本剤の投与により出血が発現し、重篤な出血の場合には、死亡に至るおそれがある。本剤の使用にあたっては、出血の危険性を考慮し、本剤投与の適否を慎重に判断すること。本剤による出血リスクを正確に評価できる指標は確立されていないため、本剤投与中は、血液凝固に関する検査値のみならず、出血や貧血等の徴候を十分に観察すること。これらの徴候が認められた場合には、直ちに適切な処置を行うこと。[2.2、2.4-2.6、7.3、7.6、8.2、8.3、8.6、8.7、8.9、9.1.1、9.1.2、9.2.1-9.2.3、9.3.1、9.3.2参照]
脊椎・硬膜外麻酔あるいは腰椎穿刺等との併用により、穿刺部位に血腫が生じ、神経の圧迫による麻痺があらわれるおそれがある。併用する場合には神経障害の徴候及び症状について十分注意し、異常が認められた場合には直ちに適切な処置を行うこと。[7.7参照]
<効能共通>
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
出血している患者(頭蓋内出血、後腹膜出血又は他の重要器官における出血等)[出血を助長するおそれがある。][1.1参照]
急性細菌性心内膜炎の患者[血栓剥離に伴う血栓塞栓様症状を呈するおそれがある。]
<非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制、静脈血栓塞栓症の治療及び再発抑制、慢性血栓塞栓性肺高血圧症患者における血栓・塞栓形成の抑制>
腎不全(クレアチニンクリアランス15mL/min未満)のある患者[1.1、9.2.2参照]
凝血異常を伴う肝疾患の患者[1.1、9.3.2参照]
<下肢整形外科手術施行患者における静脈血栓塞栓症の発症抑制>
高度の腎機能障害(クレアチニンクリアランス30mL/min未満)のある患者[1.1、9.2.3参照]
リクシアナ錠15mg
○非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制
○静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症)の治療及び再発抑制
○下記の下肢整形外科手術施行患者における静脈血栓塞栓症の発症抑制
膝関節全置換術、股関節全置換術、股関節骨折手術
リクシアナ錠15mg
<非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制>
通常、成人には、エドキサバンとして以下の用量を1日1回経口投与する。
体重60kg以下:30mg
体重60kg超:60mg なお、腎機能、併用薬に応じて1日1回30mgに減量する。
また、出血リスクが高い高齢の患者では、年齢、患者の状態に応じて1日1回15mgに減量できる。
<静脈血栓塞栓症の治療及び再発抑制、慢性血栓塞栓性肺高血圧症患者における血栓・塞栓形成の抑制>
通常、成人には、エドキサバンとして以下の用量を1日1回経口投与する。
体重60kg以下:30mg
体重60kg超:60mg なお、腎機能、併用薬に応じて1日1回30mgに減量する。
<下肢整形外科手術施行患者における静脈血栓塞栓症の発症抑制>
通常、成人には、エドキサバンとして30mgを1日1回経口投与する。
<効能共通>
プロトロンビン時間−国際標準比(PT-INR)や活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)等の通常の凝固能検査は、本剤の薬効をモニタリングする指標とはならないので、臨床症状を十分に観察すること。
出血等の副作用を生じることがあるので、必要に応じて血算(ヘモグロビン値及び血小板数)及び便潜血検査等の臨床検査を実施することが望ましい。[1.1、11.1.1、11.1.5参照]
患者には、鼻出血、皮下出血、歯肉出血、血尿、喀血、吐血及び血便等、異常な出血の徴候が認められた場合、医師に連絡するよう指導すること。[1.1参照]
患者の判断で本剤の服用を中止することのないよう十分な服薬指導をすること。服用を忘れた場合は、一度に2回分を服用せず、直ちに本剤を1回分服用し、次の服用まで12時間以上空けるよう、患者に指導すること。
本剤と他の抗凝固剤との切り替えの際は、次の事項に留意すること。
ワルファリンから本剤に切り替える場合は、ワルファリンの投与を中止した後、PT-INR等、血液凝固能検査を実施し、治療域の下限以下になったことを確認した後、可及的速やかに本剤の投与を開始すること。[5.3参照]
未分画ヘパリンから本剤へ切り替える場合は、持続静注中止4±1時間後に本剤の投与を開始すること。[5.3参照]
他の抗凝固剤(ワルファリン及び未分画ヘパリン以外)から本剤へ切り替える場合は、次回の投与が予定される時間から本剤の投与を開始すること。健康成人にリバーロキサバン又はアピキサバンを3日間投与後、本剤単回投与に切り替えたときのプロトロンビン時間(PT)、APTT又は抗FXa活性への影響は、本剤反復投与4日目と同程度であった。同様に、ダビガトランから本剤に切り替えたときのAPTTは、ダビガトラン反復投与3日目と同程度であった。[5.3参照]
本剤からワルファリンに切り替える場合は、抗凝固作用が維持されるよう注意し、PT-INRが治療域の下限を超えるまでは、本剤30mgを投与している患者では15mg1日1回とワルファリン、60mgを投与している患者では30mg1日1回とワルファリンを併用投与すること。もしくは、本剤の投与終了後、PT-INRが治療域の下限を超えるまでは、ワルファリンと非経口抗凝固剤(ヘパリン等)を併用投与すること。なお、本剤の投与終了後24時間を経過するまでは、PT-INRはワルファリンの抗凝固作用を正確に反映しないため、PT-INRは本剤の次回投与直前に測定する必要がある。[5.1、17.1.1、17.1.3、17.1.4参照]
