回注射量は0.5〜1.0mLを筋肉内に注射する。初回注射の時期は生後5日以内とする。なお、生後12時間以内が望ましい。
また、追加注射には、体重1kg当たり0.16〜0.24mLを投与する。
[患者への説明]
本剤の使用にあたっては、疾病の治療における本剤の必要性とともに、本剤の製造に際しては感染症の伝播を防止するための安全対策が講じられているものの、ヒトの血液を原材料としていることに由来する感染症伝播のリスクを完全に排除することができないことを患者に対して説明し、その理解を得るよう努めること。
本剤の原材料となる血漿については、HBs抗原、抗HCV抗体、抗HIV-1抗体、抗HIV-2抗体陰性であることを確認している。さらに、プールした試験血漿については、HIV、HBV、HCV、HAV及びヒトパルボウイルスB19について核酸増幅検査(NAT)を実施し、適合した血漿を本剤の製造に使用しているが、当該NATの検出限界以下のウイルスが混入している可能性が常に存在する。本剤は、HBs抗体価が高い健康人血漿を原材料とし、その後の製造工程であるCohnの低温エタノール分画及びウイルス除去膜によるろ過工程は、各種ウイルスに対して不活化・除去作用を有することが確認されているが、投与に際しては、次の点に十分注意すること。
血漿分画製剤の現在の製造工程では、ヒトパルボウイルスB19等のウイルスを完全に不活化・除去することが困難であるため、本剤の投与によりその感染の可能性を否定できないので、投与後の経過を十分に観察すること。
現在までに本剤の投与により変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)等が伝播したとの報告はない。しかしながら、製造工程において異常プリオンを低減し得るとの報告があるものの、理論的なvCJD等の伝播のリスクを完全には排除できないので、投与の際には患者への説明を十分行い、治療上の必要性を十分検討の上投与すること。
ショック等重篤な副作用を起こすことがあるので注意して使用し、経過を十分観察すること。
本剤は添加物としてチメロサール(水銀化合物)を含有している。チメロサール含有製剤の投与により、過敏症(発熱、発疹、蕁麻疹、紅斑、そう痒等)があらわれたとの報告があるので、投与後は観察を十分に行うこと。
IgA欠損症の患者[抗IgA抗体を保有する患者では過敏反応を起こすおそれがある。]
溶血性・失血性貧血の患者[ヒトパルボウイルスB19の感染を起こす可能性を否定できない。感染した場合には、発熱と急激な貧血を伴う重篤な全身症状を起こすことがある。]
免疫不全患者・免疫抑制状態の患者[ヒトパルボウイルスB19の感染を起こす可能性を否定できない。感染した場合には、持続性の貧血を起こすことがある。]
投与経路
筋肉内注射にのみ使用すること。決して静脈内に注射してはならない。
筋肉内注射時
筋肉内注射にあたっては、組織・神経などへの影響を避けるため、下記の点に注意すること。
神経走行部位を避けるよう注意すること。
同一部位への反復注射は行わないこと。なお、低出生体重児、新生児、乳児、幼児、小児には特に注意すること。
注射針を刺入したとき、激痛を訴えたり、血液の注射筒への逆流をみた場合は、直ちに針を抜き、部位をかえて注射すること。
投与時
新生児の注射量が1mLの場合には、0.5mLずつ2ヵ所にわけて注射すること。
分割使用する場合には、細菌汚染のないよう注意し、当日中に使用すること。
B型肝炎ウイルス母子感染の予防には沈降B型肝炎ワクチンを併用すること。併用時には異なる注射部位とすること。
1mL中に0.1mgのチメロサール(水銀化合物)を含んでおり、大量投与となった場合は、有機水銀が蓄積することが考えられるので注意すること。
[記録の保存]
本剤は特定生物由来製品に該当することから、本剤を使用した場合は、医薬品名(販売名)、その製造番号又は製造記号(ロット番号)、使用年月日、使用した患者の氏名、住所等を記録し、少なくとも20年間保存すること。
「HBs抗原陽性血液の汚染事故後のB型肝炎発症予防」の目的で使用した場合の取扱い
保険給付については、下記のとおりですから、その取扱いについては十分ご留意ください。
| 汚染の原因 | 業務上 | 業務外 | |
| 適用範囲 | 負傷し、HBウイルス感染の危険が極めて高いと判断され、縫合、消毒、洗浄等の処置及び本製剤の注射が行われた場合。 | 労災保険適用 | 健康保険等適用 |
| 既存の負傷にHBs抗原陽性血液が付着し、HBウイルス感染の危険が極めて高いと判断され、縫合、消毒、洗浄等の処置及び本製剤の注射が行われた場合。 | 労災保険適用 | 健康保険等適用 | |
「新生児のB型肝炎予防」の目的で使用した場合の取扱い
1995年4月1日より、下記の診療については健康保険で給付されます。
HBs抗原陽性の妊婦に対する
HBe抗原検査
HBs抗原陽性の妊婦から出生した乳児に対する
HBs抗原、抗体検査
抗HBs人免疫グロブリン投与及びB型肝炎ワクチン接種
(平成7年3月31日付 保険発第53号)
なお、妊婦に対するHBs抗原検査は妊婦健康診査の内容に含めて実施されます。(平成9年4月1日付 児発第251号)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| 非経口用生ワクチン麻疹ワクチンおたふくかぜワクチン風疹ワクチンこれら混合ワクチン水痘ワクチン等 | 本剤の投与を受けた者は、生ワクチンの効果が得られないおそれがあるので、生ワクチンの接種は本剤投与後3カ月以上延期すること。また、生ワクチン接種後14日以内に本剤を投与した場合は、投与後3カ月以上経過した後に生ワクチンを再接種することが望ましい。 | 本剤の主成分は免疫抗体であるため、中和反応により生ワクチンの効果が減弱されるおそれがある。 |
総症例1,412例中、16例(1.1%)に21件の副作用が認められ、主な副作用は疼痛12件(0.85%)、硬結2件(0.14%)、発熱2件(0.14%)、顔面蒼白2件(0.14%)であった。(再審査終了時)
ショック
ショック(頻度不明)を起こすことがあるので、観察を十分に行い、悪寒、嘔気、発汗、腰痛等の症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
| 頻度不明 | 0.1〜5%未満 | |
| 過敏症 注) | 発疹等 | 発熱 |
| 注射部位 | 腫脹、発赤 | 疼痛、硬結 |
注)このような場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
ヘパトセーラ筋注200単位/1mL 9163円/瓶
ヘパトセーラ筋注1000単位/5mL 36536円/瓶
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