本剤からワルファリン以外の他の抗凝固剤に切り替える場合は、本剤の投与を中止し、次回の本剤投与が予定される時間に抗凝固剤の投与を開始すること。
本剤の投与中に手術や侵襲的処置を行う場合、本剤の投与後24時間以上経過した後に行うことが望ましい。手術や侵襲的処置の開始を遅らせることができない場合は、緊急性と出血リスクを評価すること。本剤の投与再開は、手術や侵襲的処置後、患者の臨床状態に問題がなく出血がないことを確認してから、可及的速やかに行うこと。なお、必要に応じて代替療法(ヘパリン等)の使用を考慮すること。[1.1参照]
本剤投与中の患者で生命を脅かす出血又は止血困難な出血の発現時に本剤の抗凝固作用の中和を必要とする場合には、中和剤であるアンデキサネット アルファ(遺伝子組換え)の電子添文を必ず参照し、「2.禁忌」「7.用法及び用量に関連する注意」「8.重要な基本的注意」「9.特定の背景を有する患者に関する注意」「11.副作用」等の使用上の注意の記載を確認すること。[1.1参照]
<下肢整形外科手術施行患者における静脈血栓塞栓症の発症抑制>
原則として、術後の入院中に限って使用すること。
本剤の投与期間については、患者個々の静脈血栓塞栓症及び出血のリスクを考慮して決定すべきであり、静脈血栓塞栓症のリスク低下後に漫然と継続投与しないこと。なお、国内臨床試験において、下肢整形外科手術施行患者を対象として15日間以上投与した場合の有効性及び安全性は検討されていない。[1.1参照]
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 出血する可能性が高い患者
出血傾向、先天性又は後天性の出血性疾患、コントロールできない重症の高血圧症、消化管潰瘍又はその既往、消化管出血の既往、胃腸管血管異形成、糖尿病性網膜症、悪性腫瘍又はその既往、貧血、頭蓋内出血後又は脳脊髄や眼の手術後日の浅い患者等では出血を生じるおそれがある。[1.1、7.3参照]
9.1.2 低体重の患者
出血の危険性が増大するおそれがある。体重40kg未満の患者に60mg又は30mg1日1回投与で有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。[1.1、7.3参照]
9.2 腎機能障害患者
<効能共通>
本剤は腎臓を介して排泄されるので、血中濃度が上昇し、出血の危険性が増大するおそれがある。[1.1、7.1、7.4参照]
<非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制、静脈血栓塞栓症の治療及び再発抑制、慢性血栓塞栓性肺高血圧症患者における血栓・塞栓形成の抑制>
9.2.2 腎不全(クレアチニンクリアランス15mL/min未満)のある患者
投与しないこと。ベネフィットを上回る出血のリスクが生じるおそれがある。臨床試験では除外されている。[1.1、2.4参照]
<下肢整形外科手術施行患者における静脈血栓塞栓症の発症抑制>
9.2.3 高度の腎機能障害(クレアチニンクリアランス30mL/min未満)のある患者
投与しないこと。静脈血栓塞栓症発症抑制効果を上回る出血のリスクが生じるおそれがある。臨床試験では除外されている。[1.1、2.6参照]
9.3 肝機能障害患者
<効能共通>
9.3.1 高度の肝機能障害のある患者
凝固因子の産生が低下していることがあり、出血の危険性が増大するおそれがある。[1.1参照]
<非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制、静脈血栓塞栓症の治療及び再発抑制、慢性血栓塞栓性肺高血圧症患者における血栓・塞栓形成の抑制>
9.3.2 凝血異常を伴う肝疾患の患者
投与しないこと。出血の危険性が増大するおそれがある。[1.1、2.5参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物実験(ラット)で胎児への移行が報告されている。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
動物実験(ラット)で乳汁中に移行することが報告されている。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
<効能共通>
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下していることが多い。
<非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制>
高齢(80歳以上を目安とする)で出血リスクが高い場合には、必要に応じて減量を考慮すること。出血の危険性が増大するおそれがある。[7.3参照]
13.1 症状
本剤を過量投与した場合、出血性の合併症を引き起こすおそれがある。
13.2 処置
本剤は血液透析により除去されにくい。症状に応じて、外科的止血、血液製剤(濃厚赤血球輸血、新鮮凍結血漿輸注)等の適切な治療の開始を検討すること。
14.1 薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
15.1 臨床使用に基づく情報
海外において実施された3抗体(ループスアンチコアグラント、抗カルジオリピン抗体、抗β2グリコプロテインI抗体)のいずれもが陽性で、血栓症の既往がある抗リン脂質抗体症候群患者を対象とした直接作用型経口抗凝固薬(リバーロキサバン)とワルファリンの非盲検無作為化試験において、血栓塞栓性イベントの再発が、ワルファリン群61例では認められなかったのに対し、リバーロキサバン群では59例中7例に認められたとの報告がある。
本剤はP糖蛋白の基質である。
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
抗凝固剤ヘパリンナトリウム、ワルファリンカリウム、エノキサパリンナトリウム、フォンダパリヌクスナトリウム、ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩等[16.7.10参照] | これらの薬剤との併用により、出血の危険性を増大させるおそれがある。 | 相互に抗血栓作用を増強することが考えられる。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
血栓溶解剤ウロキナーゼ、t-PA製剤等 | これらの薬剤との併用により、出血の危険性を増大させるおそれがある。 | 相互に抗血栓作用を増強することが考えられる。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
血小板凝集抑制作用を有する薬剤アスピリン、ジピリダモール、チクロピジン塩酸塩、クロピドグレル硫酸塩等[7.3、16.7.9参照] | これらの薬剤との併用により、出血の危険性を増大させるおそれがある。併用については、治療上の有益性と危険性を考慮して慎重に判断すること。抗血小板剤2剤との併用時には、出血リスクが特に増大するおそれがあるため、本剤との併用についてはさらに慎重に検討し、治療上の有益性が危険性を上回ると判断された場合のみ、これらの薬剤と併用すること。 | 相互に抗血栓作用を増強することが考えられる。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
非ステロイド性消炎鎮痛剤ジクロフェナクナトリウム、ナプロキセン等[7.3参照] | <効能共通>これらの薬剤との併用により、出血の危険性を増大させるおそれがある。<非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制、静脈血栓塞栓症の治療及び再発抑制、慢性血栓塞栓性肺高血圧症患者における血栓・塞栓形成の抑制>これらの薬剤と本剤の併用については、治療上の有益性と危険性を考慮して慎重に判断すること。 | 相互に抗血栓作用を増強することが考えられる。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
選択的セロトニン再取り込み阻害剤セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤 | これらの薬剤との併用により、出血の危険性を増大させるおそれがある。 | 相互に抗血栓作用を増強することが考えられる。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
P糖蛋白阻害作用を有する薬剤キニジン硫酸塩水和物、ベラパミル塩酸塩、エリスロマイシン、シクロスポリン、アジスロマイシン、クラリスロマイシン、イトラコナゾール、ジルチアゼム、アミオダロン塩酸塩、HIVプロテアーゼ阻害剤(リトナビル等)等[7.2、7.5、16.7.2-16.7.7参照] | 本剤の血中濃度を上昇させ、出血の危険性を増大させるおそれがある。 | P糖蛋白を阻害することにより、本剤のバイオアベイラビリティを上昇させると考えられる。 |
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 出血
消化管出血(1.3%)、頭蓋内出血(0.3%)、眼内出血(0.2%)、創傷出血(0.1%未満)、後腹膜出血(頻度不明)等の重大な出血があらゆる組織及び器官に生じることがあり、死亡に至った症例も報告されている。臨床的に問題となる出血又は出血の増悪がみられた場合には投与を中止すること。[8.2参照]
11.1.2 急性腎障害(頻度不明)
経口抗凝固薬の投与後に急性腎障害があらわれることがある。経口抗凝固薬投与後の急性腎障害の中には、血尿を認めるもの、腎生検により尿細管内に赤血球円柱を多数認めるものが報告されている。
11.1.3 肝機能障害(頻度不明)、黄疸(頻度不明)
AST、ALTの上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがある。
11.1.4 間質性肺疾患(頻度不明)
血痰、肺胞出血を伴う場合もある。咳嗽、息切れ、呼吸困難、発熱、肺音の異常等が認められた場合には、速やかに胸部X線、胸部CT、血清マーカー等の検査を実施すること。間質性肺疾患が疑われた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
(頻度不明)[8.2参照]
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
1〜10%未満 | 1%未満 | 頻度不明 | |
血液 | 貧血 | 血小板数増加、好酸球増多 | |
出血傾向 | 鼻出血、血尿(尿中血陽性等)、皮下出血、挫傷、創傷出血 | 月経過多、関節内血腫 | |
肝臓 | 肝機能異常 | γ-GTP上昇、ALT上昇、ビリルビン上昇、AST上昇、ALP上昇、LDH上昇 | |
精神神経系 | 頭痛 | 浮動性めまい | |
消化器 | 下痢 | 悪心、腹痛 | |
過敏症 | 発疹、そう痒 | 血管浮腫、蕁麻疹 | |
その他 | 浮腫、尿酸上昇、トリグリセリド上昇、発熱 |
リクシアナ錠15mg 224.7円/錠
リクシアナ錠30mg 411.3円/錠
リクシアナ錠60mg 416.8円/錠
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副作用の重篤度
投稿日: 2015/06/20 参考率: 96%(133人/139人)
内科/50代/処方経験あり